20. モノクロ


君が愛しくてたまらない。
君が憎くてたまらない。



それも全てこんな俺にした君の所為。
君が憎くて身が焼けこげそうだ。


初めて俺の世界に入って来た君。
そして初めての感情を与えてくれた君。
そうそれは膨大な数の感情をくれたね…?
とてもありがたいと思ってる。
とても許し難いと思ってる。
とても好きだと思ってる。



だがね?君がくれたのは何も美しいものだけではないんだよ…?



嫉妬。悲しみ。憎悪。
そんな汚いモノ達もなかには混ざっていたんだ。
そうそれはもう俺なんかを簡単に飲み込んでしまうほどに。





あぁ。俺は君が好きだ。
モノクロの世界を色付けてくれた君が。
そういろんな色に。
ただその絵の具の中には黒いモノ達も混ざっていた。
奇麗なモノたちは次々と飲み込まれていってしまった。













そしてその思いはどんどん拡大していく。
君の全てを俺のモノにしたい。
君の目に映るモノを全て除去したい。
君を見ようとするモノ全てを殺してしまいたい。





ある日君は言ったね。
俺とずっと生きていきたいと。
その言葉を聞いた瞬間とても心は輝いた。
とても心はどす黒くなった。








次の日俺は自分の手で彼女を殺めた。
だって彼女はずっと俺と生きていきたいと言った。
それは俺とずっと一緒に居たいと言う事だ。
だから俺は彼女を殺した。



俺の子供を身籠った彼女を。



そして俺も後から手首を切った。
次から次へと流れていく血。血。血。






後になって思う。
俺はまだ彼女と生きたかったのかもしれない…と…。










暗いですね。
何だか書いてて彼の気持ちはとても重かったです。
愛情の与えかたを間違えた一人の男の話でした。