2ページ目/全2ページ サンジは、そんな従者の態度に腹を立てた様子で、ベッドから降りると、ソファーで寝ているゾロに 足蹴りを入れてきた。 「お前、ちゃんと説明しろ! 俺にわかるようにしろ! これは命令だからな。 俺を誰だと思っているんだ。王子様だぞ! 」 ブッチリ。 その時、ゾロの頭の神経が大量に切れてしまった。 体力馬鹿のゾロだったので、神経組織の数はもともと数があまり多く無い。 さらに、夕刻に大量の酒を飲んでいた。自分でも飲みすぎたと思うくらいの酒量だった。 そのために、ゾロの冷静な判断力は完全に失われてしまったのだ。 ゾロは突然、ソファーから立ち上がると、サンジをベッドへ突き飛ばした。 驚いているサンジの上に馬乗りになって、動きを封じると、低い声でこんな恐ろしい言葉を吐いた。 「わかった。俺がきちんと全部、教えてやる。その変わり、泣いても許してやらねぇからな。」 ゾロの表情はまさに、魔獣そのままだった。 かつて賞金稼ぎをしながら、剣の腕を鍛えるために、ゾロは世界中を回っていた、 サンジ王子の従者に選ばれた理由は、武道大会で優勝した腕の良さが買われたのも理由の 一つだが、その時の旅の経験により選ばれたのだった。 ゾロはそんな仕事をやりたかったわけではない。 しかし、断って剣道場の師範に迷惑がかかるのを考えて、今まで我慢してやってきたのだ。 ゾロは、長い従者としての鬱積が、ここに来て爆発してしまった。 ![]() サンジはベッドの上で、驚きのあまり硬直していた。 ゾロは、その昔、世界中を旅していたらしい。 その時に、賞金稼ぎとして有名だったので、サンジも昔から名前だけは知っていた。 しかし、その 《 魔獣 》 と言うあだ名と、その当人がどうも結びつかないでいた。 緑の髪に、趣味の悪いジジシャツと腹巻。その風貌は宮殿でも異質な存在だった。 城の者が何度頼んでも、他の衣服を着てくれなかった変わり者である。 さらにサンジの知っている従者のゾロは、毎日、暇があれば城の庭で昼寝をしている。 旅に出て、道をあるけば迷子になっている。そんなゾロしかサンジは見た事が無かった。 そのため、サンジは、今のこの状況をどう対処して良いのかわからなかった。 ゾロとサンジの身長は、ほぼ同じだった。 しかし、ウェイトはかなりの差がある。 身体の上に乗られてしまうと、全くサンジは身動きができない。サンジは悔しくて歯軋りをしていた。 この差が、サンジの最も腹の立つ事なのだ。 同じ年に生まれたはずなのに、ゾロは体力も、力も、経験も持っていた。 全て、サンジには無いものだった。 おまけに、ゾロはかなりの男前だった。 女性に絶大な人気があった。 サンジは意地でも、その事を認める気はなかったが、格闘大会の会場はゾロ目当ての 女性客でうまっていた。 さらに、ゾロが従者となり、宮殿に出入りするようになってから、貴婦人たちはゾロの噂話ばかり するようになっていた。 それまでは、サンジが一番、みんなからチヤホヤされていたと言うのに。 そんな事もあり、サンジは、とにかくゾロに負けるのだけは嫌だった。 内心、冷汗が全身からあふれているサンジだったが、この状況で逃げるなんて死んでも嫌だった。 だから、大きな声ではっきりと答えたのだった。 「誰が泣くか! クソ従者! 最後まできっちりと俺に教えろよ! 」 ゾロとサンジは、レースがひらひらと揺れる丸いベッドの上で、力強く組み合い、 動いたら殺す! くらいな勢いの、真剣な顔をして睨みあっていた。 ![]() ゾロはなぜ、こんな不思議な状況になったのか、自分でも理解できないでいた。 今、ゾロは裸になり、同じく裸の王子様に馬乗りになるような格好で、ヤツの砲身を右手で摩っていた。 自分を雇ったバラテェエ王家に知られたら極刑だと思われる。 しかし、大きな啖呵を切った手前、ゾロも今さら止める事はできなかった。 ベッドに寝かせたサンジに足を大きく開かせる。 サンジの身体は子供のように細く、とにかく眩しいほど白かった。 温室育ちと言うものは、こうなるのだろうか? 弄っているペニスも小ぶりで薄い桃色をしていた。 おまけに、ほんのちょっぴり皮を被っている。 こりゃ〜剥いた方が良いんじゃね〜かと、ゾロは思い、唾液を指先にからめると、その部分を 念入りに弄ってやった。 サンジは少し痛みがあるらしく、目を閉じたまま眉間に皺を寄せていた。 しかし、歯を食いしばり、何も文句は言わない。 かなり恥ずかしい状態だと思うのだが、サンジは止めてくれ、とは言わないのだ。 ゾロは仕方なく、皮が剥けて先が露出した、王子様のペニスをまた弄るしかなかった。 男のモノなど、当然、触った事も無いが、自分が自慰を行う方法と同じようにしてみた。 左手で砲身を上下に掻きながら、右手でカリ首の溝を刺激してみる。すると、サンジの尿道からは 透明な雫が垂れ始め、ゾロの腕を濡らすようになった。 そうすると、サンジは艶のあるうめき声を上げ、身体を跳ね上げるような動きをしている。 ギシギシとベッドは揺れ、サンジの声は両隣の部屋から聞こえる物と良く似ていた。 「そ、そんな奇妙な事をするのか? その売春婦と言う職業の人は? 」 「奇妙……って、お前、した事が無いのか? 自分でしているだろ? 」 「あ〜? 何で、尿も出ない時に、そんな場所を触る必要があるんだ? 」 本気かよ、と思い、今度はゾロがうろたえてしまった。 あやうく、「尿じゃ無いモンも出るだろうが! 」と叫びたくなったが、その説明もしろ、と 言われるのが恐ろしいので、何とか思い留まった。 どうやら、この王子様は自慰も経験した事が無いらしい。 王宮の性教育は、一体、どうなっているのだろうか? 前に、宮殿の庭で昼寝をしていたら、サンジに捕まり、《 付き合っている女性はいるのか 》と 訊ねられた事があった。 ゾロは「いない」と答えた。 すると、サンジは大笑いして「自分には50人もいるぞ」と、自慢げに答えたのだ。 驚いて、良く聞いてみると、「舞踊会で一緒に踊る女性」の事を言っているらしい。 ダンスをしたり、一緒に庭を散歩したり、話をする事を「付き合う」と言っている様子なのだ。 その時も、いつものように面倒臭かったゾロは、特に反論もしなかった。 こんな事なら、一つ一つ、きちんと教えるべきだったと、ゾロは今になって後悔していた。 とにかく成り行きだったが、サンジの硬くなった男根を必死でしごくゾロだった。 その姿は間抜けたが、それ以上に間抜けなのは、サンジ王子である。 ゾロに、ほんの数分間、弄られただけでイってしまったのだ。 「あ、あ、あ〜! 」 なんて、盛大な叫び声をあげて背筋をのけぞらせると、砲身から白い汁を噴出させた。 とんでもなく早漏だったが、ここで何か言うと、またやっかいな事になりそうだったので、 ゾロはひたすら無言に徹した。 尿道口から飛んだものは、サンジの腹の上に流れて散った。 それを自分の指ですくうと、サンジは眺めたり、匂いをかいだり、尿との違いを確かめている 様子だった。 そして、実に不可解だ、と言う顔をして、ゾロを振り返った。 「なあ、こういう事でお金が貰えるものなのか? 確かに、俺は気持ちが良かったけれど。 やっているお前はどうなんだ? 」 ゾロは返答に困ってしまった。 確かに、ゾロは気分が良かったかと言うと、難しいものがある。 「あの綺麗なお姉さん達は、ちゃんと仕事として成り立ってんのか? この商売はどれくらい儲かるものなんだ。これで生活ができるのか? 」 急に真剣な表情で聞いてきたサンジに、ゾロは驚いた。 売春婦と言うと、裏街道の仕事だ。 蔑まれる事が多いが、サンジの場合、きちんと仕事だと理解した上で、その生活の心配を しているらしい。 ゾロは 「王子はアホだ」 と常日頃思っているが、人間としては間違った事をする男ではない とも知っていた。 将来、バラティエ王家を背負うワケだが、素質としては、問題は無いような気もする。 ![]() 実際の話、ゾロはサンジに内緒にしている事がある。 王位継承の条件になっている 「オールブルー」 は伝説にすぎないのだ。 王家の代々の王は、それを見つけた事が無い。 この旅の本当の目的は、オールブルーを探す中で、王子が世界を知り、知識と経験を磨き、 立派な王になるための学びのために用意されたものだった。 ゾロがもう十分だと判断すれば、それで旅は終わりになる。 サンジには教えられていないが、真相はこうだった。 ![]() しばらく、ベッドで何事が考えていたサンジが、真顔でゾロに聞いてきた。 「なあ、お前も、コレをしていたのか?」 「ああ? コレ?」 ゾロは意味がわからずに、訊ね返すと、サンジ王子はこんな言葉を続けた。 「お前も旅の途中で、路銀に困ると、こうやって 《 男娼 》 をやっていたわけか? 」 「んなワケあるか! このボケ! 」 絶叫するゾロだった。 王子に対してボケってなんだ! と、すぐにサンジはゾロに素足のままで足蹴りを入れてきた。 この王子様が国に帰る事になるのは、まだとうぶん先の話になりそうだった。 今日の出来事を、当然、従者は王宮には報告できなかった。 〜無知は罪〜 了 ![]() ![]() |