その1 初夏の思い出 「プールで、ドボン!」後編



  「やっぱり、勃起していますね、宍戸さん。さっきから恥ずかしそうにしているから、

   そうじゃ無いかと思っていました。俺に隠し事なんて、無理ですよ。」

   そう言って、鳳は、左手の指先で、宍戸の膨らみの形を確認するように撫でた。


   「これじゃあ、水泳の練習は無理ですね。最初に、こちらの問題を片付けましょう。」

   鳳は、手の平で、宍戸のモノを掴むと、ゆっくりと揉み始めた。

   もう、何度も身体を合わせているので、どうやって触ったら、宍戸が感じるのか、

    熟知している動きだった。


   「うわっ! 長太郎、止めろッ! 」

   宍戸は、そんな彼から逃げようと、目の前にある胸を押したが、相手は少しも動じる事は

   なかった。逆に、鳳は、宍戸のペニスをしごいている腕に力を込めた。

   宍戸は、プールの底に足がつかないため、身体に力を込めて反発する事ができないでいた。

   ただ、水面を両手で虚しく掻き回しただけだった。


  「宍戸さん、可愛いです。もう、こんなに大きくなっていますよ。

   俺の指が、宍戸さんのペニスの弾力に押されています。

   でも、何で、こんなに感じてしまったの? 

   俺の裸を見たせいですか? それとも、俺に、見られたせい?」

   鳳のそんな低い囁き声を耳元で聞かせられて、宍戸は、ゾクリと背筋が震えるのを感じた。

   彼の吐息が耳にかかって、くすぐったいのも理由なのだが。

   その内容が、実に的を得ていたからだった。

   恋人の宍戸の事ならば、何でも知っている。

   そんな鳳の口ぶりに宍戸はうろたえてしまったのだ。

   宍戸の身体からは、すでに力が抜けており、鳳は自由に相手に触れる事ができた。

   「宍戸サン。一人だけ先に気持ち良くなってズルイです。

   何か嫌らしい事でも考えていたんですか?

   
先週、部室のシャワールームで立ったまま、セックスしたのを思いだしたの? 

   それとも、学園のトイレで授業中に隠れてした事ですか? 」

   宍戸は、鳳の台詞に赤面してしまった。

   確かに、一学期の終業式の直前に、そんな事もあったのだ。


  「今日は、もっと嫌らしい事をいっぱいしてあげますよ。

   この場所には、俺達の他には誰もいません。

   学園にいる時とは違って、声を上げても大丈夫ですから。

   宍戸さんの可愛い声をたくさん聞かせてくださいね。」

   宍戸の股間を摩っている鳳の腕はスピードが増していた。このまま、宍戸に一度、

   出させてあげるつもりだったからだ。


  「長太郎、嫌だ。こんなプールの中でなんて……。だって、汚いよ。」

   涙声で、そう訴える宍戸に、鳳は優しく笑った。


  「大丈夫ですよ。水は、浄水装置で綺麗にしていますから。この中で出しても、

   数時間後には、水は綺麗に元通りです。」

   鳳は、それでも、恥ずかしい様子で涙を目尻に滲ませている宍戸に対して、もう一つ提案をした。


  「じゃあ、口でしましょうか? 俺が、宍戸さんのモノを飲んであげます。」

   そう言った刹那、鳳は、水中へと沈んでいった。

   宍戸の腹部へ手を当てて探りながら、鳳は、宍戸の膨らみを口に含んだ。そのまま、水中で、

   宍戸のモノをしゃぶっている。


   「うわああああ〜! 」

   宍戸の絶叫がプールサイドに木霊した。まさか、鳳が、口淫をするなんて思っても

   みなかったからだ。

   鳳は、かなりの肺活量がある様子で、驚いている宍戸とは対照的に、落ち着いてペニスへ

   舌を這わせている。砲身へ右手を添えて摩りながら、舌先を裏筋に当て、亀頭部を

   吸い上げるようにする。それで、宍戸は、あっと言う間に、頂点を極めてしまった。


  「うわああ、長太郎ッ! 」

   宍戸が、鳳の口内で白濁液を放出すると、約束通り、鳳は全て飲み干した。

   宍戸の精液を一滴残らず吸い取ると、やっと、水上へと顔を出した。

   激しく息を乱しているが、鳳は、嬉しい様子で、快楽により全身を痙攣させている宍戸を

   強く抱きしめた。


   「はあ、はあ。宍戸さん、……全部、綺麗に……。水中を……汚さないよう

    にしてきました。宍戸さんのモノは、……とても美味しかったですよ。」

   そんな鳳を、涙の浮かんだ瞳でみつめ、宍戸は、ため息をつくように言った。


   「馬鹿、……そんな変なモノ、何で飲んだりするんだよ。」

   それに対して、鳳は、さも当然と言うふうに、こう答えたのだった。

  「それは、宍戸さんが大好きだからです。宍戸さんのモノなら、汗だって、血液だって、

   俺には全部大切なんです。全部、俺のモノにしたいんですよ。」

   鳳は、宍戸の背に腕を回すと、強く抱きしめて、彼に激しい口づけをした。

   宍戸は、鳳が、自分の精液を飲んだばかりなのも自覚していたが、別に汚いとも

   思わなかったし、不快にも感じ無かった。

   宍戸も、鳳が、大好きだった。

   自分も、鳳のモノならば、躊躇せずに、口をつける事ができるだろう。

   相手が気持ち良いのなら、どんな事でもしてあげたかったからだ。

   そして、自分も、鳳のモノであるのだと、自覚していた。

   宍戸は、鳳の首に腕を回し、彼の腰に両足を絡ませていた。

   鳳は、宍戸を強く抱きしめたまま、彼の体内奥深くへと、猛った男根を突き入れている。

   水中は、重力の影響が無い分、宍戸の身体を持ち上げる体力は必要が無い。

   それだけ、楽な状態なので、鳳は、自由奔放に身体を動かして、宍戸を責めていた。

   宍戸の柔らかな尻肉を両手で掴み、挿入部を押し開くようにしながら、鳳は抜き差しを

   繰り返した。自分のペニスへ、宍戸の体内の暖かな襞を擦りつけるようにする。

   その内部のザラついたような感触が、敏感になっている砲身へ素晴らしい刺激を与え、

   鳳は挿入してから、まだ数分も経っていないが、もう、射精してしまいそうだった。

   宍戸が切なげな表情で、喘ぎ声を上げるたびに、内部の粘膜も柔らかく蕩けて、

   入り口の筋肉は、鳳のモノを絞るように強く締め上げている。

   もう何度も身体をあわせているが、そのたびに魅力的になってゆく恋人の姿に、鳳は

   たまらずに溜め息を吐いた。

   迫ってくる射精欲求と必死で戦いながら、腰を回したり、小刻みに揺らしたりしながら、

   その絶妙な感触を鳳は楽しんでいた。


  「宍戸さん、気持ち良いですか? 俺は、すごく良いです。

   もう駄目です。イキそうです。

   このまま……中に出しても、良いですか? 」

   鳳の問いかけに、宍戸は、涙を流しながら首を動かした。

   快楽のあまり言葉を話せない様子だが、必死で頭を縦に振り、肯定の意志を伝えてきた。

   鳳は、宍戸の腰を強く引き寄せると、その体奥へと、熱い迸りを注ぎ込んだ。

   何度も、腰を動かして、鳳は、宍戸の体内へ、愛の証のように、自分の精液を塗り込む

   ようにしたのだった。

   鳳の快楽の波も収まり、恋人の体内から腰を引くようにすると、すっと宍戸が抱きついてきた。

   「宍戸さん? 抜くのは嫌なの? 」

   宍戸は、恥ずかしい様子で下を向いたまま、こう言ったのだ。

   「……まだ、一緒にイってないから。……寂しい。」

   なんて可愛らしい人なんだろう、と鳳は感激していた。

   自分の言葉に羞恥して、真っ赤に染まった宍戸の耳へ、鳳は囁くのだった。

   「大丈夫ですよ。俺、今の宍戸サンの言葉で、もう立ってしまいましたから。

    今度は、一緒にイキましょうね。

    でも、そんな事ばかり言っていると……。腰が壊れるくらい、犯ってしまいますよ。」

   宣言通り、宍戸の体内に入ったままの鳳のモノは、急激に膨らんでいった。

   今、射精したばかりだとは、とても思えないほどに硬く太くなり、宍戸の狭い部分を押し広げ

   ようとしている。

   これから、与えられる快楽を予想したのか、宍戸は、早々と気持ち良さそうな喘ぎ声を上げた。


   それから、宍戸は、鳳に、プールの端まで連れていかれた。

   水槽のヘリを掴みながら、後背位でもセックスをした。

   まるで、平泳ぎのような姿勢で、鳳に背後から足首を捕まれ、大きく両足を開かされた。

   そのまま、鳳は硬いペニスを体内へと挿入してきたので、宍戸は、叫び声をあげた。

   鳳のモノは、一度、射精したと言うのに、以前よりもずっと硬く太くなっており、まるで、

   コンクリートの杭を打ちこまれるように、宍戸の体内へと突きこまれ、強い衝撃を与えている。

   宍戸は、自分の中へ、冷えたプールの水が入ってくるのを感じていた。

   鳳の太いモノで刺し貫かれるたびに、広げられた尻穴へ水が流れこんでくるのだ。

   それが、鳳の砲身の熱い体温と絡まって、不思議な感覚を宍戸に与えていた。

   「ああ、長太郎。水が……。水が中に入ってくる! 

   掻き回されて……。どろどろになっている。もう、駄目だ。そんな事をしたら……。

   気持ちよすぎて……もう無理だ。」

   先ほどの駅弁スタイルでは、宍戸は、射精を我慢していた。

   自分が先に口淫で出してしまったので、今度は、鳳に気持ち良くなってもらいたかった。

   自分の体内に、鳳に射精して欲しかったのだ。

   鳳は、宍戸のモノならば。どんな物でも大切だと言っていた。

   宍戸だって、同じだからだ。

   自分は、女性では無いので、子供は出来ないけれど。

   それでも、体内に熱い彼の迸りを感じると、幸せな気分になるのだった。

   何か、とても大切な物をもらったような、そんな気持ちになるのだった。

   きっと他人には、理解できない感覚に違いない。



   ココは、プールの中だと知っているが、宍戸は、もう我慢できそうになかった。

   あまりにも、気持ちが良すぎる。

   大好きな鳳に抱かれると、もしかしたら、死ぬのでは無いかと思うほどに、感じてしまうのだ。


  「長太郎ッ! もう、駄目だッ! 一緒に! 長太郎ッ! 」

   まるで、悲鳴のように、そう叫ぶと、宍戸は、水中で射精してしまった。

   腰の辺りに、暖かなモノが広がって行く。白い濁りが、水中でゆっくりと拡散してゆくのを、

   宍戸は、自分の目で見つめていた。


   「ああ、宍戸さん。俺も無理です。イクッ! イってしまう! 」 

   ほぼ同時に鳳もそう叫ぶと、また、宍戸の中で欲望を吐き出した。

   水と熱い液体が混じり合う感触に、宍戸はうめき声をあげた。

   達してしまい、脱力してグッタリとしている宍戸を、鳳は、両手で抱きしめながら、しばらく

   恋人へと口づけを繰り返した。

   こういう関係が永遠に続く事を祈りながら。

   疲労した宍戸をプールサイドへ上げると、何とか、彼は自分で歩こうとしたが、すぐに

   アスファルトへと腰を下ろしてしまった。

   「宍戸さん、すみません。また、無茶な事をしてしまって……。」

   自分のせいで腰を痛めたので、宍戸は歩け無いのだと、鳳は思って謝った。

   しかし、宍戸は大きく頭を横に振り、否定するのだった。
  
   「違ッ! そうじゃなくて……。あっ!」

   鳳が、宍戸を抱き上げると、おかしな悲鳴を彼はもらした。

   そのまま、鳳の腕の中で、モジモジと足をすり合わせるようにしている。

   鳳が気がついて、宍戸の下肢に視線を向けると、彼の大腿が激しく濡れているのがわかった。

   宍戸の尻から、まるで漏らしたように大量のプールの水と、鳳の吐き出した精液が滴っている

   のだ。見る間に、アスファルトに染みが広がっていった。

   「嫌だ。見るなよ、馬鹿ッ!」

   涙で滲んだ瞳で自分を睨んでいる宍戸の様子に、鳳は、また、どんても無い状態になって

   しまった。二度も射精したと言うのに、暴れん坊が、また鎌首を持ち上げてしまったのだ。

   興奮して、鳳が、宍戸の身体へと腕を回すと、宍戸は、真っ赤な顔で怒り始めた。

   「良い加減にしろッ! お前ってヤツは! お前ってヤツは!」

   さすがに、宍戸は、飽きれた様子で、鳳の行動を拒否してきた。いくら何ても、もうセックスが

   できるような状態では無いと思われる。

   「宍戸さん。違いますよ。 シャワールームで、身体を洗いましょう。

    俺が、宍戸さんを洗ってあげますからね。

    大丈夫です。俺に任せてもらえれば……。」

   「任せられるか! このボケッ! 」

   色欲で興奮して鼻息も荒い男の言う事など、信じられるわけがない。

   いくら何でも、宍戸も、この鳳の嘘には、引っ掛かってはくれなかった。




   鳳が、今日、宍戸を自宅へ招いたのは、テニスの練習をするだけでなく、最初から、

   宍戸と愛の行為を行うためだった。

   宍戸は、考えてもいなかった様子だが、鳳は、ずっと、宍戸の身体へ触れるチャンスを

   狙っていたのだ。プールへ誘ったのは、当然、下心があったからだった。

   学園では、毎日、会う機会があったのだが、夏休みに入ると、部活を引退している宍戸とは、

   そう滅多な事では会えないからだった。

   鳳は、毎晩、宍戸の夢を見てしまう。

   彼のいない生活は考えられなかった。

   毎日、彼と一緒に過ごしたい。

   彼を抱きしめたい。

   セックスをしたくて、たまらない。

   鳳は、どうやって、今日は宍戸を引きとめようか、懸命に考えていた。


   一分、一秒でも、彼と一緒にいたい。

   宍戸を帰宅させるつもりは、鳳には初めから無かったのだ。

   怒った恋人に頭を叩かれながら、鳳がどうやって彼を引きとめようか策略を練っている事に、

   まだ、宍戸亮本人は気がついていなかった。

   いっそ、宍戸が帰り道に使う道路を、<工事中>として封鎖してしまおうか、

   と鳳が本気で考えていた事を、一般市民の宍戸は知るよしも無かった。

   恋人と一緒にいるためならば、故意に<水道管をハレツさせる>くらいワケもない。

   旧華族の家柄である鳳家の跡取り息子は、そんな思考の持ち主だった。

   恋する男の思考回路は、凡人には到底、理解できないものである。


         その2 季節外れの花火大会へ続きます!行ってみる→


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