*やっぱ、それでしょ。

 

師弟は、とある星の要人を警護するため、城へと向かって歩いている最中だった。

葬式でもあったのか、前には墓掘り人夫がいた。

オビ=ワンは、彼に道を尋ねた。

「このまままっすぐで城への道はあっているかね?」

人の良いオビ=ワンの笑顔を見ながらも、人夫は、じろじろと師弟の姿を確かめた。

「あんたたち何をしにいかれるんだね?」

これだけ辺境の星では、有名なオビ=ワン・ケノービ将軍も顔が売れていない。

「私たちは、ジェダイだ。ここの議員が次の議会に安全に出席できるよう警護をするためやってきたのだ」

この国が二派に別れていることなど、誰もが知っている。

墓掘りは、ゆっくりと道を空けた。

「このまままっすぐいって頂けばいいですだ。あんたたち、先に行ってください」

しかし、アナキンは、師匠の隣に並ぶと、耳元に口を寄せた。

「マスター。あの墓掘り、自分の仕事をよく分かっていますね」

「はぁ? アナキン」

全ての人への尊敬を教えたつもりのオビ=ワンは、顔を顰め、ジェダイナイトを睨んだ。

「だって、マスター。あの人、俺たちを先に行かせましたよ。俺たちが、暗殺者をぶっ殺す。彼が埋める。ぴったりの順番だ」

「アナキン!」

今回の場合、そういう可能性が高いのは、オビ=ワンとて十分理解していたが、黒幕への交渉を念頭に計画を立て、それをここにいるアナキンにもとくとくと道中語ってきた師匠は、最初から安易な結論へと飛び付こうする弟子を叱った。

「アナキン。ジェダイは殺さない」

「そうですか? 俺、絶対にそうなると思うんですけど」

「……アナキン!」

気を悪くしたオビ=ワンは、後ろを着いてくる墓掘り人夫を振り返った。

「ああ、もしよかったら、先に行ってくれないかい? 私たちは、ゆっくり行くから」

墓掘り人夫は、頑固に首を横に振った。

「いいえ、私は、順番ちゅうものを心得ております」

「ほら、やっぱり、そういう順番なんですよ。誰だって知ってるんです。マスター、夢見がちだからなぁ……」

まるで愛らしい子供でも見るように笑った弟子の頭を、オビ=ワンは、本気になって殴った。

 

 

*当然の結論

 

怒り心頭とは、このこと。

アナキンは、昼間にあった腹立たしい事件が忘れられず、ベッドで横になったところで、まるで眠気など感じなかった。

ジェダイとしては、まるで失格だが、アナキンは、どす黒いフォースに身を包んだまま、自分の名誉を傷つけた相手を「殺してやる」と、何度も呪った。

しかし、今、このベッドの中で思っていたところで、何も始まらない。

やるのならば、計画は周到に。

しかし、ジェダイナイトは、この怒りを上手く昇華する方法を思いついた。

それも、「平和と愛」を尊ぶジェダイとしてふさわしい方法をだ。

アナキンは、「怒り」を諫め続ける師匠の元に向かった。

情熱的な一夜になりそうだった。

 

 

*タッチ禁止

 

珍しくアナキンが熱を出した。

ベッドに横になる弟子は、気弱な顔で、師匠を呼んだ。

「お願いです。マスター。手を握っていてください」

ベッドの脇にかがんだオビ=ワンは、弟子の手をぎゅっと握った。

「ああ、いいともアナキン。私もそうしている方が、ずっと安心だ」