16.涙



その日私春野亜梨沙(はるのありさ)と小西大志(こにしたいし)
はケンカをした。
とってもつまらない事(?)についてのケンカだったんだけどそ
れが悪化して…。
冷静になって考えてみると全て私が悪い。
誤ろうと思った。だけどこの意地っ張りな性格が邪魔してし
まって…。
ただ今激しく後悔しています。ゴメンナサイ。
会いたいよう…。でももうすでに一週間声すら聞いていませ
ん。
見えるのは彼が体育の授業をしている時のみです。
私はもう彼に嫌われているのでしょうか?
いつもならずかずかと言えるのに、ケンカなんか初めてで…。
どうすればいいのか分かりません。

私達のケンカの理由と言うのがとても些細なもので。
端から見るとバカップルそのもので。

「なぁ亜梨沙。お前には俺何回も好きって言ったよなぁ?」
「うん。何いきなり言い出すのかと思えば。それがどうかした
の?」
「……それじゃあ質問です。亜梨沙は俺に好きっと言った事が
あるでしょうか。」

私言った事なかったっけ…?
確かに告白も何もかもが大志からだった。
クリスマスの時も。バレンタインの時も。誕生日の時も。
考えてみると全くない。
もちろん大志の事は好きだ。だけど私はこの性格が邪魔してき
てしまって…。
ずっと心の中で言っているだけだった。
それに不安を覚えてしまったのかな?でもね大志。
恥ずかしくてなかなか言えない。

「……一回もない。」
「知ってる。知ってて聞いた。…お前さぁ。俺の事本当に好き
な訳?」
「何言い出すのよ!!当たり前じゃない!?」
「ならさぁ!?言葉でその気持ちをちゃんと伝えてくれよ…。俺
不安でたまらないよ。
いつかきっとお前の口から聞けると思ってた。なのに全然言っ
てくれない。
お願いだから…。」

…そんな事言われたのは初めてだった。
私は今まで大志から沢山の気持ちを溢れるほどもらって来た。
そう。もらって来ただけだったのだ。
でもどうすればいいだろうか?
悶々と考えていた。



そうこの言葉を私は言わなければヨカッタノダ。



「いいじゃんそんな事!!」
つい意地っ張りな性格が災いしてこんなに酷い言葉を言ってしま
った。
「…っはぁ!?何だよそれ!!俺にとってはすごく大切な事なんだよ。
…亜梨沙にとってはどうでもいいんだぁ。」
「そんな言い方ないじゃない!!」
「それよりも酷い事を亜梨沙は言っただろう?!」
「…………。」
私は黙りこくってしまった。
だって。あまりにも正論を言われてしまって。何も言えなくなっ
た。


「…しばらく距離をおこう俺ら。もう帰るから。気をつけて。」


私の返事を待たず大志は言ってしまった。
カッとなって言った言葉の酷さを理解した。


そして現在にイタル。

「どうしよう…。」
そう独り言をいいながら私は親友に愚痴っていた。
「そりゃあ、あんたが悪いわよ馬鹿。さっさと誤って好きっていい
なさい。」
毒舌家の親友。渡辺花梨(わたなべかりん)は言った。
「ぐ…。そう言われても。なんでそんな恥ずかしい言葉をいわなく
ちゃいけないのよ?」

「あのさぁ。小西が不安なのまだ分からないの?あんたに対する気
持ちが迷惑なのかな?とか、本当は無理矢理付き合ってくれてるの
かな?っとか思っちゃうんだよ!!私だったら別れたいね。あんたみた
いなのが彼氏だったら絶対嫌だ。」

…私の心臓にその言葉がグサっと来た。
そこまで私は深く考えようとはしなかった。
今日だけは花梨の毒舌っぷりに感謝しようと思った。
「だけどさぁ。今さらなんて声かけて好きって言えば言い訳?」
「それぐらい自分で考えろ馬鹿。私は友達に馬鹿もウジウジした
奴もいらない。」
うわぁお。すごい一言。
でも行く勇気が出てきました。

「花梨。ありがとう。ちょっくら行ってくらぁ!!」

なんちゅう言葉使いなのだろう。本当に私は女なのだろうか。
まあ今は関係ないのでよしとしよう(笑)
「行ってらっしゃい馬鹿ップル。」
なんだかとても引っかかる言葉を耳にした。今日だけは許してや
るが。
渡り廊下をゆっくりと一歩一歩踏み締めて歩いた。
サッカー部の部室に近付く事に心臓の動機が早まっていく。
バスケ部の部室を通り過ぎ。サッカー部の部室の前で止まった。
ここで大志が来るのをいつも待っていた。
…いや。これからも待っていていいはずである。


「大志!!」
心臓がドキドキ言っている中。私は大志の姿を見つけ声をかけた。
大志は何だよてめぇ?っとでも言うかのような目を見せながら
「あぁ?何?要件をさっさと言って消えてくんない?」
…泣きそうになった。でも涙を流さないように大志を見据えていっ
た。
「この間の事についてはゴメンナサイ。私が悪かったです。あと…。
その…さ、」
好きと言おうとした。なのに肝心な時にその言葉が出てこなくて。
言葉の変わりに涙が出て来て。
その様子を見ていた大志は言った。
「うん。この間は俺もカッとなっちゃって…。ごめん。さっきもかな
りキツイ事言ったな。ごめん。泣かしちゃったよ。」
大志は苦笑して私を抱きしめて言った。
別に大志は悪くないのに…。私が全部悪いのに…。
「それで亜梨沙ちゃんは何を言いに来たのかな?」
大志は私を見下ろし、ニヤニヤしながら言った。
そして一気に涙は引っ込んだ。そうだ言わなくちゃ。

「えと、さぁ。あの…ね?   …好きです

私は聞こえないような小さい声でいった。わざと言った。
だけど大志には聞こえていたみたいで

「うん!!俺も大好きだよ」

あぁ…。私はなんて幸せなんだろうなどと実感した。
ホッとしたと同時にまた涙が出て来てしまった。
「なんで泣くんだよ!?」
などと大志は言っていたけど。






その後
「なぁ亜梨沙。あのケンカで俺すっごく傷付いたからお詫びもらっ
ていい?」
「はぁ!?誤ったし、その…言ったじゃない!!」
突然何を言い出すのだろうかこいつは。
「ほら!!また好きって言ってくれない。だからお詫び決定!!」
「な!!知らないもん!!イーだ!!やれるもんならやってみろ!!」
その言葉を聞いてニヤっと笑った大志は
「じゃあやるから顔貸してねvv」
私の顔をグイっと掴んで来た。
何かがあたったような気がした。

「てめぇ・・・。今何やりやがった?」
「それぐらいも分からないの?亜梨沙ちゃん。後は自分で考えよう
ね?」
私は何でこんな男と付き合っているんだろう?と思ったが好きだから
良しとする。

それに、さっきの出来事ちょっと嬉しかったので、その後涙が出て
来たとか出てこなかったとか(どっちだよ!?




はい。馬鹿ップルを書いてみました。どうでしたでしょうか?
大志君が案外俺様な気がするのは気のせいでしょうか(笑)
蜂蜜と苺のジャムのような性格の違いです(意味不