04.遊園地


今日は俺と彼女の香澄と遊園地に来ている。
…まぁいわゆるデートと言うヤツだ。
今まで女とは長持ちしないタイプだったし、
それに転入が決まるまでは女なんかどうでもよかった。
勝手な思い込みをするし。何より付き合いと言う物が面倒だった。
特別何かしなくても女がよってくる。
当時の俺にとっては中学校生活は苦痛でならなかった。


…だが一人だけ。幼なじみの泣き虫の女の子だけは違うと思ってた。
小さい頃引っ越した時の記憶があいまいだからかもしれない。
…初恋だったから奇麗に脚色しすぎているのかもしれない。


だが、心の中で少し期待していたんだ。
だからまたあの地域に戻ると聞いた時には嬉しかった。
俺の中のなにかがグラグラした。
何故だかは分からない。
まぁ今となってはどうでもいいけどね。
今は俺の隣に香澄がいる。それだけで俺は充分だ。


でも現状としてはまだ付き合っている訳じゃないんだなぁこれが…。
あれから全然進歩していない訳で…。
まぁちょっとつらいかな(苦笑)


だけど俺は腐っても幼なじみだったと言う実績(?)がある。
だから香澄がどう言うのが苦手でどういうのが好きかぐらいは知って
いる。
小さい頃と全然変わってないからね。
でも顔付きとかは全然違う。
なんていうか奇麗さと可愛さが入り交じったような感じだ。
これでまだ誰とも付き合った事がないと言うのに驚きだった。
しかも告白さえされた事がないと言うのだ。
驚いて実際のところを香澄の中学時代からの友達に聞いてみると



「あははは!!違う違う。あの子が告白されたのに気付いてないだけだ
よ(爆笑)」



だ、そうだ。鈍くてよかった。と改めて思ったような、
…告白した男子を少しだけ気の毒に思ったような感じだ。



よし!!この事は今日はすっきり忘れてとりあえず香澄との一日を満喫し
よう!!!!!!










「あっ君あっ君!!早く!!!次はこっちー♪」
「ハイハイ…。ちょっと待ってね。」
「うん!!!でもすぐ来てー。」
「わかった…。」
正直この年になってまで香澄がここまではしゃぐと思わなかった。
でも…そんな所も可愛いんだよねぇ。
「ジェットコースター☆ジェットジェットー♪」
また意味不明な歌を歌いだした…。ちょっと浮かれ過ぎだ。
だけど俺はハラヘリだし。
と言う事で食事に連れて行こう。


「なぁなぁ香澄ぃー。あっちでなんかイベントやってるぜ!!」


「えぇぇ!?本当!?じゃあそこ行くぅー。」
「…あははは!!」
駄目だ。香澄の素直さに笑いが込み上げてくる。
もう本当に自分で言うのもなんだけどべた惚れだ。
「あっ君どしたの?なんで笑ってるの?」
「いや?なんでもないよ?ただ香澄の事を可愛いなと思っただけだよ」
「に゛ゃ!?いいようそんな事言わなくて///」
そんな香澄の事をクスクス笑いながら俺は見ていた。
「さぁ。行こうか?」
そう言って香澄のほうに手を差し伸べた。少し戸惑ったような顔になっ
たが、その暖かくて小さな手を俺に重ねてくれた。
それだけですごく嬉しかったんだ。
…俺らしくもない。きっと今顔が真っ赤なのだろう。
香澄が俺の顔を見ながらちょっと微笑んでいるというか…。
ちょっと悔しいじゃないか。香澄は余裕なんだ。ふーん。
ちょっとどころじゃない。すごく悔しい。


「な////!?あっ君!!!!!!!!」


さて俺はいったい何をしたでしょう?
皆さんのご想像におまかせします。
「あっ君の馬鹿ー。阿呆ー!!!!!!」
「香澄のドジー。鈍チンー☆」
「な/////うっさいも。もうあっ君なんか知らないっだ!!イーッだ。」
…一瞬香澄が幼稚園の年中さんぐらいに見えたのは、俺の気のせいではな
いだろう。
そう思って香澄の方を見た。




…いない!!!!!!!!!!!!!




ヤバい。香澄がいない。あいつ極度の方向音痴だ。
それにあんなに可愛い香澄の事だ。
ナンパでもされたら…相手をどうするか分からないよ?.俺。
とにかく探さないと…。あぁ…。こんな事が多分本編でもあったぞ?(笑)
香澄の行きそうな所、好きな物、遊園地からパッと連想出来る物…。
っく!!こんな時に子供の頃の気持ちが欲しくなる。





子…供の頃…?





「あ!!」
そうだ思い出した!!たしか香澄はいつも見渡せる物の所に行く。
そう。家族ぐるみで遊園地に来てすぐに乗りたがるのは…そう。
観覧車だった。

ここの遊園地は何分初めてくる所である。
香澄は駿河と何回か来た事があるようだけれど。
バッ!!っとパンフレットを広げる。どこに観覧車があるか確認する。
…何故こういう時に限って一番遠くにあるんだ…。
少し苛立ったがとにかく香澄のところへ向かった。
本当に俺って香澄を追いかけてばかりだ…。
子供の頃からそうだった。思わず苦笑いしてしまう。


















「香澄!!!!!!」
ゼイゼイと荒い息の中なんとか香澄の名前を呼んだ。
香澄を捕まえたあとどうしてやろうか?
「にゃ?!あっ君!!??」
「あぁ。…っそうです。明です。」
「なんでここが分かったの?一番遠いしバレないと思ったのに…。」
「香澄の行動はすぐにわかるし。」
「単純ですみませんねぇー。」
言い方にカチンと来た。ムカつく。
「ほほう?俺にそんな口を気君だ香澄サン?」
香澄は、ハッと気付いてこちらを見た。
そう。香澄はいつも俺を怒らしてから自分のしてしまった事に気付く
のだ。
「あっ君…?」
「なぁに?香澄?」
にっこり(?)しながら答えた。案の定香澄はへこんだような顔をした。
もっといじめてやろうかな…?
「ちょっとこっちおいで?拒否権はなし。何も言わずについてこい。」
そう言っておれはスタスタと歩き出す。
香澄は一生懸命俺についてこようとする。
可愛い…。顔にその感情が出ないように気をつけなければ。









がたんがたん。音をたてながら観覧車は上にのぼって行く。
そう。俺が香澄をつれてきた場所は観覧車だ。
バレバレだったと思うが一応説明しておく。
「あっ君…。なんでよりによって観覧車なの?」
香澄がほとんど半泣き状態で俺に精いっぱいの言葉を伝える。
そう。香澄は高所恐怖症なのだ。
目印にしたりそのゆっくり上昇して行くところを見るのは好きだが、
絶対に乗ろうとしなかった。
「それは香澄が俺の事を怒らせたから。」
わざと怒ったような顔をして向かい側の席に座っている香澄に告げる。
「ごめんなさい…」
「イヤだ。」
すかさず俺が言う。
すると香澄の目からポロポロと涙が出て来た。





すごい罪悪感が襲ってくる。





「あー…やりすぎました。ごめん。」
さり気なくそう言いながら香澄の横に移動する。
「・・・」
声をおし殺して泣かれると困るんだけどなぁ。
「香澄?ごめんね?」
優しく優しく言うと香澄はこっちを向いて抱きついて来た。
「ご…めなさぃ…。」
あぁーやめてほしい。可愛すぎて困る。
抱きつきながら泣かれると…。なぁ…。
「じゃあ一つだけ言う事聞いてよ。これは拒否権アリ。」
「にゃ…?」
少し落ち着いて来たのか香澄は俺の事を見上げて来た。




「もう一回言うよ?俺と付き合って下さい。」




言った…。今日の遊園地につれて来たのにはもう一度告白すると言
う目的もあった。
だって曖昧な状態で居ると…なんかねぇ…。
「香澄?今の聞こえてたよね?」
「にゃー…。」
にっこりと笑いながら香澄の方を向くと香澄は真っ赤な顔をしてい
た。
「なんであっ君はそんなに余裕な顔をするの?」
「うーん。余裕じゃないよ?もうすぐにでもギューってしたい。」
もっと香澄が真っ赤になった。可愛いなあ…。
「あと二分だけ待って?」
なんでそんな中途半端な時間なんだ…?
「別にいいけど?」
「ありがとう」
といって香澄はニッコリと微笑む。っく…。可愛すぎる。
そこからちょっとの間だけつづく沈黙。
だけどそれが妙に心地よく感じる。
「ねぇねぇあっ君。私があっ君に告白した時の言葉覚えてる?」
「っはぁ?」
告白?香澄から?されたか?否、絶対にされていないはず。
「小さい頃から私あっ君の事が大好きだったじゃない?
それで引っ越す時に私言ったのよ?あっ君に好きって。」
引っ越す時に…?

駄目だ覚えてない。

「ごめん香澄。覚えてない。」
「いいのよー。だってものすごく小さな声で言ったんだもの。」
「なんで急にそんな話をするんだ?」
「思い出したからよ?好きとか愛しいって気持ちを。」
「…思い出す?」
「私あっ君がいなくなってから好きな人なんか出来なかった。
あっ君が何よりも大切で大好きだったから。
だけど帰って来たあっ君は何かが違った。…うん。変わった。」
「そんな事はないと思うんだけど…。」
「…ううん。とにかく変わったの。」
「そうか。」
「…ねぇ。あっ君。さっきの告白した時の気持ち今現在も変わって
ない?」
何をいきなり聞き出すんだ。当たり前じゃないか。
俺は静かに頷いた。






「私もあなたが…あっ君が好きです。」






その言葉を聞いた瞬間に頭がパァっとお花畑に変わったような気が
した。
「本当?本当か香澄!?」
「え…えぇ!?本当に決まってるじゃん!!」
「っっっっっやったぁぁぁぁぁ!!今日から香澄は俺の物ね?」
「…あっ君は私の物?」
「うん!!そうだよ♪それでは今日は抱きつく打で我慢する事にしま
す。」
「はぁ?」
即座にぎゅーっと香澄を抱きしめる。
何か俺の事を批難しているような声が聞こえるけどそれはほぅって
おこう。






にゃー…。やっとこさ終わったです。でもこのシリーズの続編多分
また 書きます。

ってか本当お気に入りキャラに入ったらどうしよう?
でも実は個人的に稲田隼人君が大好きです(オィ)