新世代FUSE motordrive review

VisualConsole 14,800円(税抜) 、FUSE Infinity 19,800円(税抜)
発売元イーフロンティア 
公式サイト



FUSE Visual Console

テスト条件
・マシン:Apple Macintosh PowerbookG4 12inch
・OS:Mac OS X 10.2.6
・CPU:G4 867Mhz
・メモリ:640M

基本機能

 基本的に、これまでRCFUSEを利用されたことがある方ならば恐らく戸惑うことはないでしょう(^ ^)。通常のVJソフトについている機能はあっさり流しちゃうことにします。これまでどおりのA−Bロールによって行なうクロスフェード、ダイレクトにキーを押して行なうカットイン、0〜5倍のスピードコントロール、加算や差分などの合成モード。どれも満足のいく高速レスポンスで不満のつけようはありません。

 素材ムービーの読み込みモードには、前世代のFUSEからついていた「一部をRAMに読み込む」「全てをRAMに読み込む」というモードがついてます。僕は一応これは前者を選びました。OS9時代であれば、RAMを使うか仮想メモリを使うかはOSに明確に指定できたのですが、OSXからはそういうメモリ管理は全てOS側で行なうので、ヘタに全部読み込ませると素材の容量によってディスクスワップが発生する可能性があると思ったからです。マニュアルにもこの点は書いてありましたしね。また一部読み込みで充分なパフォーマンスを得られます。

ポイント機能 1 カラーコレクション

 今回のFUSEには、カラーパレット上をマウスドラッグしてリアルタイムにカラーコレクションが可能となる機能がついております。これが実に実際的でいいですね。今までも、RGBパラメータに各フェーダを割り振って調整するカラコレ機能がついてるソフトも2,3ありましたが、インターフェースとしてはこのFUSEのやり方が最もVJプレイに向いてる、と思われました。マウスをつかったパレットコントロールってのはこれの機能以外にもどんどん採用されていい優れたものかもしれません。サイケエフェクトのようなカラコレもついてます。

これが元画像です。



カラーコレクション利用中(^ ^)

サイケデリックなカラーチェンジです。

ポイント機能 2 エフェクト

 映像エフェクターですが、エフェクトの種類によって仮想のアナログスティックのようなインターフェースでエフェクトのかかり具合をコントロールできる仕様になってます。このコントローラをぐりぐりして映像に影響を与える感触はなんとも気持ちいいです。

上記のネタにPhotoshop的なビットマップエフェクトをかけてみました。

 また売りであるサウンドシンクロ系エフェクトは非常にいい感じで同期してました。個人的に素材は画面中央でモーションする見切れてないムービーを使うといいと思われます。素材映像自体が複数画面にでてきて踊りまわるタイプが多いので、見切れた素材だとモニタ画面の四角いエリアが飛び回ってる感じになっちゃいます。

 実際はもっと綺麗な画面になります(^ ^) 動きは完璧!

ポイント機能 3 ワイプとリアルタイム・テロップ

 面白いです(^ ^)。とくに多種多様なワイプがあります。ワイプとテロップは自作できるということで、可能性は無限大です!業務プレイではBPMシンクのワイプ切替で、非常に効果的な演出ができると実感しておりますので、色んなワイプを自作できるのはとてもイケてます!後述しますが、ライブ入力が完璧なので、DJのレーベルマークなどで中継を切り替えていったり、女性アーティスト中継などをハートマークのワイプなどでバシバシ切り変えていったりするのはとてもいい感じだと思いますよ。ベタですが(笑)

 
ちょっと普通でないワイプを選んでみました。複雑な模様から次の素材が浮かび上がります。他にも種類は沢山あるし、自作のパターンが増えてきたらちょっと見たことないようなプレイをすることが可能なのではないでしょうか(^ ^)。

 テロップもどうやらswfファイルになっており、モーションの自作も可能です。この手のファイル自作はどうしてもある程度、別製作ソフトに精通してないと簡単にはいかないことが多いですが、可能である、という設計であることはすごく大きなメリットだと思われます。
※ってかいてたら公式ページにオリジナルの作り方が書いてありました(笑) ぜひがんがん作りましょう!

 テロップ機能です。

 おっと名物のリアルタイムで画面にドロウできる機能も健在です。

ポイント機能 4 ライブ入力

 完璧です。SONYのDVカメラを利用してテストしましたが、充分なフレームレート、そして問題なくエフェクト機能を適用できました。ビデオミキサーがない方でも充分、外部ソースのミックスプレイが可能となります。

 中継です。

 中継にカラコレ(^ ^)

 中継にエフェクト(^ ^)

ポイント機能 5 マルチスクリーン機能

 
PowerbookG4とOSX上で動くことから、デュアルモードを利用して「スキャコン無しでプレイ環境を作る」ことができるようになってるのではないか、という個人的な予測でした。これが嬉しいことに大当たり(^ ^)。※と思ったら実は前世代のFUSEでもすでに実現していたそうで。うう、お恥ずかしい、ご指摘ありがとうございます!
ともあれ FUSEをマルチスクリーンモードにして、パワーブックから直接、SかNTSC出力を行なうと、パワーブックにはFUSE画面(無論パフォーマンス画面も映ってます)がそのまま映り、ビデオ出力からはパフォーマンス画面だけが出力されてます(^ ^)。スキャコンの呪縛から解き放たれるってのは凄い便利なのですよね。他の構成ではわかりませんが、少なくともPowerbookG4+OSX+FUSEの環境ではスキャコンがいらないことが確認できてます。

ただご注意して頂きたいのですが、ぼくの環境ではさほど問題ないパフォーマンスで動いておりましたが、友人のFUSEを購入したVJさんの話によると「ミラーリングでは問題ないが、マルチモードだとフレームレートがかなり落ちてしまった」といっておりました。この友人のもっているノートはPowerbookG4 500で初期型です。個人的にはCPUパワーというより搭載されてるビデオチップの違いではなかろうか、と思うのですが、その辺はさすがに分かりません。とりあえず言えるのは、ぼくがこないだ買った新しいPBG4は問題ないパフォーマンスだった、ということです。

総評

 実際、全体的にみてもFUSE VCは優れています。特にエフェクト、カラコレ、ワイプ、再生スピードなど全ての機能にアナログ的なコントロール要素が採用されているのが大きな特徴といえるのではないでしょうか。カットインプレイ自体もOKなので、もともとオールマイティなソフトではあるのですが、今回とくにアナログコントロール的なコンセプトが強調されているように感じました。どの機能をとっても「ひとつひとつの素材を生かしきれる」ものになっていますから、「素材一つ一つを丁寧に作りこんでいる」VJさんにとっては最適のVJソフトになっている、と思います。

追記しますが、VJさんなら製作ソフトウエアに精通しているので、自作のワイプ、テロップを作っていけるのは、とても大きなメリットでしょう!ただ僕の個人的な意見として、これまでの流れをみると、このような設定ファイルまでを自作でガツガツ作っていくVJさんは少数でした。この機能が大きく活用されるためには、自作パターンを公開するコミュニティや開発元からの定期的な新パターン集の提供(有償・無償問わず)がキーになると思います。


FUSE Media Projector (FUSE Infinityに付属)

テスト条件
・マシン:Apple Macintosh PowerbookG4 12inch
・OS:Mac OS X 10.2.6
・CPU:G4 867Mhz
・メモリ:640M

基本機能

 MediaProjectorは、DVフォーマットクラスの素材ムービーをスイッチングできる高画質ムービーの再生ソフトウエアです。基本的にはカットインでムービーを切り替えることができ、またスピードコントロールもついています。



ポイント機能 1 マルチスクリーン機能

 しょっぱなからこれいきましょう。高画質VJソフトには絶対に必要となるであろう、出力プロセスのソリューション。コンソールパネルとパフォーマンス画面をどう設計して、現場で使えるようにするか、という解決が一番のポイントになると思います。FUSE MPは前述のVC同様、Powerbook+OSXを使えば、メインコントロール画面はPCの画面(無論パフォーマンス画面も映ってます)、パフォーマンス画面はビデオ出力から、という形が可能です。無論これもパフォーマンスに問題はありませんでした(^ ^)。

ポイント機能 2 ライブ入力

 MPもライブ入力可能です。ただMPでライブ入力しても、VCのような多彩なエフェクトやミックスが単体では行なえないので、あくまで画質を重視する必要がある場合やミキサーありで機材構成的に必要な場合に利用するとよいと思われます。



ポイント機能 3 シーケンス

 MPは、再生するムービーをシーケンスとしてならべ、自動的に順番に再生する機能を持ってます。無論、途中でストップをかけたり、一旦シーケンスの途中でループさせて次のムービーに進むのを待たせたりもできます。使い道は色々あるかと思いますが、ぼく的にはイベント業務などで、出す映像の順番が、進行上きまっているときなどに便利だろうな、と思っています。また、通常のVJプレイでも、素材ムービーを同テーマで別シーンを沢山つくっておいて、並べてタイミングよくシーンチェンジするようなアイデアもありではないかと思います。



総評

 実はこれ個人的にすっごい嬉しいソフトです。ぼくは、基本的にBPMシンクさせての激しメのスイッチングプレイをするので、メインの素材はPCへ、シンクさせる必要の無いちょと長めのトンネル系とかゆっくり系の素材は画質重視でDVテープにいれDVカメラで再生していました。それをV−4でミックスするスタイルだったわけです。
ただ長時間のプレイが多いので、カメラは中継にもつかいたいんですよね(^ ^;) カメラの設置位置がブースと離れれば当然テープ操作もできない、ということで、いつも中継とDV素材の活用は2者択一だったのです。そこでDVの再生できるデッキやDVDプレイヤーの購入も視野に入れていたのですが、FUSE MPがあればポン出しの操作インターフェースにも優れた高画質再生環境がそのまま手に入るわけですよ(^ ^) ま、PCが一台それように必要といってしまえばそれまでですが、やはり「VJ用」インターフェイスによる高画質再生ってのはイイ!そしてFUSE MPは他のVJソフトと競合しません。非常に使い勝手のいいものなのです。たしかFUSEはMP付きとVCのみの2つの形で販売していたと思いますが、数千円の差でこいつがついてくるなら迷わずMP付きを購入してほしいと思います。

※最後にご注意

 今回のレビューは、上記の機器構成のもとに行われたものなので、機種、OS、環境の違いにより、上記通りの結果にならない場合、ご了承ください。