17.君は誰


俺が渡辺夏樹(わたなべなつき)と言う存在を知ったのは中3の
時だ。
一緒のクラスになり、たまたま生徒会の役員を一緒にやり出
したからでもある。


彼女の第一印象はとてもよかった。清楚で長いふわふわの髪。
ようは美少女だった。
そして話してみると活発で明るく。誰にでも優しいいい子だ
った。


だが8月くらいから彼女は変わった。
少女だったのが女になったような気がした。
彼女の雰囲気が微妙に変わったのだ。
まわりの奴らはあまり気がつかなかったが俺は気付いた。
彼女に惚れていたから。


だからわかった。誰も気付かないであろう事に。
そう。彼女は恋をしている。
どんな奴かは知らない。
俺に望みがないのもわかっている。
だがあきらめられなかった。


だからしつこく高校まで追いかけた。
運良くずっと同じクラスだった。


高校の初めの頃。彼女は変わった。
ある日を境に変わってしまった。
目の輝きは消え、笑顔もなくなった。
何故だか一度だけ聞こうとした。
だがやはり聞けなかった。
もうすでに近付けないような雰囲気をかもし出していた。
彼女は…本当に変わってしまった。



それから変わらない日常が過ぎていった。
彼女を前にしても何も出来ない。
そんな弱虫の自分。
だから終止符を打った。



「渡辺?」
すごく緊張した。
「…何?」
彼女はとても怪訝そうな顔をしていた。
そう。まるで知らない奴と話しているかの様な感じの顔。
昔の彼女の面影などこれっぽっちもなかった。
「大丈夫?もう暗いし雨も降ってきそうだから帰ったら?」
外はすっかり暗くなっていた。
部活動も終わっていたらしく、人はほとんど居ない。
いるのはこの瞬間の俺と彼女だけ。
どうしようか。今この瞬間に告白してしまおうか?
そうこう考えて居たら渡辺は突然叫び出した。


「イヤだ。」
何が嫌なんだ?
「渡辺?」
「イヤだイヤだ!!!なんで?置いていかないで!!佑司!!佑司…。」
佑司…?置いていく?
俺の頭はすっかり混乱していた。
「渡辺落ち着けどうし…」

「何で?何で死んじゃったの?どうして?私が傍にいなかったから?
私の所為で?ゴメンナサイ…。謝るから帰って来て!!!!!」

死ぬ?誰が?渡辺の所為・・・?
考えていたらバタっと言う後が聞こえた。
「渡辺!!!!!おい!?」
そう。渡辺は気絶していた。
俺は慌てて保健室へ連れて行った。


保健室につれこんで少し立った後渡辺は目をさました。
「渡辺だいじょうぶかー?って何で泣いてるんだよ…?」
声をかけてぎょっとした。渡辺は目からホロホロと涙を落としてい
た。
「安藤には関係ない。大丈夫だからほうって置いて。」
「イヤだ。心配だもん。もうすっかり真っ暗になっちゃったし送っ
ていく。」
「別にいい大丈夫だ。」
「強情。意地はるんじゃない。そんな顔してると幸せになれないん
だよー。」
「うるさい!!」
彼女はいきなり怒り出した。何か悪い事言ったかな俺?
「なんで急に怒るんだよ?」
怒り出した理由が気になったので俺は渡辺に問いかけてみた。
すると渡辺は

「私の事なんかほうって置いてよ…。優しくしないで。
私の事なんか居ないと考えて。近寄らないで。」

と言い出した。俺はキミがスキだからそんな事絶対に出来ないの
に・・・。


「誰も癒さないで。私に触らないで。佑司を消さないで。」

さっきから佑司と言っているがそれはいったい渡辺のなんなのだろ
うか?
そして「あなたには関係ない」とそう感情のこもらない言葉を発し
た後、渡辺は傍にあった鞄をとろうとしていきなり立ち貧血をおこ
した。


「危ない。やっぱり送っていく。」


こんな彼女をほうっておけない。そう思った。
「離してよ!!」
渡辺はすごい剣幕で怒っていたがそれはあえと無視した。
「イヤだ。離したら消えちゃいそうだからイヤだ。」
もともと儚いように見えていた彼女。
彼女を見失いたくなかった。

・・・だが一向に黙らない渡辺。さすがにプツッと来て思わずして
しまった。
「もう黙れ!!」
そう言って彼女にキスしていた。
・・・してしまってから後悔してももう遅い。


「やめてよ!!!何でこんな事するの!?最低。」
彼女の口から出てくる罵声。
「最低でもなんでも結構。」
そう言って開き直っている俺。



何かが違うような・・・?







うーん・・・。これきっと不定期更新だ(笑