Hardware [Videomixer krossfour] : development [KORG]
written by motordrive

:value \73,500

A related site
:developmente offical site http://www.korg.co.jp/
:product introduction page http://www.korg.co.jp/Product/Dance/krossfour/




既にKaoss Pad EntrancerやmicroKONTROLのリリースにより、多くのVJから支持されているKORGさんが小型のビデオミキサーkrossfourをリリースしています。この製品も最近のミキサーと同様に音声の入出力を持たないビジュアルパフォーマンスに特化した製品ですね。更にクラブVJからの要望が強かった「シンプルな小さいミキサー」というコンセプトを具現化しています。余分な機能を切り捨てつつ必要な機能を残し、従来のミキサーよりワンサイズ小型化する、というまさに要望どおりものに仕上げてきました。

■ポイント

やはり大きく取り上げられるのは、その大きさと重さです。これまでの映像ミキサーとしては最小、最軽量の部類に入るでしょう。18cm*25cmで高さも7cmくらい。そして重さも1.5kgとPowerBookより一回り軽いくらいです。なんといっても携帯性が最高で、どっかのバッグの隅とかにスポッと入れてしまえるくらいの手軽さがあります。機材の多いVJにとっては嬉しい限り。
それから姉妹品(というか)のエフェクターであるKAOSS PAD Entrancerと、並べてぴったりあうように縦サイズと高さサイズをあわせられているのは粋ですね。機能もかぶってないし。同じ会社から出してるメリットをちゃんと生かしてます。


それに機能を削ったといいつつ、クロマキーとルミナンスキー合成だけは搭載してるところはほんとに目のつけどころがいいと思います
。派手なエフェクトなどは別機材まかせにできますが、この「抜き」という部分は確かに「ミキサー」がやる必要のある仕事であり、開発側が「分かっている」もしくは「しっかり現場のVJの意見を理解している」と思わせられた点でした。

おまけですが、フェーダ回りその他の光る演出は、暗いハコでの見やすさが主目的だと思いますが、シンプルにおしゃれでかっこいいデザイン(主観ですが)です。まじステキだと思います(笑)


@Gallery Soap

■スイッチング
 映像の入力は4つで、それをA,Bロール両サイドについた4つのボタンで各ロールに割り振るという形です。このA,Bロールに対して好きな入力を当てられるという仕様は、最近ではあたり前のようになってますがやはり非常に便利です。ただし画面に出てる入力映像を直接このボタンで切り替えると、非同期処理なため一瞬ノイズやバックでたりするので、このボタンを直接スイッチングプレイ的に利用はしないほうがいいでしょう。後述しますが、逆にそのためにフェードモードにカットチェンジ的なものが存在します。

■フェーダー
DJミキサータイプのスライダーを採用しています。動きは軽く殆ど力が必要ありません。高速フェードプレイする人もやりやすいと思います。DJ経験のあるかたにはなじみのスタイルなのでとっつきやすいかもしれません。
フェード効果自体はトグルスイッチによって4つのモードがあります。


※FADER CURVEってとこ

・ノーマル・カーブ
 通常のクロスフェードですね。特筆することはないと思います。
・ノー・ミックス
 クロスフェードのようにABロールの映像が混ざる事はありません。フェードアウトして一度完全にブラックを挟んでから次の映像がフェードインしてくる動きです。
※個人的にこのモードは好きです。イメージでは、、例えば映画のトレーラーとかみてるとこのタイプのシーンチェンジが結構多用されてますよね。画面が一度フッとブラックになってから次のシーンがフっと浮き上がってくるような。クロスフェードより微妙にドラマチックな感じだと思います。
・センター・ミックス
 クロスフェードですが、フェードが行われるフェーダーの位置が中央部のみとなります。利用用途は恐らくフェーダが微妙に動いちゃっても画面に変化が出ないようにするためかな、と思いますが、正しい応用方法はあんまり思い付きませんでした。もしかしたらカットチェンジよりややナチュラルなシーンチェンジを狙うためなのかもしれません。カットチェンジがオンオフで切り替わるより、一瞬でもクロスフェードが噛んでると見てる方は気付かないなりに柔らかな変化の感じを受けると思われます。
・スイッチャー
 単純にフェーダーを移動することにより、中央を境にぱっとカットチェンジされます。スイッチングで触れたように画面に出てる映像のカットチェンジを行うときは、直接入力切り替えボタンを使うのではなくこの機能を利用してね、というコンセプトなのでしょう。

モード自体は意味があっていいと思うのですが、ちょっと苦しいのは、このフェーダーモードが側面のトグルスイッチであることです。前面パネルならばイルミが光ってよく見えたと思いますが、側面なので手探りでモードチェンジすることになります。覗き込んでも充分な明るさがないと、モードを意味するちっちゃいマークが見えないです。まあ各モードの位置(トグルの順番)を覚えればいいだけの話ですが、それでも前面パネルにあったほうが親切だったかな、と感じました。

■入出力

入力は4つあります。端子自体はRCA4つにS端子2つありますが、このS端子はRCA2つ分に対しての優先されるもので、同時に扱えるのは合わせて4信号ですね。出力としてS端子とRCA端子に加えてプレビューアウトがあります。
基本的にメインの入出力端子は、本体上部の側面についていますが、入力4とプレビューアウトだけは本体下部の側面、手元についてます。これは入力が4つ以上ある場合、プレイ中に一部の入力映像信号を手動で差し替えたいときや、プレビューアウトの信号を別の機器につなぎたいときのための設計でしょう。事実、そんなケースは普通にあるので、都度背面を覗き込まなくていいため嬉しい気配りだといえます。


※後ろ側                                    ※前側(手元)

個人的なことですが入力にS端子が一個、というのはちょっと寂しいかな?最終アウトはRCAになりがちですが、最近映像ソース自体はSで突っ込む人が多い気がするんで・・・これは趣味の問題か。

■ミックスモード

冒頭でも触れたようにルミナンスキーとクロマキーがついています。それぞれ特定の輝度、特定の色に対してマスク処理を行ってABロールそれぞれの映像を合成するためのモードです。しかしそれぞれ値の範囲(閾値)の設定がいります。ルミナンスの場合、だいたいは黒抜きに使うと思いますが、どのくらい暗いときにそれを「黒」とみなすのか、ということですね。 この閾値をちょうどいいくらいに調整しないと、このマスク処理はあんまり奇麗にぬけません。というわけでこの閾値をコントロールするためのつまみが準備されてます。


※MODEってとこと横のつまみですね。CがクロマでLがルミナンスです。(BKとWHはブラックとホワイトで通常時のバックカラー設定です)


元映像                          ミックス映像(エッジはっきり)              結果
※エッジがはっきりしているものの合成はさほど苦労しなくてもきっちり抜いてくれますね。


ただしやはりエッジにグローが掛かっているようなタイプだと閾値の調整はコツいります。 最終的には民生ハードウエアミキサーとしては充分な結果まで持っていけますが、しかしそれなりに調整つまみがセンシティブなので、慣れるまでは苦労するでしょう。


同じ元映像にミックスする映像(エッジにグロー)   結果                             ミックス後のエッジ拡大図
※微妙に抜けてない部分がグレイ出てますが、これはとりあえずこれまで民生ハードウエアミキサーの合成を見てきた個人的意見としては、通常の合成クオリティだと思います。

ここで実際のプレイ環境を考えてみましょう。殆ど場合ハードウエアミキサーが映像の最終アウトプットとする構成が自然なのでこいつの出力がそのままスクリーンに出てしまいます。だとすると画面に見せながら上記の閾値つまみをごにょごにょいぢって調整している映像を見せるのはまずいでしょう。事前にマスク利用するネタに対する調整はすませておいたほうがいいと思います。
(ただしkrossfourの外に別のミキサかスイッチャがあるときは別ソースの映像に逃がしておくとか、Kaoss PadEntrancerをかまして派手なエフェクトをかけといて、その間にkrossfour出しのプレビューで調整しちゃうとか色々手はありますけどね)


■総評

長所、短所と思えるところを正直に列挙したつもりですが、総じて非常にいい製品だと思います。小型軽量というポイント以外でも低価格という点は大きなメリットだと思いますが、
搭載している機能バランスが洗練されているので、もっと派手なエフェクトがついてる別製品と同様の値段だったとしても、普通に選択する人がいるくらい一部のVJのニーズにカチっとハマってると思いますね。間違いなくVJのスタンダードミキサーのひとつとして挙げられるプロダクトになってると思います。
それからオフィシャルのホームページにFlashを利用した使い方紹介のコンテンツ(KaossPadEntrancerも)があります。 こういった解説コンテンツは、初心者のVJさんにとって非常にありがたいものですので、是非今後のプロダクツにもつけてほしい!と思いました(^ ^)。

あ、そうそうおまけですが、あまりに小型軽量である証拠に激しくフェーダープレイすると本体が動いちゃって困る、という意見がありました(笑)。勿論持ち主はそこまでの軽さ、という点を歓迎しているわけですけどね。とっても「軽い」ので、すべりのいいブースに置く場合は左右を別機材ではさむか、足に両面テープをつけてやるとかすることをオススメします(^ ^)