☆★☆ たこやきめぐり 第33回 ☆★☆

新規開店組の鑑として応援したい旬の味
− たこむすめ その1 −

熊谷真菜

 地下鉄天満橋の駅からほど近い、大阪市中央区釣鐘町。 町名の通り、釣鐘屋敷があった。 寛永11(1634)年、町衆の気持ちが豊臣びいきだっ たので、徳川家光が固定資産税のような地子 銀を永久に免除するというお触れを出し、そ れを喜んだ人々が鐘楼を建てたというもの。  
釣鐘屋敷
たこやきの焼き上げ
 寺では日の出、日の入り、正午の3回だっ たが、ここでは2時間おきに一日12回鳴ら していたという。吹田、豊中、尼崎まで響き わたっていた。  何度も火事に会い、鐘は大阪府の有形文化 財として保存され、昭和60(1985)年、釣鐘屋敷跡 に鐘楼が建てられた。 

 曾根崎心中のくだりに出てくる、暁の鐘も この鐘楼の鐘の音で、七ツ時=朝の四時を聞 いて、日の出の明け六ツにはもう死んでいる 、というくだり。  そんなお初、徳兵衛の話を思い描きながら 、しっとりと浪花をそぞろ歩けば、「たこむすめ」の看板が。 たこやき屋さんには「〇〇たこ」とか「たこ〇〇」という屋号は多いけれど、 「たこむすめ」は珍しいかもしれない。

たこやき一丁あがり
たこ焼きを焼いてる二人

   日本舞踊に「藤娘」という演題があって、 なんとなくその対比で見てしまうと、「たこ むすめ」のテーマカラーになっている、強烈 なピンク色が、いかにも現代の大阪を象徴し ているかのようで、おもしろい。。

続く...


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