レゴボロBOX 〜裂け谷編〜 31〜35
*普段の行い
高熱のボロミアは、エルロンドの部屋を訪ねた。
あいにく、裂け谷の主人は部屋を空けていた。
しかし、その養い子がボロミアに尋ねた。
「どうされた? 酷い状態ではないか。私にも医術の心得がある。よかったら、見て差し上げよう。ここで、服を脱ぎなさい」
アラゴルンはボロミアを心配し、薬草の棚に手を伸ばした。
だが、足下もふらついているような状態のボロミアが、アラゴルンに誓約書を突きつけた。
「アラゴルン、あなたが、絶対に服を脱がないと約束してくださるのなら、脱ぎましょう」
アラゴルンにサインをさせたボロミアは、安心したように意識を手放した。
*兄上の浮気者!
心の底から、兄のことを心配しているファラミアは、夢をみた。
兄は、裂け谷の木陰で、レゴラスに抱きしめられていた。
うなされるファラミアは寝言を言った。
「兄上、そいつと、キスをなさったのですか?」
夢の中の兄は、答えた。
「ああ、そうだ」
「だったら、そいつに、一つ、二つ、教えてやらなければならないことが!」
ファラミアは、ゴンドールにとりどれほどボロミアが大事な存在なのか、エルフに教えてやらなければならないと怒り狂った。
怒る弟を前に、兄は少し困った顔をした。
「そうか? ファラミア……。お前が教えることなどあるとも思えぬのだが……」
ボロミアの目はとろりと潤み、しっとりと濡れた唇が満足そうなため息を落としていた。
*それは無理なのでございます
レゴラス達、エルフが所用で出かけている晩のことだった。
アラゴルンは、無骨なボロミアにダンスを教えていた。
「そう。ボロミア、そこで、足を引いて」
「こうで、ございまするか?」
「痛っ! ……大丈夫だ。ボロミア、続けて」
上達はしないが熱心なボロミアに付き合い、アラゴルンのレッスンは夜半にまで及んだ。
密着度の高いダンスで、ボロミアの腰を抱くアラゴルンは甘く囁いた。
「ボロミア、レゴラスたちが戻ってくるまでにもう時間がない。……そろそろ次のステップに進まないか」
「待ってくだされ。アラゴルン殿。私も努力はしておるのです。しかし、まだ、私にはこのステップも難しく……」
額に汗を浮かべるボロミアは、また、アラゴルンの足を踏んだ。
*私は震えるコウサギなのです。
「義父上、私は、今日の狩りに出るのを取りやめたいのですが……」
アラゴルンは、養父に申し出た。
「どうした? アラゴルン。久しぶりの狩りだと張り切っておったではないか」
「いや、昨夜、ここの鍛錬場にてなんともかわいらしい獲物を剣先まで追いつめましたところ、どうやら、今度は私が矢の的に決まったようで……」
馬の背に乗るレゴラスが、楽しそうな顔で豪弓の弦を弾きながら、狩りの始まりを待っていた。
*いい加減にしてくれ
ある日、エルロンドは、屋敷の中をボロミアに案内していた。
ボロミアは何にでも興味を示し、あれこれとエルロンドに聞いた。
最初は、丁寧に答えていたエルロンドだったが、武具に対するボロミアの興味はすざまじく、切りのない質問に、次第にうんざりしていった。
しかし、ボロミアは、まだ聞き足りないらしく、その部屋に足を止めたまま張り付いたように動こうとはせず、武器を一つ見せれば、それを使った戦いの戦法についていちいち説明を求め、実際に使ったことのあるエルロンドの体験談を聞きたがった。
そして、ふと顔を上げたボロミアは、窓の外を走り去った熊についても、エルロンドに尋ねた。
「綺麗な熊でしたな。エルロンド殿。ゴンドールでは見かけない種類だ。あれは、雄ですか? 雌ですか?」
とうとう、エルロンドの堪忍袋の緒が切れた。
「お客人、熊の雌雄がどうして知りたいのです? あなたにはレゴラスが居るではないか。あれでは、満足いかないのかね?」
レゴボロというのは、メジャーじゃないのだ。と、改めて思い知る毎日。
そして、いい加減、裂け谷を出て、旅にでようと思うんですが、デコの魅力に取り付かれ(苦笑)
17.6.4