2005/1/29〜31

韓国オンドル大車輪3
H ソルロンタン〜ヘジャンクク

これが・・・そのヘジャンクク 
えー、チャンプがサウナからなかなか出てこないので、宿の近くに戻れたのは、午前1時半を回っていた。

「腹が減ったな」
そう、その日の夕飯はもつ焼きを食いに行ったのだが、その余りの高額にお茶を濁す程度にだけ肉を食って、さっさと逃げてしまったのだ。

腹が減った。しかし、時間は午前1時半だ。

宿の周りには、いかにも庶民的な食堂がいくつかあった。しかも、その、何の変哲もない食堂は、いまだに営業していた。
そのうちの一つが、店頭に出ている写真から判断するに、なかなか美味そうだったので、入ってみる事にした。

店内には、給仕らしきお姉さんが一人いたが、うちらが入ってきたのを見て、明らかに狼狽の色を見せた。うちらが外人だからか?それとも、こんな時間にやってきたせいだろうか?
でも、営業しているんだから、客が入ってきたからと言って、そんなにびっくりする事もあるまい。

座敷に上がって、早速注文をした。外の写真には日本語で料理の名前が書いてあったので、オレとりえは白いスープ、チャンプは赤いスープを頼んだ。

ガイドブックで見てみると、うちらが頼んだソルロンタンは、ソウル名物のスープで、牛の骨や内臓で、長時間煮込んだスープらしい。
チャンプの頼んだのはヘジャンククといい、同じく牛骨のだしに、ミソを溶かしたスープで、二日酔いに聞くと書いてある。

出てきたスープはとても美味そうだった。チャンプも、こんな夜中にこんな美味そうなスープに出会えた事に満足の様子で、
「おお、いいねえ」
と言って一口スープをすすった。

「ヴォウ」
と、声にならない悲鳴。

「く、くせえ・・・・」
「ハンパなく、くせえ・・・」

果たして、それは肉の匂いか?それとも、ヘジャンククに入れられる事もあると言う、ソンジ(牛の血を固めたもの)の匂いなのか?

とにかく、あの、チャンプのハシですら、全く動かなくなった。
「これは食えん・・・」
チャンプの噛み締めるような声に、無念さとその料理に対する驚愕が読み取れた。
うちらもソルロンタンを食ってみた。

「・・・味がない」
全く、味がない。例えて言うなら、ゆで卵を作った後のお湯を飲んだらこんな感じだろう。

簡単にというか、率直に言ってしまえば
まずい。
と言う事だ。

唯一俺たち以外の客だったオヤジは、一口食うなり店を出て行って、そのまま帰ってこない。

やっぱりまずいのか?ソウルっ子でもまずいのか!?

俺達は急速に無口になり、そのまま、ほとんど食わずに店を後にした。

韓国の食堂で食った、唯一のまずいものだった。

写真ももちろん撮ったのだが、カメラの設定を間違えて全く写っていなかった。

ああ・・・あの食堂での出来事は本当だったのだろうか?
まるで、うそのようなまずさだった。
舌先の記憶だけが、唯一の手がかりとして、今も残っている。


I サムゲタン

サムゲタン
最終日も押し迫って、最後の昼飯をどこで食うか?という、一大事に直面した。

数々の候補の中から、地元の人のおすすめNo.1とガイドブックに書いてある、「土俗村」というところに、サムゲタンを食いにいこうということになった。

以前、一度ソウルにきたことのある理絵が、サムゲタンの美味さを何度となく我々に刷り込んでいたこともあり、是非、一度食ってみなければなるまい、と、いう気になっていたのだった。

仁寺洞から歩いて向かう。

途中、例の景福宮の前を通った。
さすが世界遺産だけあって、なかなか素晴らしかった。
なんだか、今回の旅行は、食い物ばかりを追い続け、この手の観光名所には全く行かなかったけど、やっぱ、行けばよかったかな?と、少しでも思わせるものがあった。

突如交番を発見したチャンプは、何の迷いも無く交番に突撃し、

「土俗村はどこか?」

と、おまわりさんに尋ねた。
韓国のおまわりさんは親切だった。

いかにも、昇進とは縁の無さそうな「巡査長」といった感じのオヤジが
「彼に付いて行きなさい」
と、若い巡査を一人その為に付けてくれたのだ。

すごいことだ。
警察官に先導されて、飯を食いに行くのは初めてだ。
たぶん、日本ではありえないだろ、これ。

土俗村は韓国人の老若男女であふれかえっていた。
うちら二人はノーマルなサムゲタンを、チャンプは、烏骨鶏のサムゲタン頼んだ。

サムゲタンはすごい。スープは濃厚な鳥のうまみが出てるし、何しろ、鶏が丸ごと一匹入っている。そして、その鶏の中に、大量の米と朝鮮人参や棗などの体に良いものが、体に悪いんじゃないかと思われるくらい入っている。

チャンプが、ハシで、汁の中に沈んでいる烏骨鶏を、ざばーっと取り出してみた。
白濁したスープから現れた真っ黒な鶏は、まるで、プールの中から現れるマジンガーZを思わせた。

思いのほか腹いっぱいになった。

隣では、若い両親に連れられた2歳くらいの女の子がニワトリと格闘していた。
こんな小さい頃から、こんなものを食っているのか。

韓国人のパワーの素はこれだな。
だって、ニホンジン、月曜の昼から、うなぎ食ったりするやつ、すくないっしょ。


J 帰国

帰国します
そんなわけで3日間の韓国旅行は終わった。

たった3日でも、海外欠乏症を少しは癒してくれたようだ。

あー韓国!サウナ、ウォン・ビン、チャン・ドンゴン!

できるなら、次はキムチ店とかに連れて行かれないようなツアーで行きたいものです。
あの、気まずい空間には、もはや耐えられそうにない。

チャンプは美人のスチュワーデスに興奮していたりしていたが、なんとなく、やはり3人とも明日の仕事とかが気になっていたのでした。

そして、日本は暖かかったです。