音楽CDから消された超音波を復元させる装置

マスターテープからCDを製作するときに削除された超音波を復元する装置のアイディアを紹介します。
装置の概要は、CDから音声データを読み込んでメモリに書きこみ、そのデータをソフトウェアが処理し、処理後のデータを現在のCDプレイヤーの倍の速度でD/Aコンバータに出力するものです。
音楽CDからカットされた高音部を復元するパソコン用のソフトウェアWAVE RESTORATIONは、すでに公開しています。
パソコンでは20KHzまでの音声しか再生できませんが、このソフトの原理を使ってハードウェアを作れば、超音波を復元することが出来ます。
現在、超音波も再生するSACDが発売されていますが、一般に普及する兆しはありません。
従来のCDから超音波を復元できれば、非常に便利で、かなりの需要が見込めると思われます。


<アナログ方式の装置も実現可能です>
この装置を、今使っているステレオプレイヤーの未使用のスピーカー出力端子に接続するだけで、CDから消された20KHz以上の超音波を再生することが出来ます。


<CDから超音波を再生させる利点についての参考資料です。>

風や波の音にリラックス効果――自然の超音波が作用
自然の音に含まれる超音波にはリラックス効果がある
 日本大学の堀田健治教授らは、風や波など自然の音が含む耳に聞こえない超音波にリラックス効果があるのを確認した。
超音波の有無で、リラックスの度合いを示す脳波の1種、アルファ波の量に違いが25%あった。
リラックス効果を狙った音響製品の開発につながるという。
 川辺や海岸、林の中などで自然の音を採集し、実験室で20代前半の男女26人の脳波を調べた。
人工的に超音波成分を削除した音を聞いた場合と比較して約7割の人にアルファ波を増やす効果があった。
 飲料水の開発などで味などのイメージを数値で表すのに使うSD法と呼ばれる心理分析も実施、同様の結果が得られた。
アルファ波の量が同じ場合、脳波全体にアルファ波が占める割合の高い方が効果があった。 
自然の音が含む超音波は、40キロヘルツと60キロヘルツの2つの領域の音が大きく、この音を含む人工超音波でもリラックス効果を確認できた。
 ただ超音波成分だけでは効果がなく、風の音などで無意識のうちに超音波に注意を引きつけた場合に増加がみられた。
チェーンソーなどの不快な音と自然の音の超音波成分を合成した場合、超音波の効果は嫌な音に打ち消された。聞く人に極度のストレスを与えた場合も効果が減ったという。

[2002年10月31日/日経産業新聞]



 理論的には,すべての音を忠実に録音・再生できるのがディジタル技術である.
しかし,CDにおける技術的な妥協点は約20kHzであり,20kHzを超える超音波は,人の耳には聴こえないという理由で捨て去られている.
本当だろうか.CDの登場以来, LPレコードのほうが聴き心地がよいという音楽ファンがいる.
LPでは,CDでカットされている20kHz以上の超音波も再生できる.
CDとLPを聴いているときの脳波を比較した研究によると,LPを聴いているときのほうが,快適なときに出るアルファ波のパワーが大きかったという.
体や脳のどこかに超音波センサがあるのだとすれば,自然な音が持っている快適の素を捨てていることになる.
最近の次世代オーディオの議論では,これら超音波の再生を検討していることは興味深い.

[NTT R&D]

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