南九州理研の魚介エキスについて

水練り製品の主原料はすり身、そのすり身を製造する際、ミンチ状の魚肉を冷水に晒し、脱水する作業が不可欠です。(また、こうしないと蒲鉾や竹輪らしい弾力がなく、魚油の酸化や分離、離水の原因になります。)
この晒し工程で、魚本来の旨味、コク味、香りなど大半が流出してしまい、肉汁のジューシーさも失われます。
そこで、ジューシーで自然味豊かな練り製品を作るために弊社の魚介エキス類を是非ご利用下さい。

弊社のエキス類は30アイテム強あり、製法も大きく分けて5通り、天然素材のみで魚醤油状のもの、魚油乳化状のもの、調味料配合型のもの、ETC.です。

魚油乳化状のものでは、晒しの際に流出する成分(水溶性たん白、ミネラル、魚油)を再びすり身に加えても有効に働くように機能をもたせ、練り製品の品質向上を促す弊社独特の魚介エキスです。

原料の鮮魚(エソ、グチ、鱧、など)は水揚げされた魚市場で内臓やえらを取り除いたものを使用。製造方法は極めてシンプルな熱水加圧による抽出法です。
また、魚油も利用するため、酸化しないよう工夫し、分離しないように乳化しています。
ミネラル分は特に骨に多いため、独自の方法で有効利用しております。

これらの成分がすり身の中に溶け込み、練り製品となったとき、ジューシーでコクのある自然な旨味を味わえるのではないでしょうか。

ときに、「鰯のすり身、えそのすり身、その他の生すり身などを使っているのでエキスは使う必要はない。」とよくお聞きしますが、弊社の魚介エキスは是非使って欲しいのです。
これらの生すり身もやはり晒工程があり、旨味成分、ミネラル分が流失し、ジューシーさも減り、若干の魚油の存在による離水や魚油の酸化にもつながります。
弊社エキスと併用される事により、ジューシーで魚本来の旨味をもつ自然な味の練り製品になります。


2007/01/27

有限会社 南九州理研

上村博信


リピートオーダー性の高い水産練り製品作り


古代人類は火を自由に操れるようになって、今日までさまざまな加工食品を創り出してきました。中でも水で晒すという発見、発明には驚かされます。多分、縄文時代にクヌギの実、ドングリの実を臼や杵を使い潰し、水に晒してあくを抜き、食していたのでしょう。

その晒し技法は片栗や葛、馬鈴薯、小麦などのでんぷん製造につながり、平安時代〜室町時代には鮮度の落ちかけた魚を潰し、水で晒し、絞り、塩ずりし、火であぶる。この大発明が今日の竹輪であり、後の蒲鉾であると見聞きいたしております。

一方動物の肉は晒さずに、ハムやソーセージ、ベーコン、焼き豚、などなど数多くの加工食品が作られています。晒さないという事は素材100パーセントに塩、醤油、酒などの調味料や野菜、油脂、その他の具などをプラスし100を120〜200……パーセントとして付加相乗する事と思います。この数を放射状に伸びる味のベクトルで表すと素材100の肉は肉のベクトル100で、魚は魚のベクトル100を持つものです。すり身は魚から見て魚のベクトル100ではなく、魚のベクトル80であったり、70、60、50であるかもしれません。なぜならば、すり身を製造するには魚の身を晒すプロセスが不可欠です。そのとき水溶性たん白、水溶性のミネラル(Ca.K.Mg.P.Zn.Cu.Mn.Fe.…)ビタミン類、魚油を捨て去っています。ベクトルの形も魚100が真円であるとするならすり身は変形楕円となりましょう。仮に魚のベクトル60(すり身)に旨味調味料やその他の具材をプラスし、相乗をすれば、やはり変形の楕円の拡大となりましょう。たとえば変形楕円の食した感じは、新鮮なお刺身を醤油とわさびで食べたつもりが、新鮮なお刺身を水洗いして、醤油とわさびで食した感じではないでしょうか。

ところで、水産練り製品といえば日本古来の伝統の技で、味の点ではテイスト、テクスチャーとも各メーカーの好みのままに最高の商品になってきているようです。ただ、生産量は十数年前をピークにして毎年十数パーセントのダウンを余儀なくされており、其の事は余りに多品種の食材に埋没している性かもしれません。

ところで、打開策として、こんな考え方は成り立たないでしょうか。

原料のすり身=魚(〜60〜)を魚100に戻すとともに味の付加相乗増幅をはかるということを。弊社の魚介エキスはその目的のために開発したものです。

旨味成分や窒素分だけを味として捉えるのではなく、調理した鮮魚(内臓やえらを除く)が持つ全ての要素、=骨の成分、魚肉(水溶性、塩溶性ともに)、魚油(ビタミンEによる抗酸化とレシチンによる乳化力加えた)、これらをエキス製造工程にて均一化してすり身へ練りこみ、本来の魚肉に戻し、そして味の増幅をはかれば、身体、あるいは魂がよろこんでくれる食品になり、ショッピングでは自然に手か出てしまうリピート性の高い存在感のある食品になるのではないでしょうか。

挙九州理研 上村博信