Software [Touch] : development [Derivative]
written by TED

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:official site http://www.derivativeinc.com/
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TouchはカナダのDerivative社で開発、販売されている3Dインタラクティブコンテンツツールです。 VJソフトというよりは、DirectorMXやFlashMXといったコンテンツ制作ツールに近いものですが、VJシーンを意識的にフォーカスして開発されており、VJに必要な機能がサポートされています。殆どのユーザーがVJパフォーマンスのために使用しているのが現状です。

Touchは3つの製品で構成されています。
TouchPlayer :コンテンツを再生するのみの無料プレーヤー
・TouchMixer :コンテンツを再生する機能に加えて、プレイレコーディング、ムービーファイル出力等をサポート
TouchDesinger :コンテンツを開発するためのツールセット

Touchで扱うデータはシンセファイルという3Dのシーンデータです。ループムービーの代わりにDesignerで3DCGシーンを作成します。作成したシンセファイルはPlayeraまたはMixerで再生します。あらかじめ設定されたスライダやボタンを使ってアニメーションに変化を与えます。ジェネレータ系のソフトに近い感じです。
インターフェースは後述するDesignerでシンセごとにカスタマイズされたものが提供されます。シンセ1つ1つが小さなジェネレータ系VJソフトになっているといった感じです。3Dキャラクタをインタラクティブに動かすシンセファイルもあれば、ビデオループをスイッチングするシンセファイルなど多種多様なシンセファイルが既に用意されています。

作成されたシンセファイルはDerivative社でサポートされているArtWorksサーバー上でユーザーに公開されており、PlayerやMixerユーザーは自由にダウンロードすることができます。またシンセファイルに対するディスカッションボードも用意されており、製作者とユーザーとのコミュニケーションの場になっています。すべて英語によるやりとりですが、こういったコミュニティーの相乗効果もこの製品の魅力の1つといえます。



このようにシンセの内容によってカスタマイズされたインターフェースが用意されます。上はムービーファイルを読み込んでスイッチングするシンセ、下は3Dキャラクタの動きをコントロールするシンセです。

●TouchPlayer

Playerはシンセファイルの閲覧を目的とした無料のソフトウェアでFlashPlayerのような位置付けの製品です。標準でBPMクロックをサポートしており、タッピングでBPMを調整することが出来ます。プレイ部分はスライダとボタンを切り替える方法のほかにあらかじめ用意されているプリセットをタイミングにあわせて切り替えるだけの機能も用意されています。
また、webブラウザのプラグインも含まれており、シンセファイルをIEやNetscape上で再生することが出来ます。MP3ファイルの再生機能も備えており、バックグラウンドで好きな音楽を再生しながらシンセを再生できるほか、音楽にシンクロさせてシンセを再生するといった使用方法も可能です。 対応しているOSはWindows2000、XPでOpenGLサポートのグラフィックボードが必須環境です。グラフィックボードはそれほど高い性能は要求されていません。 低いところではMobility RADION 16MB等もサポート対象に入っています。高性能のハードの方がもちろん高いパフォーマンスが期待できます。 PlayerにはインストールしているPCのパフォーマンスをチェックするツールも含まれているので、自分のPCでどのくらいのパフォーマンスが出るのか調べたい場合、まず無料のPlayerでパフォーマンスチェックすることをお勧めします。

●TouchMixer

MixerはVJパフォーマンスを目的としたプレーヤーで、デュアルモニタ対応、MIDIデバイスをサポートしておりMIDIスライダでシンセプレイすることが可能です。Playerがサポートしているシンセファイルの再生機能に加えてパフォーマンスのレコーディングとミキシング、パフォーマンスの上書きレコーディング等、パフォーマンスの編集機能が追加されています。またプレイした映像をムービーに出力する機能もサポートされています。 Mixer単体ではオリジナルのシンセを作成することは出来ませんが、シンセによってはテクスチャファイルやムービーファイルの読み込みをサポートしているものもあるので、カスタマイズの自由度は大きいと思います。ビデオループ再生シンセがリリースされていますが、このシンセではムービー素材を自由に読み込むことが可能です。



TouchPlayerとMixerは見た目は殆ど同じですが、Mixerにはパフォーマンスレコーディングやムービーの書き出しなどPlayerに実用的な機能が追加されています。

●TouchDesigner

Designerはシンセファイルを製作するツールで総合3DCGツール、2Dコンポジットツール並に機能は充実しています。 ここでは簡単に特徴的な部分を紹介しましょう。 3DCGツールをサポート Designerではモデリング、マッピング、マテリアル設定まで3DCGツールの基本的な機能をサポートしています。無い機能はソフトウェアレンダリング位です(笑)。他のツールを使用することなく一通りの作業が出来るのはありがたいです。ボーン機能やパーティクル機能といったものまでサポートされているのでキャラクターものからエフェクト系までDesignerだけで作成することが出来ます。後述するオペレータ機能によって、モデリング、アニメーションなどすべてのパラメータをインタラクティブに操作することが可能です。



■ノンリニア2D編集ツールをサポート

今ではポピュラーになったアイコンベースのオペレーションは実は、Touchの基となっている3DCGソフトウェアHoudini/PRISMSで採用されたインターフェースで、Touchでもその機能が受け継がれています。後述するオペレータ機能を使って、イメージやムービーを読み込んでカラーコレクトやマスク抜き、ブラー等のエフェクトをかけることが出来ます。エフェクトをかける手順を設定して、背景やオブジェクトのマップに設定することが出来ます。またちょっとしたムービー編集には十分な機能を備えているので、連番イメージでムービー素材を出力するといった使い方も出来ます。



■各種デバイスをサポート

MIDEデバイスは入力、出力にも対応しているのでTouchから他のMIDIデバイスをコントロールするといったことも可能です。そのほかにゲームパッドやマウス、ビデオ入力、マイクなどがサポートされています。デバイスとシンセの連携の設定はいたって簡単で、アイコンレベルで設定が可能です。実はゲームパッドは私がリクエストして採用された機能なのですが、ユーザーと開発者の距離が近いので色々なアイデアが出されて、機能追加されています。最近ではモーションキャプチャデバイスでコントロールできないかといった話題で盛り上がったりしています。



デバイスが無くても、プリセットでバーチャルスライダ、ボタン、ボリューム等が用意されています。これらのインタフェースは自由にデザインやレイアウトをカスタマイズすることが出来ます。

■スクリプティング不要のオペレータ機能

インタラクティブな仕組みを何か作ろうとする場合、プログラミングは避けて通れない道ですが、Touchはオペレータと呼ばれるアイコンを繋げてパラメータを設定するだけで、インタラクティブな仕組みを構築する強力な機能をサポートしています。前述した3DCGや2D編集ツールは実はすべてこのオペレータ単位で管理されていて、インタラクティブに動かしたい設定をスライダやボタンにドラッグ&ドロップでアタッチするだけで、インタラクティブなシーンを構築することが出来ます。「数式はちょっと苦手」といった人でもまったく問題ありません。計算目的別にオペレータが用意されているので、アイコンを繋げるだけで、数式を打ち込むことなく複雑な処理を設定することが出来ます。もちろん、もっとディープに作りこみたいユーザーのためにスクリプト機能も用意されていますが、殆どの場合オペレータをつなぐだけで十分シンセを製作することが出来ます。 ArtWorksにアップロードされているシンセファイルは、Designerで仕組みを解析できるフォーマットでも提供されているので、シンセを見ながら使いたいテクニックをシーンから直接コピー&ペーストで自分のシーンで使ってみるといったことも出来ます。少しづつステップアップが出来るのがありがたいです。



−総評−

インプレッションというよりはTouchの紹介記事のような内容になってしまいましたが、どんなものなのか全てを伝えることはなかなか難しです(笑)。
この記事を読まれて興味を持たれた方は是非Derivative社サイトよりPlayerとArtWorksをダウンロードして実際に体験することをお勧めします。多種多様なシンセをみればその可能性を感じていただけると思います。

Derivativeホームページ:http://www.derivativeinc.com / http://www.derivativeinc.com/home/JP_Home.asp
30日間のフリートライアル版が用意されています。基本的な情報のみですが日本語チュートリアルも用意されています。 Playerを触ってみて、自分のオリジナルシンセを作りたくなったら、ぜひチャレンジしてみてください。