見果てぬ夢

 

 小学校を巣立とうとする少年と少女がいた。少女が少年たちに問いかけた。

「さとし君は将来何になりたい? 」

 少年の一人が答えた。

「あの大空を滑空するコンドルのようになりたいなあ」

「まあ、なんてロマンチストなのかしら」

「まさる君は何になりたいのかしら」

 少年の二人目が答えた。

「僕はスーパーマンさ」

「正義の味方ね。分かるわあ」

「これからはロマンチストだけでは駄目だ。プラス強い肉体が必要とされる。その点、スーパーマンなら弾丸も弾くから安心さ」

「まあ、まさる君て夢があって随分いろんなこと考えて偉いのね」

「ふん、俺はなあ」

 最後の少年が答えた。

「俺は大統領になって、国民みんなを幸せに導いてやるんだ」

「まあ、なんて雄大な夢なのでしょう」

「ところでサエコちゃんは何になりたいの? 」

 三人の少年がそろって少女に尋ねた。少女ははにかみながら小さな声で答えた。

「王女様」

「わあ、かっわいいなあ、サエコちゃんの一番夢があるなあ」

 三人の少年はそろって感心した。

「そうかしら、あなた達に気に入ってもらえてうれしいわ。何しろあなた達があたしの家来なんですもの」

「…… 」

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