執政家の兄弟

 

良く晴れた空の下、城の中庭へと現れた尊い二人の姿に、ここへと仕えて長いゴンドールの兵士達は、顔を顰めた。

先頭を歩く、この国の総大将は、もう剣を振り回し、にこにこと頬を緩めていた。

後ろを歩く、この総大将の弟は、口元に控えめな笑みを浮かべ、兄の後ろに従っていた。

二人とも、稽古着姿だ。

兵士の剣の稽古に、二人が揃うことなど、珍しかった。

新参の兵士達は、降って湧いたような幸運に沸き立っていた。

だが、古参の兵士達の顔は苦かった。

古いものであれば、皆知っていた。

稽古をつけてもらえるのは、ありがたかったが、どちらか、一人だけのほうが、ずっとましだった。

この二人が揃った剣の稽古は、ただではすまない。

 

「見ない顔だな。やらないか?」

ボロミアは、早速、剣の稽古に混じっていった。

大将たちが、剣を持って待ち返るのを笑顔ですり抜け、自分で、相手を物色していた。

今日は、新参の黒髪の兵士がボロミアの餌食になった。

剣を触れ合わせ、楽しげな顔でボロミアは誘う。

 

「ほら、どうする?胴をそんなに開けていては、切ってくれと言っているようなものだぞ。胴体と足、ばらばらになって、城に帰るつもりなのか?」

ボロミアは剣を兵士の剣を跳ね上げ、一瞬の内に肉薄すると予告どおり、兵士の胴へと剣先を寄せた。

ぴたりと剣を止めると、にやりと笑う。

ボロミアの稽古が厳しいのは、いつものことだった。

戦場を駆け抜けるために生まれてきたようなボロミアは、兵士たちの隙を決して見逃さなかった。

気軽に下級兵士とも打ち合うが、そこに容赦などありはしなかった。

兵士を突き飛ばして、もう一度距離を取ったボロミアは、相手が構えるを待って、また、間合いを計りだした。

完全に、ボロミアから手加減をされている兵士へと、周りの兵士たちから野次が飛んだ。

「足手まといにならないということだけでも証明しろ!」

「もし、ボロミア様に一太刀触れることができたら、今晩は、浴びるほど酒を飲ませてやるぞ!」

城の兵士は、入れ替わりが激しかった。

上官はさすがに、血筋がものを言ったが、それ以外は完全に実力主義を取っていたので、新しく腕のたつ兵士が召し抱えられれば、実力の無いものは、また、別の部署へと追いやられた。

執政家の兄弟を間近に見ることが初めてな者も多い。

ファラミアと並んで、見守る大将たちは、行儀の悪い兵士達に、仕方がないという顔で、苦笑いしていた。

「憧れのボロミア様の前で、格好悪いぞ!」

誰かが大声で叫んだ。

野次に背中を押されるように兵士が、唸り声を上げて、ボロミアへと突進した。

「はぁっ!」

剣が振り上げられた。

ボロミアは、僅かに足を後ろへと引き、低く構えると、がら空きになった兵士の腹を蹴り飛ばした。

重心を崩した兵士の懐へとひらりと入り込む。

「ほら、これで、お前は首と、胴もばらばらだ。これでは、いくら城の医者の腕が良くても、お前は奥方の下に帰れない」

ボロミアの緑の目が、嬉しそうにきらめていた。

とても楽しげな顔をしたまま、ボロミアは、兵士の首の皮一枚のほんの手前で剣を止めた。

兵士は、そのあまりの迫力に、剣が止まったというのに、歯の音をがちがちとさせた。

剣が風を切る音を、顔の真横で聞くのだ。

この位置で、間違いなく剣を止められるものなど、それほどいるわけでもない。

ボロミアは、剣を納めると、顔色の悪くなった兵士の頭を抱き寄せ、気軽に背中を叩いた。

「大丈夫だ。上手くなれば、こんな目にも合わずに済む。奥方に雄姿を見せたいだろう?もっと鍛錬に励め」

金色の髪が、惜しげもなく兵士の頬に触れた。

ゴンドールで一番高価な緑の宝石が、くしゃりと笑う顔の中で細められた。

兵士は、ボロミアに抱きしめられた。

ボロミアの態度に、兵士たちは、幸運をはやし立てた。

青ざめていた兵士の顔も真っ赤になった。

だが、騒ぎ立てる新参者の後ろで、古くからここにいる兵士たちは、本当に苦い顔をした。

この後に起こる不幸を古参の兵士は知っていた。

 

ボロミアが去り、やっと、人心地のついた兵士に、優しげな顔をして近づく金髪がいた。

兄よりも背が高い。

太陽のように輝く兄の金髪に比べれば、すこし暗い色だが、滑らかなウエーブは、あちこちの姫君に歯軋りをさせそうな艶やかさだった。

「負けたことに、がっかりしないでいなさい。ボロミアが、剣の相手をしたということは、あなたに見込みがあるということです。あの人は、面倒くさがり屋だから、無駄なことまでしようとしない」

穏やかな語り口で話し掛けてきたファラミアに、兵士は、どぎまぎと、姿勢を正した。

「あの、いえ、感謝しています」

この兵士は、剣の腕が認められ、城へと召し抱えられたばかりだった。

家の身分も低く、ずっと国境の警備に当たっていたが、おしいと引き抜かれてここへ来たのだ。

「今度は、私とやりませんか?」

ファラミアの手が、自分の剣に掛かっていた。

優しげな顔のまま、ファラミアが剣を抜いた。

一日の内に、執政家の兄弟二人と剣を交えることができるなど、兵士にとっては、僥倖以外のなにものでもなかった。

だが、生き残りの厳しいここに古くから居続けている兵士達は、目を輝かせた黒髪の兵士を哀れな目で見た。

これからの惨状を兵士達は知っていた。

総大将の弟君は大変おやさしい。

だが、大変困った悪癖があるのだ。

 

「もう、だめですか?」

ファラミアは、肩で息をする兵士に笑いかけた。

紫の瞳の色は、いっそ優しげだ。

兵士は、あちこちに小さな傷を負っていた。

致命傷とは程遠い。だが、いくつも重なるとダメージがきつい。

ファラミアと、ボロミアの剣は、太刀筋からして違っていた。

ボロミアの剣は、真似するのすら難しいような、天分の才を持っていた。

無駄なく、無理なく、突き出された先が、結果を示した。

対して、ファラミアの剣には、ボロミアのような派手さはなかった。

実用的な剣遣いだ。

ファラミアは、執拗に相手を傷つけるようなそんな剣の使い方をした。

兄と違い、野伏の集団を率いているせいもあった。

正々堂々などという言葉が通じる戦場ばかりが、ファラミアのフィールドではない。

剣が突き出された。

また、ファラミアの剣が、兵士の衣装を切り裂いた。

剣先は、皮膚を、ほんの皮一枚だけ、切っていった。

「まだ、大丈夫でしょう?」

「…はい…ファラミア様…」

もう、足もとも覚束なくなって来ているというのに、兵士は、ファラミアの言葉に逆らうことが出来なかった。

総大将の弟は、とても優しげな顔をして、兵士を見ていた。

嬲り者にされているという自覚を兵士だって持っていた。

だが、そうされても、惜しくないほど、ファラミアと打ち合うことは、兵士にとって得難いことだった。

剣先を捕らえることも出来ずにいるうちに、切り込まれ、一気に首を落とされるようなボロミアの剣とは違う。

弱いところを、何度も何度も、ファラミアの剣は執拗に狙う。

もし、何か得ることができるとすれば、このファラミアの剣からしか、兵士は学ぶことができなかった。

ボロミアのような天才はそうそうにいない。

だが、何かを学び取らなければ、兵士はここにいる意味がなかった。

 

兵士は、とうとう、地に転がった。

もう、腕が上がらなかった。

「よく耐えました」

やっと、ファラミアが剣を納めた。

額には汗をかいていた。

「鍛錬しなさい。きっとすばらしい剣士になれます。戦場で兄の盾となりなさい」

「はい……」

兵士は、吐き出す息と大差のない声で、ファラミアに返事を返した。

古参の兵士達は、新参者の仲間が生きていたことに、ほっと息を付いた。

新しくここに加わったものなど、声もなくただ、茫然とファラミアを見ていた。

ファラミアが稽古に加わることは少ない。

そして、加わったとしても、こんな剣遣いを見せたことはなかった。

「…すげぇ…」

誰かの声が聞こえた。

 

大きな声では言えなかったが、古参の兵士達は、執政家の兄弟が、二人揃って剣の稽古に参加するのを止めて欲しかった。

ボロミアがいち早く、腕の立つものを見抜くのはいつものことだ。

この大将、年寄り達の思惑など軽くいなして、悪戯好きな子供のように、目をつけた者がいるとなると、相手をしろと、剣を手ににこにこと笑った。

恐ろしい誘惑だ。

そうして、ボロミアは笑顔のまま戦場でも滅多に味わえぬような肉薄した死の恐怖を相手に与え、城へと召し抱えられたことで、多少なりとも上を向いていた兵士の鼻を大きく挫いていった。

まだ、そこで、放っておいてくれればいい。

だが、気のいいボロミアは、打ち合った相手に、将来性がありそうだと踏むと、笑顔を惜しげもなく振る舞い、兵士を慰めようとした。

それが、弟の気に触る。

これが、二人で剣の稽古に参加してもらいたくない訳だった。

今度は、ファラミアが、ボロミアに気に入られた兵士を潰しに掛かった。

実際、ここに長い兵士達は、ボロミアの剣よりも、ファラミアの剣のほうが恐かった。

ボロミアは慈悲深く一瞬で死を与えてくれる。

だが、ファラミアは、決してそれを許さない。

この兄弟の仲がいいのは、ゴンドールの民にとって誇りだったが、古参の兵士には、迷惑であった。

兄思いのファラミアに潰されてしまった兵士も多い。

 

「随分、苛めていたな」

好きなだけ、兵士たちと打ち合ったボロミアは、機嫌のいい顔で、ファラミアに話し掛けた。

「あいつ、かなり見所があるだろう?今回城に上がった連中のなかでは、一番だ。思わず目が吸い寄せられるような剣の使い方をする」

渡された手布で、ごじごじと汗を拭っていたボロミアから、ファラミアは布を奪った。

「兄上は、随分お気に召したようですね。彼に近づいていく兄上と来たら、とんでもない美人を見つけた男のようでしたよ」

ファラミアは、ボロミアの汗を拭った。

「ほら、動かないで。随分、汗をかいている」

実際、ボロミアは髪の中まで汗をかいていた。

ファラミアは、ボロミアの首筋を拭った。

「ファラミア、お前だってだろう?お前にしては珍しく、額に汗をかいている。そこまで奴に付き合わされていたということだろう」

ボロミアは、ファラミアに汗を拭われながら、弟をからかった。

「彼は、かなり根性がありますね。しばらくすれば、兄上の側近にのし上がってくるでしょう」

「でも、攻撃はいいが、守りが弱い」

「一騎でも多く打ち落とせれば、そんなのは、いいじゃありませんか。彼は、その体で、兄上を剣の先から守ればいい」

ボロミアは、ちらりと弟を見上げた。

この緑は、優しく微笑むだけしか能がないわけではない。

「持ち帰る死体は、少ない方がいい。馬に負担が掛かる」

本音だろう。

総大将の緑の目は、弟の紫の瞳などより、よほど、冷たい表情だって見せた。

「そんな理由で、彼の懐まで入って、剣を突きつけ苛めたいたので?」

ボロミアは、面白がる目をした弟に瞳の色を緩ませた。

わざとのように、弟を睨む。

「散々、切りつけていたファラミアの方が奴を手酷く苛めていた」

「そうですか?それは、兄上が、ファラミアを苛めたからでしょう」

ファラミアは、汗に濡れた髪を拭う振りで、ボロミアへと頭を寄せた。

「それに、彼が苛められなければ、兄上が代わりに苛められるんですよ」

ファラミアは、ボロミアの形のいい耳へと唇を近づけ、兄弟としては甘すぎる声で囁いた。

ボロミアがはっとしたように、顔を上げた。

蕩け出しそうに上機嫌だった緑の目が、落ち着きなく、床の上をさ迷った。

無意識だろう。

唇を舌が舐めた。

ファラミアは、にこりと笑った。

「兄上は、随分汗をかいておいでのようです。お部屋で身体を拭きましょう。ファラミアが綺麗にして差し上げます」

 

ボロミアの部屋には、日差しが差し込んでいた。

その太陽煌く自室で、ボロミアは、ファラミアによって着衣を脱がされていた。

ファラミア自身は、上に羽織っていたベストを脱いだだけだったが、ボロミアはもう一枚だって布を身につけていなかった。

「ほら、やっぱり随分汗をかいておいでだ」

窓が開いていた。

ボロミアの首筋を太陽の光が擽っていた。

空は、抜けるような青だ。

「気持ちがいいでしょう?」

ファラミアは、俯いているボロミアの胸を拭い、首筋を固く絞った手布で辿ると、一度、水を張った桶の中に布を戻した。

ボロミアの目が、ファラミアの動きを追っていた。

ファラミアはその意味を知っていて、ボロミアの願いを叶えようとはしなかった。

「背中を拭いて差し上げます」

ファラミアの声は優しい。

机に寄りかからせるようにして、ボロミアに後ろを向かせたファラミアは、美しく筋肉の盛り上がった背中を布で拭っていった。

「ボロミア。あなたの背中は本当に綺麗ですね」

ファラミアは、殆ど傷のないボロミアの背中を愛していた。

皆が争うように盾になろうとするので、ボロミアは怪我を負うことなど少なかったが、特に背中には傷跡と、呼べるようなものは残っていなかった。

決して敵に後ろを見せない勇気を持つ証拠だ。

「何度見ても、感嘆します」

ファラミアは、汗を拭った滑らかな肌に唇を寄せた。

ボロミアの身体が震えた。

「…ファラミア」

ボロミアの声が、ファラミアを呼んだ。

「さぁ、足も拭いて差し上げましょうね」

ファラミアは抱きしめて欲しがっているボロミアをかわすと、足もとに膝をついた。

土に汚れたくるぶしから順に、上へと拭っていく。

 

ボロミアは、机に寄りかかるようにして、白い尻を突き出していた。

ファラミアの布は、太腿の付け根辺りまで上がってきていた。

ボロミアの息が上がっていた。

期待に、自然と尻が持ち上がった。

少しでも、沢山触って貰おうと自分から上半身を机へと倒し、足の開きを大きくしていた。

ファラミアの手布が、ボロミアの尻に触った。

ボロミアは、もぞもぞと尻を動かし、尻タブだけをなぞる弟に、もっと別の部分を要求した。

「ここも?兄上、こんなところも拭いて欲しいのですか?」

ファラミアは、尻の肉を掴み取り、大きく間を広げると、そこを光の下に晒した。

「あっ!」

ボロミアの身体が強張った。

「……俺を苛めるのは、そんなに楽しいか?ファラミア」

いたぶられるように、焦らされているボロミアは、首を捻って振り返り、ファラミアを睨んだ。

ファラミアはにっこりと笑い返した。

「ええ、とっても」

普段は、口元に薄く刷くだけの微笑が、顔じゅうに広がっていた。

いつも穏やかな顔しかみせないファラミアにも、こんな顔があること知っているのは兄だけだった。

「でも、そろそろ、兄上の機嫌が悪くなりそうですからね、仰るとおりにいたしますよ」

ファラミアは、手早く兄の股の間を拭うと、その間に顔を埋めた。

高い鼻が、ボロミアの尻の肉に埋もれた。

ピチャピチャと、舌を使う音がした。

「ふぅ…ん」

ボロミアは、すっかり机へと身体を預け、鼻から声を漏らした。

ファラミアの舌が、ボロミアの肛門を舐めていた。

弟の舌が、ボロミアを舐める。

ぬちゅぬちゅと差し込まれる舌の感触に、ボロミアの尻が揺れた。

開いた唇から、甘い声が漏れていた。

「あ…あっ…ファラミア」

「気持ちの良さそうな声ですね。でも、もう少し押さえないと、外まで聞こえてしまいますよ」

白い尻の誘惑に、ファラミアは、からかう言葉も早々に、兄の尻へと顔を戻した。

濃い色をした金髪が、ファラミアの唾液に濡れて光る。

揺れている二つの玉を手の中に納め、ファラミアは、舌を尖らせ、淡い色の蕾を弄った。

ぴんと立ち上がっているボロミアのものが、机の引出しに擦れていた。

先から漏れ出る液体が、磨きこまれた木の表面を汚す。

「かわいらしい。かわいらしい兄上」

ファラミアは、ボロミアの尻を掴んでいたもう一方の手も、股の間にくぐらせ、立ち上がっているものを扱いてやった。

「ああ…ファラミア…」

ボロミアは、いいところばかりファラミアに弄られ、机に頭を擦りつけるようしながら、身体を捩った。

ファラミアの愛する背中が、快感に波打っていた。

ファラミアは、舌を挟み込もうとする肉を掻き分け、中を弄った。

 

ボロミアは、後ろへと足を引き、踵で、ファラミアの昂ぶりに触れた。

ファラミアは、兄の尻を舐めているだけで、すっかり硬くなっていた。

ボロミアは、自分ばかりが、快感によがっているのが許せないとでも言いたげに、着衣の弟のものへとぐりぐりと踵を押し付けた。

ファラミアは、兄の仕打ちに、小さなうめきを上げた。

引き締まった足首が、ファラミアの股間をすりあげた。

兄の足が、ごつごつとした自分の感触を味わっているのかと思うと、ファラミアの体温は一気に上がった。

ボロミアは、遠慮なくファラミアの昂ぶりを撫で上げていく。

ファラミアは、開いていた足を閉じ、ボロミアの踵が固く立ち上がったものに触れないようにした。

だが、ボロミアは、強引に足をねじ込んだ。

裸足の足が、ファラミアの足を割った。

ファラミアのものを、ボロミアの足が踏んだ。

「こんなにしているくせに、いつまで…清ましているつもりなんだ」

欲望に濡れた目が、ファラミアを振り返った。

ボロミアの尻はもう、すっかり濡れていた。

ファラミアはごくりと喉を鳴らして、兄の足もとから立ち上がった。

「…お待たせしすぎましたか?」

ファラミアは、焦りをなんとか押し殺して、平気な振りをしたつもりだった。

だが、身体は、剥き出しにした猛ったものを、兄の後ろへと擦りつけていた。

柔らかな尻の肉を硬い肉で、押し広げる。

ボロミアは、自分から尻を差し出した。

ファラミアは、濡れている先端を兄の身体の中にねじ込んだ。

「…ああっ…あ…ファラミア!」

柔らかく綻んだボロミアの尻穴が、ファラミアを飲み込んでいった。

ボロミアは、我慢しきれないように、すぐさま締め付けてきた。

ファラミアは騙すようにその場で留まり、兄の項に何度も口付けをして、兄の身体が緩んだ隙に、一気に奥まで挿し入れた。

ボロミアの穴のなかは、蕩けそうな熱さだ。

ファラミアは、歯を食いしばった。

ボロミアは高い声を上げた。

さすがに、ファラミアは、兄の口を塞いだ。

「しっ、兄上。外のものがびっくりしてしまいます」

ファラミアの掌にボロミアの息が掛かった。

ファラミアは、後ろから兄の身体を抱きしめ、激しく腰を使いはじめた。

 

 

「兄上、剣の稽古の後、私の予定まで空けておしまいになるのは、あらかさますぎますよ」

机に乗り上げるような格好になり、ファラミアに突き上げられていたボロミアは、机の上を白い体液で汚した。

はぁはぁと、息をしている兄を抱き上げ、ファラミアは、やっとベッドへとボロミアを移動させた。

ファラミアは、満足そうな顔で横たわっているボロミアに笑いかけた。

ボロミアの目が笑った。

「…そうか?」

そうなのだ。ファラミアの予定には、剣の稽古など入っていなかった。

稽古に出ると決まる前は、ファラミアは、近隣の町を視察に出る予定をしていた。

それを、ボロミアが、変えさせた。

「確かに、私は嫉妬深いですけどね。でも、口でおっしゃっていただいても、喜んであなたのお相手をさせていただきます」

ボロミアは、ファラミアの髪を撫でてた。

「でも、ファラミア。剣の稽古の後に、ファラミアと過ごす。二つも好きなことが続くなんて、幸せなことだと思わないか?」

緑の目は、満足げだった。

「兄上、ご存知だとは、思いますけど、我々二人で、稽古に参加すると、古参の兵士たちがとても嫌な顔をしています」

「それは、お前が、兵士をぼろぼろになるまで切り刻むからだ」

「違います。兄上が、わざと、そうさせえるようなことをするから」

ボロミアは楽しそうにファラミアの髪を弄っていた。

反省の色などどこにも無い。

「奴らには、嫌な顔をさせておけばいいのさ。めったに本気にならないファラミア大将が剣の稽古をつけてくれるんだ。勿体無いと思えばいい」

「…兄上は…」

ファラミアは髪を弄くるボロミアの顔を見た。

緑の目は上機嫌だ。

「それに、稽古の後のファラミアは、いつもに比べて、少し荒っぽくていいんだ」

ボロミアがにやりと笑った。

こんな口を利くくせに、ボロミアは、決して誘う最初の言葉を自分から使ったことなどない。

ファラミアは、呆れた。

「それは…普段、もう少し、努力させていただきましょう」

ファラミアは、嫌味を言った。

「ああ、そうしてくれ」

ボロミアは清ました顔でそう答えた。

ボロミアの上品な形をした唇は、誘う言葉を知らない。

だが、ボロミアは、口を開く必要などなかった。

ファラミアは、ボロミアが愛しかった。

悪戯な顔をして笑っている兄の顔を腕の中に納めて、嫌がられるまで抱きしめた。

 

 

END

 

 

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いつもより若いファラボロですv

仲良し迷惑兄弟(笑)