熱戦譜〜2007年8月の試合から


MENU
MENUのbクリックすると各観戦記にジャンプします

試合日 試合 結果
2007.08.04  日本スーパーバンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 下田昭文  判定  塩谷悠
2007.08.04  東洋太平洋ミドル級
 タイトルマッチ12回戦
 佐藤幸治  TKO2R  デビッド・コスワラ
2007.08.04 10回戦  亀海喜寛  TKO4R  近藤康弘  
2007.08.04 8回戦  五十嵐俊幸  TKO7R  岡田正継
2007.08.11 10回戦  西岡利晃  KO7R  ハビエル・ソテロ
2007.08.11 10回戦  矢代義光  TKO7R  ムアンファーレック・ギャットウィチアン
2007.08.12  東洋太平洋バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 ロリー松下  TKO12R  三谷将之
2007.08.12 10回戦  戎岡淳一  判定  ホセ・アントニオ・アギーレ
2007.08.13  日本ライトフライ級
 タイトルマッチ10回戦
 嘉陽宗嗣  判定  大神淳二
10 2007.08.13 8回戦  仲村正男  KO1R  ゴンサレス
11 2007.08.18  日本ウェルター級
 タイトルマッチ10回戦
 湯場忠志  7R負傷判定  新井雅人
12 2007.08.18 10回戦  山口裕司  判定  アスウィン・カブイ
13 2007.08.19  WBA世界フェザー級
 タイトルマッチ12回戦
 クリス・ジョン  TKO9R終了  武本在樹

ホームページのトップに戻る     熱戦譜のトップに戻る     ← 2007年7月に戻る     2007年9月に進む →


                     2007年8月4日(土)    後楽園ホール
                    日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン         挑戦者(同級5位)
                ○  下田昭文   判 定   塩谷 悠  ●
                       (帝拳) 122 lbs             (川島) 121 1/2 lbs
                    WBA7位,WBC6位        塩谷悠=えんや・ゆう

 探り合いからスタートするが,下田はジリジリ前に出て左ストレート,フックで塩谷をロープに詰める。2回,下田のプレッシャーに塩谷はやや消極的になる。終了間際,左ストレートで塩谷をロープに追い込む下田。
 4回,下田の左ストレートに塩谷は左フックで応戦する。塩谷はさらに右ストレートからアゴに左アッパーを突き上げて下田をのけぞらせた。
 6回,塩谷は下田の出バナに右ストレートをヒット。さらにボディに右アッパーを突き上げる。しかし,下田が左フックでボディを攻めると塩谷はクリンチに出る。
 7回以降は下田が左ストレート,ボディへの左フックでプレッシャーをかけると塩谷がクリンチに逃れる場面が目立つようになった。8・9回,下田は左ストレート,ボディへの左右アッパーで攻勢に出る。
 10回,下田も疲労の影響で自らクリンチに出るが,左フック,左右アッパーのボディブローで上回る。

 下田は初防衛に成功。塩谷はやりにくい相手だが,左ストレート,ボディへの左右アッパーを中心に相変わらずの非凡なボクシングセンスで圧倒し,まずまずの試合内容である。終盤にやや疲れが見え,スタミナ問題は課題として残った。ここ数試合は楽な戦いになっていないが,世界を目指すには接戦を勝ち抜いた経験が強力な武器になるはず。
 塩谷はリーチのある右ボクサーファイター。右ストレートがシャープで伸びがある。好戦的な面がある反面,下田のカウンターを警戒して後手に回ったことが敗因。打たれるとクリンチに出る場面が目立ち,消極的な試合運びになったことは反省点である。

採点結果 下田 塩谷
主審:安部和夫 *** ***
副審:ビニー・マーチン 98 93
副審:土屋末広 97 94
副審:染谷路朗 96 95
参考:MAOMIE 98 93


     ○下田:17戦16勝(8KO)1敗
     ●塩谷:18戦17勝(9KO)1敗

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&浜田剛史
     実況:高橋雄一

このページのトップに戻る


                       2007年8月4日(土)    後楽園ホール
                      東洋太平洋ミドル級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    T   K  O   挑戦者(同級4位)
                ○  佐藤幸治   2回1分54秒   デビッド・コスワラ  ●
                      (帝拳) 158 3/4 lbs                  (インドネシア) 159 1/2 lbs

 開始ゴングと同時に強引に出るコスワラだが,腹が弛んでいる。それを見抜いた佐藤が右フック,左右アッパーでボディを叩くと,途端にコスワラが後退し始める。
 2回,呆気なく試合が決まった。左ジャブから右フックをボディに叩きつける佐藤。さらにコスワラをロープに詰めて右ストレートからの攻勢に出る。右フックがテンプルに決まり,コスワラはあっさりとキャンバスに落ちてダウン。立ち上がって再開に応じようとしたが,足元が定まらず,マクタビッシュ主審が試合をストップした。

 呆気ない幕切れで佐藤が初防衛に成功した。落ち着いて左ジャブから左右アッパーのボディブローを主体に堂々たる攻撃を見せており,自信に満ちた試合内容が印象的である。パワーだけがクローズアップされるが,アマチュア仕込みの左ジャブ,ワンツーから組み立てる基本に忠実な試合運びに優れている。これが10戦目だが,もはや国内には敵がいないと見て良いだろう。図抜けた度胸があるので,思い切って世界クラスとの試合を組むのも面白い。
 コスワラは腹にダブつきが見られ,調整不足,スピード不足の感は否めない。不甲斐なさばかりが目立った。充実している佐藤の相手ではなかったと言える。

     主審:ブルース・マクタビッシュ(ニュージーランド),副審:マフムッド・ジュヌス(インドネシア)&島川威
     ○佐藤:10戦10勝(9KO)     ●コスワラ:40戦26勝(6KO)10敗4分
     放送:G+     解説:浜田剛史&セレス小林     実況:村山喜彦

このページのトップに戻る


                         2007年8月4日(土)    後楽園ホール
                                10回戦
                  日本S・ライト級9位   T   K   O  日本S・ライト級(ノーランク)
                ○  亀海喜寛     4回2分59秒    近藤康弘   ●
                      (帝拳) 139 3/4 lbs                     (角海老宝石) 140 lbs

 初回,亀海は鋭い眼光から左ジャブを放ち,打ち下ろしの右ストレート。近藤はこれに左フックで応戦し,試合は早くもスリリングな展開となった。
 2回,亀海はジリジリとコーナーに追い込み,左アッパー,右ストレートをヒット。近藤の左に合わせた肩越しの右クロスも決まる。
 前代未聞の大波乱が起きたのは3回だった。2分40秒過ぎ,揉み合う両者の間に割って入ったサラサス主審のアゴに近藤が放った左フックが命中した。キャンバスに沈んだサラサス主審は立ち上がろうとしたが,足元が定まらず,結局降板。控えていたビニー・マーチン氏が急遽交代して主審を務めることになり,試合は再開された。
 4回,亀海が鮮やかに近藤を斬って落とす。右ストレート,ワンツーを上下に散らす亀海。左右フックのボディブローで応戦する近藤だが,亀海はガードが下がった瞬間を見逃さなかった。矢のようなワンツーがクロス気味にアゴを打ち抜けば,近藤は大きく足をもつれさせてダウン。これは立ち上がったが,コーナーに詰めた亀海はワンツーを振って攻勢。打ち下ろしの右ストレートがテンプルを捉え,近藤はたまらず前に落ちて2度目のダウン。ここでマーチン主審が試合をストップした。

 亀海は鮮やかなTKOで無傷の6連勝。右ストレートの切れは群を抜いている。4回に最初のダウンを奪った右クロスは角度,タイミング,切れともに申し分ないパンチ。主武器の右ストレートを当てるまでのフェイントや捨てパンチに磨きをかければ,日本タイトル挑戦のチャンスもそう遠くないだろう。現時点では同門のチャンピオンクラスの影に隠れているが,ポスト木村登勇の最有力候補として赤丸要チェックの好素材である。
 近藤はヒットマッスルが発達した右ファイタータイプで左右フックにパンチ力がある。残念ながら亀海の強打を警戒して後手に回ってしまったが,積極的に攻めるボクシングに徹することが必要である。

     主審:ウクリッド・サラサス( ⇒ 3回途中でビニー・マーチンに交代),副審:島川威&土屋末広&安部和夫
     ○亀海:6戦6勝(6KO)     ●近藤:17戦10勝(5KO)5敗2分
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:高橋雄一

※ この試合の3回に発生したアクシデントについては,『前向きに”拳闘”します』のコーナーでも考察しています。そちらも御一読ください。

このページのトップに戻る


                        2007年8月4日(土)    後楽園ホール
                                 8回戦
                   日本フライ級11位      T   K   O   日本フライ級(ノーランク)
                ○  五十嵐俊幸    7回1分20秒     岡田正継  ●
                       (帝拳) 110 1/4 lbs                      (グリーンツダ) 110 1/4 lbs

 初回,サウスポーの五十嵐が右ジャブでタイミングを計りながら,左ストレートを伸ばす。岡田は右ストレートのボディブローを放つ。
 2回,五十嵐が左ストレートから返した右フックがテンプルに決まり,岡田ダウン。五十嵐の右ジャブ,ワンツーが冴える。終了間際には五十嵐が左右アッパーをボディに集める。
 五十嵐はバッティングで右目上,頭部をカットするハンデを負うが,スピーディなパンチで岡田を圧倒した。6回,果敢に前に出る岡田だが,パンチは届かない。逆に五十嵐のワンツー,右フックが飛んだ。終盤には連打で岡田が後退する。
 7回開始早々,五十嵐の左ストレートがボディに決まり,岡田の動きが鈍った。リング中央で五十嵐の右フックに次ぐ左ストレートがアゴを捉え,岡田の腰が砕けたところで染谷主審が試合をストップした。

 元アテネ五輪代表の五十嵐がスピードの差を見せつけて6連勝を飾った。軽快なフットワークからのワンツー,右フックを武器とするサウスポーのボクサーファイター。今夜は特にワンツーとボディへの左アッパーが冴えていた。今後に向けては,単調にならないようにサイドに回りこみながら打つなどの工夫をした方が良いだろう。いずれにしてもまだ6戦目。ジックリとキャリアを積んでプロらしく脱皮を図ることが大事である。
 岡田は右ファイタータイプで積極的に攻めるボクシングを身上としている。主武器は右ストレート,左右フック。ただし,ガードが低くて開き気味で,ディフェンスは良くない。脇が開いてボディのガードが甘く,五十嵐の左ストレートを受ける結果となった。

     主審:染谷路朗,副審:ビニー・マーチン&土屋末広&安部和夫
     ○五十嵐:5戦5勝(4KO)     ●岡田:21戦8勝(3KO)10敗3分
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:藤田大介

このページのトップに戻る


                        2007年8月11日(土)    後楽園ホール
                                 10回戦
                 WBC世界S・バンタム級4位   K   O   WBC中米カリブ S・バンタム級チャンピオン
                ○  西岡利晃        7回23秒      ハビエル・ソテロ  ●
                     (帝拳) 123 3/4 lbs                         (コロンビア) 122 3/4 lbs
                      WBA6位

 初回,西岡がいきなり見せ場を作った。左ストレートをボディに決めてプレッシャーをかける西岡。意表を突く左フックをアゴに打ち込まれたソテロは呆気なくダウン。ソテロの左腕の外側に回りこんで放った技ありのパンチだった。
 2回にもロングレンジから放った左ストレートがテンプルを捉え,ソテロがぐらつく場面が見られた。
 3回,西岡は右ストレートで鼻から出血。右に左にとうるさくスイッチするソテロだが,西岡は冷静に左右アッパーでボディを攻めた。
 6回,再び左フックでぐらつくソテロ。初回と同様に相手の左腕の外側に回りこんで放った西岡の頭脳的なパンチだった。ワンツー,左右フックのラッシュに出た西岡はバッティングで右目上をカットしてドクターチェックを受けた。しかし,再開直後踏み込んで放ったワンツーが見事にアゴを捉え,ソテロは大きく吹っ飛んでダウン。
 7回,西岡が鮮やかに試合を決めた。開始早々踏み込んで放ったワンツーがアゴを直撃すれば,ソテロは尻餅をついてこの試合3度目のダウン。立ち上がったものの,そのままカウントアウトされた。

 1年6ヶ月ぶりの日本のリングとなった西岡が会心のKO勝ちを披露した。武器の左ストレートが切れて,スピードも十分。頻繁にスイッチするソテロにも冷静に対処しており,ベテランらしい落ち着いた試合運びである。上下にパンチを散らしていた点でもテクニシャンとしての一面を見せていた。過去4度の世界挑戦では結果が残せなかったが,5度目に期待を抱かせる内容と言える。
 ソテロはアマチュアで265戦という豊富なキャリアを誇り,リーチを生かした右ストレートを武器としている。右ボクサーファイターだが,左に右にとスイッチを繰り返す。右構えのときはオーソドックスな試合運びを見せるが,サウスポーになるとやや変則的でぎこちなさが残る。

     主審:ビニー・マーチン,副審:中村勝彦&葛城明彦&安部和夫
     ○西岡:36戦29勝(17KO)4敗3分     ●ソテロ:25戦19勝(11KO)5敗1分
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:高橋雄一

このページのトップに戻る


                         2007年8月11日(土)    後楽園ホール
                                 10回戦
                  日本S・フェザー級8位    T   K   O    タイ国S・フェザー級チャンピオン
                ○  矢代義光       7回2分23秒   ムアンファーレック・ギャットウィチアン  ●
                      (帝拳) 131 1/4 lbs                           (タイ) 131 1/2 lbs

 初回,ベタ足のムアンファーレックは不気味な笑みを浮かべて前に出るが,矢代は広めのスタンスから右フック,左ストレートを放つ。矢代はさらに左から右のフックでボディを叩き,早くもリードを奪った。終盤,右フックがアゴを捉え,ムアンファーレックの動きが止まる。
 5回,ムアンファーレックは左にスイッチするが,矢代は左右アッパー,ワンツーを上下に打ち分けて優勢。終盤,前に出たところに矢代の左ストレートからの右フックがカウンタ気味に決まる。
 6回,ムアンファーレックが眉間をカットしてドクターチェックを受ける(矢代の有効打による傷)。ワンツー,右フックをヒットする矢代に対し,ムアンファーレックも勝負を急ぐように前に出た。
 7回,ワンツーでムアンファーレックにロープを背負わせる矢代。ムアンファーレックの眉間の傷が深くなり,再びドクターチェックのために中断する。結局この傷が試合続行不能とされ,矢代のTKO勝ちとなった。

 矢代にとっては不完全燃焼気味の試合となった。サウスポースタイルからの右フック,左ストレートの鋭さは相変わらずだが,今夜は一発のあるムアンファーレックに対して慎重になり過ぎた面がある。手数が減って狙い過ぎてはいけない。左ストレートだけでなく,右ジャブ,フックにも非凡なものがあるので,常に右を出して先手で攻めることが必要である。
 ムアンファーレックは数度の来日ですっかりお馴染みとなった。右ファイタータイプで左右フックに一発がある。ベタ足でスピードはないが,タフでしぶといボクシングをする。

     主審:島川威,副審:染谷路朗&葛城明彦&ビニー・マーチン
     ○矢代:19戦18勝(10KO)1分     ●ムアンファーレック:27戦16勝(10KO)11敗
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:藤田大介

※ 第1・5・6・7ラウンドのみを放送。

このページのトップに戻る


                       2007年8月12日(日)    高砂市総合体育館
                       東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T   K   O   挑戦者(同級1位)
                ○   ロリー松下    12回2分09秒    三谷将之   ●
                       (カシミ) 117 1/2 lbs                      (高砂) 118 lbs
                    WBA10位,WBC9位             WBA9位,WBC6位,日本バンタム級チャンピオン

 対照的な両者の対決。ファイタータイプのロリーが仕かけ,ボクサータイプの三谷がそれを迎え撃つという展開に終始した。初回,左ジャブと足で距離を取る三谷だが,ロリーの右ストレートで早くも顔が上を向く。ロリーはさらに右フックをヒット。
 2・3回は三谷が挽回した。ロリーは左右フックを振って強引に距離を潰しにかかるが,三谷はリーチを生かしたワンツーから左アッパーのボディブローをヒット。三谷も上々の動きを見せた。
 一進一退の好ファイトとなったが,4回,体を沈めて放ったロリーの右フックがアゴに命中し,三谷がぐらつく場面が見られた。三谷も左アッパーのボディブローで反撃。スリリングな左フックの相打ちもあり,ハイレベルな攻防になった。
 前半は距離を取りながらうまく戦っていた三谷だが,中盤から徐々にロリーのペースにはまった。6回,三谷の左フックの直後に返したロリーの左フックでぐらつく三谷。ロリーは良く見てさらにワンツーをヒットし,再び三谷をぐらつかせた。
 7・8回,突き放したい三谷だが,ロリーの左右フックが上回り,三谷の生命線である足の動きが鈍った。9回,三谷は鼻から出血し,苦しくなる。
 11回,ロリーは飛び込んで右フックから左アッパーをボディに連打。三谷は鼻血によってますます苦しい戦いを強いられた。
 そして12回,三谷は右ストレートからの左アッパーを受けてのけぞる。前進しながら突き上げたロリーの左アッパーをアゴに受け,土壇場でついにダウンを喫した三谷。立ち上がったが,ロリーの攻勢にさらされる。左フックでぐらついたところに左右フックの連打を浴びて再びキャンバスに沈む三谷。ネセサリオ主審がそのまま試合をストップした。

 一進一退の攻防に対照の妙が加わり,見応え十分の好ファイトとなった。技術的にも見るべきものが多く,最近の東洋タイトル戦としては稀に見るハイレベルな試合内容と言える。
 2度目の防衛に成功したロリーは今年1月にマルコム・ツニャカオ(比国)から王座を奪った右ファイタータイプ。踏み込んで放つ左フック,アッパー,右クロスにパンチ力がある。ガムシャラに打っているように見えて,非常に良く相手を見ており,冷静な試合運びが光った。前半は三谷の足に苦しんだ場面もあったが,中盤からパンチをボディにも散らして動きを止めたことが勝因。
 三谷は長身で長いリーチに恵まれた右ボクサータイプ。日本人離れした体型を生かしたアウトボクシングを持ち味としている。軽快なフットワークから放つ左ジャブ,ワンツーを軸とする華麗な試合運びが売り物。前半は本来のボクシングができていたが,中盤以降にボディを攻められたことに加えて鼻からの出血で動きが鈍り,生命線としている足が止まったことが敗因。しかし,強敵との対峙を避けて楽な道を選ぶ風潮が目立つ中,あえてロリーに挑んだ勇気を称えたい。敗れはしたが,学んだものは大きいはず。今までは線の細さが弱点だったが,ここ数試合は自信に満ちて逞しさが増している。今回の敗戦を貴重な良薬として,日本では稀有なスケールの大きい本格派アウトボクサーに成長することを期待する。

     主審:セベリノ・ネセサリオ(比国),副審:浦谷信彰&坂本相悟
     ○ロリー:31戦24勝(13KO)6敗1分     ●三谷:22戦20勝(10KO)2敗
     放送:スカイA     解説:浅沢英&藤原俊志     実況:田野和彦

このページのトップに戻る


                   2007年8月12日(日)    高砂市総合体育館
                            10回戦
                  日本L・フライ級10位      元WBC世界ミニマム級チャンピオン
                ○  戎岡淳一   判 定   ホセ・アントニオ・アギーレ   ●
                       (明石) 110 lbs              (メキシコ) 109 1/2 lbs

 戎岡は軽い足取りからワンツー,左フックを繰り出す。3回,右クロス,左フックをヒットするが,打ち合いに出たところを待ち構えていたようアギーレが強打を振るった。右ストレート,左フックを食う戎岡。終盤にはアギーレの左フックでバランスを崩した。
 4回には逆に戎岡が右ストレート,左フック,右アッパーを浴びせて好調なところを見せた。6回,戎岡はアギーレの右ストレートをもらうが,気の強さを前面に出して右ストレート,アッパーからの左フックで反撃に出た。
 7回,戎岡がスピーディなコンビネーションブローで攻勢に出るとアギーレはひるんで後退し,鼻からの出血を見た。アギ−レも左右フック,アッパーを返すがややスピード不足。
 8回,戎岡は軽いフットワークで追いながらノーモーションの右ストレートを多用し,左フックを返す。
 9回はアギーレ。自分のリズムを掴んで前に出る戎岡だが,やや単調になったところを突かれ,アギ−レの重い右ストレート,左フック,アッパーを受ける。
 10回,両者激しいパンチの応酬。アギーレの左右フック,アッパーに対し,戎岡は正確さでわずかに上回った。

 好素材の割りに結果が伴わなかった戎岡が元世界王者アギーレに判定勝ち。戎岡は軽快なフットワークに乗せたスピーディなボクシングが身上。右ボクサータイプで左ジャブ,ワンツーを得意としている。一方で気の強さも持ち合わせているが,それが裏目に出ての被弾も多い。あくまで出入りを生かしてスピードのボクシングに徹すれば,再浮上は十分に可能である。本来は日本ランクの10位に低迷しているレベルの選手ではないはず。奮起に期待する。
 アギーレは軽量級離れした破壊力を秘める左フック,アッパー,右ストレートを武器とする右ファイタータイプ。ベタ足で出足の鈍さが欠点だが,パンチ力は破格。全盛期の迫力は失せたが,足を止めて打ち合うとさすがに強みを発揮する。

採点結果 戎岡 アギーレ
主審:宮崎久利 *** ***
副審:原田武夫 96 94
副審:野田昌宏 96 95
副審:大黒利明 95 95
参考:MAOMIE 97 94


     ○戎岡:28戦15勝(6KO)10敗3分
     ●アギーレ:46戦38勝(23KO)7敗1分

     放送:スカイA
     解説:浅沢英&藤原俊志
     実況:行部宗一

このページのトップに戻る


                      2007年8月13日(月)    後楽園ホール
                      日本ライトフライ級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン          挑戦者(同級11位)
                ○  嘉陽宗嗣    判 定    大神淳二  ●
                     
(白井具志堅) 108 lbs               (関) 108 lbs
                        WBA14位,WBC9位


 スピードで勝る嘉陽が初回から左ストレートで大神をロープに詰めて早くもラッシュを見せた。緊張のためか,大神の動きが硬い。
 4回,嘉陽は左右のショート連打を浴びせて大神をコーナーに詰める。気を抜いたところに左ストレートをもらった大神は尻餅をついてダウン。右フックでぐらついた大神はコーナーに下がる。
 6回にもダウンシーンがあった。後半に左ストレート,右フックでピッチを上げる嘉陽。終了間際,アゴの先端に右フックを受けた大神は仰向けにダウン。立ち上がったところでゴングに救われた。
 8回,大神はようやく自分から前に出て右ストレートをヒットするが,流れを変えるまでには至らない。
 9・10回は再び嘉陽の手数が上回る。大神は最後まで自分のペースで戦えず,終了ゴングを聞いた。

 嘉陽は大差の判定勝ちで初防衛に成功。スピーディで回転力のある連打を得意とするサウスポーのファイター。しかし,2度のダウンを奪いながらフィニッシュできず,詰めの甘さが目立った。採点上はワンサイドゲームだが,一方的に打ちまくったという印象はない。陣営は2度目の世界挑戦を計画しているようだが,説得力不足と言わざるを得ない。
 大神は右ストレートにパンチ力がある右ボクサーファイター。10kgに及ぶ減量のためか,動きに精彩を欠いた。嘉陽の連打に圧倒され,消極的なボクシングになってしまったことが敗因。挑戦者らしい積極的な姿勢を見せて欲しかった。

採点結果 嘉陽 大神
主審:土屋末広 *** ***
副審:福地勇治 98 91
副審:浦谷信彰 98 92
副審:杉山利夫 98 91
参考:MAOMIE 99 90


     ○嘉陽:18戦16勝(8KO)2敗
     ●大神:18戦10勝(7KO)7敗1分

     放送:フジテレビ739
     解説:川島郭志
     実況:森昭一郎

このページのトップに戻る


                        2007年8月13日(月)    後楽園ホール
                                 8回戦
                 日本フェザー級(ノーランク)   K     O   インドネシア S・バンタム級1位
                ○  仲村正男      1回2分36秒     ゴンサレス   ●
                     (白井具志堅) 126 lbs                       (インドネシア) 126 lbs

 初回,ワンツーを伸ばす仲村。サウスポーのゴンサレスはガムシャラに左右フックを打って出るが,バランスが悪い。仲村の左フックで思わずクリンチに逃れるゴンサレス。仲村,攻勢。右ストレートで腰が落ちて後退するゴンサレスをロープ際に追う仲村。アゴに右ストレートを一閃すれば,ゴンサレスはたまらず前に落ちてダウンを喫し,そのままカウントアウトされた。

 仲村はデビュー以来5連続KO勝ち。長身で長いリーチを誇る右ボクサータイプ。広めのスタンスから放つ左ジャブ,ワンツーを武器としており,パンチはシャープ。ただし,アゴのガードが空くことがあるので,ディフェンス面の強化が求められる。
 ゴンサレスはサウスポーのファイタータイプ。左右フックを振ってどんどん前に出るが,パンチになっていない。これは膝が曲がらない状態で前傾して打っており,非常にバランスが悪くなっているためである。おまけにアゴが上がる悪い癖がある。インドネシアのランキング1位としてはお粗末なボクサーと言わざるを得ない。

     主審:中村勝彦,副審:福地勇治&島川威&土屋末広
     ○仲村:5戦5勝(5KO)     ●ゴンサレス:15戦11勝(5KO)3敗1分
     放送:フジテレビ739     解説:川島郭志     実況:鈴木芳彦

このページのトップに戻る


                       2007年8月18日(土)    後楽園ホール
                       日本ウェルター級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン     負 傷 判 定   挑戦者(同級4位)
                ○   湯場忠志    7回1分51秒    新井雅人   ●
                    (都城レオスポーツ) 146 3/4 lbs                 (エイティーン古河) 147 lbs

 サウスポー同士の一戦。開始ゴングの余韻が響く初回10秒過ぎ,新井の右ジャブに合わせた湯場の左ストレートがアゴを捉えた。この一撃で新井は呆気なく腰からキャンバスに落ちた。立ち上がったが,湯場の左ストレートで腰が落ちてロープに下がるピンチ。動きが硬い新井に対し,湯場は積極的な攻撃で早くも主導権を奪った。
 2回にも湯場が左ストレートで新井をロープに詰めて攻勢に出る。
 新井は3回に左から右フックの思い切った攻撃で迫ったが,4回,バッティングで右目上をカット。湯場は右ジャブ,アッパーに左ストレートを交えて落ち着いた攻撃を見せる。新井の傷が深くなり,ドクターチェックのために中断。これは再開となったが,ハンデを負った新井が勝負を急いで左右フックで打ち合いを挑んだ。湯場も右ジャブからボディに左アッパーをヒットして応戦。
 5回には湯場が鼻から出血する場面があった。
 7回,新井の右目上からの出血が多くなり,再びドクターチェック。これは長い中断となったが,辛うじて続行OKとの判断が下る。残された時間が少ないことを悟った新井は攻め込むが,逆に湯場が新井をロープに詰めて攻勢に出る。揉み合いになったところで福地主審が再び割って入り,試合をストップさせた。有効打で負った傷によるストップのため,湯場のTKO勝ちとなった。

 湯場は初防衛に成功。足がよく動き,パンチの切れも十分。サークリングしながら相手の動きを見極めており,3階級制覇王者の余裕が感じられた。今までは大事な局面での取りこぼしがあったが,まだ30歳。老け込む年齢ではない。インタビューでの対応にも大人の風格が滲む。このクラスでの世界挑戦は難しいだけに,4階級制覇あるいは東洋太平洋王座への挑戦も視野に入れて精進して欲しい。武器の左ストレートを生かすために,右ジャブ,フックを多くすることが課題である。
 新井はサウスポーのファイタータイプ。左右フックを武器に思い切った攻撃を見せる。よく食い下がったが,湯場に動きを読まれ,右ジャブ,左ストレートで出足を封じられたことが敗因。礼儀正しく,フェアな態度に好感が持てる。

7回までの採点 湯場 新井
主審:福地勇治 *** ***
副審:染谷路朗 69 64
副審:浦谷信彰 69 64
副審:浅尾和信 69 63
参考:MAOMIE 69 63


     ○湯場:37戦31勝(22KO)4敗2分
     ●新井:18戦13勝(9KO)4敗1分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:田中毅

※ 新井が偶然のバッティングで負った傷によって7回途中に試合続行不能となったため,当該の7回を含む採点で勝敗を決する。

このページのトップに戻る


                      2007年8月18日(土)    後楽園ホール
                               10回戦
                  日本ウェルター級(ノーランク)       インドネシア ウェルター級チャンピオン
                ○   山口裕司      判 定   アスウィン・カブイ  ●
                      (JBスポーツ) 148 1/2 lbs             (インドネシア) 147 1/2 lbs
                      元・東洋太平洋ウェルター級チャンピオン

 山口が好調な滑り出しを見せた。よく動いて左ジャブから上下に右ストレートを放って快調に飛ばす。サウスポーのカブイはタイミングの良い左ストレートのカウンターを狙う。
 2回,山口は右ストレートをボディに伸ばしてロープに詰め,左フックから右ストレートをアゴに見舞う。このパンチを受けたカブイはロープを背にのけぞり,膝を折るようにキャンバスについてダウンを喫した。ボディにパンチを散らし,注意を逸らしてすかさずアゴに決めた見事な攻撃だった。山口はさらに右ストレート,アッパーをボディに集めて攻勢に出た。
 中盤も山口がスピーディなパンチを上下に打ち分けてカブイを圧倒した。
 8回,カブイはホールディングで減点1を課せられた。山口が右アッパーでボディを攻めると,カブイは苦しげに後退。山口のボディ攻撃に体を捩って耐えるカブイ。
 9・10回の山口は疲労が出てやや攻撃が雑になったが,それでも優勢は譲らない。カブイはKO負けだけは逃れようとクリンチ,ホールドが目立った。

 山口が11ヶ月ぶりのリング復帰を大差の判定勝ちで飾った。スピード,切れともに十分でブランクを感じさせない動きの良さを見せた。得意の右ストレートを上下に散らして攻め込む積極的な試合運びである。ボディを打ってアゴに切り返すなどの巧みな攻撃が光る。ヨネクラジムから移籍して心機一転,再びタイトルへの期待を抱かせるに足る再起戦であり,合格点と言える。
 カブイはサウスポーのボクサーファイター。パンチ力はないが,タイミングの良い左ストレートのカウンターを得意とするテクニシャンである。しかし,今夜はボディにパンチを集められて動きが鈍ったことが響いた。

採点結果 山口 カブイ
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:浅尾和信 100 89
副審:中村勝彦 100 91
副審:福地勇治 100 90
参考:MAOMIE 100 89


     ○山口:18戦16勝(10KO)1敗1分
     ●カブイ:30戦22勝(6KO)8敗

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:中野謙吾

※ 第8ラウンドのホールディングによるカブイの減点1を含む採点。

このページのトップに戻る


                      2007年8月19日(日)    神戸ファッションマート
                      WBA世界フェザー級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T K O   挑戦者(同級6位)
                ○  クリス・ジョン    9回終了    武本在樹   ●
                     (インドネシア) 125 3/4 lbs              (千里馬神戸) 126 lbs

 慎重なジョンに対し,武本は左ジャブから右ストレートをボディに打ち込む上々の立ち上がりを見せた。しかし,武本が良かったのは初回だけ。2回に一転してジョンが攻勢に出ると試合の流れは王者に傾いた。左右フックのボディ攻撃から右フックがアゴに決まり,武本はのけぞってロープに詰まる。ジョンはアグレッシブな攻撃で一気に主導権を奪った。
 3回,武本は左ジャブの打ち終わりに右ストレートをカウンターされて腰が落ちる。4回,待っていると右ストレートが飛んでくるし,前に出ればカウンターを合わされ,心憎いまで冷静なジョンに翻弄される武本。ジョンの有効打で左目上をカットし,武本は苦しい戦いを強いられた。5回,武本の力量を読みきったジョンはサウスポーにスイッチする余裕を見せる。
 6回,右ストレートを打ち込まれてロープに飛ぶ武本。ジョンはタイミングの良い左ジャブをコンスタントに飛ばす。ロープ際で右ストレートがアゴに決まれば,武本は崩れるようにダウン。立ち上がったが,ダメージを残す武本はジョンの攻勢に晒された。
 8回,細かい左ジャブ,フック,右ストレートで武本をロープに詰めるジョン。右ストレート,左アッパーのボディブローに次ぐ右ストレートを浴びた武本はロープ際でガックリと膝をつき,この試合2度目のダウン。武本の目からは精気が失せ,敗色が濃厚であることを印象付けた。ジョンは猛然と攻勢に出て武本をロープ際に追い込み,詰めの作業に入った。
 9回,ジョンの打ち下ろしの右ストレートを食う武本。右ストレートを返して最後の抵抗を試みるが,終了10秒前にジョンが攻勢に出た。追い込まれた武本は右ストレートから左フックを受けて力なくロープにもたれてダウン寸前のピンチ。辛うじてゴングに救われたが,結局10回開始のゴングに応じられず,ここで試合がストップされた。

 ジョンは8度目の防衛に成功。右ボクサータイプで軽快なフットワークから放つ左ジャブ,ワンツーを武器としているテクニシャンである。初回に様子を見ていてポイントを奪われたと見るや,一転して攻勢に出て主導権を奪った辺りは優れた勝負勘を窺わせた。基本に忠実な攻撃に加え,ときには荒々しい攻めで武本を圧倒した。武本が待っていると右ストレートや荒っぽい右フックで迫り,前に出たところや打ち終わりにタイミングの良いカウンターを合わせる心憎いばかりの試合運びが光る。相手の出方によって戦法を変える老獪さはさすがである。6・8回にダウンを奪った直後も攻め急がず,冷静に状況を見ていた。
 武本は動きを読み切られ,手も足も出ない状態で完敗を喫した。初回こそ好調さをアピールしたが,2回以降はジョンの老獪さに翻弄され,完全に後手に回った。6回以降はダメージもあって,動きが鈍った。実力の差が如実に出たと言える。

9回までの採点 ジョン 武本
主審:スティーブ・スモーガー(米国) *** ***
副審:ファン・ガルシア・レイジェス(スペイン) 89 81
副審:ヒューバート・アール(カナダ) 89 80
副審:フランシスコ・マルチネス(ニュージーランド) 90 79
参考:MAOMIE 89 80


     ○ジョン:41戦40勝(21KO)1分
     ●武本:29戦21勝(12KO)7敗1分


     放送:スカイA
     解説:浅沢英&長谷川穂積
     実況:田野和彦

このページのトップに戻る


熱戦譜のトップに戻る     ← 2007年7月に戻る     2007年9月に進む →

ホームページのトップに戻る