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≪ゲーム感想文「逆転裁判1〜3」≫

注:逆転裁判1〜3(ゲームボーイアドバンス用ソフト/カプコン)
  現在はニンテンドーDS用ソフトとしても発売されています。

 裁判に興味はありますか?
 アドベンチャーゲームに興味はありますか?
 裁判を扱ったアドベンチャーゲームというだけで、ほとんどのゲームファンが敬遠してしまいそうな大損作品、それがこの逆転裁判です。ジャンルは法廷バトルとなっていますが、一般的な表現ではアドベンチャーゲームだと思います。
 あちこちのサイトで絶賛されていながら、その割には売れていないらしいこの作品、その原因はタイトルとジャンルにあると思われます。

 でも一度プレイすれば、良い意味で「だまされた!」と思うはずです。なにせ内容はギャグ漫画も真っ青の爆笑コメディなのですから。また普通に考えれば分かるはずのない推理も、小分けにして少しずつ解決していくという構成になっているため、アドベンチャーゲームとは思えないほどテンポ良く進みます。物語の面白さも抜群です。

 このゲームの特徴、それは推理を「矛盾探し」という手法の積み重ねで行うことにあります。小分けにされた短い証言をじっくり読みながら、手元にある証拠品との矛盾を探し出し、「これだ!」と思ったらそれを突き付ける。この作業が実に面白いのです。そしてそこから始まる登場人物のやりとりがまた面白いのです。

 このようなシンプルな構成であるうえ、適度にヒントも出ますので、推理は苦手という人でも大半の矛盾を自力で見つけ出せるのではないかと思います(2のみかなり難しいですが)。いざとなったらセーブしておいて証拠品の総当たりという手もありますし、攻略サイトに頼るという手もありますけれど。でもそんな遊び方でも十分に楽しめるくらい、このゲームは面白いです。
 魅力的な登場人物による笑いと感動の物語。そしてそれらを損ねることなくゲーム化することに成功している、シンプルかつ完成度の高いシステム。これほど楽しくプレイできたゲームは、過去にほとんど例がありません。

 ただしこれほど良くできたこのゲームにも、欠点はいくつか存在します。例えば実社会を舞台にした物語でありながら、霊媒という非現実的な要素が大きな意味を持っていることや、推理物として考えた場合、設定や仕掛けに無理のある部分が(一部とはいえ)あることです。
 でも「このゲームの本質は娯楽であり、推理物ではない」と割り切ってもいいのではないかと思います。強引な設定や仕掛けの目立つ作品は、大抵の場合その強引さが派手さを生み出しているだけであり、デメリットに見合うだけの面白さは生み出せていない場合が多いように思うのですが、このゲームは違います。霊媒という存在をうまく生かすことで、欠点を補って余りあるほどの面白さが生み出されているからです。フィクションなのですから、SFっぽい世界だと割り切って楽しむのが正解だと思います。

 推理物としてはケチのつくこのゲームですが、そんなことが些細な問題に思えるくらい魅力にあふれています。もしプレイすることに迷っていた人は、ぜひプレイしてみることをお勧めします。知らなかった人、聞いたことはあるけれど興味が持てなかった人は、ぜひ迷ってみることをお勧めします。
 見知らぬ人にも勧めたくなる、それほど素晴らしい作品です。


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