レゴボロBOX 〜旅の途中編〜 16〜20
*いたたまれない
ボロミアは、隣を歩くアラゴルンに文句を言っていた。
「アラゴルン、寝付きが悪いのは分かるが、何度も何度も寝返りを打つのは止めて頂きたい。隣の私は、気が散って仕方がないのだ」
ボロミアは、眉をきつく寄せていた。
アラゴルンは、釈然としない顔で頷いた。
「……ああ、わかった。ボロミア」
アラゴルンの隣に並んでいたガンダルフは、ボロミアに聞いた。
「明け方頃まで? ボロミア、あんたの夜番は、ずっと早かったろう? そんなに遅くまであんたも眠れなかったのかね?」
ボロミアは、赤くなり、口ごもった。
「いや……、レゴラスが、その……」
恥ずかしそうに足早に列の前へと抜け出るボロミアの背中を見送りながら、ガンダルフは同情するような目をアラゴルンに向けた。
*夕食時のこと。
「サム。僕、多分、もう一度指輪を嵌めたら、誘惑に負けて、もうずっと外せなくなると思うんだ」
フロドは、青い目に涙を一杯にためて、サムにすがった。
「お願いだ。僕が、指輪の誘惑に負けないように、しっかり見張っていてくれ」
実際フロドの長い睫は涙で濡れていた。
サムは、フロドの涙をぬぐった。
「大丈夫です。フロド様」
サムは、胸を叩いて請け合った。
「俺が指輪を嵌めたなら、指から外れなくなることがあるやも知れません。ですが、フロド様の細さなら、大丈夫ですだ。さぁ、好き嫌い言ってないで、もっと食べてください。残したら承知しませんよ」
*お祝い
レゴラスと、ボロミアは、一軒の酒場の扉をくぐった。
ちょうど、その酒場は、店を開いて十年だとかの祝いの最中だった。
しかも、次やってきた客を、今夜の主賓ときめ、扉が開かれるのを待ちかまえていたのだった。
「やぁ! お客人! 記念すべきこの夜にようこそ!」
「さぁ、飲んでくれ! ぐいっと杯を空けてくれ!」
店の中は、親しい者たちが集まっており、この夜を祝うために、旅人を暖かく迎え入れた。
レゴラスの前に、酒の杯が差し出される。
ボロミアは、もう、勧められるままに、二杯目に口を付けている。
「いい、飲みっぷりだ。だが、さぁ、さぁ、もっと飲んでくれ! 一緒に歌ってくれ!」
ボロミアは、一緒になって飲み、大きな声で歌った。
レゴラスは、その様子を楽しげに見つめていた。
そして、宴も終わりに近づき、素面のレゴラスは、そっと店の親父に近づいた。
「子供のように見えるホビットを連れた男がここを通りかかりませんでしたか? どっちに行ったかご存じありませんか?」
本来の道を尋ねるという用事を済ませるために。
*おい?
「俺は、もう、はっきり言わせて貰う。レゴラスの奴、十分矢で狙える敵を狙わない。俺は、これまで、三度死ぬような目にあった!こんな風に色惚けるというのなら、このメンバーから外す!」
興奮したアラゴルンの肩をメリーがぽんぽんと叩いた。
「まぁ、そんなに怒らない。アラゴルン。ほら、パイプ草でも吸いなよ」
ピピンもパイプを差し出し取りなした。
「もう一回、チャンスをあげてよ。レゴラスだって、今度はしくじらないさ」
*お坊ちゃん
そこは、痩せた土地だった。
ボロミアは、岩の隙間に精一杯根を張っている木を見上げ、辛そうなため息を吐いた。
「こんなところにまで、サウロンの魔力が……、もし、この木にリンゴの実がなったら、私は、きっと驚いてしまうだろうな」
春だというのに、つぼみ一つ付けるわけでもない木の様子に、ボロミアの声には、悲しみが溢れていた。
隣に立っていたフロドが、困ったように、ボロミアを見上げた。
「ボロミアの旦那。その木にリンゴの実がなったら、俺だって、驚きますだ」
サムが言った。
「フロド様。その木が、梨の木だって教えて差し上げるがいいです。これ以上、どこかで、ボロミアの旦那が恥をかくことになる方が、可哀相というもんです」
レゴボロは、かわいいカプだねvと、思うわけなのです(笑)