稲穂伸びて


 猛暑の日々が続き、眠りが浅くなって、小鳥の鳴き声が窓から聞こえる頃に
 目が覚めると、身体中しっとりと薄汗をかいていてもう眠れなくなります。
 窓の外は白い霧がかかって少し涼しそうな気配。「朝露を撮りに行こうか」
 と、寝起きで散歩道に出かけました。

 村田川はまだ霧が立ち込めていて、朝の光が柔らかく野に溢れています。
 あぜ道の横では、出始めた稲穂に朝露がたまり、無数の小さなレンズとなり
 きらきらと光を輝かせてくれます。

 そんな稲穂に、まだ眠りの中のトンボやチョウが朝露と共にいたりして、
 しゃがんだり、近寄ったりしてカメラを構えていると、夏の稲穂の力強い
 香りに包まれて、その稲穂の精にむせかえるようになります。

 夏の朝の、力強い、生命力の、稲穂の精よ、我が身体にも移っておくれ!

Vol.131-sanpo1


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