火をつけないまま煙草を銜えて、シンジは旧校舎の音楽室の椅子に座っていた。
 もう明日には取り壊されてしまう古い木造の校舎。立入り禁止と張られていたロープをくぐり抜け、鍵のかけられていた窓を割って。
 どうせ明日には壊される運命だ、だれにも咎めたてられることなどない。

「……汗を拭って歩いたみち……野原で見つけたちいさな、はな……幼い日の……てのぬくもりが……かえってくる」

 生きる喜びを歌った童謡をポツリポツリと口ずさむ。夕焼けがすべてを橙色に染めていた。
 ポケットから取り出した安物のライターで火をつける。肺を満たす、毒の煙。ベェートーベェンの肖像画が未成年のシンジが犯す行為を咎めるように睨んでいる。フゥー、と吐き出した息が白く染まっている。

「教えてくれた……? 教えてくれなかった、僕には」

 チリチリと舌が痛む。目を伏せて灰を地面に落とす。
 父親の広い背中をいつも見送るしかなかった幼い子ども。母の温もりを知らず、庇護されるときに誰からも必要とされない哀れな子。
 そんなものに進んでなりたいなんて思わず、シンジは誰にも必要とされないなら自分も誰かを必要としないと決めた。
 周りを取り巻くのはちっぽけで小さな世界だ。その中で暮らしている人間の態度にいちいち傷ついていたら、自分のなかを巡っている血が涸れてしまいそうだ。
 スゥ、と深く吸い込んで宙に向けて煙を吐き出す。言葉を吐き出す代わりに煙を吐き出すようになったのはいつからだろう。
 自棄になっていたのかもしれない、自覚が無くても。
 手を伸ばしたアルコールは体に合っていなかった。具合が悪くなって寝込んで以来口をつけていない。麻薬を試すほど自分が嫌いなわけでもなく、かといって好きでもなかったので試したのが煙草だったという話だ。中学生から隠れて吸っていたから、もう三年は吸っていることになる。
 高校は中学と違って義務教育じゃないから、煙草を吸ってるところをみられたら一発で退学か、優しくても休学処分だろう。どちらにしろ学内からは白い目で見られるだろう。
 シンジの通っている音楽学校は、名のある有名な指揮者やソリストなどを輩出した名門中の名門校だ。シンジは父親に捨てられた小さなときから、預かっている先生の勧めでチェロを習っていた。

 特別な才能があったわけでもない、人を惹きつける何か、音楽家として大切なものが自分には欠けていることもシンジは気付いていた。

 努力だけじゃダメなのだと、長い間チェロを弾き続けて知ってしまった。同じ業界の、遥か高みにいる父親をいつか追い抜いてやろうと思っていた。

「でも、もうダメなんだな……」

 明日には破壊されてしまうこの校舎。使えなくなった古い楽器。旧型の譜面台。
 捨てられたものの末路はなんて惨めなものなのか。通りすがりに聞いた受け持ちの先生の評価に嘲笑う。
 学内一の奇才と称えられる少年に、「君のような生徒は教えがいがあるなぁ」と苦い表情で笑っていた。教えがいのない生徒で悪かったなと、罵倒しそうになったのを押さえて踵を返した。
 やってみないかと推されたコンクールの評価がイマイチだったから?
 次こそはと自分らしかぬ気合を入れて選んだヴィヴァルディの、四季。シンジはこの曲の、秋が好きだ。空虚で夢見心地な精神に寄り添うように奏でるアダージョ・モルト。
 自分の人生で報われるものなど無いのだと、あらためて思い知った。
 シンジは長い灰を指で払い落とし、ゆるい速度で落下する灰を無感動な瞳に映す。この学校に入れたのも父親が学校の卒業生だからなんて、想像したくも無いことが頭を過ぎる。
 そんなはずはない、遊ぶ間も惜しんで努力した自分の力だ。それが認められたからな筈なのに。

「バカみたいだ、結局こうなるんだもんな」

 短くなった煙草を床に落とし、踏んで火を消す。黒く焦げた教室の床が哀愁を誘う。どうせならもっと、もっと、黒く染まればいいのに。

「こんなところで何をしているんだい?」

 聞き覚えの無いテノールが静寂を破る。ギクリとした内心を押し隠すようにゆっくりと振り返った先に、髪を橙に染めた有名人の姿を見つけて瞬きをする。
 彼だ。教師にも生徒にも一目置かれている奇才、渚カヲル。

「……君には関係ないよ」

 誰もが彼のようになりたいと憧れ、教師は彼のような音楽を学べと生徒に言い聞かせる。同じ音など面白くもなんともないのに彼のようにあれと促される。
 そんなどこに行っても注目の的な男がここにいる。

「喫煙は見つかると退学処分だよ、碇シンジくん」

 どうして彼が名前を知っているのか、シンジは詳しいことを聞くつもりは無い。

「余計なお世話だよ。君には関係ない」
「言うねぇ」

 ゆるく口角を引き上げて面白そうに笑うカヲルを睨む。

「誰かにしゃべってもいいのかい」
「別に。そうしたいならすればいいじゃないか。僕はなんとも思わない」
「ここにいられなくなっても?」

 すたすたと廊下側のドアから入り、カヲルはシンジの座っている椅子に近づいた。

「どこにいたって同じことだ。僕には」
「ふぅん。じゃあなんでここに来たんだい」

 椅子の前に立ち塞がり、シンジを見下ろすカヲルの目は緋い。
 楽しんでいるような、訳のわからないものに当惑しているような色を乗せている。無神経に抉ることを言うカヲルから目を逸らし、初めて会ったばかりの彼の態度に苛立つ。

「うるさいな、君には関係ないって言ってるだろ」
 ガタリと立ち上がって部屋を出ようとしたシンジの肩を押さえ、カヲルは「悪い」と一言謝った。
 秀麗な面立ちがバツの悪そうに顰められる様を不審に思いながら、乗せられた手を払う。

「怒らせるつもりはなかったんだ」
「君にはその気がなくても受け取った側がどう思うか君、考えたことも無いだろ」

 シャツの下の肌がほんのり熱を持っている。誰かに触られたことなど、とうに昔のことだ。
 人の体温はこんなにも温かいものだったろうか。
シンジの言葉にムッとしたように眉を寄せ、カヲルは黙る。

「君じゃなくて、カヲル」
「はあ……?」
「だから、カヲル。僕の名前」
「馬鹿にしてる? それが僕に何の関係があるのさ。名前で呼べって?」
 ムカァッ、としてシンジはカヲルの横を通り過ぎようとする。何が微笑みの天使様だ、初めにそんなこと言った奴アタマおかしいんじゃないかと本気で思いながら。

「シンジ君はどうも怒りっぽいな。情緒不安定?」
「勝手に名前で呼ばないでよ。迷惑だから」

 付き合ってられないとシンジは今度こそ教室から出ようとする。
「いだだだだっっ!! ちょ、なに?!」

 通り過ぎるシンジの、カヲルより低いところにある黒髪をむんずと掴んでカヲルは歩く。

「まあまあ気にしないで。僕なりの優しさってものだから」
「とことん押し付けがましい奴だな! 迷惑だって言ってるのが解らないのかよっ」

 髪の毛を根元から掴まれて逃げようにも逃げられなくてシンジは叫ぶ。白い腕と背中が目に入る。
「ピアノは好きかい?」

 埃を被った鍵盤の蓋を開け、音が狂っていないか試しているカヲルの手から逃れてシンジは唇を噛む。良いように振り回されているのが気に食わない。
「嫌いじゃ、ないけど」
「……素直じゃないね」

 ふふ、と肩を竦めて笑ったカヲルの横顔が夕日に照らされて眩しい。
 ぐちゃぐちゃになった前髪を直しながらシンジは戸惑ったように立ち尽くす。カヲルの長く大きな指が鍵盤を滑り出す。この調べは、

「バッハの、カンタータ? ……じゃ、ない。リストの変奏曲か」

 カンタータ。嘆き、悲しみ、おののきと、ロ短調ミサ曲の「十字架につけられ」の通奏低音による変奏。悲しみと哀感を表す曲をなぜ彼が今弾くのか、わからない。
 シンジは握った拳を口に当て、目を伏せて聴き入る。序盤の柔らかな展開から強い衝動を訴えるように鍵盤が叩かれる。
 音楽が訴えかける。それは作曲者の想いなのか、弾いている人間が織り成す感情か。言葉無く無心に鍵盤を叩くカヲルの伏せた横顔に、彼が何を思って弾いているのか読み取れない。
 それでも、やはり彼は自分がいる場所より遥か高い場所で音楽というものを演じている。それがわかって、シンジは強く目を瞑った。堪えないと涙が流れそうだった。
すべてを完璧に表現できるカヲルという人間が憎たらしくて、敵わないと思った。
 こんな人間がいるのだという驚きと、感動。

「……リストが好きなの?」

 20分近く弾きとおして息を吐いたカヲルに、シンジは自分から初めて声をかけた。

「好きだよ。でもそれは彼に限ったことじゃない。ショパンもエルガーもハイドンも、もちろんベェートーベンだってね」

 幼い少年のように顔をくしゃりと綻ばせて笑うカヲルの返答に「そう、なんだ」とシンジは頷く。
「喜びも深い悲しみも楽しさも後悔も、音楽にはすべてが入っている。これらは古い曲だけど、そこも気に入っているんだ」
 カヲルの目は白と黒の鍵盤の上を見ている。シンジはカヲルを見て、視線を逸らす。

「君は、ヴァイオリン専攻だと思っていた」
「学校ではそう。ピアノも弾くよ。どちらも好きなんだ」

 こんなことがあっていいのだろうか。ただの趣味でここまで弾けるほど、音楽は優しくないのに。シンジは自分の握っている拳に力が入るのを感じる。八つ当たりだ、彼の才能に嫉妬している。
 カヲルは長椅子に座ってそんなシンジの表情を観察しているように探っていた。

「ねえ、シンジ君。君のチェロはどうしていつも悲しみを湛えているのか僕はずっと気になっていたんだ」

 通り過ぎる風の音にまぎれて聞こえるチェロの低い囁き。その音が聞こえるたび立ち止まって辺りを見回すカヲルを、周囲は不思議そうな顔で見ていた。
 誰にも気付かれない孤独のソナタ。弾いているのは誰だろうと、焦燥に駆られて走り出して見つけた一学年下の少年。

「君が何を言っているのかわからない」
「気付こうとしないのか? 自分の本心を。行き詰って余裕の無い音楽をしていて、君は楽しいのか」
「うるさいっ!」

 糾弾するようなカヲルの眼差しに怯む。最初のふざけたような雰囲気は無かった。

「僕がどう思って弾こうと君には関係ないっ! もうほっといてくれ!」
「ふざけるな」

 引き下がったシンジの後を追うようにカヲルは椅子から立ち上がる。ギリっと唇を噛み締めた姿はシンジよりよほど痛みを覚えた顔をしている。

「ふざけてなんかっ」
「いいや、ふざけてるよ。なんだよそれ。僕が君の歌を気にすることの何がおかしいのかな。耳にするたび聴こえたチェロの音色に心惹かれて」

 何を言っているんだ。目の前の男の言葉にシンジは信じられないと目を瞠る。カヲルを動かすような何かが自分の演奏にあるとは、思えない。
 時代の天才と呼ばれ、すでに名のあるオーケストラから誘われているこの男が。なぜ、とシンジは心で問う。

「ずっと探していたんだ。君を」
「そんなはず、ない」
「どうして?」

 首を振るシンジの手首を強引に掴むかたい手のひら。
 見つけられたくなくて隠れていたこどもが鬼に見つかったようなハッと不安になる気持ち。

「僕の演奏が、人に評価されることがあるはずない」
「だから、それはどうして? どうして君はそう決めつけようとするんだい?」

 カヲルは少し苛々としたように自分の髪をかき上げてシンジの目を覗き込む。
彼にはシンジの言いたいことがまったくわからなかった。

「……君にはわからない」

 シンジはカヲルの目から逃げるように顔を横に逸らし、俯いた。
 理解を求めようとも思わなかった。カヲルとシンジじゃ見ているものが違う。感性も生活環境も求められるものも応えるものも、何ひとつとして同じものなどない。

「そうやって誤魔化して逃げるのか、それが君の生き方なの? こんなものに頼らなきゃいけないほど」

 ポケットに潜ませていた煙草とライターを取られてシンジは激怒する。勝手なことばかり言うおしゃべりな口を塞いでやりたかった。

「誤魔化してなにが悪い! 嫌なものから目を逸らしてなにがいけないんだよ!!」

 力の緩んだカヲルの手から煙草を取り返し、距離を保つ。そうだ、逃げる事だって一つの手段だ。
 そうしてしか守ることの出来なかった自分を唯一救う手段を否定されたっていい。誰にも理解なんか求めない。シンジはカヲルの傷つけられたような表情をじっと睨む。

「君は……音楽が嫌いなのか?」

 傷つけられまいとする動物の鋭く尖った眼差しをするシンジにカヲルは問う。
 息を呑むシンジの手に収まった煙草を見て、夕暮れにすら染まらないシンジの黒い瞳を見つめる。質問にはっとして体を強張らせたシンジの表情が胸をつく。今まで知らなかった痛み。

「好きだよ、僕を慰めてくれるから。……でも、本当は大嫌いだ」

 そうだ、憎んですらいる。この腕が、感覚が、一番になることなどないと知ってから。それでもずっと傍にいたのは、チェロしか傍らにないと分かってるから。だから手放さない。

「この学校も、君も、音楽も……好きになることなんてない」

 認めれば、それまでの自分が崩れてしまう。シンジはポケットに煙草を納めた。強く握られた紙は大きく皺が寄っている。

「そんなのイヤだ!」
「うわあっ!?」
「ダメだダメだ! 僕を嫌いだなんて許せるはずがない!」

 踵を返して廊下に出ようとしたシンジの背に思い切り衝撃が走り、二人は音楽室の床に倒れた。

「っなにするんだ! はなせよっ」
 ギシギシと床の軋んだ音がして、シンジは打ち付けた体の痛みに呻きながら圧し掛かっている男から逃れようとする。細いながらも体躯のしっかりしたカヲルは、暴れるシンジの体を押さえつけて首を振る。
 思ったよりずっと細い体つきに驚きながら、逃げようとする相手を押さえる。カヲルの胸に湧いた衝動。焦りと危機感。

「……重い」
「ごめん」
「どいてよ」
「どかない」

 力で敵わないと悟るとシンジは力を抜いた。ぐったりと顔を伏せたシンジの体をひっくり返してカヲルと向き合わせる。
 見上げた先にあるカヲルの長い睫毛が夕焼けの明かりで煌いている。こんなにも綺麗な顔をして、素晴らしい音楽の才があって。なのにどうしてこんなにバカみたいな行動をするんだろう。
 カヲルは床に肘を着き、シンジの顔に近づける。お互いの吐息が感じられる距離。

「……暴かないでくれ、お願いだから」
「僕は君のことが知りたい」
「僕は知られたくない。誰にも、死ぬまでずっと」
「でも、僕は君を知りたいんだよシンジ君。君の奏でるチェロと一緒に演奏したい。演奏家としての君を知りたいとずっと思っていたんだ」

 シンジは目を伏せる。目尻からは涙が伝う。

「もういいだろ……僕の音楽は誰にも評価されない。今までだって、きっとこれからもきっとそう。自分でわかるんだ、もう限界だって」

 薄く開いた唇から嗚咽が零れる。情けない、人に泣き顔を見られているなんて憤死ものだ。両手を交差させて顔を覆う。

「そんなのわからないじゃないか。今まではどうだか知らないけど、僕は君が素晴らしい演奏家だと知っている。君が今まで師事していた人間には判らなかったのかもしれない。君の演奏は繊細すぎて、気付いてもらうには同じフィールドに立っている人間にしか気付いてもらえない」
「それって……遠まわしに君は繊細だって言いたいわけ?」
「それはそうだよ。じゃないと君に好きじゃないって言われてここまで傷つくものか」

なんだそれ。まるで告白されているみたいだとシンジがカヲルを見上げると。

「……顔、赤いよ」
「そこは黙って見過ごすべきところだよ……」

 夕焼けよりも赤い顔が、困ったように唇を結んでシンジを見下ろしていた。涙の跡をたどる指先のたどたどしさがなんだかおかしい。シンジは目を伏せる。

「ヘンな奴……」
「……失礼な奴」

 プッとどちらかともなく吹き出して笑いあう。埃臭い床に寝転がって、明日にはもう壊れる校舎の音楽室で学内一の奇才と笑いあっている。
 不思議な感じだ。想像もしたことが無かったから。シンジの伏せられた長い睫毛をカヲルは見下ろしている。

「な、なに?」

 ふわりと柔らかいものを目蓋に感じてシンジは目を開ける。開いた視界の近すぎるカヲルの顔に驚いて、彼の胸を押しのける。カヲルはきょとんとした顔をして自分の口を手のひらで覆っていた。
 それからシンジの視線が自分に向いているのに気付くと耳まで真っ赤に染まってしまった。
バッと後ずさる挙動不審な態度に呆気に取られつつ、シンジは体を起こした。
体に付いた埃を払って未だ座ったままのカヲルを所在なげに見下ろす。

「僕、もう帰るから。君も帰ったほうがいよ」
「……一緒に帰る」
「え? だって君は寮生なんじゃ」
「僕が君と帰りたいんだ。君のことをもっと知りたいし、僕のことも知ってほしい」

 軽やかに立ち上がって同じように埃を払いながらのカヲルの言葉にため息を吐く。噂で聞いていたのとは随分違うと思いながら、シンジはカヲルに背を向ける。

「ちょっと待って! まったく、人の話を聞かないのは悪い癖だな」
「人の意見無視してばっかりの人間に言われたくないよ」
「それって、もしかして僕のことかい?」
「他に誰がいるんだよ」

 隣に並んだ、自分より高いところにあるカヲルをため息を吐いて眺める。

「君は、聞いていたのよりずいぶん違ったな」
「しょせん人の言うことさ。で、実際に話してみてどうだった? 仲良くなれそうかな?」

 無邪気に笑うカヲルにムッとして「さあね」とだけ応えてシンジは階段を下りた。
 前を歩く華奢な肩に手を置いて引き寄せれば、と考えてカヲルは髪を掻き乱す。そうしたことで満たされる甘さを知ってしまった。

「困ったなぁ……」

 夕焼けが沈む。日が沈む空を二人は眺める。

「じゃあ帰ろうか、シンジ君」
「イヤって言ってもついて来る気なくせに」

 にこにこと微笑むカヲルに嫌そうにため息を吐いて、顔を染める夕日が今日はやけに熱いなぁと首をかしげながらシンジは校門に向かって歩き始めた。
 二人の出会いを確かなものにして、道行く彼らの影法師は校庭にしばらく残っていた。