今月のキーワード
〇 フィジカルAI

 フィジカルAIとは、現実世界の物理的な法則や環境を理解し、それに基づいて行動・判断できるAIシステムのことです。具体的には、センサーを通じて物理的な環境を認識し、AIアルゴリズムで処理し、アクチュエーターを通じて物理的な動作を実行する統合システムを指します。

 従来のAIは、デジタル空間でのデータ処理や意思決定を目的としていたのに対し、フィジカルAIはロボティクス、センシング技術、制御システムと統合され、物理環境での実行を目的としています。

 平たく言うと、フィジカルAIは「五感と身体を持ったAI」で目や耳、手足を持ち、現実世界で実際に動き回れるAIと言えます。

 フィジカルAIは、機械学習・強化学習を活用して環境の変化を学習し、自律的に最適な行動を選択できるのが特徴です。

〇 グロース市場

 東京証券取引所が2022年4月に設けた高い成長可能性を持つ新興企業向けの株式市場のことです。
条件として150人以上の株主数、流通株式時価総額5億円以上などがありますが、一定の条件を満たせば、損益の赤字企業でも上場できることになります。

 プライム、スタンダードなど東証の他の市場区分に比べ求められるガバナンス(企業統治)などが厳しくなく、成長途上のスタートアップでも上場しやすい一方、以前のマザーズ市場のような優遇措置はなくなりました。しかし、市場再編後も成長が鈍化する企業が多く、上場約610社のうち時価総額1000億円超えはごく一部の状況です。

 そのため、東京証券取引所はグロース市場の上場維持基準を厳格化し、上場から5年で時価総額が100億円未満の企業を上場廃止とする方針を示しました。名ばかりの成長企業を淘汰し、市場の新陳代謝を促す狙いがあります。
現在、グロース上場企業の約7割がこの基準を満たしておらず、適用は2030年以降となる見込みですが、これによりIPO(新規株式公開)のハードルが上がり、主幹事証券の選定基準も厳格化される可能性があります。



コラム
■ リードジェネレーションからリードクオリフィケーション、そしてレベニューオペレーション
 
 マーケティングには、見込み顧客を獲得し、その見込み顧客の見込み度合を引き上げる育成をして、さらに育成した見込み顧客を選別し、有益な営業アプローチにつなげる活動があります。

そして、セールス、マーケティング、カスタマーサクセス(CS:顧客満足度)、財務の関連部門の基盤を整え、組織全体の収益を最大化するレベニューオペレーション(Revenue Operations:RevOps)というアプローチがあります。

その見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)、見込み顧客の育成(リードナーチャリング)、見込み顧客の選別(リードクオリフィケーション)について、簡単に解説します。

〇 リードジェネレーション
 リードジェネレーションのリード(Lead)とは、「きっかけ」や「手がかり」を意味する英単語に由来し、マーケティングの世界では自社の商品やサービスを将来的に利用してくれる「見込み客」のことを指します。そして、リードジェネレーションはリードを獲得する(generatioin)という言葉の通り、マーケティング活動によって見込み顧客情報を獲得する活動のことを指します。

 例えば、「展示会での名刺獲得」「Webサイト上での問い合わせ獲得」「SEO対策」はリードジェネレーションの一部です。

 販売促進活動を行う上で、対象の製品やサービスが万人に利用されるようなものであれば、不特定多数にアプローチする手法も効果的ですが、属性が限定された個人や法人を対象にした製品やサービスの場合は、リードジェネレーションを行うことが重要になることが多いです。

〇 リードナーチャリング
 リード(lead)を育成する(nurturing)という言葉のように、これまで獲得してきたリード(見込み客)に対して、有益な情報提供を続けながら自社サービスの教育をすることによって、見込み度合いを上げる活動のことを指します。

 例えば、「メールマガジンの配信」「導入事例の提供」「セミナーの案内」「無料トライアルの案内」のような活動がリードナーチャリングに当たります。

 こうしたリードナーチャリングを行い、ニーズが顕在化したリードに対して営業がアプローチすることで、より有益な商談に注力することができるようになります。

〇 リードクオリフィケーション

 リードクオリフィケーション(lead qualification)はリードナーチャリング(見込み顧客の育成)の段階からとくに購買意識の高い顧客に対して選別を行うマーケティング手法です。リードに対して、この状態に選別できた場合には、既に自社サービスに対して興味や関心を抱いていることから、営業やPRがしやすい状態にあります。

 リードの購買意欲を選別するための方法は「お問い合わせ」「サービス資料のダウンロード」「セミナーへの参加」「サービスサイトの閲覧」「営業からのアプローチ」のような方法です。

 そして、選別したうえで顧客に対して「顧客の属性(業種、職種、役職など)」「行動履歴」「顧客が手にしている情報」など要素を分析を重ねていき、そして、選別基準を見直し続ける事によって、有益な営業アプローチリストを作ることです。


 これらの3つの活動の先にあるRevOpsの活動分野には、ITが深く関連し、近年導入が進んだ生成AIとも関連が深まっている状況です。
例えば、膨大なデータを迅速に処理・分析し、リアルタイムの洞察を提供し、予測分析や機械学習を活用して、より正確な収益予測と戦略を策定を行い、そして、生成AIを活用して、個々の顧客に合わせたコンテンツやオファーを作成し、コンバージョン率(見込み顧客のうち最終的に成果に至った割合)と顧客満足度の向上を図ります。
 ただ、 データセキュリティ、プライバシーの確保、ヒューマンマシンコラボレーション(人間とAIのコラボレーション)の最適化、初期コストやリスクの評価などが課題として残ります。




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更新 2025年5月6日

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