2001年9月 鉄砲玉日記
 
2001/09/28 スピッツ純情2001ツアー:センチュリーホール@愛知・名古屋
 
スピッツを見に名古屋のセンチュリーホールに行ってきました。当初チケットが取れず、前の放浪ツアーでは2回見ることができたので、今回は「まぁ、一回お休みでもいいよね」と不埒な気持ちでいたんですが、幸運にも名古屋のMちゃんからチケットを譲ってもらえることになったのでした。しかも、これが大当たり。今まで3回しかスピッツのワンマンを見ていない私ですが、この日が一番素敵で大満足のライブになりました。持つべきものは友達です、本当にありがとう。という訳で、まずはMちゃんの詳しいレポからお楽しみください。ここ ですよ。

センチュリーホールはとあるイベントで1度行ったことはあったけれそライブで行くのは初めて。国際会議場らしく立派なコンベンションホールで3階席まであるのですが、とても音のいいホールでした。スピッツメンバーもとても気分よく、リラックスして演奏できていたようでした。お客さんも、ほどほどの熱狂ぶり(ってヘンな言い方だけれど)。多からず、少なからずの声援、客席の大合唱もほとんどなく、自分のペースで好きなようにスピッツを楽しめるという雰囲気です。これから遠征されるみなさん、特にのんびり&踊り重視派には名古屋はお奨めです、気持ちいいですよ〜。

この日もベースの田村くん側で、キーボードのクージーの姿はほとんど見えないくらい端の方だったのですが、なぜか目線はするどく斜め前方、マサムネをぶっとばして、ギターのテッちゃに釘付けだったでした。目線割合はテッちゃん6、ドラムの崎ちゃん2.5、田村くん1、マサムネ0.5、クージー見えず、という具合だったでしょうか。私は普段テッちゃんファンという訳ではないのですが、この日のテッちゃんはもぉもぉ素晴らしく可愛く、物凄くカッコよかったのです。まず登場時に被っていた白い三角帽子からふさふさと出ている前髪にやられました。袖なしの白いジャケットと半ズボンで、まるで小人さんのようです。そして、よく動いてくれます。1曲目から足でリズムを取り、2曲目では左足を蹴り上げるアクション、3曲目、ちょっと走りがちの崎ちゃんの近くへ行って、二人で顔を見合わせてリズムを合わせます。あぁ、こういうテッちゃんを見たかったんだよーってのっけから涙が溢れてきます。時折、田村くんもそっちを見ながら演奏しているうちに今までの隼ツアーでは感じられなかったグルーヴ感に体が自然と揺れてきます。4曲目ごろ、テッちゃん帽子と上着を脱ぎます。下には黒のタンクトップ1枚。髪は前髪だけ残して、後は刈り上げっぽいスタイルです。首から後頭部へのラインがとっても美しいです。そして、前よりも肉が付いて、たくましくなった剥き出しの肩と腕のカッコよさったら。時々、コーラスもやるのですが、首を少し右に傾けた時がまたキレイなのですよね。昔、何かの雑誌で服のモデルをしたそうですが、それがはじめて納得できた夜でした。

今回のセットリストで嬉しかったのは、胸に咲いた黄色い花、日なたの窓に憧れて、君が思い出になる前に、ベビーフェイスのあたり。隼に入っている曲々に比べれば音は薄いのですが、薄い分それぞれのパートの音がよく絡んで、絵も言われぬようなヘナチョコなグルーヴ感を感じます。特に日向の窓に憧れての最初で、スカスカとした演奏の中に「君が世界と気づいた日からぁ」という寂しいようにちょっと擦れたマサムネボーカルがドロリと流れ込んできた時のゾクゾク感ったらたまりませんでした。ベビーフェイスの単純だけれど、全員のリズムがシャキッと合ってる感じの演奏もよかった。この曲では田村くんと崎ちゃんがコーラスをつけるのですが、二人ともニコニコ笑いながら、同じような表情でコーラスをつけているのが斜めに並んで見えて、なんだかとってもよかったのです。

マサムネもこの日は本当にリラックスしていたみたいで、歌詞は間違えないし、MCでも田村くんの自己紹介の時にもいい感じで突っ込んでいたし、声はよく出ていたし、調子よさそうでした。この日で名古屋に5泊目、前日には名古屋ドームで野球を見て、自分達も野球をやってすっごく楽しかった様子がMCでもうかがえて、そんなところがよかったんでしょうか。。そして、嬉しかったのは「俺のすべて」が聞けたこと。涙がキラリの後で、タンバリンを持った時から、もぉワクワク!。ようやくマサムネに目が向いた瞬間でございました(笑)。ご意見は色々でしょうが、マサムネもやっぱり花のあるボーカリストだと思うので、ギターを弾かなくってもいいから、もっともっと動いて欲しいのですよね。その方が、歌にもリズム感が出て、生き生きとするような感じがするし。しかし、マサムネに目がいってたのもごくわずか、田村くんが助走つき+モニター足掛け大ジャンプをステージの向かって左から右へ披露したのでありました。そしてそのまま右の袖まで行ってお客さんを煽り、テッちゃんは舞台の真中でギャンギャンとソロを弾き続け、崎ちゃんがウォーっ!とスティックを高々とあげて。やっぱり、何度見てもこの曲はカッコいいです。

これまで3回の隼ツアーではあまり好きになれなかったアルバム「隼」の曲も、随分こなれてきた感じがして、前に感じたようなちゃんと演奏して上手いんだけどどこかグルーヴ感が足りないというところはなくなっていたような気がしました。ロビンソンも曲に負けないような力強さがマサムネのボーカルにあったような気がしました。同じアルバムで3本もツアーをやるっていう根性のたまものか、やっと私がスピッツのワンマンに馴れてきたのか、どちらなのかはわからないけれど、やっとスピッツがバンドであることを納得できたような気がします(その前99年のイベントの時は納得してたんですけど)。だから、「ヒバリのこころ」をやってくれて本当に嬉しかったのでした、やっぱりライブっつーー感じなんだもん!(笑)

セットリスト:1.さらばユニヴァース 2.今 3.放浪カモメはどこまでも 4.スパイダー 5.船乗り 6.冷たい頬 7.ホタル 8.胸に咲いた黄色い花 9.日なたの窓に憧れて 10.君が思い出になる前に 11.ベビーフェイス 12.ロビンソン 13.さわってかわって 14.俺の赤い星 15.いろは 16.涙がキラリ☆ 17.俺のすべて 18.8823 19.メモリーズ・カスタム 20.夢追い虫 (アンコール)21.ハチミツ 22.遥か 23.ヒバリのこころ 


 
2001/09/24 田辺マモル:ラ・カーニャ@東京・下北沢
 
すんません〜。感想のみです。詳しいレポは こちらの番犬さん&にゃんこ姉レポをご覧ください

マモルくんのワンマンライブは2回目。今日の会場下北沢のラ・カーニャは初めて。場所はハイラインズレコードがある通りのレコファンの向かいあたり。レコファンの中を突っ切るのなら、南口からメインの通りで行けるんだろうか?。試してみればよかったんだけど。下北沢が今だにどこがどうなってるのか、そもそも下北沢って東京のどのへんかさえよくわからないんだよな、もう何十回と行ってるのに。不思議な街だと思う。ラ・カーニャはその名の通り、メキシコ風なしつらえのお店で、濃く、キチンと作ってくれるジントニックが美味しい。あんまり美味しかったので、休憩時間に2杯目のカンパリソーダも飲んだ。これも苦くて美味しい。ステージにはピアノとマイクが1本だけ立っていて、ステージを取り囲むように、ステージの奥の席までも開放されて客席が作られてた。イスも丸いパイプ椅子から、エマニュエル婦人に出てくるような籐の椅子までまちまち。私は真中あたりのそのエマニュエル椅子をゲットして、座りごこちはよかったのだけれど、ドリンク飲み過ぎ&落ち着いた椅子のせいか、ちょいと落ち着き過ぎてしまったかも、反省。お客さんはライブが始まるまではちょっと暑いくらいにギッシリ詰まっていた。盛況のようでなにより、なにより。

前回行った吉祥寺のワンマンと同じく、この日も2部構成。イベントで一緒になって、演奏の素晴らしさに惚れこんでスカウトしたという東京60Wのスギウラタクオさん(ピアノ)がこの日のパートナー。スギウラさんのピアノは前へ前へ押し出してくる感じじゃなくって、マモルくんの歌をより綺麗に浮かび上がらせてくれるようだ。じっくりとした感じの曲の多いこの日のセットリストがとってもゴージャスに聞こえた。一緒に行ったうちのダンナは大絶賛の嵐。すっかりスギウラさんの演奏に惚れこんでしまったようだった。中休みでは、柴山一幸さんが2曲ほど演奏。2曲とも歌詞がうーん困っちゃうなと正直思った。ちょっと観念的過ぎるんじゃない?っていうか、女の子からすればそんなこと言われても困っちゃうわねというか。けれども、声とギターとハーモニカが不思議な絡み方をして、とってもカッコいい。暗い夜空に星がキラキラ光ってるような感じで、ふわーっとファンタジーの世界に包み込まれるような気分になれる。前に柴山さんのレコ初で聞いたときよりも、いい面でも悪い面でも押しが強くなった感じがしたな。

セットリストは、1.ゼッタイしたい 2.犬とネロ 3.タナベからの手紙 4.高い塔の天辺で 5.らっぱのパレード 6.24もの微妙な行程 7.ラブストーリー 8.グローイングアップ(柴山さんライブ)9.風 10.愛してるよマイ・フレンド 11.ペッペッペッ 12.ベイビーの正しい作り方 13.遠くの国から 14.ボディ・ローション 15.吐けよ!この手に 16.俺たち!ウイークエンダーズ 17.愛されちゃってシンガー・ソングライター(アンコール)18.時刻表の無いバス停 19.さらば友よ 20.好きだっちゅうねん

「高い塔の天辺で」、「らっぱのパレード」、「時刻表のないバス停」はまだCDでも聞いたことがない本当に初聞きの曲だけれど、綺麗な発音で歌詞もちゃんと聞こえるし、少しずつズレていくようなギターのコードがカッコいいし、複雑で繊細なメロディに胸がキュンとしてしまう。そんな中で、24もの微妙な行程の軽快なイントロが聞こえた時には思わず噴き出してしまった。絶妙な展開ですね〜。マモルくんのライブは「ここでコレが来るかァ?」っていう裏切りがあって、でも、どっかでちゃんと意味が繋がってるから『面白い〜っ!』って感心することが多い。そして、新曲の「グローイングアップ」も初聞き。この曲、歌詞も曲も身に染みる。高い塔やらっぱと比べて複雑なところはないけれど、とっても身近で、とっても親しみやすくって、すぐ口ずさめて、元気がでる。マモル歌にはちょっと捻った人生モノも多いけれど、これはかなりにストレート。途中、ぶちんとギターの弦が切れた音が聞こえてくるほどの熱の入った演奏。最近は見も心も弱っているせいか、リアルな情景の歌詞とストレートさ本当に励まされてしまった。

後半はマモルくんの歌声に圧倒されっぱなし。高音はちょっと出しずらかったみたいだけれど、中音域の声のきめの細かさに背中がゾクゾクしっぱなし。「マイフレンド」、「ベイビー」、「ローション」のしなやかで、ちょっとクールな歌い方にはかなーりヨロめいてしまいそう。ついさっきまでは、同志だと思ってたのになぁ(すっかり嵌まってる私)。「ペッペッペッ」と駆け上がるようなメロディを2人で唄うコーラスがめちゃくちゃカッコいい。私もココ歌いたいよ〜。「遠くの国から」と「さらば友よ」のスギウラさんのピアノに思わず涙を誘われ、マモルくんの呟くように出る声には口の奥の広がりと湿った空気を感じさせられ、ここぞという時にピーンと出てくる声に背骨の両脇の筋肉がブルブルと震える。何か今日は「田辺マモルコレクション01.秋」という感じだなぁと、じっくり色んな側面のマモルくんを鑑賞させてもらっているなぁと圧倒されかけたんだけど、スギウラさんのカッコいいウエスタンでグルーヴィなピアノで始まる「吐けよ!この手に」ゲロ〜っで一気に鑑賞モードから爆笑モード(ちょっと韻を踏んでみました:恥)。でも、この曲のギターも笑いを取るはずの酔いどれ風ギターソロまで含めてもカッコよかった。前半部分でも思ったんだけれど、この日は本当にマモルくんがしっかりギターを弾いていて、演奏がパシッと絞まった感じがした。

この日はマモルくんよくお話していました。ご自分で「ちょっとしゃべりすぎちゃったかな?」とおっしゃってましたが、いや全然多くないっ。昔のあだ名やらニューヨークに行った時の話やらやゲロの彼女の話興味深い話も多かったし、セットリストのバラエティさも含めて、まさに「ワンマンライブ」という感じ。いいライブをありがとうございました。


 
2001/09/18 CLUB Que 7th Anniversary(Gash&analers):Club Que@東京・下北沢
 
先行はGash。初めてだったんだけれど、これがすんごくよかった。とっても気持ちいい音、しっかりとしたグルーヴ。こうギュルギュルギュルと目が回るようなそんな気持ちよさがあった。ボーカルもしっかりとしてるのに、柔らかくっていい声。いわない町ってニセコの岩内町?。そう言われてみるとオータムストーンやソウルズベリーのような雰囲気あるかも、先入観とは思いつつも、暗いけれど明るい。灰色なのにどっかカラフル、水分たっぷりなのに湿っていない。そんな感じのバンドでした。また、ぜひ、見たいなぁ。

穴は、まず、オレンジと黒のツートンカラーで立て襟のジャンパーを着た恭一がステージに登場。一番初めに出てくるなんて珍しいことがあるもんだと見ていると、他のメンバーは出てこない。どうも、ひとりでやり始めるらしい、一瞬サングラスの下に透けて見えた眼が嬉しそうに、またはイタズラっぽく笑ってたのが印象的。くるっと舌を一回回して、ガシッとギターを構えて弾きだした優しいアルペジオの1.INEMURI。初めてだったからまずは感動。ゆっくりしたメロディもあってか、久々に粘りつくような伸びのあるボーカルを堪能。途中から他のメンバーも登場し、それぞれのパートの音が重なっていく演出も泣かせる。

いや、こうやって杉本恭一&アナラーズが始まったんだねぇと曲の最後の恭一さんの歌声に聞き惚れていると、突然、ジャンジャジャンと2.APPLEのイントロがピクチャーミュージックのアルバム通りに入る。その次が3.RESET、そして、4.BABAR 5.便所 6.UNDERGROUND 7.プラスチック 8.L 9.AnaBoliCsteroiD 10.A.P.A.S. 11.Time machine 12.merry-go-round 13.天プラ 14.ワーパー電波という曲順で、アナラーズの歴史を順に追って行くような構成のライブだった。アンコールは、Viking spam 2.TACO。MCも少なめで、牧場にPV(屑のらしい)を取りに行ったら『水戸ちゃん』という名前のウシがいて、その前で写真を撮ったという話(全然違ってたら、ゴメン)。もうちょっと何か話していた気もするけれど、いつも以上に「う〜」とか「あ〜」とか多かったような気もしたけれど、ともかく「こっから先はノンストップで行きます。ラスト9曲!」のような体力低下の甚だしい私には恐ろしげなことを言ったかもしれないし、違うかもしれない。

何より嬉しかったのが、3曲目のリセット。恭一体いっぱいを使ったアクション。この日は、「メガネを外して」で、バッとサングラスを取ったんだけれど、ギョロっと見開かれた目がとても印象的だった。懐かしいガッツンガッツンとくるリズム。便所までの曲は、それぞれのパートの音が正面からぶつかって、白い波しぶきがガンガンと上がっているみたい。BABARの音の洪水のような翻弄感がたまらない。気持ちええ〜。やっぱり私はこの感じが好きだなぁと思いつつも、UNDERGROUNDの立て板に水のような疾走感にもシビレ、久々のプラスチックとLも今まで以上にグルーヴしているようで、踊りまくる。Lの恭一さんのインド風のギターソロって前もあったっけ?。カッコよかった、大トロでまた聞きたいっ!。そして、恭一さんの曲名紹介入りで始まったAnaBoliCsteroiDからはよりリズムは複雑になり、音の絡みが繊細になっていく。「ぶつかる」ってんではなく「絡む 」という感じ。それぞれの楽器の音がちゃんと聞こえるんだけれど、バラバラじゃなく一つの形を作っているみたい。それが天プラの怒涛のウエケンベース(あの機関銃ベースを見たかっ!?)で一旦ぐちゃぐちゃに崩されて、ワーパー電波の今までの何もかもが突っ込まれて、溶け合って、ユルイのか激しいのかわからない奇妙なグルーヴですっかり昇天。ほーーんと気持ちよかった。

ミュージシャンやバンドの「現在」が好きだと、特にひっかかりもなく言えることは一番幸せでなんだろうと最近特に思う。自分だってそうだもの。作りたいもの、伝えたいこと、興味のあるものは日々変わっていってしまう。自分一人でもそうなのに、何人か人が集まればその傾向はドンドン加速する。逆に、ヘンに意識して、共同体のテーゼを守ろうとすれば、共同体は硬直化し、お約束的なものになってしまう。「あの人はずっと変わらない」なんてのは、厳密な意味ではウソだ。変わらないように見えるのは、見る側が見られる側と同じように変化しているからだ、2台の電車が並んで走ってるようなもんじゃないだろうか。私はノーマルポジションの曲ってなかなか馴染めなかったんだけれど、今日のセットリストは、それらの曲のよさを自然に教えてくれたって感じがする。ちょいと穴と同じ方向向けたかな?。ありがたいライブだった。ほんと、ありがとね〜。


 
2001/09/12 サード・クラス代沢レコード入学式〜ミクロ・ポップ発表会〜(エレキベース、nino trinca、サード・クラス):下北沢Club Que@東京・世田谷区
 
1ヶ月ぶりのニーノ・トリンカ!.ひゃっつほぅ!、ninoはニーノって伸ばして読み書きしてね.マエストロもステージでブツブツ言ってたわよん(はぁと).なんて、相変わらずのオバさん愚痴は横に置いておいて、いいですわね、いきますよ、ニーノ・トリンカ。サードクラスのレコ発ライブにおよばれですの。最初に出演した、人形劇付ビートルズ風バンド、エレキベース(ちなみにキーボードの彼がカッコいいんですの。すらっと長い手足、風になびく黒髪。ぜひうちの甥っ子になっていただきたいとお願いしたいくらいです)。当然トリを勤めるサードクラス(生で聞くと怒髪天がインディー時代のスピッツの曲をやってるような感じに聞こえました。でも、PVを見ると全然おしゃれでポップ。不思議なバンドですわ)共々、若くなきゃコレはできん!っていう雰囲気満載の個性的なバンドだったものですから、さて、平均年令が30の大台に乗ってると思われる我等がニーノ・トリンカ、どうなることやらと思いましたが、なんのことはない、一番力が有り余っているようでございました。

この日のメンバーは、敬称略でいきまして、上田禎、HONZI、Chaco、Alan Patton、角森隆浩、鹿島達也、そして新登場のギター清水弘貴の総勢8名様(やっぱ、多いわ〜)だったのでありますが、ドラムのチャコちゃんとコントラバスの鹿島さんを除いた5人がずらーっと横並びになって、それも、ステージの一番前といっていいくらいのところに、ステージから落ちんばかりに並ぶ訳ですから、それはそれは凄い迫力でございました。上田禎さんなんてステージのギリギリ一番前に置かれたエレピを乗り越えんばかりに腕&上半身をぐいぐい前の方に放り投げ出しておりましたし、HONZIさん(レインコートともワンピースともつかぬ不思議な丈と形のお洋服を着ておられました。衣装もかなり凝ってますねっ)などはバイオリンを構えて立っているだけでも、オーラ大放出、凄い存在感でありました。今回は上田禎さん前にいたので、角森さんより向こうや後の方々があまり見えなかったのが残念至極。

と書きつつも、実際のところ、私の目線は2曲目より登場の角森さんに釘付け。ここから先は角森さんレポです。仕方ないんです、本当に惚れてしまったみたいなんですものっ(はぁと)。この日は、しょっぱなから終わりまで、前回のワンマン以上のハイテンション。「括約筋が緩む」というアタリから始まった下ネタは、上田禎さんのエレピとHONZIさんのピアニカ(たぶん、吹き口を使わないで、そのまま本体をくわえていたような)の美しい生SEの時をバックに「うんこぶりぶり〜」など歌うレアかつロウな所まで進行しておりましたです、はい。一番この日面白かったのは「お金持ちになったら、金持ちの象徴の金歯を入れて、それも歯を全部金歯にしてやる〜」っていうお話でして、そろそろ次の曲の用意を、という感じで椅子に座ろうとした上田禎さんがコケて、回転椅子の上に腹這いになって、クルクル回りそうなくらい受けておられました。

Chaco Shock!の前のMCでは、「では、ハミングス(ニーノトリンカの前にやっていたバンド)の誇ります2人の美女・・・・あっ!」とバンドの名前を間違え大慌て。「これをやると一番落ち込むんですよ」と頭を抱えておられました。その反省の心も入ってか、Chaco Shock!では、後で力いっぱい踊っておられましたです。もぉ振りつけバッチリ、かっわいいーーー!。ちょっと真剣な面持ちでエレピを弾くHONZIさんと、カッコよくギターを弾きコーラス(チャコさんの声と絡む上田禎さんの声の絡みはめっちゃセクシーでゾクゾクします)をつける上田さんの間から、角森さんの愛嬌たっぷりの表情とダンスが見えるのは、ちょっと空間歪んでない?って感じでとってもよろしかったです。(と書きつつも、この曲を聞くうちに、角森さんのボーカルで聞きたいという強烈な思いが湧きあがってきたのも事実でありまして。生で聞いたことはないのですが、元歌の『恋のショック』の角森さんのボーカルも絶品なんです。今のニーノトリンカには合わないかもしれないんですけれど、いつかどこかで聞かせていただきたいっていうことで)

いえいえ、角森さんはお笑いだけの人じゃありませんったら。哀しい哀しい曲調の冬の光の時に見せてくれた、まっすぐ遠くを見つめていた角森さんが、手のひらを差し出し、そこに雪が落ちてきて、すっと溶けてしまう、という演技。何故に角森さんはこんなに哀しいんだろうとこちらまで胸が潰されそうでありました。上海での、哀愁を帯びつつもそれを跳ね返すような浪々とした歌いっぷりも見事でございました。しかし、上海ってのはいい曲です。前回のワンマンの時よりも、一回り大きいグルーヴを感じて体がぐあんぐあん揺れそうでした。前奏や間奏で奏でられるジャンジャンジャンのテーマも中国風というよりも、あんたのバラード風になってたといいますか、こうやって書くと悪口みたいですが、そうじゃなくって、それだけグルーヴ感あるってことで・・・。許しておくれやす。

グルーヴ感といえば、さすが下北沢Club Queっていいますか、前回の吉祥寺のマンダラ2と比べて、今回のニーノの音は随分メタリックで電気音楽らしいダイナミックなグルーヴ感が満載でございました。不思議なリズムのL'auto Inglese(どうせ私はタコ踊り〜ん)、上海、そしてシメのRumba Americanaあたりはホント音の洪水に酔ってしまいそうなくらい。そうそう、このアタリで新ギタリストの清水さんのキュイーンという効果音やガッツンガッツンと弾くギターの音がめっちゃカッコよくって、思わず頭をぶんぶんと上下に振ってしまいました、はい。やっぱり体が反応してしまいますねっ。いやぁ、上田禎さんも相変わらずのマエストロぶりで、メンバーや客席に色んな指示(指揮)を出すような身振り手振りも抜群にカッコよく、やっぱりニーノ・トリンカ凄いなぁと、凄いなぁ、凄いなぁと。そして、その中に角森さんがいるのがなんだか不思議で、でもだから、こんなにニーノ・トリンカが好きなのだなぁと思ったのでした。で、セットリストは以下の通り。

1.Kings Road Shuffle 2.Waltz 3.Le Cabaret Milan 4.Bacharach in Paris(仮題) 5.Chaco Shock! 7.冬の光(仮題)8.L'auto Inglese  9.上海 10.Rumba Americana


 
2001/09/02 aiko:NHKホール@東京・渋谷区
 
ダンナのお供で2回目のaikoライブに行きました。席は1階の左側真中あたり、席についているとよく見えるのですが、何しろ回りは野郎ばかり、立ってしまうとステージがあまり見えずめっちゃ残念。一曲目の「飛行機」がこうぐーっと自分の内の中に入っていくような内省的な感じに溢れていて、この曲に関してはとてもよかったんだけれど、次からの明るめの曲もどっか抑え目で真中でじっと歌っていることが多かったような。去年、12月に初めて見たときには、もぉ初めっから終わりまでステージを駆けずり回っていた印象が強かったから、何か煮え切らない感じで始まったライブでした。でも、その分、中盤の弾き語りコーナーがもぉ絶品モノで、しっとりした感情が溢れていて、自分の中に大切な歌を抱え込んで育んでいるような、そんな素晴らしさがありました。もしかすると、喉のトラブルでの休養で、これまでガンガン外を向いて表現してきたモードが、自分の内に向かって深いところで表現したいというモードに変わってきたのかな?なんて思わせるくらいでした。

しかし、そんな雰囲気も本編ラス前のボーイフレンドからは、aikoの体もぐいぐい動くようになり、リズムにのって、ステージを右から左へ移動しながら、歌い上げていくアクションも復活してパワー全開。手を伸ばして、ぐいぐいと自分でリズムをふん捕まえて、歌ひとつでグルーヴを作り上げてく、パワフルな歌にめっちゃ感心したのでした。バックを支えるミュージシャンの人達もこれはやり甲斐あると思うわぁ。aikoのバックの人達、すっごく嬉しそうに、やってるんだよね。もちろん、ファンの人達の熱烈な気もちも。見ていて、すっごく幸せな気分になれるライブでした。