鉄砲玉日記

 

1999/11/8
マチルダロドリゲス(愛知:得三)

大好きだったローザ・ルクセンブルクというバンドが解散したのが1987年。今から12年前のこと。ローザの解散は本当にショックで、以来ほとんど音楽を聞かなくなってしまい(思えばバカだった私)、そのため、私の家には今年までCDプレーヤーがなかったくらいのもんでありました。自分の中ではそんなに大した時間でもないのだけれど、数えてみれば、小学校に入った子供が高校3年生になっちゃうくらいの時間だったりする訳で。で、そのローザ・ルクセンブルクのギター弾きだった玉城宏志さんが去年結成したマチルダ・ロドリゲスというバンドで初めてのツアーをする、それも名古屋でライブがあるって聞きつけて、早速行ってまいりました。

午後7時半開演だったので7時くらいに得三に入ったのですがぁ。あううう、えっ?そこそこ広いフロアにはお客さんが10人ちょっと。テーブル席にぽつん、ぽつんと座っているのでいっそう寒々とした感じが際立ちます。不安でくらくらする頭を鎮めるべく早々にビールをもらって、ステージに向かって右サイドのテーブルを確保いたしました。真っ正面には玉城さんのものだと思われる赤いギターがいくつも並べられてます。早く始まって欲しいような、欲しくないような複雑な気分でビールをちびちびやっておりました。

8時を回ったくらいに、やっとメンバーが登場。メンバーみんな、驚いてましたね、あんまりのお客の少なさに(笑)。でも、その分、気合い入れて演奏してくれたみたい。観客も頑張って聞くぞーって感じに満ち満ちていて、熱いライブが展開されたのでした。あんなにゆったりしたスペースで、あの演奏を聞けたなんて、めっちゃ贅沢だったと思う。贅沢だったわよ。ホントにさ。

マチルダはすっげーカッコいいロックバンドでした。もお、にやにやしちゃう。ロックバンドって言うしかないくらいロック。お前のロックってなんや?ってツッこまれても答えられないんだけど、ロックなんだもーんって私は星空に向かって叫びたい!。てな訳で、まともな記憶がほとんど今回ありませんー。残っているのは「幸せーっ。楽しいー」ってことだけさっ(笑)。

ホントは感想以上っ!って終わりたいところなんだけど、自分で忘れないようメンバー紹介を書いときます。小関純匡さん(36歳)のドラムはパワフルパワフル。固いって感じなんけど、キモチのいい固さ。体を洗うナイロンたわしって段々カタイの欲しくなるでしょ。あーゆー固さ。で、きっちりとツッこむ関西弁がステキ。久々に聞く本格的な関西ノリだったわ。ベースの笠原直樹くん(27歳)パワフルなんだけど結構ぐいんぐいんしたノリで二人あわせりゃ、そりゃ私の体も黙っちゃいませんぜって感じ。玉城宏志さん(41歳)のギターは益々もってファンキーで、日本情緒溢れるようなあの真珠玉のよーな音色も健在で、その上、音のキレが抜群によくなっていた。そして、ボーカルを勤めるは和田賢介(25歳)。不思議な髪型。不思議な動き。でも、瑞々しい歌声。MCではすっげーチャーミング。毎回のMCでくり返して言う「一緒にこのまま大阪に行きましょう」って言葉に何度「うん、おねーさんもついてくん(はぁと)」と言いたくなったことか(笑)。実力発揮はまだまだこれからって感じもするけれど、フロントマンに必要な「応援したくなる」魅力を持っていると思いましたですよ。

全くマチルダの曲のことを知らずに行っちゃったもんだから、とにかく音に身を任せて頭を振っておりました。だから、細かい記憶は全くないんですが、全般的にバラード系の曲がよかったっすね(イエローガーデンとか)。和田くんの歌もよく聞こえるし、バンド全体の音がぐわーってまとまっていく感じがたまりません。特にPureという曲にやられました。最初、ローザの「毬絵」を髣髴とさせるうっとり柔らかいギターから始まるの。ここでは懐かしくって、涙がポロポロ。でも、ボーカルが入って徐々にウネウネと盛り上がっていき、サビの部分で全てのパートがバーン鳴ってフロア全体がマチルダの音に染まって。懐かしいけど感じもするけど、激しくって、熱くって。ホントに泣きましたよ。でも、今度は懐かしさの涙じゃなくって、新しい「マチルダロドリゲス」に会えた幸せの涙ね(笑)。はっきり言って、この曲を聞くまで(4曲目)はやっぱり「ローザの玉城さん」を見にきたという意識が強かったと思うのよね。でも、Pureを聞いたらそんな気持ちはふっとんじゃった。それが一番今回のライブで嬉しかったこと。なんだかんだとあったり言ったりながらも人は前に進んでいくんだ。新しくなっていくんだって感じですっごく嬉しかった。

他にも曲名を覚えてないんだけど、中盤くらいにあった早いテンポのちょっとパンクっぽい曲もよかった。とにかくリズム隊がしっかりしてるから、ガンガン乗れちゃう。結局ずーっと座ってたんだけど、もお、ヘッドバンキングはするわ、足をバタバタ動かしちゃうわで、きっと端見てた人はバカだと思ったんだろうなあ。でも、そういうバカがフロアに5人はいたなぁ(笑)。今度はみんなで立とーねっ。ホントにマチルダの曲って素直にロックしてると思うから楽しいだろーな。もお、玉城さんがニッコニコでギター弾いてるしね。もぉ、この人も全身で「楽しい」ってことをガンガンに表現しちゃう人だなあ。この人の「楽しいーっ」ってのが私の「音楽聞き」のルーツなんだとしみじみ思う。あぁ、玉城さんの笑顔、笑顔、笑顔。ずーっと会いたかったんだな、あはは〜っ(小躍り)。でもって、最後に玉城さんがピックを投げてくれたんだ。たぶん、私に向かって。あんまり嬉しそうに聞いてたからかな。和田くんに手を振ってあげたからかな。「昔のファンがいる」と思ってくれてたら、それはそれで幸せなんだけどね。ま。また、マチルダ行くから、いいんだー、それでさっ。

セットリスト(ステージ上のをいただいてきました)
1.アメリカンジョーク 2.さらばジェームズ 3.パラレルノエル 4.Pure 5.Dr.ドーパミン 6.OiOi 7.名もなく貧しく美しくなく 8.でくのぼぉ 9.永遠の前から 10.オワラジの世界 11.ビバビバセニョリータ 12.イエローガーデン 13.マチルダロドリゲス 14.ヒューマノイド EC.レッド・ツェッペリンのカヴァー