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(analers:2000/5/24:\1800)

analers3作目の作品にして、初の9曲入りフルアルバムという売り込みフレーズだったけど、
SEチックなものやら、謎のデモスキャットやら入っていて、実質的には7曲ミディアルバム。
まぁ、値段がそれ相応だから、いっかー(笑)。
と書きつつ、その短い2曲もオマケというには美味しすぎる曲だったりもする。
analersのHP や色んなメディアでメンバー自身が語っているように、
全2作と比べて、かなりポップな作品になっている。
メロディや歌詞が以前の作品に比べると馴染みやすく、わかりやすいという意味でポップだし、
変な音がいっぱい入ってたり、あの豪放磊落の極致と思われていたキョーイチヴォーカルに
いっぱいエフェクトがかかっていたりという意味でもポップだ。
ライブだとストレートなポップさ方面一本槍って感じなので、
アルバムのちょっとひねった感じはかえって貴重かもしれない。
今回も2作目(AnaBoliCsteroiD)と同様全作品作詞作曲はanalers名義となっているけれど、
前の二つのアルバムよりも原曲者(穴HPの解説を見てね)の個性がよく出ていて、
analers=杉本恭一のバンドというイメージはかなり薄くなっているのではないかと思う。
それは恭一ワールド大好きな私にはちょっと寂しくもあるけれど、
バンドとしては正常進化の方向だろうし、
キョーイチ作と思われる歌詞も今までにはなくハジケていて、
こういうのもすげえいぃと思うのだった。
01.GOLLI-LA〜
リハーサル時の人の声やら楽器の音やらを入れ込んだ曲ってのは、
アルバムのオープニングによく使われたりすると思うんだけど、
「これから始まるんだーっ」っていう胸の高揚感を沸き立ててくれて、やっぱりいい。
この曲ではドラムの音がガムランの鐘のように聞こえて、
それがジャングル=ゴリラっぽいかなぁと。
ライブ前のSEでよく使われているけど、
ライブハウスの暗いところで聞くと、ますますそんな感じ。
02.Viking SPAM
暴れまくってるドラム、海の底でブクブクと息をしてるようなベース、
同じ所をグルグルと回り続けるギター、怪電波を発し続けるキーボード。
エフェクターを掛けられてどっから聞こえてくるかわかんなくなったボーカル。
ノリノリなのに、どっか不気味。怪しげなのに、このとんでもないグルーヴ感。
そして歌詞の「SPAM」と「豚缶」。
特に「ブタカン」という音の響きは、
ほんとに親不孝なほど乱暴で開放感があって、
よくもまぁこんなロックな言葉(笑)を見つけてきたんだと思う。最高。
03.プラスチック
この曲って今までのanalersの曲とはかなり違うように感じる。
メロディラインがはっきりしてて、曲に起承転結もある。
歌詞の意味も明確でストレートでメッセージもあって、
自分に向かう歌というより、きちんと他人に向けて歌われる歌だ。
演奏も各パートのバランスが取れてるし、
サビの部分に入るアコギの音がカッコよかったりして、
素直にいい曲だなぁと思う。
だから、やっぱりボーカルもエフェクター掛けずにストレートに出して欲しかった。
そこんとこの照れは今までの穴っぽいところといえばそうなんだけど。
04.Underground
すっごいカッコよくってノリノリのロックンロールなのに、
乗っかってる歌詞のバカバカしさがたまんない逸品。
しょーむなと普段だったらマトモに聞けないエッチなバカ話も
ここまで徹底してハジケてくれると、
スガスガしくてバイタリティがあってカッコいいッと思わされてしまう。
一つ一つの言葉もエラく荒っぽいというか、
そのへんに転がってる言葉をひょいと取ってきたって感じなんだけど、
曲の中は妙にチャーミングな語感を響かせてる。
突き抜けてると思うなぁ、この歌詞。
05.USO
イントロのギターの刻みから始まって、疾走するようなベース&ドラム、
そのリズムの上を飛び跳ねていくようなギターのメロディ。
私がロックを聞き始めた80年代後半にはこういう曲がいっぱいあったような気がする。
特に曲全体を貫く疾走感はが素晴らしい。
歌詞には自分にも他人にも突き刺さってくるようなキツい言葉が並んでいるんだけど、
疾走するこの音と体があれば、とにかく生きていけるっていう感じを与えてくれる。
とにかく気持ちよく、カッコいい曲だ。もぉ、めちゃめちゃ好き。
06.L
曲を聞く前に、この歌詞を読んだのだけれど、思わず涙がポロリと落ちた。
いいオトナになってもロックが必要な理由がここに書いてあると思った。
オトナになると世間や現在の自分だけじゃなく、
「あの」と言われるような過去の自分とも戦わなくっちゃいけない。
それは重くて暗いことだけど、
オトナになっても戦い続けられる相手があるってことは幸せなことかもしれない。
ライブの時にキョーイチは「Live、Life、Love」というフリを入れてこの曲を始めたりする。
LというのはLA-PPISCHのLでもあったりするなと思う。
07.asa
名曲なのだ。
訳のわからない夢の中でさまよっている相棒を「こっちにおいでよ」と呼び、
一緒に夢の中の色を共有し、現実の中で強く生きていけるという確信を、
ゆったりとしたメロディに乗せて、キョーイチの粘りつくようなヴォーカルで歌い上げる。
何度聴いても感激してしまうくらいだ。
でも、このアルバムバージョンをヘッドフォンで大きな音で聞くと、
なんだか妙な音がいっぱい鳴っていて、足元がフラフラする。
実際に歩きながら聞いていて、転んでしまったこともある。
そんなアレンジが凄くanalersらしいと思う。一筋縄ではいかないのだ。
08.Sherry
マンガやアニメであんまり必然性なく女の子キャラのシャワーシーンとかが
出てくるのを「読者サービス」とか言ったりするのだけど、
このキョーイチのスキャットによるシェリーのデモバージョンはちょうどそんな感だ。
あんまりに色っぽすぎて、恭一ファンの私は思考停止状態になってしまうので、
全然まともなことは言えない(笑)。
ただ、このリズムの強さってのは凄い。やっぱりプロは違うとつくづく思った。
09.シェリー
で、こちらが上のデモテープから完成された曲。
みんなでセッションで作った曲だけあって、
どのパートもカッコいい音がバンバンと鳴ってる。
特にキーボードのフレーズに痺れてしまう。
暴力的なボーカルの歌に乗っかる和風な言葉を散りばめた歌詞は、
あと一歩で意味不明になりそうなのに、
シェリーの手触りまで伝えてくるイメージの強さを持ってる。
ニューウエーブは気合だ、ノリだ、発想だ。
ガツンといったることが何より肝心だ。
で、あとはライブに来てくれ。この曲だけはライブじゃないと話にならん(笑)。
 

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