Silent Night


樅の木


Season's  Greeting








あれはいつだったか
森にある大きなクリスマスツリーの事を
知ったのは・・


もう随分昔のことの様な気がする。

奥深い森の漆黒の闇夜に佇む一本の樅の木
満天の星降るひっそりとしたクリスマスは
どんなに素晴らしかっただろう

あれから幾年月・・
静まりかえっていた冬の森は、
今は都会のざわめきにも似た喧騒を宿し
眠れない森の溜息が聞こえるという

幽玄で、まるでお伽の世界のような
その聖夜に恋焦がれながら
そこへ至る道の賑わいに臆して
私はいまだにその樅の木見ていない

時を早送りしたように過ぎていく12月・・
忙しいのはサンタクロースばかりではない

けれども、あの森のクリスマスの情景は
心の中の深い階層に住みついて
遥か彼方の遠花火のように、空想の中で
やさしく淡い光を灯してくれる

凛とたたずむ樅の木に今年は何を託そうか・・

あなたはどんなクリスマスを過ごすのでしょう
どうか心に灯りがともるイブでありますように


2003.12.24