*結局は同じ

 

ポールは毎晩大きな息子達にベッドに潜り込まれ、うんざりしていた。

「なぁ、お前達せめて一日おきにしてくれ。このままではパパの身が保たない」

双子の息子は父親の体を撫でまわしていた手を止めて思案顔になった。

「う〜ん。パパが病気になっても困るし、じゃぁ、俺たちが一日おきに来ることにしよう。俺は明日にする。トーマスはあさってでいい?」

「しょうがないなぁ。でも、必ず一日おきで交代だよ。ズルはなしだよ」

 

 

 

*弟はいらない。

 

ポールは、腹が痛くて、病院に来ていた。

随分と男前の医者は、ポールの喉の様子を調べた後、服を緩めてベッドに横になるよう指示した。

小さな息子達が、必死なってポールを止めた。

「ダメだ! パパ! こんな色情魔の前で服なんて脱いだら、パパなんてすぐ妊娠しちゃう!」

「そうだよ。パパ! この病院から出てくおばさんたちがみんな言ってたんだ。先生のお陰でこんなかわいい赤ちゃんが授かったって!」

この病院は、不妊治療で有名な産婦人科部門も有していた。

 

 

 

*あんたの方が先だ

 

小さな息子を歯医者に連れてきてポールは言った。

「ほら、トーマス、大きく口を開くんだ。そんなに歯を食いしばるんじゃない。ほら、先生が診れないだろう?こうだ。あ〜ん」

老齢に差し掛かった優しげな歯科医はポールの口をちらりと見て言った。

「左下4 C2 同じく左下3 C1、次、右下3C、続けて、左上4 C3…………、お父さん、あんたも診察券を窓口に出してきなさい。甘い物好きは家族ぐるみらしいね」

 

 

 

*同じことなんだろう?

 

ポールの隣で大人しく座る双子の片割れに医者は言った。

「トム、よっぽど具合が悪いらしいね。今日は、本当に大人しいじゃないか」

ポールははっとした顔で、息子を叱った。

「おい、お前、トムじゃなくて、トーマスだろう! 服まで取り替えて、一体いつ入れ替わったんだ!」

「だって、パパ。トムが地理の宿題をやってくれるって言ったんだ。トムが風邪を引いたせいで、僕もちょっと調子が悪いし、ちょうどいいと思って……」

ポールは、トーマスの腕をしっかりと捕まえ逃げれないようにすると、ちらりと医者に目配せしながら言った。

「先生、うちの双子は、通じ合ってるからって、熱のない方の奴が診察を受けに来たみたいなんです」

「そうかい。じゃぁ、トムの分も、トーマスに注射しておこうか」

 

 

 

*一人でくればよかった……

 

風邪気味のポールは医者に来ていた。

「じゃぁ、口を開けて」

医者の指示でポールは大きく口を開けた。

着いてきていた小さな息子が父親に言った。

「パパ、先生は、パパの喉の奥がみたいだけなんだ。先生のことを丸呑みにしてくれって頼んでるんじゃないんだから、そんなに大きな口を開けないでよ」

赤くなって口を閉じようとしたポールと止め、医者はこましゃくれた子供に銀色に光る医療器具を突きつけながら注意した。

「ああ、そこのおしゃべりな君は、口を閉じなさい。私が診たいのは、パパであって、君じゃないんだから」

「先生、パパのお口に入れるのは、そのへらみたいなのだけにしといてよ。パパのお口は小さいんだからね。それ以外のものなんて、絶対に入んないんだからね!」

 

 

今回のお話は、一応病気ネタとして纏めてみました(笑)

小さいの双子の話が多いのは、子供の日だから。