朝
息苦しい。
何だろう、首に圧迫感を感じる。
それに手をやるが、引っ張っても取れない。
少しイライラして、カガリは仕方なく目を開けた。
目覚めれば、いつものベッドの中。
カガリは上半身を起こして再び自分の首に手を当てた。
これは、確か──
昨夜の出来事を少しずつ思い出す。
昨日は私の誕生日で。
日が暮れてから、あの戦争で共に戦っていた仲間を集めてパーティを開いて──
そこで確か──アスランから、これを貰った。
しかし。その後の記憶が曖昧なのだ。
その後はアスランとずっと一緒にいた。食事もした。
2人きりの時間を過ごしていたその時、キラが加わって──
アスランが私をほったらかしてキラと楽しそうにしてるから、何だかムカついて…
そこからの記憶がない。
カガリは自分の頭に手を置いて、さらに考えた。
アスランが私に背を向けてしまった事が、何だか悲しくて──
テーブルの上を見たら美味しそうな色のジュースが置いてあったから…
喉も渇いてたし…それを、飲んだ、よな。
そしたら急に何だかカァッと熱くなって…後ろからアスランの首を引っ掴んだ、ような気が──
だめだ、ここからは全然覚えてない。
まあそれは朝食の時アスランに訊けばいい。
昨日のパーティ出席者は、オーブ在住の者以外ここアスハ邸に宿泊している。
まずは起きるとするか、とシーツから出ようとして──カガリは再び潜り込んだ。
わ、わ、わわわわ私…
裸だ──!
何故?なんで裸なんだ!?
カガリはぐるぐるした頭で考えるが、全く、さっぱりわからない。
えっと…私の記憶の中で最後に接触したのはアスラン、だから…
アスランに訊けばわかるんだろうけど…裸、だぞ?
これは一体どういう事なんだろ…って、そういう事なのか!?
いやいや、でもでも。
ここはアスハ邸内。
マーナだけはこの部屋に出入り自由なだけに、そういう危険な事は避ける、だろう。
いやいや、でもでも。
アスラン、だしなぁ…
とりあえずカガリはシーツをもう少し捲って自分の下半身の状態を確かめる。
ぱんつは──穿いてなかった。
カガリはどきんどきんしながらシーツの上に突っ伏して、再び考え込んだ。
ちょっと待て。じゃあ私の下着は何処にある──?
シーツからそろりと顔を出して、カガリは部屋の中を見回した。
──ない、ない、ない…
────あ。
それは自分の予想していた場所ではなく、ベッドの脇にあった。
しかもそれはきちんとたたんで置いてあるではないか。
──私、脱いだ下着をいちいちたたんだりしないんだが…
目覚めてから謎は増えていくばかりでどうにも気持ち悪い。
これはもうとっととアスランに訊くべきだ、とカガリは漸く決心するとそこからの行動は早かった。
勢いよくシーツを捲り上げ、素っ裸のまま自室の洗面所に向かった。
そのまま鏡の前に立ち、首につけたままだったアスランからのプレゼントを外し──
「な、こ、これは──!」
首筋にある痣。
これは、もしかして。もしかしなくても──
そ、そうか──まあ…誕生日だったしな。そうだよな。それもアリだな。
でも──全く覚えてない、って言ったらアスランは怒るだろうか──?
昨夜の事、尋ねられたらどうしよう──
アスランに話を合わせようか、それとも正直に言うべきか。
カガリは鏡にうつる痣をいつまでも見つめながら考えた。
──素っ裸のままで。
あとがき
これ、見て下さった方、どれくらいいるのでしょう?
これは昨年の姫誕の小説投稿板で5月末数日だけお披露目してたのですが…ちょっとしたお遊びでした。
「とらわれの姫君・その後」の続編にもとれるし、それを読んでない方も楽しんでもらえるかな?
と思いまして。
どうなんでしょ?