ハニー・ハニー・ハニー マイナス14 プラス14 

 

(マイナス14)

これで完璧、旅の完全収納法!

 

クマが一人で出かけていた視察から戻ってきた。

ぽんっと投げ出されたトランクを受け止めながら、アナキンはおかえなさいと声をかけた。

オビ=ワンは返事もそこそこに、ポテポテとキッチンを目指す。

帰還の時間に合わせ冷蔵庫におやつを冷やしておいたアナキンは、そんな背中に苦笑しながらも、受け取ったトランクの中味を整理することにした。

だが、蓋を開ければ、中は整然と片付いている。

無理やり突っ込んで蓋を閉めたのばかりに慣れていた弟子は驚く。

「どうしたんですか、マスター!」

トランクの中では替えのジェダイ服すら洗濯済みの模様だ。

ふかふかクマは、とろりとした触感のプリンにご満悦の様子でスプーンを咥えていた。

「すごいだろ」

「ええ、本当に」

クマはまるで威張るように種明かしをする。

「あんまりお前が整理して帰って来いって煩いから、一度も開けなかっただけだ」

「うわっ! マスター、プリンなんか食ってないで、すぐ風呂入ってください! 本当なんですか? ああ、もう、どうしてそういう!」

 

 

 

(プラス14)
ある月の簡単レポート

アナキンが一月の単独任務に就くこととなった。

 

アナキン不在一日目

テンプルから戻ったオビ=ワンはローブも脱がずにアナキンが隠していったはずの菓子の在り処を捜索。

僅かに残る野性の勘でほぼ全て発見。自室に菓子の山を作る。

師匠はとても満足だ。

 

アナキン不在三日目。

「寂しくない?」と、テンプルにて声をかけられるも、なんだか頬の丸みが増したようなふかふかのクマは「全く」といつにも増してかわいらしく首を横に振る。オビ=ワン、マスターたちを集めた緊急会議に出席。食料は全くでなかったはずなのに座席に菓子のくずが落ちていて、掃除人が不審がる。

アナキンからの連絡はなし。

 

アナキン不在一週間目

オビ=ワンがぽりぽりと体を掻いていた。少し寂しげな様子を皆に心配される。

アナキン、テンプルに定期連絡。残念なことにオビ=ワン不在。

 

アナキン不在二週間目。

オビ=ワンは、全くなくなってしまった菓子に毎夜しょんぼりと暮らしていたのだが、納戸の奥からクッキーを発見。ついでに書棚の上からもチョコレートの缶を見つけた。目が輝く。しかし、久々につやつやと光るくりくり目でテンプルに出勤したクマだったが、時折痒そうにしている毛皮の膨らみが少なくなってきていることがテンプル内では、「寂しいのね。きっと……」と噂に。

アナキンよりの定期連絡あり。オビ=ワン、テンプル内にいるも、無視。

 

アナキン不在三週間目。

オビ=ワンがやたらと体をぼりぼりと掻いている。

ちなみに、「……なんだか、臭くない?」が、今日のテンプルでは流行語だ。

アナキン、「オビ=ワンったらね、寂しくて痩せちゃったみたいよ」と定期連絡時に聞く。

 

アナキン不在四週間目。

アナキン、帰還。

テンプルへの報告も、それどころか帰還の挨拶も無しに、アナキン、廊下を歩いていたクマを確保。

ローブでくるみ込んで、家へと拉致。

「涼しくなっててよかった……とりあえずカビてない……」

「アナキン、土産は?」

「……あります」

 

オビ=ワンはまた幸せなふかふかクマに戻りました。

 

 

END