雪景色
snow scene
冷気と静寂が窓の隙間を通りぬけ
闇と夢の淵を満たしてく
ぬくぬくとした寝床のまどろみの中で
何故分かるのだろう
気配だけで雪の降っている事が
地上の音がかき消され
あらゆる匂いが濾過されて
選りすぐられた透明な空気だけが
辺りの気配を満たしてるから?
まるで劇の幕間、
鮮やかに舞台装置を入れ替える様に
世界が入れ替わり
浮世の汚れは奈落に雲隠れ
氷細工の中の花のみたいに
美しさと時を封じ込め
星型や六花の結晶舞う
スノーボールのような幻想小宇宙
あーなんてきれいと
白い吐息凍りつくこんな日には
子供の心が宿ります
覚えのある昂揚感に背を押され
現世の境目を超えるように
扉の向こうに足を踏み出す
さくさくさく
雪を踏みしめ
しんしんしん
雪の音なき音に
耳をすます
ひらひらひらと舞う雪追いかけ
ふわふわと雲を渡り歩くように浮遊する
やがて跡形もなく消えてゆく
束の間の淡い夢をむさぼるように・・
無心を楽しみながら・・
しんしんしん
きょうは雪が降っています