ナチュラルフラワー

 

生い茂る植物の葉が、辺りの空気を密にしていた。

秘密の文書を届けて欲しいと、この星に足を踏み入れ、この山道を歩き続け、三日目、やっと帰路に就くことができた。

この時代と思わなくもないのだが、国家間の約束事は、それ自体がいつ破棄されてもおかしくないことに対する当て付けなのか、未だ必ず形の残るもので交わされる。

今回は、同星の中で起こった貿易の交渉権争いを水面下で収めるため、元老院議会が介入を果たした。

この星の鉱物の持つ価値が、正義のためにあるはずのジェダイを動かしたのだ。

クワイ=ガン・ジンは、額の汗をぬぐった。

一緒に任務に就くようになった弟子は、黙々と足を進めている。

行きに出会った極かわいらしい、だが、凶暴だった獣と戦った傷跡が、そのローブに残る。

「大丈夫か? パダワン」

しきりに足下を見つめ、師匠に後れまいと足を進めていたオビ=ワンは、師の言葉に顔を上げた。

「平気です。俺、歩くの遅いですか?」

額に汗を浮かべている弟子は、上がった息に唇を薄く開いたまま、師匠を見上げた。

「いや、そうじゃない。さっきから、ずっと口を利かないから、心配になってな」

クワイ=ガン・ジンは、手を伸ばして、弟子の額をぬぐった。

汗でしっとりと濡れる弟子の肌は、少し火照っていた。

クワイ=ガンは、弟子に向かって身をかがめた。

「疲れたか? パダワン。少し休むか?」

弟子の青い目は、僅かに潤んでいた。

文書の輸送は急務で、先を急がせ続けた師は、弟子に十分な休息も与えていない。

「平気です。マスター」

気丈な弟子は、笑顔を返した。

「だが、パダワン。私たちの任務は、もう、殆ど終わっていると思わないか?」

クワイ=ガン・ジンは、弟子の目を見つめ、もっと深く笑った。

クワイ=ガンという男は、厳しく顔を引き締めていない限り、どこか、飄々とした雰囲気がつきまとう。

穏やかに笑う師匠は、自分が休みたいとばかりにもう腰を下ろした。

弟子は、小さく頭を下げ、隣に腰を下ろす。

若いパダワンの口からは、知らず、ため息が漏れた。

クワイ=ガンは、弟子の目の上にちょうど手が乗るようにして、頭を引き寄せ、自分へと凭れさせた。

「少しなら、眠っても平気だぞ」

クワイ=ガンの掌の中で、オビ=ワンの睫があわただしく何度も動かされる。

「マスター。いいです。大丈夫です」

弟子は、自分を癒してくれようとする乾いた手に、そっと手を重ねた。

師の気遣いを無下にしないよう、ゆっくりと弟子は自分の目を覆う大きな手を引きはがす。

「マスターこそ、少しお休みください。俺だって、見張りくらいはできることを証明しないと」

僅かに苦く口元に笑いを浮かべたオビ=ワンは、道行きの安全を確かめるため、先に歩を進め、そして、クワイ=ガンの手を借りなければならない獣と出会ったのだ。

獣の前足に踏みつぶされる弟子を見つけた師は、大きな舌打ちを響かせた。

「俺なら、全然平気です」

オビ=ワンは、師の腕に抱き寄せられたまま、多すぎる緑のせいで濃密な空気の中で、自分の価値を証明しようと、じっと師匠を見上げた。

通常よりも高い体温で、胸を喘がせているくせに、クワイ=ガン・ジンの弟子は、あでやかな笑顔を浮かべる。

「それよりも、早く帰った方がいいんじゃないですか? マスターのお帰りをお待ちの方は、ずいぶんと綺麗な人でしたし」

コルサントと同じく、惑星の多くをヒューマノイドタイプが占めるこの星は、独特な美意識に彩られ、施される化粧は、全身に及んだ。

この国の女王は、黒く長い髪を、虹のように光らせていた。

だが、クワイ=ガンの目には睫の先を宝石で彩っていた女王よりも、植物の葉で顔を汚した弟子の方が綺麗に見えた。

腕の中にある身体を引き寄せ、緑に染まった頬を擦る。

弟子は、困ったように師匠を見上げた。

すっぽりと師匠の身体に抱き込まれた弟子は、恥ずかしそうに元の位置に戻ろうとした。

「凭れていなさい。その方が楽だろう?」

「でも、マスター……」

「私もお前を抱き込んでいた方が、温かくてありがたい」

クワイ=ガン・ジンの言葉に、弟子は、大人しくなった。

しかし、師匠がほっと弟子の肩へと顔を埋めると、また、小さな抵抗をしだした。

「どうした? パダワン?」

「……あの……マスター。俺、ずっと身体も洗ってないし、……あの、……臭い」

真っ赤にうなじを染めた弟子の目は、必要以上の恥ずかしさに濡れていて、クワイ=ガンをそそのかすには十分だった。

「色気づいたな。ガキが」

クワイ=ガンは、弟子のブレイドを噛んだ。

弟子は、驚きのあまり、目を大きく見開いている。

「パダワン。お前が私に、いい匂いだと思って貰いたいと考えているとは知らなかった」

クワイ=ガン・ジンは、汗で汚れた弟子の首を舐めた。

オビ=ワンの首が泡だった。

「……マスター……?」

オビ=ワンの声は、とまどいに満ちている。

「私のチビパダワンが、どれほど育ったのか、これは、ちょっと見せて貰うとしようかな?」

クワイ=ガンは、からかうような声で弟子に語りかけていたが、その実、不安そうに何度も瞬きを繰り返す弟子の睫の重さに、驚きを覚えていた。

クワイ=ガン・ジンの弟子は、もともと綺麗な子だった。

しかし、いつの間に、こんなしたたるような色気を隠し持つようになっていたのか。

脅えという媚態で師を誘い込もうとする弟子は、抱き込む師の腕の中で、身体を固くし、それはもう、クワイ=ガンの手で自分を解してくれと言っているのと変わらなかった。

性急に火のつく自分をいぶかしむ間もなく、クワイ=ガンは、弟子の唇を塞いだ。

柔らかく、瑞々しい弟子の唇は、おずおずと開かれる。

「マスター……あの、マスター」

親愛の情だというには、情熱的に這い回る唇に、弟子は、とまどいの声を上げる。

「しっ、黙りなさい。パダワン」

クワイ=ガンは、弟子の口の中へと舌を進めた。

逃げる舌を捕まえ絡ませると、クワイ=ガンの弟子は、師にしがみついた。

「マスター……」

甘えた声と供に、弟子の目から涙がこぼれ落ちた。

拙いキスで、師匠を求める弟子は、自分から師に身体を押しつけてくる。

「……マスター……マスター」

クワイ=ガンは、手早く弟子のローブを脱がせた。

まだ、弟子の身体を覆う布地があることに小さな苛立ちを覚えながら、弟子の背を撫でる。

オビ=ワンは、どうしていいのか分からないように、ひたすら師の唇に吸い付き、師のローブを強く握っていた。

弟子は、ぴったりと隙間なく身体を押しつけている。

クワイ=ガンは、かわいらしい弟子の態度を笑った。

「パダワン。少しだけ、身体を離して」

師は、しっかりと口元まで合わせられた弟子の襟元に手を差し込んだ。

弟子の襟元は、きつく合わせられている。

それは、まるでクワイ=ガンを拒んでいるかのようだ。

しかし、強引に手を差し入れ、胸を撫でれば、小さな乳首がすっかり立ち上がっており、ドキドキとせわしない。

乳首を摘み上げると、オビ=ワンが、小さく喘いだ。

「……ぁっ」

刺激を嫌がるように俯いて首を振るパダワンは、逃げるように後ろへいざった。

だが、そのせいで、師の指に摘まれている乳首が引っ張られた。

「あっ!」

弟子は、自分で思っていた以上に大きな声を上げてしまい、慌てて口を押さえた。

クワイ=ガンは、悠然と弟子を抱き寄せ、細い腰を締め上げている留め具を外した。

柔らかだが、冷たい土の褥へと弟子を寝かせる。

師は、続いた行軍で汚れたブーツを弟子から優しく脱がした。

弟子の青い目は、潤みきって、不安そうにクワイ=ガンを見上げている。

クワイ=ガンは、優しく弟子の目尻へとキスを落とした。

弟子の腕が伸び、クワイ=ガンの背中を抱く。

強く求める弟子の必死さに、クワイ=ガンは、柔らかなキスを続けながら、弟子の下衣を緩めていった。

勃ち上がっている弟子のペニスを手の中に収め、くちゅくちゅと弄ぶ。

弟子は、太腿をすりあわせ、恥ずかしそうに身をよじった。

その加減で、丸みのある尻がクワイ=ガンの目に晒される。

クワイ=ガンは、柔らかな尻を撫でた。

オビ=ワンは、唇を開いたまま、師を見上げていた。

師は、こんもりと盛り上がった丸い山の間にある谷間へと指先を忍ばす。

うっすらと毛の生えている小さな窄まりは、指先の訪れと供に、きゅっと口を引き結んだ。

クワイ=ガンは、ゆっくりとそこを撫でる。

オビ=ワンの足が、師の足に絡んだ。

不安と期待で、火照った顔は、師にキスを求めた。

オビ=ワンは自分から上衣を肩から抜き、絡んだ下衣を蹴り落とす。

若い誘惑は、ぎこちなかった。

「マスター、マスター」

オビ=ワンは、この言葉しか知らないかのように、何度も師を呼び、緊張に固くなる体を押しつける。

師は、十分に弟子を愛してやるための準備ができないことを悔やみながら、弟子の身体の上を移動した。

持ち上げた尻の間に顔を埋める。

「いやっ! マスター」

鳴き声に近く悲鳴を上げた弟子は、必死になって師匠から逃れた。

クワイ=ガンの舌は、オビ=ワンの尻孔を舐めた。

この星に入って以来、一度だって身体を清潔にすることなど出来ていないオビ=ワンにとって、それは耐えられないことだった。

師は、弟子を抱き寄せようとする。

しかし、弟子は、師を拒んだ。

逃げいざった場所で、自分の指を唾液で汚した。

緊張に震え、知らなかった痛みと不快感に眉を寄せたパダワンが、自分の尻孔に指を突っ込む。

「待って……待っていてください」

加減をするということを考えないクワイ=ガンの弟子は、最初から、三本の指を入れ、そこを濡らそうとし、痛みに呻き声を上げた。

白い尻が震えている。

「無理だ。パダワン」

「いいえ、少し待ってください。マスター……すぐ……すぐに……」

こぼれ落ちそうなほど目を潤ませたパダワンは、唇を噛みしめ、尻孔を広げようとした。

クワイ=ガンは、弟子を捕まえ、その指を抜かせた。

「パワダン。私に舐められるのは、嫌なのか?」

クワイ=ガンは、固く力の入った尻を撫でた。

オビ=ワンが目を伏せた。

「……勿体ないです。……そんなことして頂くわけにはいきません」

この星に降り立ってから、三日がたった。

オビ=ワンの尻は、清潔だとは言い難い。

弟子は、恥じいるように身体を縮めた。

クワイ=ガンは、腕の中に抱き込める弟子の耳へと口付けを与えた。

「だが、私は、お前の中にいれたいんだ」

「お待ちいただければ……」

オビ=ワンの手が、そろそろと、自分の尻へと伸びる。

くぐらそうとする股の間では、ペニスがその存在を主張していた。

師の視線を感じ、ぴくりと若いペニスが跳ねる。

クワイ=ガンは、自分の指を弟子の口へと押しつけ、唇を開かせた。

「では、私の指ではどうだ?」

強引な師の指は、弟子の口をこじ開け、濡れた舌を押さえつけた。

「舐めなさい。パダワン」

強く促され、抵抗を見せていた弟子が、ぴちゃぴちゃと小さな音を立て、師の指を舐めた。

師は、弟子の足を大きく開かせ、白い尻の間に指を潜り込ませた。

一本から、順に、固い尻孔へと指を含ませていく。

弟子は、小さな抵抗を何度か繰り返し、そのうち、身の下に敷いた草を掴んでじっと耐えるようになった。

「マイ・パダワン」

クワイ=ガンは、自分でも性急だと思った。

しかし、背中を強く押されでもするように、立ち止まることなどできなかった。

猛る自分のペニスを取り出すと、丸く盛り上がっている弟子の尻へと擦りつける。

「マスター……」

未知の不安を凌駕して、師を求めるオビ=ワンは、大きく足を開いて、師を迎え入れた。

弟子の濡れた尻の穴へとクワイ=ガンは、ペニスの先をめり込ませる。

「……っっくぅ……」

痛みに、弟子がきつく眉を寄せる。

しかし、弟子の足は、クワイ=ガンの腰を引き寄せ、激しく師を熱望した。

クワイ=ガンは、弟子の尻を抱き、奥深くまでペニスを突き刺した。

「ああっっっ!!」

ずぶりとペニスを根本まで含まされ、オビ=ワンは喉を逸らし、大きな声を上げた。

「マイ・オビ=ワン」

クワイ=ガンは弟子の髪を撫で、そこ痛みを想像し、そろそろとペニスを動かそうとした。

しかし、弟子は、自分から腰をうごめかせる。

急激に身体を熱くした弟子は、あり得ないほど激しく喘ぎ、自分から師匠の腰に尻を擦りつけた。

クワイ=ガンは、驚きで、目を見開いた。

尻の中は、きつい締め付けで、クワイ=ガンすら痛いほどだ。

こんな反応は、初めてのオビ=ワンには無理だ。

唇から、熱い息を吐き出し、目を瞑っていた弟子が、そっと目を開いた。

クワイ=ガンの表情に凍り付く。

 

 

やり直し。

 

 

ベッドで目を覚ましたクワイ=ガンは、一瞬自分がどこにいるのか分からなかった。

ぼんやりと天井を見上げるクワイ=ガンの真上に、弟子がひょこりと顔を出した。

「お目覚めですか? マスター?」

「オビ=ワン? ああ、ここはどこだ?」

「マスター、昨日のうちに船に乗るはずが、倒れられたんです。だから、いまだ俺たちは、王宮のなかです」

オビ=ワンは、師の額に落ちかかる髪をなで上げた。

「……倒れた?」

「ええ、ご自分が俺にあれほど注意しろって仰ってたのに、この星、特別の植物に触るから」

この星は、気候も人種もほぼ、コルサントと変わらないが、この星の芸術同様、植物だけが、特殊な形態を有していた。

星の住民は、免疫を持っているが、その蔓に紫の美しい花を咲かせる植物は、幻覚作用のある花粉で攻撃を仕掛ける。

クワイ=ガン・ジンは、小さな苦笑を浮かべた。

「私は、何をした?」

オビ=ワンはあきれ顔で、師匠に事情を説明した。

「ずっと陽気にお話しをされていたかと思うと、いきなり女王の手を取って踊り出し、その後、ばたん、です」

クワイ=ガンが少しの心配を表情に覗かせ、弟子を見上げた。

「……何をしゃべっていた?」

「平気です。今回の任務のことは何も」

オビ=ワンは、にっこりと微笑むと、居心地悪そうに笑いを浮かべている師匠の上に覆い被さった。

「マスター。約束したのに……」

拗ねたような声と供に、弟子の唇がクワイ=ガンの唇を覆う。

クワイ=ガンは、ほんの僅かな違和感を覚えた。

自分が、弟子がこんなことをする子だったかと、首を傾げた。

だが、クワイ=ガンは、それを昨日から続く幻覚の作用だと処理し、弟子の短い髪を撫でながら、唇を吸い返した。

「何の約束を? パダワン」

弟子の柔らかな唇を吸う、クワイ=ガンの心に強い警告が走った。

弟子は若く、その将来は有望だ。

このかわいらしい将来のジェダイナイトはクワイ=ガンの好きに扱っていいような存在ではない。

だが、この警告を、いままでだって、何度もクワイ=ガンは無視してきたのだと、師は当然のように唇を吸っている弟子の首筋を撫でながら思った。

オビ=ワンの態度は、いつも通りだ。

そう、いつも通り。

クワイ=ガンは、今回も、自分の中の正義が与える警告を無視した。

オビ=ワンは、自分から手を伸ばし、クワイ=ガンの身体を探った。

「仕事が終わったら、沢山かわいがってくださるって、仰いました」

弟子は、艶やかな唇を尖らせ、師に不満をぶつける。

「なのに、マスターったら、俺のことなんてまるで無視で、好きなだけ大笑いして、広間の真ん中で、ぶっ倒れてそれっきりですよ。ここまで運ぶのどれほど大変だったか」

クワイ=ガンは、弟子の手を取り、自分の股間へと押しつけた。

「私の弟子は、こんなに我が儘な子だったかな?」

一瞬オビ=ワンの目に脅えが走り、急に弟子は、しゅんとなった。

膨らみをもって布地を押し上げるクワイ=ガンの股間で、オビ=ワンの手はためらったまま、ただそこに置かれているだけだ。

「……ごめんなさい」

もぞもぞとベッドの上から逃げ出そうとする弟子の身体をクワイ=ガンは捕まえた。

「私の弟子は、昨日の名誉を挽回させてくれないつもりか?」

抱きしめるクワイ=ガンの腕のなかで、オビ=ワンが幸せそうに笑った。

弟子は、艶やかな頬をすり寄せる。

「いくらでも。マスター」

オビ=ワンの唇が、ジェダイマスターの顔のあらゆる部分へと押しつけられた。

弟子は、クワイ=ガンの衣装に手を掛ける。

随分と上手く留め具を緩めたオビ=ワンの唇は、師匠の肌の上を這っていった。

クワイ=ガンは、微かな違和感を覚えながらも、弟子の髪を撫でる。

やはり、クワイ=ガンには、これ程性急なパダワンに見覚えがなかった。

クワイ=ガンは、弟子に囁いた。

「私は、随分と長くお前に禁欲をさせてしまったのかな? オビ=ワン」

目を瞑って、舌を伸ばしていたオビ=ワンが、顔を上げた。

「マスター……?」

物欲しそうな顔をして、開いたままの口から舌を覗かせている。

「……こういう俺は、嫌ですか?」

弟子の目は泣き出しそうに潤んでいて、クワイ=ガンは、横へと首を振った。

「いいや、とってもかわいい。マイ・パダワン」

クワイ=ガンは、弟子の唇をなぞった。

指にキスをする弟子は、たまらないとでもいうように目を細め、小さな息を吐き出した。

「マスター……」

クワイ=ガンは、顎をなで下ろす。

オビ=ワンは、自分から襟を緩めた。

クワイ=ガンの手を誘導する。

小さな乳首がぷくんと立ちあがっていて、クワイ=ガンは、それをひっぱってやった。

「あっっ……」

弟子の口から、甘い声が漏れる。

弟子は、クワイ=ガンの手に胸を押しつけるようにしたが、それだけでは物足りず、クワイ=ガンの腰へと顔を動かした。

布地を押し上げるクワイ=ガンのペニスに頬ずりをする。

緩めてあった留め具を取り去り、むき出しになった股間へと顔を埋める。

弟子の温かい口内にペニスを含まれ、クワイ=ガンは、息を吐き出した。

「私のパダワンが、こんなことをしてくれるとは……」

クワイ=ガンは、弟子の頭を撫でた。

拙い技術で、師のペニスを吸い上げる弟子は、しきりに鼻から、甘い声を出している。

口内のあらゆる部分で、師匠に奉仕をしようとしながら、その感触に、自分がうっとりとなっていた。

「マスター……」

クワイ=ガン・ジンの弟子は、師のペニスをくわえながら、自分の衣装を緩め、もぞもぞと尻を振る。

そのオビ=ワンをクワイ=ガンは変だと思った。

「オビ=ワン?」

その性急さは、どうしたって、クワイ=ガンにとって見覚えのないものだった。

尋ねる声の師匠を無視して、弟子は、下衣だけを脱ぎ落とした自分の尻へと師匠の手を引っ張った。

薄く毛の生えた尻の合間はぬとりと濡れている。

弟子は、師とのセックスのために、自ら準備を整えていた。

「……入れてください」

硬く勃ち上がった師のペニスへとキスをしたオビ=ワンは、尻をクワイ=ガンへと向けると、低く肩を落とした。

まろやかで白い尻が、師匠に向かって突き出されている。

クワイ=ガンは、眉を寄せた。

弟子の様子には酷く誘惑される。

しかし、こんな弟子に、クワイ=ガンは見覚えがない。

いつもの警告が、またもやクワイ=ガンを襲った。

このジェダイをクワイ=ガンは抱いてもいいのだろうか。

いや、クワイ=ガンは、考えた。

そもそも警告は、本当にこんな意味なのだろうか。

もっと激しく、クワイ=ガンの中に警告音が鳴り響く。

……、いや、そもそも、自分は、弟子とこのような関係だっただろうか?

クワイ=ガンは大きく動揺した。

「……早く」

しかし、落ち着かなく振られる弟子の尻に急かされ、クワイ=ガンは、弟子に覆い被さった。

「ああっ……!」

弟子の背が反り返る。

準備をしたというわりに、弟子の尻の中は、酷く狭い。

動くこともままならず、クワイ=ガンは、無理に動こうとする弟子の背を抱いた。

弟子の背中には、快感しかない。

しかし、中にいるクワイ=ガンは、痛いほどだ。

「……パダワン?」

クワイ=ガンは、弟子の肩へキスをした。

オビ=ワンが振り返る。

そして、弟子は、師匠の中に、自分に対する不審を見る。

 

 

やり直し。

 

 

密林の中、クワイ=ガンは、弟子に押し倒されていた。

クワイ=ガンにはどうしてこうなったのか分からなかった。

弟子は、非常に思い詰めた顔をして、師の上にのしかかっている。

「どうした? オビ=ワン?」

「マスター。全ての無礼を許してください」

「何のことだ?」

クワイ=ガンは、自分の側を這う大きな虫が、オビ=ワンのブーツへとよじ登ろうとするのに気を取られた。

注意を与えようと開こうとした口に、弟子の唇が重なった。

弟子は、激しくクワイ=ガンの唇を奪うと、泣きそうな目のまま、自分の服を脱ぎ始めた。

「おい? パダワン?」

クワイ=ガンは弟子を押しのけ、起きあがろうとした。

「どうしたんだ。我々の任務はどうなった?」

クワイ=ガンの弟子は、唇を噛みしめたまま、師匠の上から退こうとはしなかった。

引きちぎるような勢いで、クワイ=ガンをも脱がせようとする。

「おい、マイ・パダワン。落ち着け。一体どうしたんだ? おい、オビ=ワン」

クワイ=ガンは、泣き出した子供の頬を撫でた。

しかし、弟子は、頑固にも師の服を脱がせ、そのペニスを露出させた。

弟子の手が、クワイ=ガンのペニスを握る。

「おい、オビ=ワン。何がしたいんだ。一体何の冗談なんだ?」

「マスター。お願い。……お願いします……」

思い詰めた顔の弟子は、師匠のうなだれたペニスを懸命に扱いた。

僅かに硬くなったものを自分の尻にあてがう。

硬く閉ざされ、ぬめりもない尻の穴が、その大きな物を受け入れることなどできなかった。

オビ=ワンは、大きな声で泣く。

「マスター。お願い。お願い。……お願い……」

癇癪を起こしたような弟子の様子に、クワイ=ガンは、ただ目を丸くした。

「オビ=ワン?」

 

 

ダメだ。やり直し。

 

 

木陰での僅かな休憩の間、クワイ=ガンは、弟子を抱きしめていた。

オビ=ワンは、安心しきった顔で、クワイ=ガンの胸へともたれ掛かっている。

クワイ=ガンは、弟子の背を撫でながら、優しく髪を撫でていた。

静かな時が流れている。

クワイ=ガンは、今の任務を終えるためにちょうどいい時間まで、ここで待つつもりだった。

秘密裏に運んだ書類は、たしかに相手方に渡った。

そこまでの道のりで、クワイ=ガン・ジンの弟子は、死にそうな目にあった。

今もその危険の名残が食いちぎられ、獣の体液で汚れたローブにある。

報告を待つ女王は、焦らされるのが嫌いかもしれない。

しかし、ジェダイマスターは、自分の弟子に、これ以上の負担を掛けるつもりがなかった。

三日の間、眠るための時間も与えられなかったというのに、歯を食いしばり続けた弟子は、赤子のように安心しきった顔をして、師の胸に顔を埋めている。

任務を終えるために、ちょうどいい時間まで、ジェダイマスターは、ここを動く気はない。

オビ=ワンが、師の胸に顔を擦りつけた。

「どうした? パダワン。眠りにくいか?」

クワイ=ガンは、もたれ掛かった木に置いた背の位置を変え、腕の中の弟子を優しく抱き直した。

オビ=ワンは、顔を上げ、師の目を見つめた。

クワイ=ガンは、切ないまでに自分だけを信じ求めている弟子に微苦笑を浮かべた。

「どうした? パダワン。そんな目をして人をみるもんじゃない」

「……マスター」

オビ=ワンの口が師を呼び、その唇は開けたままで放置される。

若い顔は、隙だらけだった。

クワイ=ガンは、弟子の頬を撫でた。

「甘えているのか? かわいらしいパダワンだ」

オビ=ワンがその手に頬をすり寄せる。

「マスター……マスター……」

クワイ=ガンは、弟子の短い髪に小さなキスを与えた。

「マスター……」

オビ=ワンの手が、クワイ=ガンのローブを掴む。

クワイ=ガンは微笑んだ。

「一体どうした。小さな子供みたいだぞ。パダワン」

クワイ=ガンは、身をすり寄せるパダワンを強く抱きしめてやり、しっかりしろと背中を軽く叩いた。

だが、弟子は、ぐずるように師匠に身体を寄せるばかりだ。

どれだけ抱きしめてやり、背中を撫でてやろうとも、決して満足しようとしない。

「マスター……」

それどころか、師を呼ぶ弟子の声に苛立ちが混じりだした。

与えられないものに焦れて、子供のようにぐずる弟子に、クワイ=ガンは、眉を寄せた。

「どうしたんだ。オビ=ワン。私のパダワンは、こんな風じゃなかったはずだが?」

「……だって、マスター。俺から欲しがると、あなたは、いやがる……」

クワイ=ガン・ジンの前に急激に暗闇が押し迫った。

森のなかでは、暗くなるのが早い。

それにしても、まだ、鳥が鳴くというのに、見えなくなる弟子の顔に不審を覚えながらも、クワイ=ガンは、泣きそうな顔の弟子をなだめるように額へと小さなキスを与えた。

「なんでだ? 私が、お前の欲しがるものを嫌がったことがあったか?」

クワイ=ガンは、持てる知識の全てを弟子に与えてきたつもりだった。

この子はすばらしいジェダイになるだろう。

小さな動物たちが動き回る音が聞こえるというのに、急速に暗闇が広がっていく。

「お前には何でもやるよ。パダワン」

クワイ=ガン・ジンは、全てを不審に思いながらも、弟子に囁いた。

暗闇の中、弟子の目が疑い深く師を見上げる。

「……本当ですか? 俺が何を欲しがっても許してくれますか?」

「ああ、勿論」

クワイ=ガンの返事に、弟子が幸福そうに笑った。

クワイ=ガンには、全く弟子の顔が見えなくなった。

 

 

では、やり直し。

 

 

腹の上の幸福な重みに、クワイ=ガンは、小さな呻き声を上げた。

きつく締まった弟子の尻孔が、クワイ=ガンのペニスをくわえ込み、柔らかなベッドの上で跳ねていた。

クワイ=ガンは、飛び起きた。

弟子とはそんな関係ではなかった。

「オビ=ワンっ!」

見れば、緊張に固い弟子の尻は、上手くクワイ=ガンのペニスを飲み込むことが出来ず、血が太腿へと伝っている。

しかし、弟子の顔には、快感が浮かんでいた。

開けられた口からはしきりに甘い声が漏れ、閉じられた目は、重い睫が時折震える。

ペニスがぬちゃぬちゃと音を立てると、弟子は、背中の背中が小さく震えた。

弟子は、自分で掴んだペニスを一心に扱いている。

「マスター……」

弟子の声は、決して苦痛を訴えなかった。

ただ、甘く、師を呼ぶ。

しかし、クワイ=ガンには、苦痛があった。

オビ=ワンの尻は、きつすぎる。

クワイ=ガンは、しきりに腰を振るオビ=ワンを揺さぶった。

「オビ=ワン! やめるんだ。オビ=ワン!」

不機嫌な目が師匠を睨んだ。

「うそつき」

 

 

 

オビ=ワン・ケノービは、清潔なシーツの中で目覚め、驚いた。

しかも、師の腕が、自分を抱き込むようにしている。

師は、まだ、眠っていた。

目を覚ましたオビ=ワンは、ここがどこなのか、しばらく考えた。

見たことのある部屋ではないが、これほど金に明かせた部屋を持ち得るのなど、今回の任務を自分たちに依頼したこの星の王宮以外にあり得ない。

オビ=ワンは、静かに師の腕から抜け出そうとした。

師の体温に包まれ、その体臭に鼻を埋めているのは、近頃のオビ=ワンにとって、苦しいだけなのだ。

クワイ=ガンが目を覚ました。

目覚めた途端、悪戯に目を輝かせた師匠は、逃げ出そうとする弟子を抱き込んだ。

「マイ・パダワン。おはよう。元気かね? 一体どんな夢を見たんだ?」

クワイ=ガンは、弟子の腕を掴み、額に額を合わせた。

そうやって逃げられないようにすると、師は、青い目をじっとのぞき込んだ。

探るように、クワイ=ガンの目が、オビ=ワンの瞳を見つめる。

クワイ=ガンが、ほっとため息を吐き出した。

「……正気に戻ってるな」

「……マスター……?」

オビ=ワンには、何のことだかわからなかった。

クワイ=ガンは、弟子の額にこつんと額をぶつけた。

「危ないから、触るなとあれほど言ったのに」

叱る口調の師に、弟子は、大きく目を見開いた。

「……俺、何を?」

「あの植物は、触っちゃいけないと、言っただろう? いくら可愛い子が、髪に挿していたとしてもだ。あれは、我々免疫のないものには、幻覚作用がある」

「……ああ、俺、もしかして……」

クワイ=ガンは、弟子の頭を軽く叩いた。

「全く、無事任務が済んで緊張が緩んだというのは分かるが、師匠の言いつけは守りなさい。こっちはひやひやしたんだからな」

「……すみません……マスター」

そこで、クワイ=ガンは、楽しげに弟子の目を見つめた。

「で、どんな夢を見た?」

口元には楽しげな笑いが浮かんでいた。

「オビ=ワン、お前が、嫌になるくらい、マスターって呼んで、離さないもんだから、私までこのベッドで寝るはめになった」

私の部屋は別に用意されてたんだぞ。と、言いながら、クワイ=ガンは、弟子の背を撫でた。

師は、柔らかく、何度も何度も弟子の背を撫でる。

オビ=ワンは、腰骨の奥へとじんとしびれる甘い感覚を覚えた。

しかし、弟子は、顔には出さないよう、唇を噛んだ。

オビ=ワンは、自分が幻覚の中で、師を求め続けていたことを思い出した。

繰り返し、繰り返し、師とのセックスを望み、だが、自分の指での経験と、それ以外と言えば、想像しかもたないオビ=ワンには、夢の中の師を喜ばせることができなかった。

弟子は、知り得ない快感を求めあがいたが、そのたび、師は、現実に目覚める。

オビ=ワンは、幻覚にも限界があることを知り、落胆した。

勿論、それは隠したまま、弟子は、師匠に尋ねる。

「マスター。俺、……ご迷惑を?」

オビ=ワンは、温かな師の胸に抱き込まれ、少しばかりの抵抗を見せた。

師は、子供っぽくも、口を尖らせる。

だが、これを愛嬌だと受け止めさせるたけの魅力が、クワイ=ガンにはあった。

「マイ・パダワン。お前、まともになると、冷たいな」

師匠は、軽く弟子を睨み、オビ=ワンの額に寄った皺を撫でた。

そして、クワイ=ガンは、弟子の顎を掬うと、深く唇を重ね合わせた。

「そう悩むな。パワダン。大したことはない。ほんのこの位だ」

師匠の舌が、弟子の口の中を舐めた。

ねっとりと絡まる舌は、今までに味わったことのない気持ちの良さを、オビ=ワンに与えた。

師は、微かに笑い、目を閉じ、口を大きく開けた弟子の舌を愛撫した。

上あごを舌先で舐められ、オビ=ワンの鼻から、甘い声が漏れる。

オビ=ワンの手が、師匠を強く掴んだ。

そういう意味での初めてのキスは、オビ=ワンの身体に力を入れさえておくことを許さなかった。

クワイ=ガンのテクニックに、とろりと骨までとろけてしまったオビ=ワンは、ただ、ひたすらキスの続きを願って、マスターと呼ぶ。

「そう、そういう声で呼ぶもんだから、私はすっかり誘惑されてしまった」

クワイ=ガンは、弟子に向かって優しく怒った顔をしてみせた。

師の眉は情けなく寄っている。

「困ったもんだ。全く……」

クワイ=ガンの膝が、オビ=ワンの足を割った。

 

 

END

 

棚からぼた餅?