対馬
この年末年始は「対馬」で過ごすこととなりました。なぜ対馬なのか? よく聞かれますが、特別な理由はありません。
もちろん、「自然」、「歴史」に興味があります。「島」が好きだからでもあります。
ただ、直接的な理由は、「飛行機が空いてたから」です(笑)。
意外とそんな“理由”って、大事だったりするんですよね。それが縁ですから・・・
実は行くときからトラブル発生で大変でした。千歳発福岡行きの飛行機が名古屋から到着する機体を使用予定だったのですが、これが天候不良で欠航。なんやかやで何とかなりましたが、あやうく福岡で1泊するハメになりそうでした。
福岡から対馬までの上空では、イカ漁の漁火がとてもきれいに見えました。
こちらは宿のベランダからの漁火。手前にあるのは一見雰囲気のあるチャペルに見えますが、ホテル敷地内のもの(いんちき・・・)です(笑)。
今回の旅では、特に「これを見たい!」というものがあったわけでもなく、なんとなく行き当たりばったりに近い心構え?でいました。(東京から先に行っていた友人たちは、保護施設でツシマヤマネコを見ましたが)
結果的には、各地に無数!にある神社を見て周ったような格好になりました。
かなり山がちで入り組んだ地形であるにもかかわらず、さすがに歴史が古いだけあって各所に集落があります。おそらく、その集落ごとに神社があるのでしょう。
こうした場所を見て周るのは、ほんとに飽きません。
特に、何故か個性的な狛犬たちには目を惹かれました。
本当は「巨木」もたくさんあったのですが、これは写真が上手く撮れなくて・・・
これは太祝詞(ふとのりと)神社の狛犬たちと、社のはりにいた犬?です。
これは対馬で特徴的な建物である「石屋根」と呼ばれるもの。
椎根という集落に多く残っているそうです。高床式の倉庫ですね。
対馬は板状に割れやすい地質が多いようで、こうした建物が作られたそうです。
ただ積んであるように見えるのですが、どうやって留めてあるのでしょう??
対馬の南端にある豆酘多久頭魂(つつ・たくずたま)神社への道すがらの風景と、神社の参道です。
対馬は上島と下島に大きく分けられますが、下島では比較的平坦な土地が多く、そうした場所では水田が見られます。なんてことは無い風景なのですが、歴史、人の営み、そうしたものを感じさせてくれる風景です。私が今住んでいる北海道でもかなり北の方まで稲作が行われていますが、そこにたどり着くまでにどんな歴史があったのでしょう??
対馬の神社では、鳥居が複数設けられていることが多かったです。また、ここにある石垣は板状のものが積み重ねられていて、なかなか面白い造作でした。
この神社には立派なクスノキがあって、圧倒されます。それと、これも対馬に多いのですが、神仏習合の典型のような由来があるのも面白いです。
豆酘崎(つつざき)という岬です。灯台が海の中に立っています。岬の上にもありますが、難所ということで海の中にも立てたのでしょうか?
ちょうど夕陽が沈み行く頃合に到着し、冷えてゆく空気を感じながら眺め入りました・・・
島に来てすぐに気がついたのですが、あちこちの山の斜面などにこうした不思議なものが置いてありました。これは箱状になっていますが、多くは丸太をそのまま使ったもの。高さは70〜80cmくらいでしょうか?
とても不思議だったので宿の人に尋ねたところ、これは「蜂洞」というのだそうです。
養蜂の道具なんだそうです。面白いですよね。
帰りに買った島のガイドブックには、これを開けた時の写真があり、中には蜂の巣がびっしりと出来ていました。
もちろん、蜂蜜をお土産に買ってきました。食べるのが楽しみ♪
こちらは和多都美(わだつみ)神社の海中の鳥居、狛犬、社前の鳥居(の柱)です。
安芸の宮島を思わせる鳥居ですが、なぜかやはり対馬風?に複数の鳥居があります。
吽形の狛犬君は、少しうつむき加減で、なんだかやっぱりかわいい(笑)。
鳥居の柱についたコケ?模様は、人によっては気持ち悪いと感じるのでしょうが、私はわりと好きなんですよね。
この神社はかなり由緒あるようで、それなりに観光客がいました。島はどこへ行ってもそうでしたが、そのほとんどは「韓国人」。近いですからね。
おみくじの裏が英文になっていたのは、彼らにも読めるようにかな、と思いましたが、同行の2人のうちの1人が引いたものは、なぜか裏も日本語。なんで??
(ちなみに、私が引いた「吉」は“very good”で、友人が引いた「大吉」は“excellent”だそうです)
こちらは海神(かいじん)神社の狛犬です。
首をかしげた感じがとてもかわいいですよね。
胸を張らずに両足を前に突っ張らせるのが対馬の狛犬の典型?のようですが、この狛犬君はまたちょっと違った風情。
そうそう、“海神”も“わだつみ”と読むんですよね。
この神社もかなり大きな神社で、上の和多都美神社と双璧といったところでしょうか?
島のおよそ中間にあります。
いっぽう、多久頭魂神社は島の南北端にそれぞれあります。
こういうのも、何か意味があるのでしょうか?
異国の見える丘、の付近の浜辺です。
異国と言うのはもちろん韓国のことで、この日は天気も良くて肉眼でもうっすらとビルや山の稜線が見えました。
双眼鏡を使うとかなりはっきり見えましたね。
昔も今も、歴史の架け橋の海峡と言ったところでしょうか。
この浜はまあるいごろごろとした石がたくさんで、波の引き際には時に「ごろごろごろ」という音を立てていました。
もろい地質が多い対馬では、こういう浜は珍しいんじゃないだろか、と思いました。
音を聞いていたら、同じような奄美大島のホノホシ海岸を思い出しました。
これは天神多久頭魂(てんじん・たくずたま)神社です。社が無く、磐座(いわくら)の祭壇というのが特徴だそうです。
とても雰囲気があり、沖縄の御獄に似ていると思いました。
その“本殿”は写真を撮っていません。あまりそういうのは撮らないので・・・
左が燈篭?のようなもので、右が狛犬君。狛犬君は、後ろから見たときには「あらら、頭がもげちゃったのね・・・」って思うくらいに、すんづまりな形でした。そこがかわいい(笑)。
左は「棹崎公園」というところから。日本の「最北西端」だそうです。微妙な・・・(笑)。
右は宿から見た「初日の出」です。水平線からというわけには行きませんでしたが、予報よりは良い天気となり、こうして拝めたので良かったです。
今年も良い年になりますように!
烏帽子岳という山の頂上からの眺めです。
天気が良い日に見たらもっときれいだったかな?(>同行諸氏)
島の周囲は入り組んだ地形が多いのですが、特に上島と下島の間はこんな感じで、道を走っていてもどこがどこやらさっぱりわかりません。
それが良いんですけどね。
朝日山古墳というところに鎮座していた霹靂神社です。
(名前がスゴイ! 他にも、雷命神社なんてのもありました)
古墳に神社を置く、というのもいわくありげですし、海に向かって鳥居が置かれているのもまた興をそそります。
古墳の頂上には社があり、その“はり”には、これも狛犬? 阿形の方です。なんだか知的な雰囲気を漂わせていました。
最後は下島の中心、もっとも歴史があって今も栄えている厳原(いづはら)付近の風景。
左は対馬を支配していた宗氏の墓所のある万松院というお寺。これは本堂脇にある百雁木と呼ばれる階段で、この上に大きな墓所があります。
ちなみに対馬で見た寺のほとんどは曹洞宗でしたが、ここは天台宗でした。なぜ??
右はお船江跡と呼ばれ、対馬藩の船着場だったそうです。
予想はしていましたが、歴史の薫りを強く感じさせる土地でした。京都や奈良のような「生活」と少し離れてしまったものとは違い、私が訪れた中では大分の国東半島に近い印象でしょうか?
ただ、その歴史のスケールは違いますね。上記以外にも、白村江の戦いの後に築かれた「金田城」の跡や元寇の古戦場など、古代から中世に至る歴史の跡なども訪れました。一方で、自然の豊かさも予想通り(破壊の程度もですが(苦笑))。照葉樹の立派な林もけっこうありましたし、ツシマテンの姿を見つけることもできました。山深いわりに川の水が乏しいのが意外な感じでしたが。鳥の渡りの時期や花の咲く季節、ホタルの舞う季節など、また訪れてみたいものです。
あ、食べ物も美味しかったことを追記しておきます♪