会いたい。
貴方に会いたい。

でも、無理だったのかな、私では。
傍にいてはいけなかったの…?

他に、もっと相応しい人がいたら、譲ろうと思っていたけれど。
本当にそう思っていたけれど、今は…

他に、誰がいてもいい。
ほんの隅っこでいいから、貴方の傍にいたいの。


貴方にとって、私はどんな存在なのか。
いつも、そこで躓いてしまうけれど。



あの国の風を感じ、人々の心を知って。

ふんわり優しい、海の精霊様も。
きらきらと笑う、青い翼の天使様も。
優雅な花のお姫様も。
甘い香りの女神様も。
磨かれた剣のような、逞しい剣士様も。
楽しそうに笑いながら、願いを秘める薬師様も。
どこか暖かな、妖魔の皇女様も。
儚げに微笑む、小さな歌姫様も。

みんながいたから…素直になれた。


そして、貴方が。
貴方がいたから、生きることが出来た。
私のたった一つの世界。



もう一度。
名前を呼んで。
古えからの契約の名より強く。
楔を、私に。


呼び覚まして。
解き放って。





私、を。







モドル