鉄砲玉日記

 

2000年7月28日
FUJI ROCK FESTIVAL '00(新潟県:苗場スキー場)
 

初めてのフジロックに行った。初っ端から捻挫しちゃったり、雨がザンザン降ってたりして、コンディション的には全然よくなかったけど、不思議とすっごく楽しかった。なんとなく大人っぽく、思ったより、のんびりと、ジワジワと、しみじみと、ワクワクと、自分のペースで遊べたような気がする。今年はレピッシュ目当てで行ったんだけど、こんなに楽しめるなら、絶対また来年も行きたいなぁ。

自宅を車で出発したのが5時45分。6時に待ち合わせしてた同行のMさんに早速遅れちゃうのでゴメンね電話をかける。彼女を乗せて、関越道に乗ってからは順調に車を飛ばして、9時半頃に苗場に到着。空は曇っているけど、暑くなくっていい感じ。このまま、雨が降らないといいんだけど。その後、現地集合のPさんと一緒に会場に向かった。時刻は10時過ぎた頃。開場は9時だったはずなのだけれど、会場へ続く道はすっごく人が並んでいて、苗場プリンスホテル前の駐車場なんて人の列が二重、三重になってる。列に並んでもなかなかすんなりとは前に進まない。で、段々暗くなってきて、とうとう雨も振り出してしまった。しかし、一体入場口はどこなんだろう?。苗場プリンス前にずーっと直線の道が続いているんだけど、その一番前まで人の列は続いていて、その向こうがどうなってるかがまだわからない。

レピッシュの出番は確か11時だったはず(ホントは11時半だったんだけど間違えてた:笑)。入場ゲートをくぐれたのは11時10分。あぁ・・・もう、間に合わないかもーーとますます降ってきた雨も恨めしく、とにかくホワイトステージに向けて走った。でも、入場ゲートに程近いメインのグリーンステージからホワイトステージは遠い、遠い。グリーンステージ付近の起伏のある芝生の丘を駆け抜け、林の中の長い土の歩道をぜいぜい言いながら走り続ける。レピッシュ始まっちゃってるんだろうか?。もう、走れんかもーーと思い出した11時半、聞き覚えのあるホーンの音色が聞こえてきた。あーっ!!Controlだーーーっ。レピッシュ始まってるよぉぉぉ!!と焦りつつも、気分はウキウキしてきた。もちろん、お決まりのジャンプタイミングでは一緒に飛んだりして、エライ元気になって、また、だーっと走り出した。澄んだ水がドウドウ流れる沢に掛かる橋を越えると、少し上り坂になっていて、それを越えると辺りがぱーっと開けてホワイトステージが目の前に。あー、なんとか間に合ったよーーって思った途端、左足がグニっと横に倒れて、グキっという音がした。すぐに痛みが襲ってくる。うわーっ、やってしもーたとも思ったんだけど、痛みはニブいどーんとしたものに変わってきて、どうやら骨とかは大丈夫みたい。とにかく前でマグミが歌ってるんだもの。突撃じゃ〜と、ステージの向かって右手の一番端っこに取りついた。

この日のメンバーの服装はマグミが茶色の半袖シャツに紺の短パンにつば付きの帽子を被っていた。向こうの方にかすかに見える現ちゃんは赤っぽい半袖シャツにやっぱり短パン。達もやっぱり短パンに白いTシャツに白系のシャツを重ね着してたような気が。幸好は黄色の半袖Tシャツに長いパンツだった。そして、恭一はエンジの短パンに薄いムラサキの地に濃いムラサキのマーブルっぽい模様の入った半袖シャツ。紫系統の恭一の衣装って初めて見たような気がするんだけど、不思議な感じでなんだかよかった。そして頭にはヘアバンド!!。久々のレピッシュ恭一で、それだけで、めちゃくちゃ嬉しいっ!!。気がつけば、恭一のソロギターが鳴りだして、曲がpoor boyになってる。うおおおおおおおーっ!!。騒ぐぞーーって、周りの人の迷惑も顧みず(ゴメンナサイ)飛び跳ねてしまった。ふと気がつくと、隣にいつのまにかはぐれてしまったMさんとPさんもいて、やっぱり跳んで跳ねてる。雨の中で大騒ぎするのってめっちゃ楽しいーって興奮していると、目の前で恭一が前後股割きギターをワシワシワシって感じで弾いてるの。その股割きの速さがじっくりジワジワって感じで、丁寧にやってる感じ(笑)ですっごく気合いが入ってるようだった。

その後、マグミのMC。こんな感じ。「ようやくいい雰囲気になってきたぜ〜。俺達もようやくフジロックに慣れてきたかな?。さっきまでは慣れてなかったんだよぉ(会場笑い)。次の曲はチンポの裏に垢が溜まってなかなか取れないホ−ケーさんの歌です・・・・」。案の定、あんまり受けない(笑)。でも、男の子の笑い声もそこそこ聞こえたような気がする。でも、マグミは「あ、外しちゃったかな〜〜?」とテレ笑いをして、トランペットを構えて吹き出すと、始まったのはパヤパヤ。トロンボーンの人は見かけない人だった(と思ったら、髪型を変えたアンスキャンダルのガジローくんでした。すまん)。スカファンが多いせいか、中央辺りのノリはスゴイことになってるみたい。私がいた恭一側の端っこはあんまり暴れ系の人はいないものの、前にいた男の子二人組がじーっと食い入るように(多分)恭一のギターを見つめてる。周りを見渡しても、結構男の子がウンウンって感じで乗ってるじゃないのっ。いやぁ、雨だけど、いい雰囲気!!。で、パヤパヤの時に気がついたんだけど、すっごく音がいいの。ホーンの音も一つ一つはっきり聞こえるし、ベースやドラムの音がズシズシと体に響いてくる。でも、耳にはツンツン来ないという絶妙の音が鳴っていて、数少ない私のパヤパヤ経験の中でもはっきり言ってこの日が一番カッコよく、素敵に聞こえた。リズムがシャキシャキしてて、あんまりゆっくり過ぎなかったのもよかったなー。

で、この後、混沌とした時代をやって、「今度は新曲を聞いてくださいー。ウォーター」とマグミが言ったように聞こえた。よく聞き取れなかったから違うかも。間違ってたらゴメン。これは、しっとりとしながらも、ズンズンと熱いってタイプの曲。いつまでもどこまでも、望遠鏡で見える星よりも遠くへ進みつづけてやるーって感じの歌詞があったようななかったような。途中で、マグミと現ちゃんが並んで美しいメロディのコーラスをやってたから、多分、現ちゃんの曲だと思う。現ちゃんの曲で、題名が「water」だったら、これはとっても大事な曲(現ちゃんの歌詞の中では水は音楽の比喩だと思うんだけど違うかも)だと思うんだけど、ホントに何ていう題名なんだろう、気になるーーー。この2曲で少ししっとりとした会場だったけど、この後の、ヒゲパワー、デストロイ(曲順不明:笑)で、もう一度ガンガンと盛り上げる。端っこだったせいもあってなかなか現ちゃんの姿が目に入らなかったんだけど、ふと現ちゃんが目に入ったと思って、そちらの方向を眺めてみると、なんと現ちゃんはすっごく向こうの方に、スピーカーの前も通り過ぎて、ほんとのステージの端っこの方でショルキーをブン回して弾いていた。で、どんどん端っこに行ってしまうので、それを追いかけて、ショルキーのケーブルを伸ばそうとしてるローディーさんの動きがまた涙を誘う。そして、ブレイク後慌てて、ステージを走りぬけて戻ろうとする現ちゃん。転ばなくって、ほんとによかったです(笑)。

恭一も前に出て、弾きっぷりをみんなに見せるように前を向いてギターを弾いていた。ギタのネックを高く持ち上げて、ピロピロ弾いて、そのギターを落とし気味にして、ギュワギュワーって弾いたりして。あと、ギターを弾くたびに、手を前に向けて手首をくるくるって回す煽りのポーズもいつも以上に多かったような気がした。で、お馴染みのコイコイって感じで手招きする時でも、口が何か動いていて、会場にもっと来い、もっとーってしゃべっているように見えた。怒ってるようにさえも見えた。で、それに煽られて、お客さんがどーって盛り上がってくると、ちょっとだけ嬉しそうな顔をして、また、もっと、もっとって感じで、手招き(っていう言葉はあの力強さには似合わないんだけど)をくり返してて、なんか久々にギチギチって感じの恭一だった。カッコよかったっ。で、この後、最近、いつもやっている新曲、緩急のはっきり分かれている曲をやった。一度、恭一がポーンとピックを飛ばして、ステージがしーんとして、終わった〜って拍手をしようとしたら、また恭一とマグミが中央に走り出てきて、ガンガンやり始めて。終わりの頃には一杯ギターソロもはいってたし、随分アレンジが複雑になってて、ますますカッコいい曲になってた。あぁ、今度のワンマンがめっちゃ楽しみだ〜〜っ。

この終わった後、すぐに恭一が、ステージの真ん中で前につんのめるような風に腰を折り曲げて、ギターを構えて、達と雪好の方を見てるの。体を揺らして、まるで二人に襲いかるんじゃないかと思うくらいで。最近、見慣れてきたせいかもしれないんだけど、レピッシュの時と穴の時の恭一が同じように見えるようになってきた気がする。前は「人が違うんじゃないか」って思うくらい違う雰囲気だったんだけどね。で、ぐーっと恭一のしゃがみ具合と一緒にこっちの気持ちも高まってきて、始まったのはLOVE SONGS。いつの間にやら、帽子とシャツを脱いで、上半身裸になっていたマグミが、恭一側ステージの前に張り出してあるお立ち台に来て、ガンガン煽りながら歌った。これがもう私の目の前で、声を振り絞るたびにお腹の筋肉がきゅーって動いて、首の筋ががーって立つのがよく見える。目線はもちろんもっと遠くにいるお客さんのところまで飛んでいってるんだけど、下からその顔を見上げるとめっちゃ男前っぽかった。久々にマグミを堪能してるって感じだった。で、マグミの髪はスポーツ刈りくらいまで短く刈り込んであって、トップとフロントだけ、少し、ツンツンとできる程度の長さが残してあるくらいで、丸々金髪になってた。これが、なかなか若々しい感じでよかった。

気がつくと、恭一がステージ中央で最後のギターソロをガシガシ弾いてる。中央の恭一めがけて、他のパートの音も渦を巻いて流れ込んでいくように、ドロドロと渦を巻いているみたい。恭一もどんどん乗ってきて、最後はステージ中央で仰向けになって、弾きまくってた。ほんと今日はスゴイなぁって感激してるところで、マグミの「ありがとー!じゃ、フジロック、楽しんでいってくれー」の挨拶。うわーっ、もう終わっちゃうのっ?。ほんと短過ぎる。もっともっと聞きたかったよーっ。で、楽器を下ろそうとした恭一が達の方を見てニッコリと笑った。実は笑ったかどうかはわからないんだけど、横に広がった口の端が横からでも見えたから多分笑ったんだと思う。で、達も嬉しそうに、ちょっと意外そうにニコニコって笑い返した。うわーっ、やっぱり達の笑顔っていいなぁと思いつつ、ぼーっとしているうちにメンバーがみんな退場して、こっちもようやく後ろを振り向くと、私が来た頃よりもずっと多くのお客さんがホワイトステージを取り巻いていた。みんな、レピッシュを聞いて、どんな風に思ったんだろう。一人でも多くの人がレピッシュ見てくれて、いいなって思ってくれるといいなぁ。雨もようやく小降りになってきて、なんだか嬉しい気持ち一杯でホワイトステージを後にした。


ご注意
ここから先はライブレポではなく、ましゅましゅのフジロック初体験記@だらだらリアルモードとなってます。
食べてばっかりです。ゴメンナサイ。

レピッシュが終わった後、グリーンステージ前の芝生へ場所取りをしに戻った。二つのステージを繋ぐ細い林道は人でいっぱいでまるでラッシュアワーの駅構内のよう。グリーンステージの端っこにあるグッズショップもすでにお客さんが長蛇の列を作っていて、改めてフジロックの規模の大きさを実感した。雨はまだ止まないもののかなり小降りになってきて、ペットボトルに移して持ってきた白ワイン(場内には瓶・カンの持ち込みはできません。ご注意を。)を飲みながら、おつまみのサラミをつまんでのんびり一休みするなんていう余裕があった。雨に濡れながら飲む白ワイン。これが結構いける。緑の匂いがすっきり味の白ワインにあっている。ハーブの粉が回りにみっしりついたサラミをひとくち食べると、ちょっと酸味が出た肉の旨みとハーブの香りが口いっぱいに広がる。そして、また、ワインを一口。今度は、それだけでは感じられなかったワイン自身の旨みが出てくる。わー、これ、めっちゃ相性がいいや〜んってめっちゃ嬉しくなった。

雨の中で黙々とサラミの白い脂身を食べてると、昔読んだ北極圏を犬ぞりで走破した植村直己の冒険記を思い出す。彼はエスキモーの村に行って、初めてアザラシの生肉をごちそうになった時、赤身の肉の上に分厚いアザラシの脂肪を乗っけて食べることを教わったのだという。脂身が寒い気候を乗り切る体力を作るらしい。私も脂身をいっぱい摂って、この難局を乗り切ろうと思うとますます食欲が湧いてきて、あっと言う間にサラミは1/3以下になり、ワインも半分くらい飲んでしまった。ずーっと前方のグリーンステージではTHE KILLER BARBIESが演奏を始めていた。色っぽそうなお姉さんがボーカルのバンドだ。オーソドックスなロックだと思うんだけど、お姉さんの派手なパフォーマンスとわかりやすいメロディでとっても楽しくっていい感じ。相方はベースがめっちゃ上手いと言っていた。「シーナ・イーストン」とか「トレイシー・ローズ」とかなぜか女性有名人の名前を連呼する曲があったりして、なんか面白い歌なのかも〜って思った。最後の曲では感極まった声を何度も張り上げて、ステージ上を転げまわるボーカル嬢。すんごく色っぽくって、ちょっとこっちの顔が赤くなるくらいだった。

この後、レッドマーキーで、PEALOUTを見て、近くにある屋台でご飯を食べようと移動開始。と思って立ち上がろうとしたら、最初に挫いた足が腫れてきてるみたいでかなり痛んできていて、左足を引きずりながらの移動となった。グリーンステージとレッドマーキーの間はかなり短くさくさくと歩いていけば5分くらいの距離。でも、痛んできた足には結構ツライ。ゆるい坂なのに足にどーんと重みがかかって、ギチギチと痛んだ。ステージは大きなテントに覆われて、テント内に入るとほんとに人でぎっしり。ここでずーっと雨を避けている人も多いのか、テントの端っこにはたくさんの人がまるで死んでるようにゴロゴロと寝ていたりもして、一番人口密度が高い場所だったに違いない。ステージ前にも人がぎっちり。PEALOUTが出てくると凄い歓声。その歓声でテントがぶるぶる震えるようだった。「あー、レピッシュここで見てもらえたらどんなによかっただろう」とちょっとだけ悲しくなった。PEALOUTはベース&ボーカル、ギター、ドラムの3ピースバンドで、かなりハードでコアな感じのロック。英語の歌詞が多いようだけど、メロディは湿った感じで、ちょっと和風な感じもする。各パートの音がきっちり揃って、どーって疾走していくのがとってもカッコいい。ほんと凄い音だーー。7月23日に新宿リキッドのイベントでも見たんだけど、今日の方が数段音が分厚く聞こえる。やっぱり、これはここの音響のせいかなぁ?。踊ったり暴れたりするには、すっごく気持ちのいい曲なんだけど、惜しむらくは、私にはちょっと単調に感じてしまう。最後にルースターズのC.M.C.のカヴァーをやってこれがめっちゃよかったもんだから、やっぱりメロディがもうちょっとポップなのが私の好みなのかなと思ったりもした。

お腹もかなり空いてきたので屋台街に出発。ちょうどテントを出ようとしたその時、グレイプバインファンの、さっきのMさんと違うMさんとYさんに声をかけられた。彼女達がフジロックに来ているのは知ってたけれど、こんな人ごみの中で会えるなんてーー。めっちゃ嬉しかった。屋台街はちょうどお昼時ということもあって、どの屋台も結構行列していた。待ち時間15分くらいかも。買ったものは、焼いた肉と野菜を薄いパンにはさんだドネルケバブ(500円)、坦々面(500円)、焼き餃子(350円)、同じくケバブにご飯とジャガバタ添え(600円)、ザクロフローズン(200円)、アンズジュース(100円)。どれも、ちゃんとした味でそこそこ美味しい。値段もそんなに高くないし、食事はなかなか良心的じゃないかと思った。特に坦々面は辛い肉餡が美味しくって、麺もちょっと硬めに茹でてあってよかったし、焼き餃子もしっかりとした分厚い皮にお肉たっぷりの餡でおいしかった。他にもおいしいと評判のタイラーメンや、とってもデカい串刺し牛肉焼きにも心引かれたけど、おなかもいっぱいになってきたのでここでストップ。レッドマーキーテントの反対側にも色々とお店があって、中でもワインのお店のメニューに豚肉のパテとか鳥レバーのパテなんてのを発見してしまって、めっちゃ食べたかったんだけど、断念することになって残念だった。

お腹いっぱいになってグリーンステージ前に戻って、ようやくシートの上でのんびりできるぞ!、お薦めのエリオットスミスを聞くんだ〜っ!!て、雨で汚れたシートを拭いて、腰を下ろしたところで、雨がポツポツ。そして、すぐに本降りになってきた。今度の雨はかなり強い。みるみる間にカッパの下のTシャツまで濡れてきてたので、ともかくレッドマーキーに一旦避難だと移動しようとしたけど、かなり足の痛みも酷くなってきて、テントに到着した時には結構バテてた。そして、テントの中はお昼の時以上の大混雑。軒先にもぐり込むだけで精一杯という感じだった。降りやまない雨と冷えてきた体と足の痛みにとうとう気持ちはギブアップ。ひとまず宿に戻ることにした。帰ると、レピッシュのステージの後に別れたMさんとPさんが先に戻っていた。レピッシュが終わった後ですぐに戻ってきたらしい。そして、これからフーファイターズなどなどを見るために出発しようとしていた。あー、お二人お薦めのフーファイターズ見たかったんだよなぁ。スケジュール間違えちゃったかもとちょっと悔しい思いをしながら、お二人を送り出し、お風呂に入った。足はかなり腫れてきてて、外から見ても足首が変形してる。困ったなぁ、このまま会場に戻れなかったらどうしよおと思いつつも、ともかく昼寝だっ、フテ寝するぞっ!(つづく)。