updated:2005/2/14    
この蘭が我が家に来たのは、もう20年も前の事。       
当時同じアパートに住んでいた母のお友達が       
ラッピングされたままの鉢を抱えながら       
「頂き物なんだけど・・・育てられないから貰ってくれない?」       
と、困った顔で訪れたそうです。       
その鉢がシンビジュウムだと知ると       
母は「私も無理!」とすぐに断ったのだとか・・・。       
でも「若草」と名の付いた、       
静かで優しいこの花に魅せられて       
花好きな母はこの花を育てることにしました。       
「若草」の名の由来は、この花の色から。       
とても優しくて穏やかな色の蘭です。       
その日からの母は、「蘭の育て方」の本とにらめっこしながら     
何とかからさずに育てていたそうなのですが       
花は思うように咲かず       
四年の時が過ぎた頃には母も諦めて       
株分けや遮光にも気をつけずに       
放っておいたのだとか・・・。       
ところが、やっと我が家に適応してくれたのか       
それとも母の目から解放されてのびのびしたのか       
次の年からは沢山の花芽が付き       
母を驚かせました。       
それから毎年、今の季節になると       
母の傍で静かに咲いています。       
振り返ってみると、私が物心付いた頃から       
この「若草」はいつも家族と一緒に居たような気がします。       
今の家に引っ越したときにも、私のお雛様の写真にも      
花期が長いことから弟の卒業記念の背景にも       
いつでも優しく咲いていました。       
今年も「若草」は10本の花芽に沢山の花を咲かせてくれました。       
いつもなら1か月は花を楽しめるのですが       
母は咲いたばかりのこの「若草」を       
惜しげもなく切り       
愛犬さくらの棺の中に入れました。       
17年もの年月を私たち家族と一緒に過ごしてくれたさくらを       
母が20年間育てた「若草」が天国へと付き添いました。       
母のさくらへの想いが伝わってきます。       
来年からは、この「若草」が咲く頃には       
さくらとの悲しい別れを思い出すのでしょう。      
でも、私は       
さくらがこの花に付き添われ今も幸せに過ごしているのだと       
そう信じて       
この花と共にさくらを思い出したいと思っています。       
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