22.たり




たった一人の姉だから。
お人好しで自分の事なんか放って人を助ける。
そしてそんな優しさを利用して泣かせる奴もいる。
でも蜜(みつ)はそんな事で怒らない。
それでも誰かが幸せになる事祈ってる。

俺はそんな姉が大好きで。
それは兄弟愛なんかでは決してなくて。


ただ愛してる。
この世でたった一人の女の子を。
たった一人の姉を。
血の繋がらない姉を。













「光基(みつき)起きてよぉ…。お願いぃ!!」

今日も俺の耳元で愛しい声が聞こえる。
こんな朝っぱらから夫婦みたいに思えてしまうような会話はしたくな
い。
ほら、俺だって男だし。
我慢っちゅーもんがあるでしょ?
「もういい加減にしなさい!!私一人でハムエッグ食べちゃうんだか らっ!!
今日は半熟にしといたのに、お馬鹿ぁぁ!!」
「ほら蜜。そんな言葉使っちゃ駄目でしょ?いくら自分がそうだからって、
そんなに自分を卑下しなくても。」
プププッと馬鹿にしたような笑い声を聞かせる。
当の本人は全く言葉の意味に気付いていない。
これだから天然ボケは可愛くて困る。

「…ぁ!!何それ!!もう自分で朝ご飯作んなさい!!光基なんか知らない もん!!」

到頭怒ってしまったのか一人でプリプリと怒って食卓へ行ってしまった。
でも俺は知ってる。
絶対に俺が降りてくるまで食べはじめないのを。
だって寂しがりやだし。





うちの学校の制服は可愛いと言われる。
でもかなりの進学校なので着れるのは極少数だけだ。
俺も、蜜もその学校に勉強しないで入れたのだが…。

蜜はそこら辺の女より断然可愛い。
大きな目に、長い睫毛。
スッと通った鼻筋、ぷっくりとした唇。
そして色素の薄いさらさらの髪。
もちろん肌だって白い。
でも本人は自分が可愛いのに全く気付いていない。
そんな所が男心を燻るに気付かないのだろうか?


「みーつ?」
今日は蜜は日直のため早くでなくてはいけない。
だから一生懸命に朝ご飯を頬張りながら忙しなく動いてる。
そんな日には俺も早出するべく急ぐ。
そうしないと蜜が痴漢に遭うからだ。
この間泣きながら帰ってきたときにはそいつの所在地を明らかにし…。
それはおいておくとしよう。

「光基さきいくね!!そいじゃっ!!」

やべぇ。
もうかよ。
俺も急いで後を追う。

早速ナンパにあってる蜜。
…俺の気苦労は絶えない。









「光基〜。みっちゃんがまた泣いてるぞ〜。」

友達からの情報。
また蜜が泣いているらしい。
困ったもんだ…。
そういいながらも自然と頬は緩む。
意地が悪いかもしれないけど嬉しいんだ。
俺を必要としてくれている感じがして…。

カラカラ…と言う音をたて扉は開く。
そこには声を出さないで泣いてる蜜。
目は潤んでて、真っ赤だ。

「光基〜…」

ぱたぱたと駆け寄って来て抱きついてくる。
頭を優しくなでると顔をすり寄せてくる。
こんなに可愛い蜜。





何回もこの気持ちを告げてしまおうと思った。
だけど今だ伝えてない。
絶対にその内気持ちを吐露してしまうだろう。
でもまだこの関係を崩したくない。
まだ蜜が「子供」だから。
もう少し成長した暁には俺のモンにすんだろうけど。





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義兄弟もの〜。なんか光基が可哀想ですね〜。
でも続編かく予定ナシ。
みっちゃんが鈍いから(笑)
と言うのは嘘で、もしこの二人の行く末を見たい方がいたら書きます。
読んでる人はごく少数だと思いますが(オィ)





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