ここ数日、頻繁に望美さんの視線を感じる。
ふふっ。君はいけない人ですね、そんな瞳で僕を見つめて。
君の気持ちには気付いているつもりです。
けれど、君の口からその想いを聞くまでは気付かないふりをさせて下さいね。
ふふっ。僕もいけない人・・なんでしょうね。


《 恋の病 》



「はぁ・・・」

望美は今日何度目になるのか分からない溜息を吐いた。
原因は弁慶の存在。
そう、『恋』というやつである。

「おい望美、そんな熱っぽい視線を泳がせて溜息吐いてんじゃねぇよ」
「・・・・・」
「(おいおい、完全に自分の世界かよ・・/苦笑)」

将臣が声を掛けても反応のない望美に将臣は悪戯心が芽生える。

「の・ぞ・み」
「!!! ま・・将臣くんっ!!」
声のトーンを低めにし、望美の耳元で艶っぽい声で囁いた将臣に、さすがの望美も驚く。
「漸(ようや)く気付いたか・・ったく、お前ってヤツは・・(苦笑)」
「び・・ビックリするじゃない!もぅ・・・(////)」
「お前が気付かないのが悪いんだろ? そんなに無防備で熱っぽい視線泳がせて
 溜息なんて吐いてんじゃねぇよ。襲われるぜ?(ニヤリ)」
「だ・・だって・・・(////)」
「どうせ、弁慶の事でも考えてたんだろ?」
「ぅ・・・・・」
「図星か(笑)」
「・・・・・(こくり)」
「お前ってホント昔と変わらねぇな。分かり易いよ(苦笑)」
「あ、あのさ・・将臣くん・・・」
「何だよ」
「私さ・・おかしいのかな・・・」
「おかしいって何がだよ?」
「うん・・あのね?弁慶さんの姿を見たり、弁慶さんの事を考えたりすると
 ドキドキして胸が苦しくて・・・」
「・・・・・(はぁ・・(溜息)好きな女に恋の相談をされるとはな・・ったく、
 俺もとことんツイてないぜ/苦笑)」
「将臣・・くん・・・?」
「あ・・悪ぃ・・・ それは病気だな」
「びょ・・病気?そっか・・やっぱり、私・・おかしいんだ・・・」
「あぁ、病気だ。それも手に負えねぇ程の難病」
「えぇっ?じゃ、じゃぁ・・私・・・不治の病?」
「そうかもな・・(ニヤリ)」
「私・・死んじゃうの・・・?」
「バーカ。死なねぇよ。 お前の病気ってのは『恋の病』だよ」
「恋の・・病・・・? えぇぇぇ〜〜〜っ!!(////)」
「ってか、それくらい自分で分かれよ(呆)」
「だ・・だって・・・(////)」
「ま、そんなとこが可愛いんだけどな」
「将臣くんっ(////)」
「ははは(笑)」
「それでさ・・どうしたら・・治るかな・・・恋の・・病・・・」
「さぁな、弁慶に聞いてみな?」
「き・・聞けないよっ、そんな事・・・(////)」
「それじゃ、いつまでたってもそのままだぜ?」
「・・・・・」
「それを治せるのは弁慶しかいねぇんだからよ」
「ぅ・・ぅん・・・」
「ま、俺が無理矢理治すって方法もあるけどな(ニヤリ)」
「将臣くんが・・?治せるの?」
「かなり強引な方法だけどな。 弁慶の事を忘れるくらいに
 俺を好きにさせてやるって言ったらどうだ?(ニヤリ)」
「ぇ・・ちょ・・・ちょっと・・・何言って・・じょ、冗談・・だよね・・・?(/////)」
「俺はマジだぜ?」
「将臣くん・・(////)」
「だけど、今回は引いてやるよ。だから、ちゃんと弁慶にお前の気持ち、伝えてこいよ」
「うん・・ありがと、将臣くん・・・」
「どう致しまして」
「それから・・」
「ん?」
「私・・将臣くんの事も好きだよ^^」
「お前なぁ・・それ反則。歯止めが利かなくなるだろーが」
「へ・・?そうなの?」
「・・・・・(苦笑)そうなの?じゃねぇよ」
「ごめん・・^^;」
「いいから、俺がお前を襲っちまう前に弁慶の所へ行けよ」
「襲うって・・(////)」
「早く行けよ」
「うん・・将臣くん、ありがとう」
将臣に相談した望美は弁慶に想いを伝えるべく、その場を去って行った。

「はぁ・・(溜息)俺もつくづくお人よしだな・・(苦笑)」
望美が去った後、ぽつりと呟けばその場に寝転び、よく晴れた青空を見つめた。



「あの・・弁慶さん・・・」
「どうしたんですか?望美さん」
「実は・・お願いがあって・・・」
「僕に、お願いですか?」
「はい・・」
「君のお願いなら喜んで聞きますよ」
「わ・・私・・・弁慶さんに・・」
「僕に、何です?」
「弁慶さんに、治して欲しい病気があって・・・(////)」
「望美さん、病気なんですか?それはいけませんね。
 薬師である僕に治せる病気ならば治してあげますよ」
「弁慶さんにしか治せないって、将臣くんが・・・」
「将臣君がそう言ったんですか?」
「はい・・」
「では、将臣君も望美さんの病名を知っているわけですね?」
「ぁ・・はい・・・」
「では、その病名を教えて頂きましょうか」
「それは・・・(////)」
「言えないんですか?」
「そ、そんな事はないんですけど・・あの・・恥ずかしくて・・・(////)」
「言ってくれないと、僕も治せませんよ?」


ふふっ。望美さん、すみませんね。 君の病名は既に分かっていますよ。
『恋の病』・・でしょう?
それもかなり重症な・・。
治してあげることもできますけど、ずっとその病にかかっていてもらうというのもいいですね。
さて・・どちらにしましょうか?


「いの・・病・・です(/////)」
「何ですか?はっきりと言ってくれないと分かりませんよ?」

すみませんね。聞こえてますけど、もう一度君の口から聞きたいんですよ。

「こ・・恋の・・・病・・です・・・(/////)」
「恋の病?」
「は・・はい・・・(/////)」

君は頬を染めて恥ずかしそうに頷く。
ふふっ。何て愛らしいんでしょう。
けれど、もう少し意地悪をさせて下さいね。

「残念ながら、恋の病は病気であって、病気ではありません。
 いくら薬師の僕でも治せませんよ」
「えっ・・」
「そうですねぇ・・でも・・望美さんの心の中にいる相手がある人物だったら
 治す事が出来ますよ」
「ある人物・・ですか?」
「えぇ、そうです。僕に、教えてくれますか?」
「・・・・・(こくり)・・・(////)」
「では、教えて下さい」

ふふっ。僕の名を言うと分かっていて、わざと言わせてしまう僕を君はどう思うでしょう?
けれど、君のその声で僕の名を呼んで欲しいんですよ。
困った様な表情も、頬を染めた愛らしい表情も、望美さん・・あなたの全てが愛しいんですよ。
僕のこの気持ち、分かりますか?

「んけいさん・・です・・・(/////)」
「ん・・何ですか?」
「弁慶さん・・です・・・(/////)」
「ふふっ。よく言えましたね。 ありがとうございます、嬉しいですよ(にっこり)」
「えっと・・じゃぁ・・・(////)」
「えぇ、治してあげますよ。 でもその前に、君の気持ちを聞かせて下さい」
「えっ・・(////)」

君の言葉は聖なる言葉。
さぁ・・この僕に、その言葉を下さい。

「弁慶さん・・一つだけ、お願いが・・・」
「いいですよ、何ですか?」
「少しだけ、屈んでくれませんか?」
「分かりました。 これでいいですか?」
「はい」

屈んで望美と同じくらいの目線になった弁慶の外套に望美は手を伸ばし、
弁慶の頭を覆っていた外套をパサリ・・と後ろへ落とす。

「望美さん・・?」
「・・・弁慶さんが・・・好き・・です・・・(/////)」

(苦笑)参りましたね。僕の耳元で囁くなんて。
軍師である僕の予想を遥かに上回った行動をしてくれる君。
そんな君に僕はいつも驚かされているんです。

「本当に君は、いけない人ですね」
「弁慶・・さん・・・?」
「僕も、君の事が好きですよ。望美さん」
「・・・・・(/////)」
「ふふっ。 ですが、僕の耳元で囁くなんて可愛らしい事をした罰として、
 『恋の病』は治してあげませんよ」
「そっ・・そんなぁ・・・」
「これからも、僕を見て、僕の事を想って、ドキドキして下さいね」
「べっ・・弁慶さんっ!(/////)」



望美さん、僕がそう簡単に『恋の病』を治してあげると思ったんですか?
まだまだ甘いですよ?ふふっ。
もっともっと僕の事を考える様にしてあげますよ。
僕は軍師なんですから、ね?



* * * * * * * * * * * 

BLUE BLUE MOON  の華霞紫苑さまから
我がサイト2周年のお祝いとして頂戴してしまいました〜!
しかも!何と私の為に(←強調)初めて弁慶×望美を描いて下さったとのコト!
はうわぁぁ〜vvありがたい事ぢゃあ〜りませんか!←ちと口調がオカシイ
トコトン意地悪な薬師殿がナイスv ←いいのかソレで
激ニブで恥じらいまくりな乙女・望美ちゃんがぷりち〜v
>将臣くんの心情を考えると、ちと気の毒ではありますが
そして 『外套を外して耳元でカミングアウト』にはやられました///

紫苑さま、萌えvなお話をどうもありがとうございました!(ぺこぺこ)

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