愛情学習

 

「これ…」

旅を続ける一行は、今日も一生懸命に歩いていた。

幸い、今日の天気は穏やかだ。

アラゴルンの隣に並んだボロミアが、小さな声でアラゴルンに話し掛けた。

ボロミアから、白い手のひらに乗ったものを差し出され、アラゴルンはどんな顔をすればいいのか困った。

ボロミアは、アラゴルンが受け取ることを期待して、じっと顔を見つめている。

「…ボロミアに貰ったものじゃないのか?」

アラゴルンは、先を歩いているギムリの背中を見ながら言った。

ボロミアの手のひらには、銀色のプレートが乗っていた。

文字が刻み込まれている。

アラゴルンと、ボロミアが初エッチに成功した日付だ。

ボロミアがふわりと優しく笑った。

「ギムリは、きっと、恥かしいのさ。これはアラゴルンの誕生日だろう?アラゴルンに直接渡すのが照れくさくて、私に手渡したんだよ」

ボロミアは、全くどこにも悪意のない顔で笑いながら、アラゴルンに向かって、誕生日でもなんでもない日付のプレートを渡そうした。

仲間の好意を嬉しげに手のひらにのせている。

アラゴルンは、髪を掻き毟りながら、大声で叫び出したいような気分だった。

ギムリの不器用な誠実さは分かっていた。

あの大馬鹿エルフがその人並み外れた聴力と視力で、きっちり監視していたアラゴルンとボロミアの行為をギムリに向かって吹聴したに違いない。

聞いたギムリは、精一杯の気持ちをこめて、このプレートを作ってくれたのだ。

だが…だが、アラゴルンは、こんなものを受け取りたくなかった。

身に付けているのが、あのご機嫌なエルフにでも知れようものなら、長い一生、死ぬまで笑われるに違いない。

アラゴルンは、引きつりそうになる顔で出来るだけ自然に笑えるよう努力をした。

ギムリの隣を歩くエルフの耳がぴくぴくと笑っていた。

「…ボロミア、それはボロミアに持っていて貰いたい。大事な日付だから、ボロミアにも覚えていて貰いたいんだ」

最初、ボロミアは、怪訝そうな顔をした。

それから、白い頬をほんのりと染めた。

ボロミアは、アラゴルンから目を反らし、鎖のついたプレートをそっと上着の隠し仕舞った。

エルフの背中は、笑いに震えていたが、アラゴルンはぎゅっとボロミアを抱きしめたくなった。

恥かしくなったのか、ボロミアは足を速めて先に進んで行ってしまった。

天気が良かった。

ボロミアの髪が、風に揺れていた。

今日も、随分旅を先に進めることが出来そうだ。

 

その夜、ボロミアは、メリーとピピンに挟まれて眠っていた。

この組み合わせで横になっていることが多い。

メリーと、ピピンは、額を突き合わせるようにして、ボロミアにひそひそと話かけた。

「で、その後どうなの?」

「…その後とは?」

ボロミアは、閉じていた瞼を開けて、自分を覗き込む2人を見た。

空は満天の星空だった。

「また、また。落ち着くまで待っててあげたんだから、正直に話してよね。ボロミア」

「そうそう。エッチには成功したんでしょ?アラゴルン、大事にしてくれてる?あれから、何回したの?」

あけすけな2人の質問に、ボロミアは飛び上がるように身体を起こそうとした。

メリーと、ピピンの2人が慌ててボロミアを押し留めた。

「ちょっと、ボロミア、どうしたの?落ち着いてよ。何?もしかして、全然気付いてなかったの?あの日に、サムだって特別なシチューを作ってくれたじゃん。お祝いの時にしか作らないのを奮発してくれてさ。ボロミアだって、おいしそうに食べてたじゃん」

「それは…だって…え?…なんで…」

ボロミアは、動揺が押し隠せないのか、しきりに自分の髭を撫でた。

メリーと、ピピンの顔を交互に見比べながら、意味のある言葉を話せずにいた。

「落ち着いて、ボロミア。ギムリから、プレゼントだって貰ったんでしょ?」

「…あれは…アラゴルンへじゃないのか?」

メリーが苦笑した。

「ギムリが、アラゴルンなんかにプレゼントを渡すもんか」

「だって、アラゴルンの誕生日なのだし…」

「ああ、誕生日ね、そうそう、それなんだけど…」

言いかけたピピンの口をメリーが塞いだ。

「ギムリは、それよりももっと、大事な日付を刻んでボロミアにくれたんだと思うな。なんと言ってもドワーフは照れ屋だから」

粗相をしようとしたピピンを、メリーは、上手い具合にフォローした。

これ以上、ボロミアにショックを与えていけない。

ピピンが、ビックリした顔をしながらも、メリーに向かって頷いた。

この辺りのコンビネーションは、さすがに付き合いの長いメリーとピピンだ。

「で、どうなのさ。あれから……した?」

メリーは、慎重にボロミアに聞いた。

できるだけ、親身になって話を聞いている様子を作った。

興味本位の顔は、心の中に押し込めた。

最初の行為の前にも、こうやってボロミアの相談にのった。

メリーの優しげな声に、ボロミアの肩から力が抜けた。

頼りない目をしてメリーの顔を見た。

「…メリー。やっぱり、私が相手ではつまらなかったのだろうか?」

ボロミアが目を伏せた。

「何で?」

ピピンが、驚いたような声を出した。

肩を落としたボロミアは、例え小さなホビットの手であっても、抱きしめてやりたくなるような稚さがあった。

「あれから…アラゴルンは、しようとしないのだ」

「全く?全然?」

メリーは、ボロミアの肩に手を掛けた。

ピピンが慌てたように、ボロミアの髪を撫でた。

「…全然ってことは、ないのだが…翌日私が体調を崩したこともあって、そういう行為はゆっくり出来る時にしようと言って、また元通りなんだ」

ボロミアは、ため息を付いた。

「…だが、ゆっくり出来る時なんて、いつのことだ?そんな日が本当にくるのか?」

メリーと、ピピンは、顔を見合わせた。

目を大きくして、くすくすと笑った。

「ボロミアは、アラゴルンとそうしたいの?」

「…だって、そうすると、アラゴルンが気持ちが良さそうじゃないか。私でも、楽しませてやることができるのだと思うと嬉しい」

ボロミアの頬は赤く染まっていた。

ピピンは、かわいい人の耳が赤くなっているのを発見した。

メリーは、髪の間から覗く項が赤いのを見た。

メリーとピピンは、ボロミアとアラゴルンが上手くいっているのなら、楽しみの一つとして授けようと思っていた方法を、アラゴルンとの関係に悩むボロミアに教えることに決めた。

こんなかわいいボロミアを放っておいているアラゴルンには勿体無かったが、ホビットは、食べ物の恩を忘れなかった。

アラゴルンがくれたリンゴはとても美味かった。

「じゃぁさ、ボロミアから、もうちょっとアピールしてみる?ちょっと、いい作戦があるんだけど」

ごにょごにょと耳元で囁かれる2人組の話に、ボロミアは真剣な顔をして頷いた。

スペシャルな計画は、きっとアラゴルンを喜ばせるだろうと、2人組は満足だった。

ボロミアは、計画の全貌を聞いて、しばらく良く分からないという顔をしていた。

けれども、2人は、絶対に成功すると断言した。

ボロミアが、頷く。

2人を置いて立ち上がった。

メリーと、ピピンは、手を振って、ボロミアを見送った。

愛されることばかりに慣れているのだと思っていたボロミアが、必死になって、人を愛そうとする真摯な態度は、誰の心だって、蕩かすに違いない。

なんと言っても、ボロミアはかわいらしい。大事に育てられた人間というものがあんなにかわいらしいとは思わなかった。

2人は、ボロミアの成功を祈った。

勿論、成功の瞬間に立ち会う気が満々だった。

後で覗きに行く。

ボロミアを見送る2人の顔にははっきりとそう書いてあった。

 

「アラゴルン…」

泉の中に入り、身体を流していたアラゴルンは、近づいてくるボロミアの気配に、声より前に振り返っていた。

月明かりが、整ったボロミアの顔をはっきりと見せていた。

ボロミアの頬が強張っていた。

目が、落ちつかなくせに、決意が見えた。

アラゴルンは、この顔に見覚えがあった。

「どうした?ボロミア」

悪い予感に襲われながら、アラゴルンは、岸に近づいた。

ボロミアは、大きく深呼吸した。

小さく頭を振り、何かを打ち消すような顔をした。

「そうだ。まず、身体を洗ってやるんだった。それなら、簡単じゃないか。緊張する必要なんてない」

小さな声が、アラゴルンに聞こえた。

ボロミアは、急にさっぱりした顔になった。

突然、上着を脱ぎ始めた。

「…ボロミアも入るのか?じゃぁ、俺が見張りに…」

潔いボロミアのぬぎっぷりに、アラゴルンはこそこそと岸へと上がろうとした。

嫌なわけではない。

反対だ。

どう見てもまた、メリピピの2人組におかしなことを吹き込まれてきたボロミアを相手に、我慢し通せる自信がなかった。

初エッチに成功した晩は、サムの心づくしの祝い膳をおかわりするほど食べたボロミアだったが、その翌日に、熱を出した。

アラゴルンは旅の一行に随分冷たい目を向けられた。

その時間を利用して、ギムリは、あのプレートを作ったのだろう。

アラゴルンは、せめて屋根のある場所で、ボロミアをリラックスさせ愛してやりたかった。

慣れない行為は、ボロミアの身体も、心も疲れさせる。

無防備に何もかも差し出すボロミアを抱きしめたくないわけではなかったが、アラゴルンは我慢した。

それを、ボロミアは分かっていない。

ボロミアは、上着を首から脱ぎながら、泉から上がろうとするアラゴルンを悲しげな目で見た。

白い首から、鎖が垂れていた。

それは、うすく色付く二つの尖りの間に、銀色のプレートを飾っていた。

あの日付が入っている。

「アラゴルン…一緒に入るのは、嫌なのか?」

アラゴルンは、愛しい人の素直な愛に、どうしていいのかわからなかった。

「いや…そういうわけではなく、2人とも泉の中にいては危険だろう?ボロミアは身体を洗うといい。俺が、見張りをしていてやる」

アラゴルンは、濡れた身体のまま、ボロミアを抱きしめたかった。

だが、そんなことをしては、また、ボロミアを痛めつける。

「…アラゴルン…嘘だ」

ボロミアは、毟り取るように自分の服を脱ぎ捨てると、裸身を隠す事無く、泉の中へと足を進めた。

大きな水音がたった。

怒ったようにアラゴルンに抱きついた。

「嫌だったのか?もう、私では、嫌なのか?」

力強くアラゴルンを拘束したボロミアが、アラゴルンの目をじっと見つめた。

アラゴルンは、その視線の強さに負けた。

ため息を一つ漏らし、ボロミアを緩く抱きしめた。

「…愛しているよ。ボロミア。嫌いになるはずなんかない」

強張った頬に何度も口付けた。

唇にも飽かず、キスをした。

ボロミアの表情が緩んだ。

アラゴルンの首筋に鼻を埋め、愛しそうにアラゴルンの名前を呼んだ。

だが、ボロミアは、アラゴルンの首へとキスをし、そのまま耳へと唇を近づけていくうちに、急に動きを止めた。

「…アラゴルン、頭を洗ったか?」

ボロミアの鼻の頭に思い切り皺が寄っていた。

「いや…ボロミアが来たから、まだなんだが…」

ボロミアは、緩く背中を撫でていたアラゴルンの手を振りきり、いきなり身体を離した。

「我慢しろよ!」

言うなり、アラゴルンの頭に手を伸ばし、泉の中へとボチャリとつけた。

突然突っ込まれた水の中は、冷たかった。

思い切り水に突っ込まれて、鼻から水が入ってきた。

アラゴルンは、息を止めて、ボロミアが手を離してくれるのを待った。

ボロミアの手は、離れない。

また、いきなりアラゴルンの髪を引っ張り、顔を上げさせた。

途中、アラゴルンの視界に、ふにゃりと柔らかそうなボロミアのものが映った。

アラゴルンのものが礼儀正しく硬くなっているというのに、ボロミアは、あまりに鈍い。

ばしゃばしゃと水音を立てて、岸に戻ったボロミアは、石鹸を手に戻ってきた。

アラゴルンの髪に塗りつける。

泡が、モジャモジャのアラゴルンの髪をさらに膨れさせた。

ボロミアの顔は真剣だ。

「…ボロミア、あんたの髪を洗ってやろうか」

きっと、そういういちゃいちゃをメリピピの2人に勧められて、ボロミアはこの泉に足を運んだに違いなかった。

だが、ボロミアは、首を振った。

「待て。もう少し、アラゴルンを綺麗にしてからだ。指の先に、砂や、小枝が触るぞ。こんな風になるまで、放っておいて嫌じゃないのか」

泡立ちの悪さに苛立つのか、ボロミアは、強引に、アラゴルンの頭を泉につけた。

泉の中で、ごしごしと髪を洗った。

逆さまに見えるアラゴルンの視界の中、まだ、ボロミアのものは勃っていない。

アラゴルンは、顔を起こされるついでに、ボロミアの太腿に触った。

ボロミアが、はっとしたように、白い足を引いた。

「ボロミア、髪を洗ってやる」

顔に髪を貼り付けたアラゴルンは、顔面から水を滴らせながら、ボロミアの髪を撫でた。

アラゴルンの姿は情けなかった。

だが、声だけは蕩けそうに甘かった。

ボロミアが未練気な目をして、アラゴルンの頭を見た。

「…気がすまないのか?」

アラゴルンは、当初の計画を忘れているらしいボロミアの首を擽り、気持ちの切り替えを促そうとした。

だが、ボロミアの気持ちは強固だ。

「…もう一回洗いたい」

アラゴルンは、ボロミアから石鹸を受け取り、自分で髪に擦りつけた。

ボロミアが、嬉しそうに顔を綻ばせた。

「気が済むまで、やってくれ…」

それから、二回、アラゴルンは、頭を洗われた。

 

やっと、ボロミアの気が済んで、アラゴルンは、ボロミアを抱きしめるように背中から身体を重ね、金色の髪を洗っていた。

ボロミアの髪は、すぐに泡が立った。

アラゴルンの手のほうが、よほど汚かった。

ボロミアが、擽ったそうに笑う。

「髪を洗ってもらうなんて、いつぶりだろう?」

細められた緑の目が幸福そうに笑った。

「身体も洗ってやろうか?」

もともとそうするつもりでいたアラゴルンは、ボロミアの髪に水を掛けた。

ボロミアが、後ろを振り返った。

頬に水が滴っていた。

「…私が、アラゴルンを洗う」

唇も、水に濡れて月の光に艶めいていた。

アラゴルンは、身体だったら、先ほど洗っていた。

ボロミアが真剣に洗わなければならないほどは、汚れていない。

アラゴルンは、焦らすようにボロミアを見つめた。

ボロミアの頬が次第に色をなしてきた。

「…洗う。絶対に私が洗うんだ。そうしないと、ダメなんだ」

ボロミアは、また、おかしな思い込みをしているようだった。

アラゴルンがボロミアの身体を洗おうが、その反対だろうが、多分、結果は同じだ。

いや、アラゴルンが洗ってやった方が、間違いのない方向に進むだろう。

だが、ボロミアの決意は固かった。

ボロミアのものが、すこし硬くなり、アラゴルンの腿に触れていた。

アラゴルンは、柔らかく笑い、ボロミアの髪に残った泡を綺麗に流してしまった。

「じゃぁ、ボロミアに頼もう。きれいにしてくれるかな?」

ボロミアは、視線を水面でさ迷わせながらも、こくんと頷いた。

 

アラゴルンは、困っていた。

この入れ知恵は、手放しで喜ぶには、あからさま過ぎた。

ボロミアは、自分の身体に石鹸を塗りつけ、アラゴルンの身体に抱きついた。

滑らかな泡を間に挟み、つるつるとしたボロミアの肌が、アラゴルンの身体を洗う。

豊かに肉のついた胸が、アラゴルンの胸毛を擦った。

ボロミアは、顔を伏せたまま、アラゴルンの首へと腕を回し、身体を支えていた。

髪の間から覗く項が赤くなっていた。

耳も赤い。

2人の間に揺れるものが、つるつると石鹸の泡で滑った。

ボロミアの腿が、ぴったりとアラゴルンの腿に触れていた。

滑らかな腹の肉の下では、柔らかな毛が、アラゴルンの下腹を擦った。

こんなのは、あからさま過ぎる。

だが、ホビットの入れ知恵を喜ばないでいられるほど、アラゴルンは生きることに飽きてもいなかった。

「ボロミア、もっと、綺麗にしてくれ」

アラゴルンは、ボロミアの腰を引き寄せ、2人の間に隙間を無くした。

柔らかい腹に挟まれた硬いものが、お互いを刺激しあいながら滑った。

ボロミアが、驚いたようにアラゴルンを見上げた。

瞳が潤んで、頬がすっかり赤くなっていた。

「ボロミア…唇から漏れる息が熱い」

アラゴルンは、腰を抱いたまま、薄く開かれたままになっていたボロミアの唇を塞いだ。

柔らかく噛む。

少し上を向くように、口を開けるボロミアの口内に舌を忍ばせた。

「…アラゴルン」

アラゴルンの腹へと擦りつけられるボロミアのものは、ぬるりと先が濡れていた。

アラゴルンは、手早く身体に水を掛けた。

ボロミアの手を引き、岸へと向かった。

 

「………」

泉から上がったアラゴルンは、無言になった。

アラゴルンが脱ぎ捨てた衣装が、きちんと畳まれていた。

岸にはマントが広げられ、上着の隠しに仕舞ってあったはずの、傷薬が混ざった香油が、そこの上にぽつんと置かれていた。

アラゴルンと、ボロミアは全裸だ。

2人は、しっかりと手を握り、しかも、2人のものは、すっかり勃ち上がっていた。

なのに、乱暴に脱ぎ捨ててあったはずのマントが、四隅まできちんと伸ばされ、草の上に引かれているのだ。

アラゴルンが、口が利けなくなったとしても、しかたのないことだろう。

しかし、ボロミアは、不思議そうにアラゴルンを見つめた。

ほんのりとピンクに染めた体を惜しげもなく晒し、自分を抱きしめようとしないアラゴルンを不安そうに見た。

アラゴルンは、今回、どこにいるのか、見つけることができないホビット二人組を威嚇するため、全方位に向かって睨んだ。

だが、何事もなかったかのように、そっとボロミアを引き寄せ、抱きしめた。

「…アラゴルン…しないか?明日、もし、熱がでるようなことになっても、絶対に皆にばれないように振舞うから、してくれないか?」

ボロミアが、アラゴルンの唇を奪った。

ありったけの技術を込めて、ボロミアがアラゴルンの舌を吸う。

アラゴルンは、同じように舌を絡めながら、ボロミアの髪を撫でた。

唇が離れたわずなか間を縫って、ボロミアに注意をした。

「ボロミア、体の調子が悪くなったら、必ず言うんだ。旅が遅れるから、抱きたくないわけじゃないんだ。ボロミアに苦しい思いをさせたくないから、我慢していただけなんだ」

アラゴルンは、親切な2人組が敷いておいてくれたマントの上に、ボロミアを横たえた。

香油の壜の蓋を開け、ボロミアの白い尻に、油で濡れた指先で触れた。

ボロミアは、自分から足を開く。

「この間のが、気に入ったのか?」

アラゴルンは、からかうようにボロミアの目を見つめ笑った。

ボロミアが頬を染める。

「アラゴルンのしてくれることは、何でも好きだ。私は、アラゴルンが好きなんだ。そのあんたにされて嫌なことなんてあるはずが無いだろう?」

ボロミアがアラゴルンの首に手を回して、口付けをねだった。

アラゴルンは、優しく唇を吸った。

指先をボロミアの内部に埋め、泉の水で冷たくなっていた身体を中から熱くさせた。

ボロミアは、優秀な生徒だ。

一度教えたことを忘れない。

アラゴルンの指が、気持ちのいい部分を触ることを覚えており、そうされて喜ぶことも忘れていなかった。

アラゴルンは、ボロミアの胸に唇を落とし、ちゅっ、ちゅっと、音を立てた。

ボロミアが、身体を捩る。

アラゴルンの指をくわえ込んだまま、腰を捻って、身体を揺らす。

アラゴルンは、急ぐ事無く、指の本数を増やしていった。

ボロミアの尻から零れ出した香油がアラゴルンのマントを汚していた。

くちゅりと、指が動くたびに音がした。

増えた指に、穴の周りの皺がすっかり伸びきっていた。

ボロミアが、鼻に掛かった声でアラゴルンの名を呼ぶ。

アラゴルンは、本当に優しい顔をして、ボロミアの頬に口付けを落とした。

そして、ぎろりと目を光らせ、泉を取り囲む樹木を睨んだ。

覗きをしている2人組がいるはずなのだ。

アラゴルンの眼光の鋭さは、研ぎ上げたばかりの剣先のようだった。

かなり近くの木の陰で、ごそごそと慌てたような音がした。

「アラゴルン、アラゴルン…入れてくれ」

ボロミアが頼りない目をして、アラゴルンを見上げた。

アラゴルンは、ボロミアの髪を撫でた。

「愛しているよ。ボロミア。2人きりだ。好きなだけ、気持ちよくしてやるからな」

アラゴルンは、ボロミアを愛しげに見つめた。

ボロミアは、アラゴルンの胸に顔を埋めた。

アラゴルンは、その頭を片腕で抱きしめながら、もう片方の手に剣を握った。

威嚇のために、音をさせて鞘から剣を抜くと、樹木の後ろを睨んだ。

どたばた逃げていく足音が聞こえた。

ボロミアが顔を上げた。

剣を握るアラゴルンを不思議そうに見上げた。

アラゴルンは、口元に優しい笑みを浮かべた。

「大丈夫。もう、行ったから」

剣を放り出したアラゴルンは、急に荒々しくボロミアの足を抱きこんだ。

大きく開かせ、間に身体を挟むと、ボロミアの体が逃げる。

慣れない結合は、快楽ばかりではない。

ボロミアは、無意識に苦痛から逃れようとしていた。

アラゴルンは、柔らかな腿を引いて、ボロミアの身体を自分へと引き寄せた。

「逃げても、無駄だよ。ボロミア。それをこの間、教えてやっただろう?」

アラゴルンの手は、ボロミアを捕らえて離さなかった。

目が、強くボロミアを見た。

ボロミアは、きつく目を瞑り、アラゴルンの首にしがみついた。

「アラゴルン…大好きだ。アラゴルン」

アラゴルンは、ボロミアの尻の角度をわずかに高くし、ゆっくりと先端を中へとのめり込ませていった。

ボロミアの腹が、せわしなく動く。

一生懸命に息を吐き出す音が、アラゴルンの耳をかすめる。

アラゴルンは、温かい肉の中へと、自分のものを推し進めた。

ボロミアが、懸命に、アラゴルンの名を呼んだ。

「ボロミア、そうやって、俺の名を呼んでくれ」

アラゴルンは、根元までボロミアの中に埋めると、ボロミアの髪を撫で額に唇を寄せた。

そのまま、閉じてしまっている瞼にも、高い鼻にもキスをした。

「…変な声は上げなくてもいいからな」

アラゴルンが言うと、ボロミアが、ぱちりと目を開けた。

アラゴルンを見て、戸惑った顔をした。

「…ダメなのか?」

ボロミアが、どうしたらいいのかわからないように不安な顔をした。

やはりだ。

アラゴルンは、朝になったら、メリピピの2人組を締め上げることに決めた。

もう、余計な知識をボロミアに吹き込む気にならなくなるまで、いたぶってやる計画だ。

「俺は、あまりそういうのが好きじゃない。…ボロミアが、我慢できなくなって漏らす声なら、聞きたいけれどな」

アラゴルンが、口付けようとすると、ボロミアの唇がきゅっと閉じられた。

舌先でノックしても、唇が開かない。

「…声を出すなって、言ってるわけじゃない…」

アラゴルンは、苦笑した。

不器用なボロミアは、とんでもなく可愛かった。

 

アラゴルンは、ボロミアの様子を観察しながら、ゆっくりと腰を使った。

やはり、ボロミアは物覚えがいい。

この間よりも、ずっとボロミアが喜んでいるのが、アラゴルンにはわかった。

腰を動かし、いいところを攻めてやると、ボロミアの尻がきゅっと締まった。

アラゴルンにもっとして欲しくて、無意識に、締め付ける。

アラゴルンは、次第に動きを早く、大きくしながら、ボロミアの尻を打った。

きつく閉められていたボロミアの唇が、小さく解かれていく。

まずは、息が、そして、小さな音が赤い唇から零れ落ちた。

そして、それは、声となり、鳴くような高い音に、もう一度変わった。

「…んんっ。…あ…あっ…」

ボロミアの上げるはしたない声は、きっと耳ざといエルフが聞きつける。

アラゴルンは、それでも、ボロミアを突き上げることを止めなかった。

ボロミアの喉が震える。

「…あ…んっ。…ア…ラゴル…ン!」

白い腿がアラゴルンの腰を挟み、しきりにアラゴルンの名を呼んだ。

アラゴルンは、ボロミアのものを腹で押しつぶすほど、深くボロミアに伸し掛かった。

「ボロミア…」

せわしない息が、ボロミアの顔にかかった。

「ア…アラゴル…ン」

ボロミアは、うっすらと目を開け、濡れた瞳でアラゴルンに笑った。

その瞳の誘惑に、アラゴルンは勝てなかった。

まだ、後ろだけではいくことのできないボロミアのものを焦ったように扱き上げ、アラゴルンは、自分も激しく腰を使った。

ボロミアが、仰け反って、声を上げる。

アラゴルンは、突き出した胸に吸い付き、ボロミアのものから、白い精液を搾り取った。

快感に震えているボロミアの身体を更に抉る。

アラゴルンは、ボロミアの体の中に自分の精液を注ぎ込んだ。

今度は、アラゴルンが、ボロミアの身体を洗ってやるつもりだった。

 

翌朝、メリピピの2人組は、懸命に一行の先頭を歩いていた。

ボロミアは、遅れがちにしんがりを歩いていた。

ボロミアの隣には、アラゴルンだ。

慣れない体はあちこちが痛むはずなのに、気丈にも足を止めないボロミアに、アラゴルンは、心配そうな顔をして側を離れることが出来ずにいた。

ギムリと歩いていたエルフが、物言いた気に、アラゴルンに近づいた。

「あのさ、アラゴルン」

「なんだ?」

アラゴルンは、思い切りエルフを睨んだ。

エルフは、にこやかな顔を崩さない。

「もともと相当汚れてるから、どうでもいいかもしれませんがね。結構、目立ってますよ。その油の染み」

アラゴルンが手を伸ばして、エルフの頭を叩くより先に、ひょいっと、エルフはギムリの元へと帰っていった。

ボロミアが、気まずげな、申し訳のなさそうな顔をした。

汚してしまったことを詫びていた。

アラゴルンは、愛しい人が、鈍感であったことを神に感謝した。

アラゴルンは、しんがりであることをいいことに、そっとボロミアの手を握った。

 

 

END

 

 

                           

 

生娘ボロ。第二弾!(笑)

Kさま。本当にありがとう。

今回は、題名まで考えて貰いました。

あと、体洗うっていうネタも考えてくれた(笑)

いつもメールをありがとうございます(感謝)