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〜Petit Story act1 久々に万魔殿(パンデモニアム)の宴を抜け出して、地獄の中層部にあるデュークのお屋敷に遊びに来たエルスは、仮面の公爵と呼ばれる館の主から、風変わりな歓迎を受けていた。 「今日はお前のために、衣装を仕立てさせたから着るといい」 含み笑いを浮かべた公爵の指示で、侍女たちに控えの間に連れて来られると、エルスはあれよあれよと言う間に服を脱がされて、香りのいい湯を張った浴槽に浸けられ、レースの下着一揃いから全ての衣装を身に着けさせられて、化粧まで施され、またデュークの前に連れて来られた。 着替えを手伝った侍女たちは満足げな様子で、デュークもエルスの姿を面白げに眺めている。 「……この格好は一体なんでしょう?」 「髪が少し長すぎるな。切るか…結い上げた方がいいか」 ふむ、と公爵が全身を見回したあげく感想を述べる。 「そういうことではなく。…あの、些か恥ずかしいのですが……」 エルスは、自分の膝丈にも満たないスカートを引っ張りながら言った。 「いや、よく似合っている。お前の恋人にも見せてやればよい。きっと喜ぶだろう」 「そうですか…?」 エルスは一瞬、喜ぶかなぁ?と考える表情になったが、デュークの人の悪そうな口元を見てぷるぷると首を振る。 「喜ばないと思います。多分。きっと」 「それは残念だな」 どのみち、お前が着ていた服はみんな処分してしまったから、それで帰るしかあるまい、とデュークは楽しそうに言った。 「い、意地が悪いです。公爵」 「この場合、”ご主人さま”と言うべきだろう」 |
