レゴボロ ボックス 〜裂け谷編〜 1〜10
*口は災いの元
「酷い……なんでこんなことを……」
ボロミアは屈辱に唇を噛みしめていた。
ベッドの伏せる白い身体は陵辱の跡も痛々しい。
同じベッドに横になるレゴラスは不思議そうな顔で、ボロミアを見た。
「なんでですか? 私に、人間というものを知れ! とおっしゃったじゃないですか」
*ボロミアの悩み
裂け谷にていないはずの王に出会ったボロミアは、どう対処しようかと悩んでいた。
ここには頼りになる弟もなく、仕方なく、この場では一番親しいと言えるレゴラスの部屋を尋ねた。
ドアをくぐると、憂い顔のレゴラスがいた。
レゴラスはいきなりボロミアに襲いかかり、ベッドに引き倒すと、服を剥いで、事に及んだ。
やがて、レゴラスは、起きあがると言った。
「さて、これで、私の悩みは解決しました。では、今度はあなたの悩みを聞きましょうか。一体どうしたんですか?」
*そんな決まりはない。
ボロミアは、すばらしい景観を誇る裂け谷の森のなかに泉を見つけた。
水はとても澄んでいる。
気に入ったボロミアは周りを見回し、誰もいないことを確かめると、すっかり衣装を脱ぎ去り、泉に入ろうとした。
木の上にいたレゴラスが声を掛けた。
「ボロミア、申し訳ないんですが、ここは、神聖な泉につき何人たりとも身を沈めることは許されないんです」
「お前っ! そこにいたんなら、どうして、脱ぐ前に声をかけないんだ!」
「掟は、ここで裸になることを禁じてはいないんです」
*やはり幻想なのか?
ボロミアは、裂け谷が誇る蔵書の間を歩いていた。
背表紙を確かめながら歩く人間の様子に、この谷の主人であるエルロンドが声を掛けた。
「お客人、一体何をお探しだ?」
ボロミアは、一族で一番若いというエルフの顔を思い浮かべながら、かしこまって裂け谷の主人に答えた。
「エルフという種族が理解できるような本があれば……」
「なるほど」
エルロンドは、厳しい顔にわずかばかり苦笑を浮かべた。
「それなら、幻想学の本がおいてある棚の左のあたりだ」
*同じ趣味
昨夜もレゴラスに寝込みを襲われたボロミアは、恥を忍んで、裂け谷の主人であるエルロンドに相談を持ちかけていた。
「全く趣味の悪い話なのですが……」
言い出しにくそうに口を開いたボロミアに、エルロンドは、厳しい目を向けた。
「本当に、趣味の悪い」
エルロンドは、嫌そうにため息をつき、ボロミアの顔にひたりと視線を当てた。
「あそこは親からして、軽薄にきらきらと美しい物が好きだった。血は争そえん。すっかり息子も同じ趣味だ」
*あんたは数えてたのか!
夕食後の席で、裂け谷の主人であるエルロンドは、客人たちにデザートをすすめていた。
「どうぞ召し上がってください」
エルロンドは、談笑中のボロミアにもすすめた。
ボロミアは、丁寧に断った。
「いや、結構です」
「そんなことを言わずとも」
エルロンドがさらにすすめると、ボロミアは少し照れくさそうに言った。
「ありがとうございます。その菓子は本当においしかった。ですが、私は、もう三つも頂いたのです」
「いや、正確には四つ召し上がっていらっしゃるようだ。そんなにお気に召したのなら、もっと食べられるがいい。どうせ、誰もそなたがいくつ食べたかなど、数えてなどいない。それに、エルフは見かけよりも剛力だ。レゴラスもそなたの目方が増えたところで困るとも思えない」
*兄の恋愛
レゴラスは、人間の世界のルールというものを守ろうと、ボロミアの故郷へと手紙を書いた。
「私、レゴラスは、ボロミアと正式におつきあいしたく……」
故郷でそれを受け取ったファラミアは、手紙を握りしめ引き裂いた。
早速、返信をしたためた。
「一度、我が国に赴いていただき、父に目通りをされたく……」
ファラミアは、とんでもないエルフがゴンドールの地を踏もうものなら八つ裂きにしてやるつもりだった。
レゴラスから、急ぎの返事が届いた。
「父君にお会いしたくないわけではないのですが、私が愛しておりますのが、ボロミアでありますれば……」
*ライバル?
強引なレゴラスに身体の関係を結ばれてしまったボロミアは、諦めたような顔をして闇の森の王子に言った。
「お前も、名家の出だ。私は、一度、お前の父君にお会いしてお許しを頂かなければならないな」
初めてレゴラスがあわてた顔を見せた。
「止めてください!」
必死の形相だった。
「父はもう、ずっと独りなんです! あなたは、私のものです!」
*忘れてくれ!
ボロミアが、エルロンドを捕まえ、愚痴っていた。
「私は、これから先、どうしたらいいのか分からない。レゴラスは、どうして、ああ最悪な記憶力を持っているのでしょう」
エルロンドは、眇めた目で、ボロミアを見やった。
「緑葉は、エルフにあるまじき存在かね? なんでも忘れてしまうとでも?」
「いえ、その反対です!」
ボロミアは、やはりあれはエルフ全体に通じる性質なのだと、顔を顰めた。
「なにもかも、全部覚えている。レゴラスは、私がどこで、どんな声を出したかまで忘れようとしない!」
*誤解です!
まだ明け方、部屋から出てきたボロミアは裂け谷の主人と行き会った。
ボロミアの寝室では、またもや寝込みを襲いに来たレゴラスが暴れるボロミアを押さえつける時に弾みで触った鎧がめちゃくちゃになっていた。
「ああ、ちょうどいいところに、エルロンド」
価値のありそうな鎧の損傷具合をボロミアは心配していた。
「ちょっと私の寝室に来てください。レゴラスが触ったところを、あなたに見ていただきたいのです」
激しい抵抗の上、今夜は勝利を得たボロミアの頬は薔薇色付き、肌は火照り艶めいていた。
厳格で知られる裂け谷の主人は、眉をしかめた。
「せっかくの申し出をお断りして申し訳ないがお客人、私が愛しておるのは、アルウェンの母だけなのだ」
レゴボロのカプはいかがでしょうか?(笑)
エルロンド様が一杯なのは、やはりデコの光に私が悩殺されているせいでしょう(笑)