Hardware [Videomixer V-4CF (option Crossfader)]
: development [Roland ED]
written by motordrive
A related site
:developmente offical site http://www.roland.co.jp/
:product introduction page http://www.roland.co.jp/???
VJミキサーの名機V-4のオプションパーツがでました。デフォルトのTバー形状のフェーダーバーを、DJミキサーライクのクロスフェーダーに交換するものです。
※このTバー部をこのクロスフェーダーに交換します。
■パーツ
パーツ単体のスナップを載せます。
フェーダは結構軽く作ってあります。まあ友達のDJさんのうちにあるDJミキサーと同様くらいの感触になってるんでは、という感じです(自信ないですけど笑)
■基本機能
機能といってもだいたいの想像はつくと思いますので、フェーダの可動範囲を変更する仕組みを説明しましょう。
まず制御サーキットの下部に、前後のネジ(1番、3番)で固定された鉄板があります。2番をみると分かって頂けると思いますが、この鉄板には4段階の凸凹に穴があいてます。パネル表部のフェーダは、この穴を通って制御盤へ繋がっているのです。
つまり1番のネジをゆるめて3番のネジを外し、書いてある可動範囲長がかかれた穴を選んで鉄板を前後にずらして再度ネジ止めすることによって、凸凹の左右の限界でフェーダはストップする、という極めてシンプルなつくりとなっています。
拡大してみると、物理的に可動範囲が制限されているのがわかりますよね。
■フェーダーパネルの変更過程
何を隠そう筆者もまだこれまでV-4のフェーダーパネルを取り外したことはありません。デフォルトで上下セットされているTバーを横向きに変えてる人は既に経験あるものと思いますが、ここはまあ企画としてフェーダー交換の過程をレポしましょう。
1.最初の状態
デフォルトのTバーが乗っかってます。 この円形のパネルの4つのネジを取り外します。
2.デフォルトパネルの取り外し
とりはずしました。静かに上に持ち上げます。まだコネクタが接続されたままなので、慌てるとちぎっちゃいますからね。このコネクタをそっと引っ張って取り外しますよ。
取り外し完了した図です。
3 .クロスフェーダーパネルの接続
今度はクロスフェーダーパネルです。コネクタの接続口は制御サーキットの横についてます。コネクタ形状は上部だけ斜めに面取りしているので、逆方法に指す心配はありません。
(逆にデフォルトのTバーのコネクタは、こういうしっかりした受け口のソケットではなかったので戻すとき注意してください。ただこの写真でも見えるようにコネクタに赤くマジックで線がついてます。これはTバーの接続部分とつないで引かれていたので、そこを確認すれば間違うことはないでしょう)
接続完了するとこんな感じ。
4.取り付け完了(設定前)
パネルを閉めて、四隅をネジ止めすれば一応パーツの取り付けは完了です。(まだやることは残ってますよ)
ここから内部ソフトウエアによって、フェード具合のオフセットを調整します。
5.フェーダーのオフセット設定
V−4の電源を入れると、フェーダーのスリットからオレンジ色の光がともります。まあこれが正常接続されている、ということでしょうね。
ではプレビュー画面を確認しましょう。プレビューのセッティング画面をコントロールしてフェーダ左右の位置とフェード具合結果の調整を行いましょう。
V-4パネル上部右にある、MENUボタンを押して、プレビュー画面に「MENU」画面を出します。これでV−4の各調整やエフェクトボタンなどの機能割り当てを設定する画面になるわけです。
Mixを選んで、Enter(決定)ボタンを押します。
下ボタンをおしてスクロールしていき、「Utility」を選んでまたEnterボタンです。
さて[Utility]の中に「Video Fader Calibrate A」「Video Fader Calibrate B」があります。こいつでフェーダーの実際の位置と映像処理上のフェード具合を結びつけるわけです。Aロール位置とBロール位置の二つありますが、まずはAロールの位置決めとして、Calibrate
Aを選んでEnterを押します。
さて下記画面になりますから、フェーダーをAロール側の最大位置まで持っていってEnterボタンを押します。そうするとフェーダーのその位置がAロール側の映像が100%映る位置としてV−4が認識するわけです。
省略しますが、Enterを押した時点で画面はひとつ前の状態に戻ります。ですから、いまAロールのCalibrate(調整)を行ったのと同じように「Video
Fader Calibrate B」を選んで、Bロール映像の100%となる位置決めを行ってください。
※フェーダーバーの位置と実際の映像のミックス処理具合の連動は、全てこの機能でユーザーが自由に設定できるように作られています。
ではキャリブレーションの結果を確認してみましょう。画面上のフェーダーの位置と、プレビュー上のフェーダー位置がちゃんとマッチしていますね。
※下でのクロスフェーダーの物理的可動範囲は、分かり易いように意図的に最大にしています。もしもクロスフェーダの物理的可動範囲をもっと狭くしている場合は、そのときのフェーダの可動できる左右の最端位置=プレビュー上のカーソルが左右の最も端っこの位置、となり、フェーダが中央にきたときにはプレビューカーソルも中央にそろう、という感じの動きが正解です。
これでセッティング完了です。※当然T-Barに戻すときは、上記のキャリブレーションのし直しが必要です。
■使用感
普通に考えれば、Tバーの形状がクロスフェーダーになりスライドの負荷が軽くなっただけです。しかし実際のVJプレイ時には、この二つは非常に大きな感覚の違いがありました。
クロスフェーダーは非常に軽い分、ABロールの変更に負荷が掛かりません。パネル上に手を伸ばしてつまみを感触で確認し、軽く小さな動作でフェーダー操作ができます。これは頻繁にフェーダーを操作する方にとってはかなり楽で便利になるでしょう。
個人的な意見ですが、Tバーは手を当てる場所が高くスライド負荷がそれなりにしっかりして手応えがあるので、繊細な微調整が可能であり、デリケートなフェード操作や多数の入力ソースの切り替えを正確に行いたい場合に向いているように感じます。またフェード具合を手触りによるバーの角度から把握できるのでブラインド操作的にも有利かもしれません(というのは、ちょっとこじつけかな?)
具体的には PCVJ複数にカメラなど入力ソースがバラエティに飛んでいてソースチェンジを慎重にやりたいケースや、キー抜きなどでミックス具合を微調整する必要があったりするケースのVJプレイにオススメ、というところです。
それに対しクロスフェーダーは動きが軽くてAロールからBロールへの動作間隔が短い(クロスフェーダーの場合、手の動きはパネル上の平行移動の軌跡ですが、Tバーは扇上の若干上下運動も含めた軌跡になります)ため、長時間フェーダープレイを行っても疲れないし、素早い切り替えとフェーダ操作が簡潔になる、という点がポイントになりそうです。つまりミキサーのフェーダ操作そのものをパフォーマンスの核とするケースに向いているのではないでしょうか。つまりクロスフェーダーは、デッキVJやDVJスタイルのように、ミキサーそのものをメインのVJプレイコントロールとしている方、AudiovisualスタイルのVJ向き、といえるような気がします。
■総評
使用感的には真逆の考え方を持つ方もいるかもしれませんが、そこは個人的インプレッションということで勘弁して頂きたいと思います。それから今回重要なのは「Tバーとクロスフェーダー、どっちがいいのか?」というところではありません。「TバーとクロスフェーダーをVJが選ぶことができるようになった」という点に注目すべきなのです。
とにかくハードウエアというものはソフトウエアよりずっとカスタマイズが難しいものです。メーカーがリリースした後に自分向けに手を入れるといってもかなり限りがありますよね。そんな状況で2択とはいえオプションで選択肢を提供しはじめてくれた、という点は高く評価できるのではないでしょうか。
今後でてくるVJハードウエアにも、このようにユーザーカスタマイズできるサービスが浸透してくるととても嬉しいな、と思います。
ちなみに価格はオープンプライスで1万円前後となる予定です。高いか安いかはユーザーさんの立場しだいでしょう。おそらく「どちらももっておきたい」という感じの方には、もう少し安いほうがいい、と思われるでしょうけれど、「ずっとクロスフェーダーでプレイがしたかったんだ」という積極的な方にはムリのない値段で妥当な範囲ではないでそうか。
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