タイムリミット・おまけ






ウズミの言葉の1つ1つが、アスランの心のあちらこちらに影となり、 時には光となって入り込んできた。

この連合軍との戦闘にかかわる主だった者が一堂に集まった中、 ウズミは静かに、そして烈しく語っていた。

その言葉に耳を傾ける人達の姿を眺めやりながら、アスランは思う。

この人達が、これからの俺の仲間──



結局俺は父の考えの下突き進むプラントを離れ、ここにいる人達と共に行く──

大切に思っているプラントを心ならずも裏切る事になってしまったアスランだが、

この人達を裏切ったり、別の道を行こうとしたりする事は、多分もうない。

今ここにいる事は、アスランが選び取ったたった1つの道だから──



ウズミの話も佳境に入ってきた。

その姿を見つめ、話を聞きながら、自分の思考に耽る。



“オーブの獅子”と評される人物が、自分の娘に懇願されたからと言って

あっさりザフトの機体とザフト兵を格納庫にまで入れたのが謎ではあった。

以前潜入した時に感じた、あの厳重な管理システムの国、オーブに‥‥

しかも機体の方はNジャマーキャンセラー搭載、である。

今にして思えば、このオノゴロ島を放棄する事を覚悟していたのだろうか。

もうすぐなくなる施設をザフト兵に見せたところで、痛くも痒くもないだろう‥‥



ウズミは最後にカガリの頭の上に優しく手をのせ、そして厳しくも慈しむ様な目で見つめる。

そして、その視線をキラに移し、話は終わった。



次の攻撃まであとどの位かはわからないが、早めに準備しておいた方がいいだろう。

周りの人間も各々の持ち場に散って行く。



アスランもジャスティスの許に向かおうとしたその時、視線を感じて辺りを見回すと、 こちらを見ているアスハ親子と目が合った。

するとカガリの方は口をパクパクさせている。その口の動きは『ありがとう』と読み取れた。

その仕草に思わず笑みが零れそうになったが、さすがにこらえた。

そしてカガリは表情を幾分硬くして父親を見上げた。

その父の方を見ると、やはり意思の強そうな瞳に真剣な光を湛えてこちらを見つめていた。

その瞳に様々なものを感じ取って、アスランは自然と身が引き締まった。

目を伏せて軽く礼をすると、それを受けてウズミも瞳を閉じ、小さく頷いた。

そして何事もなかったかの様にその場を後にする。

カガリもその後を追う。

まるで、迷子になりそうになって慌てて追いかけるかの様に‥‥



それはアスランが最後に見たウズミ・ナラ・アスハの姿だった。










あとがき
おまけ…読まない方がよかったですか…?
この話をまとめようと、40話観返しました…
また大泣きしちゃったよ…
いつも話を書くときはその元になる話をエンドレスで流しながら書いてるんですが
今回は最初に一回だけしか観れなかった…
観続けてたら絶対泣きながら書くハメになるのは目に見えてたんで…
03.11.09up