鉄砲玉日記

 

2000年6月6日
analers&バーベル(大阪:大阪ブランニュー)
 

翌日は大穴こと大阪ブランニューでの穴ライブ。名古屋が捨てたら突然変身しやがって、復讐してきた前の女(いや、いい女になったよ、名古屋)なら、大阪は昔のまんまの元彼女。ちゃんと言うと、元彼女の親友ってところなんだけど、まぁ、いいや。昔語りで愛を確かめるにはどっちだっていい(バカ)。ともかく、大阪は私に優しかった。腹がすけば覚えている通りの場所に覚えている通りのカレー屋が現れ、大丸と阪神の間の地下通路の猫ババァは健在で、停車駅を確かめないまま乗り込んだ大和路快速内回りはちゃんと西九条に止まってくれた。相方に教えてもらったとおり、JR西九条の駅を出てすぐ南側を見てみると、すでに穴ファンらしき女のコ達が溜まっており、おりしもちえりちゃんがブランニューの入口らしき階段から降りてくるところだった。

大阪ブランニューはJRの線路の高架下にあって、そういう所によくあるちっちゃな居酒屋が脇を固めていて、ライブハウスがあるなんて全然思えないような外観。でも、階段を上がって中に入ると、まずはウッディなエンタランスがあって、そしてライブフロアに繋がっているという結構おしゃれな造り。しかし、ライブフロアに入って、さぁ、ステージに向かって突撃ーっ!とステージ方向を向いてびっくりした。もぉ、ステージの横幅が狭いのなんのって、5〜6mくらいだったかも。なのに、縦方向は20mくらいあるんじゃないかと思うくらい細長〜いハコだった。なんとかウエケン側最前列を確保して、前を見るとステージ前にはなぜか幅50cmくらいのベニヤの細長い台が横たわっており、その向こうに黄色いカーテンが降ろされていた。うん?なんかヤな予感がする。もしかして、ステージ、めっちゃ遠い???。しばらくしてカーテンが開いたんだけど、予想は的中。ステージはかなり奥まっていて、センターのマイクからフロアの最前列まで2m以上ありそう。ドラムなんて、なんだか霞んで見える。まるでシルバニアンファミリーのミニチュアモデルを覗き込んでいるような気になって、このステージで穴のメンバーは燃えることができるのだろうかと微かな不安がよぎる開演前だった。

しかし、その不安も今日の対バン、バーベル(さーべるではない:詳しくは後半で)がステージに登場するや否やふっとんでしまった。まずは彼らの衣装にびっくり。ドラムは三船敏郎のような黒っぽい胴着と袴で髪はちょいメタル風。ベースは黒のTシャツに袴で、髪はパンク風つんつん頭。ギターはV字ギターを持った茶パツの不健康そうなビジュアル系で赤系の着流し。そして、ボーカルはTシャツの上に緑の錦の着物を上だけ脱いで腰のあたりにまとめていて、髪型は倉持陽一のような自然なおかっぱ頭で鼻の上に約10cm程の白の横線が入ってるヤツだった。そして、お尻のあたりの着物の縫い目が破れていた(笑)。そして全員、短めの木製の数珠とおぼしき首飾り。出てきた途端、ステージ前のベニヤのお立ち台に登って、フロアにアピール。おぉ、なんか面白そうだ。音はハードコア&メタルの土台に、和風テイストたっぷりのメロディが乗っかってるって感じ。タイトルも「犬歩き」(これ、めっちゃカッコいい曲。ドロドログルグルガンガンガンって感じ)とか「他力本願」とかなんだけど、そのタイトル通りの曲調だった(説明になってない:笑)。ドラムとベースがガンガンだから、ノリやすいったらありゃしない。でね、また二人とも嬉しそうに演奏してるんだなぁ。特にベースのパンクくんは愛敬たっぷりで可愛いかった。

ボーカルの人のMCがめっちゃウマイ。ギャグも的確(例1:「今日はアナラーズさんのオープニングアクトという訳ですが、オープニングアクト、言い換えれば『前説』!」、とか)。穴ファンをちょいと持ち上げていい気持ちにさせてくれたりする(例2:最後の曲です〜とボーカルが言うやいなや。穴ファンの「えーーっ!!」の大合唱。それに対して、「うわーっ。なんかバーベルのファンよりノリええやんか!」と驚いてくれたんだけど、最前列右側の方にいたバーベルファンからのクレームに「うわっ。めっちゃドキドキした。心臓に悪いわー」と素直に謝ったりしてて、妙にほのぼのしたり。)など、観客を押し付けがましくなく掴んでいくのがステキ。ラストの「他力本願」の前には、「これからメインのアナラーズさんが出てくる訳なんですけど、みなさん、準備はいいですか?。発声練習は済んでますか〜?。じゃ、ここで練習しましょう。」(注:関西アクセントで)とかなんとか言って、色々とコール&レスポンスをやって、最後で「たりきほんがん、たりきほんがん」っていう自分達の曲のコール&レスポンスに持っていく。思わず、唸ってしまいましたわぁ。もし、MUSHA×KUSHA、バーベル、UNASCANDALなんてイベントがあったら、もう何があっても飛んでくんだけど、マグミのDJイベントとかでやってくれないかな〜(結構マジ)。

オープニングアクトがいいと、やっぱり俄然フロアも盛り上がる。穴の面々がステージに出てきた途端、後ろからファンが殺到して、はじめっから最前列は潰され状態になった。この時に役立ったのがフロアとステージの間のベニヤ部分。前に出し気味にして手を置けたので、結構ラクと言えばラクだったかも。でも、私の上にも2,3人くらい人が乗ってきてたから、まるで、親ガメ、子ガメ、孫ガメって感じで、カメの腕立て伏せ状態になっちゃった。これで1時間半無理なくできたんだから、やっぱり人間の集中力ってスゴイもんだなぁと思う(笑)。そんな中で目線を上にあげると、恭一は普段どおりの黒のウインドブレーカーに黒の半ズボン&いつもの帽子、サングラスと思いきや、なんだか帽子が新しく見える。色がいつもよりちょっと明るい紺だし、お尻の部分もほじけてない。新しいのにしたのかな?それにしては、紺地に白の細い横縞といういつもながらのヤツだった。ちえりはこの日も黒の丹前の上下だったような気がする(かなり自信ナシ)。でも、腰のあたりにキティちゃんモノが何かついてた気もする。洋一は上はいつもの白のウインドブレーカーで、下が赤黒チェックの長パンツ。大きなポケットとか色々とついたやつなんだけど、洗ったままって感じで妙にクシャクシャなのが気になるところ。ウエケンは真ん中ファスナーのタートルネックっぽいジャージのシャツに黒いパンツ。バッシュを履いていた。で、カナちゃんは帽子かぶってたような(あんま覚えてません。すいません〜)。

オープニングは1.Viking SPAM。最初のみんなで入るところで、恭一が開脚ジャンプをバシッと決めた。いや、やっぱ、カッコいいいーっ。ステージが広いおかげか、メンバーも最初っから気持ちよさそうに動きまわる。恭一はモニターを足場にステージ前方に飛び移ったり、ぴょーんとステージに戻ったり、まるで牛若丸のように身軽に飛び回っている。洋一も足を横に曲げるよくスカの人がするジャンプを何度も披露。多少若いだけあって、ジャンプの切れがいいっ(笑)。ウエケンも始終ステップを踏みながら軽やかにベースを弾き続けてる。ステージが遠いよぉって思ってたのがウソのような押し出しの強さ。ステージが広いとかフロアとか離れてるとかってことが全然マイナスにならないっていうか、その方がやりやすいようにさえ見える。で、この曲いいっす。聞けば聞くほどよくなってくる。特に、今日はウエケンベースのまん前なせいか、ノリっていうかグルーブがすんごく気持ちよく聞こえた。2.My name is BOBの曲間での洋一の右手を上に伸ばして、「おぁーっ!!」もすんごくばっちり決まっててカッコいい。で、どんどん洋一がウエケン側のお立ち台部分にやってきてて、ほとんどこっちがホームポジション状態。そして、一気に3.Underground。ウエケン側なんだけど、ちえりキーボードの音もよく聞こえて、あのニャーニャ、ニャーニャッて感じのイントロがめっちゃ気持ちよく聞こえた。大阪のファンはすっごいノリがいい、というか積極的な感じがする。今まで東京、名古屋と行ったけど、新曲でのノリ具合は大阪が一番。3曲目で結構できあがってる雰囲気になってた。

そして、最初のMC。「さんきゅーっ!すてぃーるほーーーる!」と一声叫んだ後、声を低く太くして「すてぃーるほーるつあー☆ごーるどへようぉこそ。我々がアナラーズです!(観客:いえーっ!)今日は面白いことは何も言えません(場内爆笑+えーっ???)。あぁーっ。えーっと、どのくらいぶりやっけ、大阪は??。」とフロアに恭一が尋ねると、ウエケンが静かに:「2年ぶりくらいっす」「2年ぶりかぁ。おぉーっ。久しぶりーっ!。」この「久しぶり〜」ってのが妙にフレンドリーな言い方で妙におかしい。で、4.ミサイル。最初のギターのカッティング&ドラムが気持ちいいったら。いやぁ、なんだか今日はホントにいい感じで演奏が進んでいってる。で、ウエケンと洋一の「なーなーな」のコーラスつけの時の姿勢がパンクっぽくって好きなんだな。ミサイルでパンクっぽいというのも不似合いな気もするけど(笑)。もちろん、ちえりも暴れていて、サビの部分ではこの日もアタマでガンガン弾いてた。5.ワンピースが終わるとキーボードの音だけで少し演奏が入って、その後でギターがジャンジャカジャカジャカと6.プラスチックの前奏が繋がったのに、ドキっとした。

で、その次の7.Resetと言えば、やっぱり恭一のジェスチャー&踊り。この日は近来希に見る程の踊りっぷり。やっぱりステージが広いし、特製お立ち台のせいなのかもしれない(笑)。ほとんどの歌詞にジェスチャーはつくし、「楽しくなって、そのまま街に出た」とか「童謡を歌った」とか他色々では、片足立ちで、手をアタマのところから横へぶらんぶらんと外へ振り出したり、ちょっとイっちゃってるような目のヘンな踊りもあったりして、すっごく鬼気迫る踊りっぷり。やっぱり、リセットの時の恭一ってのは一番コワイ感じがして好きだーっ。そして、「spammingから、ぇLぅ」の紹介があって、8.L。Lって何かしらいつも紹介があるなぁ(笑)。途中、他の音がぴたっと止まって、ドラムと歌だけになる部分があるんだけど、その瞬間がね、こうロックって感じでですね、恭一のちょっと陶酔したような顔にぐいーって惹きつけられてしまってね。また、この部分は歌詞がいいのでよけいにぽわわーんとなってしまうし(笑)。しかし、9.バカにつける薬で、今度はあのちえりキーボードに釘付け。久々に思う存分聞けて、もう満足満足。今日はほんと曲順いいわぁ。聞いてて全然ダレるところないし、前の曲が終わって、次の曲が入る度に「おぉ!。そう来るかぁ」って感じで。実は下北の1日目と曲目も曲順も一緒だったんだけど、随分印象違ってたなー。

そして、曲が終わって「さんきゅぅっ!」というやいなや、電車のガタガタという音が響きだした。「ここ、すげえよなぁ。なんか来てさぁ、『電車が通るから、ギターのピックアップの磁石が電車の電波を拾います』って言われてさぁ。『シングルコイル系のギターだとヒューーーッツ(とひょろひょろと高い声で)って言いますよぉ』って言うからさ、やべえなぁって」って何故か嬉しそうにしゃべる恭一。で、足元のスイッチを踏むと、ギュュアーーーンっていうスピーカの爆音が響いた。うわーっ、スゴイ音。場内も大爆笑。恭一はちょっと気の抜けた笑いを浮かべながら、「すげえよ、電車が。えへへぇ。この前来た時って、野村監督が就任した時やったっけ??」とフロアに尋ねると、一斉に「そうそう!」。「ううぉぉぉぉぉ。お互いご愁傷さまだなぁ。(場内大爆笑)毎日、キツかねぇ。おぉ。オレが大阪来ると、タイガース、東京やん。そんなこと考えたことにゃいやね」とおしゃべりをしながら、また、ボーっ!っと爆音ならしたり、カッカッと鳴らしたりと、恭一は色々とギターを弾いて音を確かめてるようだった。で、この時に、何故か洋一がウエケンの方をちらちらと見ながら、何かを確かめてるようだったんだけど、ちょっとイタズラっぽい顔、ウロウロしてる様子がでとっても可愛いかった。

で、なんだか調子が出てきたのか、まだ恭一はしゃべるつもりみたい。うれしーっ!。「今日はオープニングアクトのバーベル?サーベル??。あ、ごめん。バーベル!!他力本願、いい言葉だぁ。オレも好きだぁ。できることなら他力本願で生きていきたいんだが、なかなかそうないかんねぇ、みんなねえ。」と妙に声を太めて、苦笑いよりも少し明るめの笑顔で言ったんだけど、ここで私は非常にじーんときてしまいまして(笑)。そうよねぇ、自力で生きざるを得ない状況ってのはありますわね。でも、他力で生きるというのは自分の気持ちを殺さざるを得ないところもありまして、面倒だったりもしますわね。まぁ、どんな生き方でもそれなりに長所短所がある訳で、なんつぅーつまんないことを考えてたらまだまだお話は続きます。「えーっとですね、我々はですねスパーミングというアルバムをリリースしまして、えー、全国をなんか見た事もねえようなやたらちっちゃい9人乗りのワゴンで全国を回ります。すげえ足を曲げてて、なんだかわかんないよねぇ。ずっとハイだよ。なんか、ずっとライブかレコーディングか、どっちかで来てるらからねっ。楽しくってしょうがない。そんな私のお歌です。」とここでまたジャジャッとギターを鳴らして、「今日は何言ってるかわかんねえや。おっし。」

で、10.asa。やっぱり洋一のギター、いいわっ。細い針と絹糸で薄地の布をすくっていくようなそんな感じ。たどたどしいというのかもしれないけど、繊細で、壊れそうだけど、ちゃんと耳に残る音なんだな、私には。そんな音にじーんと浸っていたら、恭一が突然こちらに向かって突進してきたっ!!うわわっ?なに、何だ〜っ???とあまりの突然さに嬉しさもよくわからないまま呆然としてると、恭一はちょっと左に向いたいつものポーズでギターをかき鳴らす。足でリズムを取って、体全体を使って、ギターを刻んでる。肘の下あたりの筋肉の張り方と皮膚の薄さが目に焼きつく。嬉し過ぎて何にも言えず、手も出せず、ただただ立ちすくんでしまった(笑)。そうこうしてるうちに、舞台中央にハンドマイクの洋一が「うおーっ!」と声をあげて、11.Happy Dayが始まった。こっちの曲では洋一ボーカルとちえりコーラスの声の合い方がとっても耳に残る。ベースもカッコいいっ。いっぱいカッティングしまくる恭一もすごくステキっ。あぁ、いいなぁ。なんかバンドって感じがすんだよなぁ。間をあけず、続いて、おなじみウエケンベースが響いてくると12.BABAR。もう当然フロアも大突入モードにはいって、なんか私の上には5、6人の人が乗ってきてるような気もする(大袈裟)。

そして、あのギターカッティングが始まって、カナちゃんの「ワン、ツー、スリー、フォー」のかけ声とドラムで始まる13.USO。凄かったぞーっ、この日は。いつもどおりの疾走感はもちろんだけど、音もガーッと分厚くなっていて、もうカッコいいったらありゃしないっ。ほんとにいい曲だわぁ。「あれもなーい、これもなーい」の洋一&ウエケンコーラスがいい。さっきも書いたけど、ほんと昔のパンクな雰囲気を漂わせてる二人なのよねぇ。いや、人間国宝ばりの当時さがある気がする(笑)。で、この曲あたりから、ウエケンに異変が。踊ったり煽ったりしていても、どっかクールで切れるなんてことはなかったと思うんだけど、それが、この曲の途中くらいから、すっごい嬉しそうにピョンピョンと大きく跳ねながらベースを弾きだした。めっちゃ嬉しそうに笑ってるし、どんどんテンションが上がっていくのが目に見えて、こっちもめっちゃ嬉しくなって、もう頭振る、振るぅぅぅ(笑)。そして、次の14.シェリーの前にウエケンが右腕を突き上げて、うおーっ!!と一声上げたのっ!!。いや、ほんとこんなに熱いウエケンを見たのは初めだよーっ。なんかスゴイよ、今日は。シェリーのイントロの恭一ソロギターも落ち着いたもんで、めっちゃカッコよかった。お立ち台からの上から天井を掴んで、ほとんど観客の中に落ちてる感じだったもんなぁ。で、怒涛の15.便所も、今日はめちゃくちゃ暴れているけど、タイミングばっちり。気持ちえええーーーっ!!もう、こっちも何がなんだかわかりません〜って感じ。本編最後の曲は16.TACO!!!。恭一、洋一はずーっとお立ち台の上でもうファンにもみくちゃにされながら、左右を行ったり来たり。このわけのわからん程の熱狂をさらにカナちゃんのシンバルが煽る。もうカナちゃんも今にも前に出てくるんじゃないかっていう程の突進姿勢を見せてた。そして、恭一が「大阪、さんきゅーっ!うーあーあならーずっ!!ばいばーいっ!!」と言ってステージを去っていったんだけど、電車のせいなのかなんなのか演奏をしてないのにガーっと轟音が鳴りつづけるフロア。ローディさんが洋一の足元のスイッチをぱしっと切ると、ぴたっとその轟音は鳴りやんで、正気の世界がちょっとだけ戻ってきた。

長ーいアンコールコールの後、メンバー登場。いつもながら恭一のアンコールの挨拶の時の表情って清々しくっていい顔をしてる。ほんとねぇ、顔のシワがこんなにカッコいい男もおるまいて(笑)。「アンコールありがとうです。サンキュー大阪っ。サンキューっ、サ、サ、バーベルっ!!。バーベルだなっ。楽屋でメンバーに確認してきたのにさっ。えーっと、ツアーは4本目を迎えまして、ダメだぁ、しゃべれねえ、やめたっ!!(場内、えーっ!コール)。あ、そうだ、私の大好きなミュージシャンの上田ケンジさん、略してウエケンが今度ソロアルバムを出します。ふぉーえヴぁーらぶ!!略してフヴ!。略してフヴをリリースします。」そしたら、ウエケン、ちょっと恥ずかしそうに「全部、歌ってますんで。よろしぃくー、聞いてください。」そして、また恭一MC。おおっ、どんどんしゃべって欲しいわ〜っ。「知ってるよ−に演奏してないと、急にフツーの人に戻るんだよな。ギターがーっと弾くとがーっと気が狂ってくるんだけどな。いつもビデオ見て反省するんだけど、しゃーねーわ、演技はできん。」と言うんだけど、恭一のMCはいつも自然に面白いよねぇ。ここでまた、ジャジャじゃっとギターを弾き、たらりらりらりらと音程を試して、「あっとらんねぇ。」。恭一のちょっとマジっぽい声色にフロアにもちょっぴり緊張の色が走る・・・。したら恭一、困ったように笑って、「別にしーんとせんでも。大阪で面白いネタをしゃべろうとするとコワイんよね。その昔、オレ、HGZというコミックバンドを作ったことがあって(場内大歓声)、大阪だけ全然ウケなかった。しょうがないから、マジメにロックやって盛り上がって帰ったっちゅー。あのバンドで狙い外れたという結果を経て、それ以来、ボクや知り合いのこーゆー(口元に指先を当て、びゅいーんと上に伸ばす)ボーカリストも大阪ではあまりギャクを言わないですが(場内爆笑)。さっ、くだらないしゃべりはやめて、お歌、行きます」

アンコール1曲目の17.アカイカサもしみじみいい歌だなぁと思ってきいてたんだけど、次の18.記憶喪失の最初、照明が落ちて、ウエケン側のお立ち台の上に立った恭一にだけ白いスポットライトが当たった瞬間、私の正気は完璧ふっとんだ。その白い光の中に浮かび上がった恭一が陶酔した表情で、目を閉じて、あ〜〜あ〜あぁ〜って唸るように歌う。マイクを両手で握って、祈るようなポーズで歌ってる。その後ろでカナちゃんのドラムがドドドドドドドーッって響いている。こんなドラマチックな穴版記憶喪失って私には初めてだった。もっちろん、サビのちえりコーラスもおしゃれっぽくって、レピの恭一コーラスとは全然違う雰囲気でカッコいい。ほんとスゴイ曲だなぁと聞く度に思うので、穴、レピ共々やり続けて欲しいなぁと改めて思ったのだった。そして、ウネるようなあのリズム、あのギターが鳴り始める。あー、ほんとにオーラス。「ありがと、ありがと〜。また、遊びに来てください〜。最後の曲です〜」という恭一の最後のお礼も入って19.Theme。カナちゃん以外のメンバーがみーんな前のお立ち台に出てくる。ウエケンもお立ち台の上でガンガンやってる。ベースは汗なのかスモークのせいなのか、露がびっしりついていた。そして、最後の最後、ちえりがステージ前に後ろ向きでしばらく立ってる。もう、みんなぱんぱんって感じで触りまくり放題(笑)。そしたら、後ろ向きのまま、ぽーんとダイブ。そしてポンと戻って、また場所を移して後ろ向きダイブ。ちえりのダイブ、初めて見たよー。そしたら、もう前に出たくって出たくってたまんなかった様子のカナちゃんもとうとうドラムを乗り越え飛び出してきて、舞台中央でダイブっ!!。

なんかねぇ、ほんとねぇ、この日は演奏もよかったし、アクションも多かったし、MCも面白かったし、すっげえ、ほんとにすっごくよいライブだった。ブランニューに入って、最初、ステージ前に立った時には不安でいっぱいだったんだけどねぇ。始終ボーっていう音も鳴ってたし、音的には悪かったりしたのかもしれないけど、なんかねぇ、こうガーって畳み掛けていくようなノリがホントによくって、曲順のよさが存分に生かされてたと思うし(下北の時には1日目はジミであっさりした感じのセットリストだなと思ってたんだけど)。あー、これでツアーの後半になったら、どんなにいいかと思うと、ちょっと嫉妬しちゃうけど、うん、いいや。大阪、ホントによかったもんな〜。で、ライブの後のビールもめっちゃ美味しかったし、いや、大阪まで来てホントによかったっす。ありがとーーー!、Mさん&Kさん!!(しかしMってイニシャルの人多いわ:笑)