「神子殿 おいでv」   
「私の寝台で、何してるんですか(///)」



《 寝顔は 天使か 小悪魔か 》


  
「神子殿、いつまでもそんな所に座っていたら、風邪を召してしまうよ」   
「誰の所為ですか!」
  
あかねは几帳の裏、友雅の手のギリギリ届かない場所に座り、じっと睨んでいた。   
怨霊調伏で心身共に疲れ切っているのだ、早く横になりたいのは事実。   
だがその場所は、年上の恋人に占領されてしまっている。   
その場所に行くのは、餓えた狼に生肉を与える行為と同じ。   
今、そんな事をしている場合ではない   
明日への行動にも、支障が出てしまうだろう。
  
「・・・分かったよ、私がそこに座るから、神子殿は横になりなさい」   
「えっ!? 座るって、友雅さん帰らないんですか??」     
「もう、宮中の門は閉まっているしねぇ、帰れないのだよ。    
 ・・・あぁ、こんなトコを帝に見られたら、お叱りを受けるかもしれないねぇ」
  
友雅は少々大袈裟な溜息を零す。
  
「えぇっ! そうなんですか!?」
  
・・・普通そうだろう。   
夜更けの宮中に男が居れば、ソレすなわち『夜這い』以外の何者でもない。   
『叱り』って言うか『大宰府』辺りに流されるかもしれないが   
友雅はそうなるまい、帝も彼の性質をよく知っているだろうし・・・
  
だが、その一言は、心優しいあかねには効果覿面で   
暫く考え、真っ赤になりながら、口を開いた。
  
「・・・一緒に寝るだけですよ、友雅さん。   
 ヘンなコトしちゃ、駄目ですからねっ!」   
「・・・・・・・・・・・・ふっ   
 さぁ、風邪をひかないうちにおいで」
  
その間は何だっ!!! と思わずツッコミたくはあったが   
優しく衾を持ち上げる、その笑顔に諦めつつ、友雅に背を向ける格好で   
褥に横になった。
  
当然、友雅は手を出す気満々で、その気がないならその気にさせればいいv   
と北叟笑んでいた。   
暫く大人しくしていたが、そろそろと思い艶を込めて耳元で囁く。
  
「あ・か・ねv」   
「・・・・・・」
  
しかし彼女からの反応はなく、そっとその様子を覗き込んで見ると   
もう、既に深い眠りへと落ちていたのだ。   
白い肌が、月明かりで一層、蒼白に見える。
  
「・・・あかね・・・」
  
ここにきて友雅は、自身がいかに大人気なかったかを悟る。   
ほんの僅かな時間で寝入ってしまう程、彼女は疲れ切っていたのだと   
市では最大でも三回だった、怨霊調伏   
宮中では場所が近い為、神気が続く限り調伏を行なおうとしてしまうのだ。   
更に暇があれば、筝と漢詩の練習も
  
友雅は慈しむ様に微笑むと、あかねの頭を撫でた。
  
「悪かったね、悪戯をして   
 せめてものお詫びに、君の夢路は私に守らせてくれまいか」   
「・・・んっ・・・」
      
その手に反応したのか、あかねが寝返りを打って此方を向いた。   
僅かに肌蹴た胸元に薄く開いた唇が、友雅の目に扇情的に映る。   
先程の誓いも忘れ、思わず手を出してしまいそうな程。
      
「っ!」
  
危うくなりかけた自身を鎮める為、咄嗟に背を向け寝返った。   
鼓動を抑えていると、背中に柔らかい感触が
  
「!!!」
  
隙間の寒さを嫌がったのか、離れていく温かさを追いかけたのか   
あかねが友雅の背に抱き着いていた。
  
「あっ あかね!?」
  
慌てて問い掛けても、勿論答えは返ってこない。   
意外に強く抱締めているので、その腕を解く事も出来ない。   
・・・力任せに解く事は可能だろうが、解きたくないのも事実・・・   
少しでも身動ぎをすれば、更に身体を密着させる事に  
手を出すことも出来ず、解く事も出来ず・・・ってかしたくない・・・

 
 (・・・嬉しいが・・・コレでは、蛇の生殺しだっ!!!)


悪戯の代償は、「睡れぬ一夜」




姫君主義のセアル様私の4コマを元に書いて下さいました。
策士策に溺れる・・といった所でしょうか?
にしても、高い代償となってしまいましたね〜(笑)
熱源(?!)を得て、ぬくぬくと熟睡出来たであろうあかねちゃん。
朝まで(多分)悶々と過ごしたであろう友雅氏。
コレに懲りて当分の間は彼も大人しく・・・なる、でしょうか?

セアル様、どうもありがとうございました(深々)

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