乙女達の密かな楽しみ2




やっと眠れた‥‥と思ったら、もう起床時間だった。

キサカからの通信で起こされたカガリは朝食の後 クサナギと戦闘について寝不足の頭に叩き込まれ、
少々ふらつきながらクサナギの食堂にやって来た。

その前にクサナギ内のMSドッグに顔を出した際、 丁度あのかしまし3人娘は休憩に入ったところだと聞いていた。
ならば今しかない、とカガリは必死で3人の姿を捜した。
そうしてやはりここにいた── 3人は大して疲れていない様子で楽しそうに談笑しながら食事を摂っていた。
カガリは胸の振動を徐々に大きくしながら出入り口に立ってその様子を窺っていた。
自分がこんなにドキドキしているのとは対称的に
目指す3人はというとリラックスした空気に包まれているのを見て カガリは少々恨めしい気分になった。
しかし──いつまでもここに突っ立っているわけにはいかない。
カガリは決心して目的地へと進んでいった。

「よう」
なるべくさりげなさを装って挨拶すると、3人は会話を止めカガリを仰ぎ見た。
「あら、カガリ様」
「カガリ様もこれから昼食ですか?」
「今日はお1人なんですか〜?」
最後に耳に届いた台詞に思わず言い返しそうになったカガリだが、
ここで喚いてしまっては進む話も進まない‥‥とグッと堪えた。
「お前達、昼食済ませたら時間、あるのか?」
3人はいつもと少しだけ様子の違うカガリに目を丸くして顔を見合わせた。
「何か私達に御用ですか?」
「時間ならあと1時間位なら‥‥」
「じゃあ、とっととそれ食って──わ、私の部屋に来てくれ。じゃ」
カガリは伝えるべき事だけ伝えると、くるりと体を反転させてこの場を離れようとした。
「ち、ちょっと待って下さいよ!」
「何で私達がカガリ様のお部屋に行かなくちゃならないんです?」
カガリは首だけ動かしてちらりと3人を見た。
「何でもいいから!じゃ、待ってるからな──」
「だからちょっと待って下さいってば!」
とっととこの居心地の悪い場所から立ち去ろうとしていたカガリだったが、
そう大声で叫ばれ、思わず足を止め体ごと振り返ってしまった。
「すぐ!すぐ食べ終わりますから、ここで待ってて下さい!ねっ?」
マユラは他の2人を見て同意を求めた。瞬時に他の2人もうんうん頷く。

カガリが返事を返す間もなく、 3人はまるで早食い競争でもしているかのように食事のスピードを上げた。
喉に詰まらせそうな勢いの3人を呆然と見やって、カガリは思わず声をかけた。
「あ、あの‥‥そんな急がなくてもいいぞ‥‥?時間はまだあるんだし‥‥」
「いいえ!!」
食べかけのおかずを飛ばしかねない勢いで、ジュリが顔をあげた。
「5分で食べてしまえば1時間から1時間15分にお話の時間が増やせますから!」
この台詞を早口で、しかも口の中に食べ物を含んだまま言い放つとジュリは再び食事に没頭した。
カガリは何故この3人がこうまでして急いで食事を摂るのかさっぱりわからず、 思いっきり首を傾げた。

そうしてきっかり5分後には3人とも食事を済ませ、 そのまた5分後、今はカガリの部屋で女4人──

呼ばれた3人はこの部屋の主のベッドに並んで座らされ、 当のカガリは部屋の中をうろうろうろうろ彷徨っていた。

それに痺れを切らしたアサギが口火を切った。
「で、カガリ様、何かお話があるんでしょ?せっかく急いで食事したのに、 これじゃ意味がないじゃないですか」
アサギの言葉に他の2人も同意し頷く。

──確かにこんなの、私らしくない。とっとと聞いてもらわなければ‥‥
そう思って口を開くのだが、声が出ない。
そんなカガリの様子に3人は一斉に大きなため息をついた。
そんな中マユラが足をぶらぶらさせながら、体を後ろに反らして呟く。
「どうせあの彼の事なんでしょう?早く白状しちゃって下さいよ〜!」
「いや違う!そうじゃなくて──」
カガリは慌てて反論し、そして予め考えていた台詞を口に出した。
「ちょっと相談にのってほしい事が‥‥」

3人は顔を見合わせて、露骨にがっかりした表情を見せた。
しかしカガリはそれに気付かなかった。それどころではなかったのだ。

今からアスランの名を伏せて話そうとしているのに、ここでアスランの事だと思われちゃ、まずい。
とにかく匿名だ!匿名で‥‥

カガリはコホンと白々しく咳払いをした。
とりあえず3人の視線がカガリに集中するが‥‥それは先程までの期待に満ちた瞳とは違った。
それで漸くカガリは話を切り出しやすくなった。

「私の──友人の話なんだけどな」
そこでカガリは一旦言葉を切って、ちらりと3人の様子を伺った。
ばれてない、よな?大丈夫だよな──?

「えっと、だな‥‥ずっと婚約してた2人がいて──」
各々やる気をなくして部屋の方々に視線を彷徨わせていた3人の瞳が見開かれ、 再びカガリに集中する。
「えっ!!」
3人が揃えた大声にカガリはビクンと体を震わせた。
「な、何だよ急に。びっくりするじゃないか!」
「か、カガリ様‥‥」
「今からする話って‥‥」
「恋愛がらみの話!?」
「‥‥まあ‥‥そうだけど」

3人はまたまた顔を見合わせた後、こちらを見つめてきたその6つの瞳は喜びに輝いていた。
カガリは思わず1歩、後ずさった。
「ささ、続きをどうぞ!婚約中の2人が何です?」

カガリはまたしても話し辛くなって口篭った。こう注目されてると何だか見透かされそうだ。
「えっと、だな。婚約、してたんだが‥‥2人の親が喧嘩しちゃって、だな‥‥多分。 それが原因で、婚約解消になっちゃったんだ‥‥」
「あちゃ〜」
「で、その“多分”って何ですか?カガリ様、詳しく知らないの?」
よし、どうやら気付かれてない。
少し安心してカガリは続きを話し始めた。
「あ、ああ‥‥どうやら婚約解消は事実のようなんだが‥‥理由までは聞いてなくてだな‥‥ 私が推測した」
それを聞いてアサギが体を後ろに反らして大きく息を吐いた。
「なーんだ、カガリ様の推測かぁ‥‥あてにならないなぁ‥‥」
その言葉にカガリはムッとしてアサギを睨みつけた。
「どういう意味だよ!」
「まあまあ、それで続きは?」
突っかかるカガリにジュリは宥めながら先を促した。
「で、男の方は間違いなく未練があると思うんだ‥‥女の方はよくわからない‥‥ 嫌ってはない、と思うんだけど‥‥」
でも──自分の父親を間接的にでも殺した人の息子、だしなぁ‥‥

今の今まで失念していた事を思い出し、カガリは黙り込んでしまった。
でも彼女はその事に拘るような人じゃない、と私は思うんだけど‥‥
「──リ様、カガリ様!」

急に自分の名を呼ばれハッと顔をあげると、三者三様の顔がカガリをじっと見ていた。
「あ、何か言ったか?」
慌ててカガリが問うと、マユラはニヤリと唇を歪めた。
「それって男はアスランさんの事でしょ?」
「ち、ち、違うよっ!」
思い切り図星をつかれ、カガリは見た目に分かるほど動揺し、しかも声まで上擦った。
「もーう、私達に隠さなくていいじゃなーい」
「そうよそうよ〜」
「大体カガリ様の『友人』で婚約者のいそうな人なんて限られてくるじゃない」
「ねー?」
3人は顔を見合わせて声を揃える。
「オーブでそういう人がいたら私達が知らないワケないしィ」
「アークエンジェルのクルーだって、婚約者とかいそうな人いないしィ」
「となると残るはエターナル、っていうか、プラントの人間、しかも育ちのよさそーな人でしょ?」
3人は顔を寄せ合ってふふふふふ‥‥と不気味な笑みを浮かべてこっちを見ている。

やばい。あいつらの妄想力を甘く見いてた‥‥
カガリはぐるぐるした頭で考えた。他に誰か婚約者がいそうな奴は‥‥あ!

「あ、アークエンジェルのクルーだよ!だ、誰かは言えないけどっ‥‥!」
確かサイって奴に婚約者がいたって聞いたぞ!まぁ相手が相手なんだが‥‥
それを思い出して3人の顔を見たカガリだったが‥‥どうやら信じてはもらえてない感じが ヒシヒシと伝わってきた。
でもここで引くわけにはいかない。
「本当だぞ!えっと、確か相手は事務次官の娘で‥‥」
「はいはい。もうそれでいいから。続き聞かせて下さいよ〜」

明らかにカガリの言葉を信じてなさそうだが、ここでムキになっていても仕方がない。
とにかく話を進めなければ‥‥とカガリは口を開いた。
「それで‥‥っと、どこまで話したっけ?」
「婚約解消の原因が親だって所まで。で、カガリ様はどうしたいの?」
「ん‥‥よりを戻してやれないかと思って」
「ええっ!?」
この部屋に入ってから3人の一番の大声にカガリは本気で腰を抜かしそうになった。
「お前ら!ビックリするじゃないか!」
「びっくりしたのはこっちの方よ!」
「そうよそうよ!」
カガリの非難の声に3人はもろともせず、逆にぷりぷりしながら言い返してきた。
「何でカガリ様がそんな恋のキューピッドみたいな事、しなくちゃならないんですか!?」
3人の視線の強さににカガリは少々たじろぎながらも返事を返した。
「どうして、って‥‥その、男の方、寂しそうだし‥‥」
「そんなの、カガリ様が慰めてあげればいいじゃないですか!」
その勢いに気圧されながらカガリは言わなくて良かった一言を漏らしてしまった。
「あ、うん‥‥それはもうやってる、っていうか‥‥」
「ええっ!!」
再び3人の大声に、カガリは思わず指で耳栓をして顔を顰めた。
ったく‥‥こいつら、3つ子かよ!
「どどどどど、どーやって、慰めたんですか!?」
「ももももも、もしかして、『よしよし』‥‥!」
またしても図星をさされ、カガリは思わず頬を染めた。
その様子を見た3人はにわかに色めきたった。
「ちょっ!誤解するなよ!それは“してほしい”っていうから仕方なく‥‥」
「キャ─────ッ!」
カガリは真っ赤になったまま大きく開いていた口を押さえた。
──これって、言わない方がよかったのか──? だって、私の『よしよし』なんていつもの事じゃないか──
カガリはもう何を話していいのか、何を話してはいけないのかよくわからなくなり、 脱力した後ため息をついた。

そんなカガリをよそに、3人は顔を寄せ合ってボソボソ話し始めた。
「ここ、これってどういう事だと思う!?」
「これは‥‥カガリ様は少なくとも嫌われてない、って事よね?」
「そんなの昨日からわかってる事じゃない!嫌いな人と昼食摂ったりしないでしょ?」
「そ、そうよね!つまり‥‥コホン。こんな感じかしら?『‥‥なぐさめてくれ』」
「キャ───!もーどーしよー!!」

‥‥どうかしたいのは、こっちの方だ。低い声で男の声真似までしやがって‥‥!
カガリは漸くガッと立ち上がって腰に手をあてた。
「あーのーなー!そんな事、言われてない!」
──いや、言われた内容は同じだとは思うが、微妙に台詞が違う。
賢明にもカガリはここで昨日の台詞を反芻したりはしなかった。
「え〜じゃあどうやって慰めてあげたっていうの?」
「そーよ!『よしよし』したんでしょ?」
再びカガリはたじろぎながら腰に当てた手をだらんと下ろした。
「いや、したというか‥‥まあ、したんだが‥‥いろいろあったんだよ!だから!」
「ふ〜〜〜ん‥‥」
今度は3人、子供のように興味津々な瞳でカガリを見上げてきた。
「大体カガリ様ってさ、今まで『よしよし』してもこんな風に頬染める事はなかったのよね‥‥」
「それが今回、ミョーにムキなってるしさぁ‥‥」
「もうより戻させるのヤメにしてカガリ様が面倒みちゃえば?」
「そーよ!それがいいわ!」
「カガリ様が養っちゃえばいいのよー!」

──結局こいつらは話をそっちに持って行くんだな‥‥と、カガリはがっくり肩を落とした。
「何でそうなるんだよ。その男はきっとそんな事求めてないよ」
「どうしてそう言いきれるんです?」
一拍おいて、ジュリがため息混じりに尋ねてきた。
カガリはラクスの顔を思い描きながらぽつりと話し始めた。
「だって‥‥女の子の方、めちゃくちゃ綺麗で可愛くて賢そうなんだぞ? 私に代わりが務まるとは到底思えんしな‥‥」
その言葉に3人はまた顔を見合わせた。
「めちゃくちゃきれいでかわいくてかしこい‥‥これって‥‥」
「もろ、コーディネイター、ですね」
「やっぱりアスランさんの事じゃーん!」
その結論に辿り着いた3人は可笑しそうにクスクス笑い、やがてその声は爆笑へと変わっていった。
アサギなど、瞳に涙を浮かべて爆笑している。
しかしここでアスランだと思われては困るカガリは慌てて反論した。
「ちょっ!待てって!そんなのナチュラルにだって綺麗で可愛くて賢いやつ位いるよ! おい!聞いているのか!?」
「で、でもね、カガリ様」
アサギが目尻の涙を拭きながらこちらを見た。
「もし自分で代わりが務まるんなら──くっちいちゃってもいいと思ってないですか?」
「うんうん、そういう言い方だった!」
アサギの言葉に残りの2人も白々しく頷き、同意する。
「い、いや、そんなつもりで言ったんじゃない!ただ、私は‥‥」
動揺するカガリにマユラがさらに追い討ちをかけてくる。
「そういうカガリ様の気持ちはどうなんです?──ただの同情ですか?」
その言葉にカガリは目を見開いたまま、黙り込む。

昨日から考えないようにしてきた事。考えてもちっとも答えが出ないから──
カガリは小さくため息をついて、ポツリと呟いた。
「同情じゃ、ない、けど‥‥よくわからない。いい奴だとは思うけど‥‥」
3人はまた顔を見合わせて微笑んだ。しかしその笑みは今までの含みのある笑みではなく──

「まずはアスランさんの気持ち、その元婚約者さんの気持ち、 そしてカガリ様の気持ちが大事なんじゃないですか?」
カガリはハッとして3人を見、そして頷きかけて‥‥
「だ、だから!アスランじゃないってば!」
カガリの百面相に3人はケタケタと笑った。
「もう〜強情なんだから〜」
「まあとにかく」
アサギが他の2人の笑いを止め、一旦言葉を切った。
「その元婚約者さんにそういう気持ちがなければくっつけても意味がないと思いますよ。 まずそこから確認されては?」
「う、うん‥‥そうだな‥‥」
急に真面目な声でのアドバイスにカガリも素直に頷いた。
しかし──実はラクスの気持ちについては、これっぽっちも考えていなかったカガリだった。
アスランの事が好きで当然だと思っていた。だって──

!?
今自分の頭を掠めた思考にカガリは愕然となった。
え‥‥私、今、何て思った‥‥?

「それとカガリ様の気持ち」
「えっ!?」
自分の思考を読まれたのかと思い、カガリはビクッとぎこちなくアサギの方を見た。
「私が見たところ“気に入ってはいるけど、まだそれだけ”そのように思いました」
「あ、ああ‥‥」
カガリは背中にツーッと汗が流れるのを感じた。何だか暑いな‥‥いや、寒い?かな‥‥
「だからとりあえずお互いのプライベートな時間はずっと側にいて 自分の気持ちを確認してみてはいかがですか?カガリ様がいやじゃなければ、ですけど‥‥」
「あ、ああ。そうだな‥‥」

確かに、とカガリは納得した。
今までアスランと共に過ごした時間は思ったよりも少ない。
自分ではかなり長い間、それこそキラと同じ位の時間一緒にいたような気がしているが、
実際はトータル3日もあるかどうか、微妙な程短い。
「アサギの言う事も一理ある。そうしてみるよ」
カガリはほんの少しだけすっきりした気分でアサギに微笑んだ。
アサギもにっこりカガリに微笑を返す──
その影で残りの2人が含みのある笑みを向け合っていた事に、カガリは気付かなかった──

ピピピッ、ピピピッ。

突然カガリの部屋に電子音が響き渡った。
3人は通信かと思ってカガリを見たが、そうではなかった。

「お前ら、もう行った方が良くないか?」
カガリはそう言いながらアラーム時計に手をやり、電子音を止めた。

「カガリ様、何ですか?それ‥‥」
「ん、これか?」
カガリは首だけ3人の方に向けた。
「お前達に休憩時間が終わってもここに居座られちゃ困ると思ってアラームかけておいた。 というわけでそろそろ時間だぞ?」
「え────!」
途端に不満の雄叫びをあげる3人にカガリはため息と共に言い放った。
「そう言うと思ってな。この部屋に隠れていられても困るし。わかったらさっさと仕事行けよ」
それでもブーブー不満を漏らされ、カガリは大きく息を吐いた。
「さあ!早く行けってば!」
そう言ってベッドの上から追いたててやると、渋々ながらも3人は移動を始めた。
「じゃあカガリ様はこれから何を?」
ふいに振り向いたマユラにそう問われ、カガリはうーん、と考えた。
「ん‥‥お腹すいてるしな‥‥食堂にでも‥‥」
「あ、わかった!エターナルに行くんでしょ〜?」
マユラのこの台詞に他の2人も反応を示し、途端にキャッキャッと囃し立てた。
「〜〜〜〜アークエンジェルだ!アークエンジェルの食堂に行くんだからなっ!」
怒りと羞恥で顔を赤くし、そう怒鳴るが黙らせる程の効果はなかった。
「え〜〜無理せずエターナルに行けばいいのに〜」
「あ、でもでも!まだ彼のモビルスーツはアークエンジェルにあるから‥‥」
「なるほど!それで!」
3人はカガリから見て不快になるような視線を向けてきて、にやにやしている。
カガリは拳に力を入れて、一旦目をギュッと閉じた後、カッと開いた。
「──とっとと、出て行けッ!」

こういう時の逃げ足は速い。
アサギ、マユラ、ジュリの3人はキャラキャラと笑いながら ふわりふわりとドアに向かっていく。
「じゃカガリ様、後で成果を報告して下さいね〜」
「大丈夫!カガリ様もそれなりに可愛いから〜」
「コーディネイターの彼女に負けないでね!」
カガリは3人の後ろを拳を振り上げながら追いかけて、やっとの事で室外へと追いやった。



「アサギのあの一言、なかなか良かったわよ〜?」
3人は移動ベルトを使わず、ふわふわ漂いながらM1の所へ向かっていた。
「そうね。あれでカガリ様はヒマさえあればずっと彼の所へ──!」
「でもさ、どうしてカガリ様に思い込ませなかったの? “カガリ様はアスランさんに恋してると思います”って言っちゃった方が良くなかった?」
アサギはチチチチ、と人差し指を立て左右に振った。
「今カガリ様に意識させちゃったら‥‥どうなると思う?」
残りの2人が腕組みしてうーんと唸りながら考える様子をアサギは楽しげに見つめている。
やがてマユラがふと顔をあげた。
「はい!」
「はい、マユラさん」
まるで先生と生徒のようにおどけたやりとりでマユラはピッと手を挙げ、 それをピシッと指差すアサギ。
その様子をジュリが可笑しそうに眺めていた。
「きっとそうなったらカガリ様は‥‥顔を真っ赤にして‥‥さけだしちゃう?彼のこと」
ははーんとジュリが頷く。アサギも腕組みしてにやにや笑っている。
「それはそれで楽しそうだけど‥‥まぁカガリ様には笑っていてほしいからね」
3人はその言葉に思い切り頷くと、また幸せそうに笑いあった。









あとがき
タイトル考えるが面倒で「2」にしてしまいました…
このお話に「3」があるかどうかは…今のところ未定。現在のストックには3人娘の出てくるお話は ないので…










04.05.07up