トスカーナ地方
この旅行は、アンドレイ・タルコフスキー監督の『ノスタルジア』の撮影舞台を訪れることを目的としたものでした。いくつかの撮影場所があったようですが、事前にわからなかった場所も多く、また一度にまわるには難しい場所もあって、もっとも行きたかったサン・ガルガーノ、そしてバーニョ・ヴィニョーニの2箇所を、シエナを起点に周ってきた旅です。
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旅は、まず姉の住むベルガモへ行き、そこから電車でフィレンツェへ行きました。

これはカッライア橋という橋で、有名なヴェッキオ橋から2つほど下流側に架かる橋です。柔らかくすっきりとしたスタイルがきれいでした。

この後訪れたウフィッツィ美術館では、ほぼ朝一番にもかかわらず、すでに2時間待ちでげんなりしました。もっとも、私が入館する頃は、4時間待ちになってましたけど(苦笑)。美術品の素晴らしさは言うまでも無かったです。ボッティチェルリはもちろん、ダ・ヴィンチの『受胎告知』の素晴らしさが忘れられません。
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フィレンツェからシエナへはバスで移動しました。曜日による運行時間の違いがややこしく、ちょっと混乱しました。行き当たりばったりの旅をする同年代の夫婦と同乗したのを覚えています。彼らはどうしてるかな?

これは大聖堂(Duomo)。私が見た中で一番美しい大聖堂です。白黒の配色と空へ伸びるゴシック形式。観光地にもかかわらず、静かな空間だったのも印象的。残念だったのは、有名な床板が見られなかったのと、目いっぱい広角にしても、フレームぎりぎりの構図になってることです(苦笑)。
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泊まったホテル(ホテルDuomo)は便利な上に快適で、窓からちょうど大聖堂のファサードが見えて、すごく良かった。夕陽で金色に輝く様子を望遠で撮ってみました。

朝食のパンも美味しかった!! フロントの兄さんも有能。エレベーターが、2つ出入り口があって、ものすごく驚いたのも覚えてる。朝食のときに話し掛けてきた、同じく一人旅のアメリカ人のご婦人。あの人はどんな旅をしていたんだろう?
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これはシエナの中心のカンポ広場。観光客が思い思いの場所にたたずんでいます。そろそろ長い昼が終わり、これまた長い宵の時間が始まります。広場の周りにみやげ物屋やらレストランが並んで賑々しくなってますが、あちこちに伸びる小道にも、ひっそりとよさげな店が隠れています。私は、姉のおすすめの店で二晩、ガイドブックで見つけた店で一晩、夕食を摂りました。トスカーナは肉料理が中心。赤ワインと一緒に! デザートのティラミスも美味しかったな〜。
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カンポ広場を上から眺めるとこんな感じ。美しい扇形になっています。ちなみに、この写真は、市庁舎の「マンジャの塔」から“身を乗り出して”撮影しています(笑)。あまりマネなさらないよう・・・。

そういえば、この塔のてっぺんで、日本人の女の子2人連れに写真を撮ってと頼まれたんだった。私も撮ってもらったんだよね。一人、なかなか好みの可愛い子だったんだよな・・・ぶつぶつぶつ。
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シエナの街の中心部を、大聖堂の方から眺めたものです。カンポ広場の隣の塔が「マンジャの塔」です。
そしてこれが、もっとも行きたかったサン・ガルガーノ修道院の廃墟です。ここまでは、シエナからレンタカーで1時間ほど走ったでしょうか? とても不便なところにあります。周辺には何も無く、田園風景の中に孤独な姿を見せています。

映画では内側からの様子が映されています。残念ながら、私が訪れたときは修復中だったこともあり、内側から撮った写真はいまいちでした。これは外から撮影したもの。ステンドグラスがはまっていたであろう大きな丸い穴を、鳩が出入りしていたのがとても印象的でした。時の流れの果てに残ったものは・・・。
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廃墟の隣の小高い丘には、いまも現役の小さな教会があります。ここは「石につきたてられた剣」の奇蹟が現存しており、アーサー王伝説とのかかわりがあるんだそうです。この教会の周りには、なぜかネコがたくさんいました。これは陽だまりで日向ぼっこをしていた親子です。柵の向こうにぼけてみえているのが廃墟の修道院です。
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これがもう一つの訪れたかった場所のバーニョ・ヴィニョーニ。ここもシエナからレンタカーで1−2時間走ったところです。

意外に保養地として栄えていて、予想していた雰囲気とは異なる場所でした。水は・・・ちょっと入りたいとは思えない(苦笑)。でも、この“浴槽”のまわりをゆっくり歩いていると、ここでタルコフスキーがどんなことを考えていたんだろうか、と感慨深いものがありました。おんなじような気配を持った観光客が数人、おなじようにゆっくりと思索をめぐらしながら歩いていて、ちょっと不思議な気持ちに。こうして世界中の人に大きな影響を与えたタルコフスキーという人、そしてその作品に描かれた普遍的なものとは、なんなのだろうか?
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浴槽の周りに咲いていた花です。清楚で可憐な感じ。
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これはおまけ。

バーニョ・ヴィニョーニから帰り道に寄ったピエンツァという街。いかにもトスカーナの小都市、という風情。それなりに観光地になっていて、軽く散歩できる落ち着いた街でした。ここで昼食を食べた「Fiorella」というトラットリア。親子経営(←たぶんだけど)の素敵なお店。美味しくてよかった。息子がテキパキとオーダーとって客の相手をして、お母さんが店の奥で料理を作って。お父さんは・・・客の間をのんびり歩いて「どうかね? 美味しいかね? そうかそうか。良かった良かった」って・・・あんたも働けい!(笑) ちなみに、ここの街でお土産に買ったモンタルチーノとモンテプルチアーノの赤ワインは、どちらも美味しかった!