27.迷い子


「どうしよぅ…。」

安藤美奈(あんどうみな)は困り果てていた。今回こそわ!!
と思っていたのに。
なのにまた迷ってしまった。道に…。
冬期講習の帰りに彼の遠野真(とおのしん)と会う約束をし
ていたので
少しでも早く着くようにと一生懸命自転車を走らせていた
らこのザマである。

「…ここどこよぉ。」

今にも泣き出しそうになりながら電柱柱に書いてある場所
の名前を見た。

「なんで隣町まで来てるのよぉぉぉ!!」

愕然とした。ここからどうやって帰ろう…?悩みに悩んでい
ると、ふいにとうとうホロホロと涙がほほを伝わってて来た。
今居る場所は住宅街。人通りが全くない。道を聞こうにも人
がいない。
今さらになり一本前の道で曲がらなければよかった。っと後
悔をし始めていた。
相変わらず止めどなく涙は出てくる。視界が揺らぐ。
たまに通り過ぎる人がとても恐く感じる。
とにかく美奈はがむしゃらに自転車を走らせた。
すでに十五分近く時間は立っていた。別に何時に待ち合わせ
ている。
と言う訳でもなく「近くについたら連絡して。」と言われて
いるだけだ。

それでも今日はクリスマスイヴであって。プレゼントを渡し
たいのもあるし早く真に会いたかった。
昨日は自分のせいで…真の誕生日だったのに会えなかったか
ら。
だから今日こそわと意気込んでいたのに…。
「めそめそしていたらダメだ!!頑張ろう!!」
そう自分に喝をいれて泣くのをやめた。

少し自転車で走ってみると見覚えのある場所を発見した。少
し安堵の息がもれる。
「さぁ!!がんばろう!!」
そう言って大きい通りの信号を探しはじめた。
大きい通りの信号の横には確かこの先何メートルで○○町な
どと分かる標識があったはず。
それしかなかったのだが…結局見つからなかった。

ほとんどベソをかきながら今度は人を探す事にした。
大きい通りにやっとでてウォーキングしている人に話しかけ
た。
「あの…すいません道をお聞きしたいのですが。」
「はい。いいですよ?」
その言葉にほっとして涙が出てきそうになったが堪えて
「あの○○町にはどのようにいけば良いのでしょうか?」

「あぁ。それなら次の信号の所を右に曲がってまっすぐ行けば
駅につきますよ。」

「あ…ありがとうございます!!」
「はい。お嬢ちゃん夜道は危ないから気をつけなさいよ。」
やったぁ!!やっと帰れる。真に会える!!
さぁ。もう迷わないように気をつけて真の所に行こう。

ウキウキしながら真にメールを入れて、真の家の近くの公園の
入り口で待っていた。
だけど待っている間暗くて恐かったし、それに今までの疲れが
出てまた泣き出していた。
「美奈。」
「…真?」
「何で泣いてるの?まぁ、取りあえずうちの横に自転車とめて土
手行こう?」
「…うん。」
そう言われ私は真の家の近くに自転車を止めた。
「ほら。行こう?手出して。」
そう言って手を繋いで土手まで歩いていった。
歩きながらなんで泣いてるのか真は尋ねて来た。
「何で美奈は泣いてるの?何かされたの?」
「ううん。違うの。あのね、早く真に会いたくてね、急いでたの
ね?」
「うん。」
「それでね、一本道を間違えてね、帰ろうとしたらね隣町まで行
っちゃってね」
「……うん。」
「でね、恐くてね、人に道聞いて帰ってこれたけどね……っ」
「ようはまた方向音痴で迷って恐くて泣いてるんだ?」
「ふ…うぇっ。」
「それなのに俺に連絡入れなかったんだ?」
「だって…っめっいわくだと思って。」
「うん。取りあえず座ろう?」
「っうん。」

二人同時に座って再び話をし始めた。
「あのね、美奈が困った時はいつでも俺に連絡してくれていいん
だよ?」
「…でもね、真にね迷惑かけたくないんだも。……っ」
「何また泣くの?…っはあもう可愛いなぁ。泣くだけ泣きな。」
「ごっめんなさいっ。」
多分私は十分ぐらい泣いていたのでしょう。
「もうそろそろ泣き止んでくれませんか?」
私の背中と頭をさすりながら真は言った。
「…うん。ごめんなさい」
真は袋の中から可愛らしい包みを出していった。
「はい。それでは本題に入りましょう。…これどうぞ。クリスマ
スプレゼントです♪」
「あ…。ありがとう!!私からも…えっと、どうぞ。」
「おぉ。ありがとねvv開けて良い?」
「ダメ!!お願いだから家で…ね?」
「ふぅん。じゃあ今日はこれでいいや。はい上を向きましょう。」
「え…?ちょっと待とうよ。」
私は逃げ腰になっていた。だって…ねぇ?
「ふぅーん。美奈そういう体制になっちゃいますか。ペナルティ
もう二回追加ね。」



その後は送ってくれなくてもいいと言ったけど親切にわざわざ家
まで送ってくれたけど
代償を請求してきたとかしてこなかったとか。




これについては何も気かないで下さい!!もう…。ほらあれですよ?

クリスマスですから!!もう終わったけど。