21,Cry for the moon.


「ねぇ、私の事本当に好きだった?」
そう問いかけた。
健司のこと私は本当に好きだった。
「…あぁ。好きだったよ」
私はあなた以上に思いが重かった。
「どこで歯車がくるったんだろうね?」
分からなかった。
一体どこで間違えたのかな?
「なんでだろうな?」
そして会話は終わった。






私は健司が本当に好きだった。
これ以上ないぐらいに好きだった。
だからこそ束縛してしまった。


健司、本当はわかっているんでしょう?
別れてしまった理由。
あなたは必要以上に優しかったから言わなかったんでしょう?


健司のその優しさすごく好き。
だけど嫌い。
矛盾してしまう気持ち。


その優しさ、つらかったの。
だってあなたは誰にだって優しいんだもの。
とても不安だった。
寂しかった。
誰かが困っていたらすぐにあなたはその人のところへ行ってしまう。
その時とても健司の事尊敬した。
とても苛立った。


勝手だって、わかってる。
嫌と言うほどにわかってる。
こんな考えやめなくちゃって思った。
だけどね…駄目だったの。
考えれば考えるほど泥沼にはまっていってしまったの。


それは私の心の弱さ故。
全て私の責任。
だから別れをきりだした。


本当はあなたをその時愛していた。
今さらだったけど。













私は健司と別れた日、月を見上げて初めて泣いた。
あなたと付き合ってから泣いた事はなかったけど。


あの優しい輝きを見て。
この先私は強くなる。
そしてあなた以上に素敵な人を見つけだす。
そしてあなたに胸を張って紹介する。
だからその時には笑って話そう?









ちょっとしんみり系の話を書いてみました。
超短編っスね。