*肝が冷えた

 

 テンプルまでの道を飛んでいたオビ=ワンは、慌ててスピーダーを急停止させた。

 アナキンのスピーダーがひっくり返っていて、その脇に弟子が立っていたからだ。

「どうしたんだ! アナキン!!」

 師の操縦技術にしては、華麗にして果敢な止まり方に、アナキンは目を見開いた。

「マスターこそ、そんなに慌てて、どうしたんです?」

「どうしたって、お前、お前のスピーダーがひっくり返ってる!」

「ああ」

 アナキンは、頷いた。

 罰当たりにもフォースでスピーダーを裏返しに浮かす弟子の手には、工具が握られていた。

「ああ、これ。だって、下に潜って弄るのって、面倒じゃないですか」

 

 

*若い

 

アナキンは、師匠を探していた。

テンプル内を駆け回っている。

「あっ、マスターヨーダ。俺のマスターを見かけませんでした?」

「ああ、見たよ」

ヨーダは、ずっと奥にある廊下の突き当たりの部屋を杖で指した。

「マスターオビ=ワンなら、あそこで……」

「ありがとうございます!」

オビ=ワンの弟子は、飛び出すように走っていく。

「気の早い子じゃ。一時間も前に、あそこで会ったと言おうと思ったのに」

ヨーダは、ゆっくりと歩いていく。

 

 

*当たり前だ。

 

アナキンは、友達に言った。

「マスターが、僕に言ったことを取り消さなければ、僕は、ジェダイになるのを諦めるよ」

「そんなっ! 君のマスターは、なんて言ったんだ!」

パダワンは、どれほども修練を要求されるが、侮辱される必要はないと、友人は、思い詰めた顔のアナキンをかばった。

「ううん。……実は、マスターみたいなくそ真面目なジェダイになる位なら、死んだ方がいいって言ったんだ。……だって、マスターってば、ずっと任務、任務で、ちっとも楽しそうじゃないし、貧乏なんだもん。そしたらマスター、お前なんか、ジェダイになるなって怒鳴って、それ以来修行をしてくれないんだ」